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連載途中16、休みの日におまえは・・・
志方拓真と高野晃のふたりは会社の同僚で偶に身体を繋げる関係だったのだが・・・。短編「休みの日の会社は・・・」の二人のその後・・・。
15、短編
(1)僕は書生さん♪
(2)願い(番外編)
(3)休みの日の会社は・・・
(4)やさしいささやき
(5)休みの日に家で・・・・
(6)休みの日の前の夜は・・・・
課題練習・4
14、御伽話
本宅で、あるサンプルにずっと続けて書いている詩です。本宅にいる限り、詩の中身はあまり注目されません。(笑)
13、ずっとあなたが好きでした・2(完結)
「きみのためならどんなことでもできる・・・そう信じていたのに。君を失うなんて考えもしなかった。」その時東野は・・・。
12、そしてカノン(完結)
辛い気持ちを忘れたい時、なぜか痛みが必要になる・・・それなのにそれを認めるのにもためらいが・・・・フランツの辛い気持ちはヴァンツを揺れ動かす。
11、半陰陽の花・・・Androgynous(完結)
「お尻を叩かないの?」愛らしい赤い唇に求められて、抗することのできる男などいるものだろうか?
10、メール調教ユキ(初期作品)(完結)
女の子の先輩からメール調教を受ける事になったユキ。恥ずかしいこと命令されて、恥ずかしいことをしている自分が信じられなかった。でも、一度知ってしまった世界。もう、後戻りは出来ない・・・・。
9、さわってほしい・2(完結)
淳一君の身体を毎日拡張している各務。サディストの彼にも高原のMのパートナーだった8年間の過去がある。淳一の恋は実るのか?
8、君は花のように・・・(完結)
恋人にSMの写真集のモデルになることを求められたら、あなたは、うなずきますか?
7、願い(完結)
自分が男しか愛せないと気が付いた時。それは、どんなに願ってみても、愛する人に出会えない長い旅の始まりだった。
6、あなたが欲しい(完結)
「ずっとあなたが好きでした」番外編 瑞季に一ヶ月も射精を禁じられている東野は、すでに、ぎりぎり。瑞希の側にいるだけで、彼女に触れたくてたまらない。
5、ずっとあなたが好きでした(完結)
瑞季は、Mの男性にSMの手ほどきを受けてから、水曜日は秘密のクラブで遊んでいるはんぱな女王様。ところが、秘書の東野に告白されてから・・・・。求められるってなんでこんなに心地いいんだろう。
4、Sのテクニック(完結)
「サディストな彼」の博人君がどうにも頭の上がらない人がいます。それは「悪逆非道傲岸不遜ザイルの神経」の叔父さんです。
3、加虐と被虐の輪舞曲 (完結)
一生あなたに忠誠を捧げると決心していた。あなたを守り、使え支えになる事。あなたが私に見せてくれた苦しみを取り除けたら。それだけを願っていたのに・・・。私の心の中には悪魔が住んでいる。あなたの痛みそれがこれほど甘いものだとは・・・・・。私は囚われる。あなたの苦しみに。
2、サディストな彼(完結)
私の大好きな博人さんは、SMが好きだったの・・・。私は彼と一緒に扉をくぐって行けるのかしら?
1、さわってほしい
男に売られちゃった俺、淳一。相手は筋金入りの実業家でサディスト高原弓人。なのに、下準備をする医者のほうへ惚れちゃうなんて・・・最低。
★本宅へ物語ごとのリンクページ★
恥ずかしいの(6回シリーズ・完結)
可愛いせつな♪
可愛いせつな♪・2
いきたい・・
サディストの私
みほちゃん1・前編
みほちゃん2・後編
みほちゃん3・前編
みほちゃん4・後編
みほちゃん5
みほちゃん6
みほちゃんと私
みほちゃん7
みほちゃん8
むかしむかしあるところに・・・
面格子
ラブリュイール
洗濯ばさみ
18の春
18の夏
18の秋
21の冬
ネット調教
狭間に・・・・
舞姫
白昼夢
【お仕置きシリーズ】
スパンキング
万里江
美由紀
ラブ・スパンキング
クロード
琴音・第一部(夫)
琴音・第二部(義母)
琴音・第三部(義父)
琴音第四部(お披露目)

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私は、男の手首が好きだった。手首だけになったそれは、優しく私の頬を撫でるだろう。力強くしなやかな指とすべすべとした甲。掌にあるホクロが愛らしい。暖かくぬくもりを分けてくれる優しい手。
それに比べて、男の身体はどうだろう。私の思い通りには決してならない。重くて、ものを言ったり、動きまわったり、その上、食べたり、排泄したり。生きているということはなぜ、こんなにもうっとおしいのかしら。理屈っぽくて、口うるさくて、ちっとも美しくない。だから、切り落としてしまおうと思ったのだった。
けれど、それを承知してくれる男はなかなかいない。私の職業は、女王様だったから、指の一本や二本、いちもつでさえも、捧げてくれるという下僕は、いないでもなかったけれど、でも「手首をあげましょう」と、いう男はなかなかいなかった。例えいても、それは、ちょっとした嬉しがらせの一種でしかなかったり、そんなつもりの遊びだったりして、いざ、真剣に手首を切り落とす時になると、怖気づいて、大慌てに逃げ出す者ばかりだった。
だとしたら、薬を飲ませて、朦朧としているうちに縛り付け、泣いたり喚いたりしていても構わずに切り落としてしまうというのはどうなのだろう。
切る時に使うのは電動ノコギリがいい。キーンというあの耳に突き刺さる響きが、男の恐怖を煽り、冷や汗を搾り取ることができる。すっぱいような匂いの恐怖の汗と、言葉にならず、うろたえたように口をぱくぱくさせる様が面白くないこともない。ほんとうは、私のために、覚悟を決めて、自らその手首を捧げてくれるのなら、喜びは倍増し、雲の上に乗るように幸せな心持ちになるだろうに。
そう思って、よく考えて、目当ての手首の持ち主を口説いてから、その口の中に薬を放り込んで、身体をベッドに縛り付けている時に、ホテルのドアが激しくうち叩かれた。男を縛り付けるのに熱中していた私が、びっくりして、立ちすくんでいるうちに、ドアは蹴り破られて、三人の男達がなだれ込んで来た。それは、私の勤めているSMクラブのオーナーと、仕事のためにホテルにいる間車で近くに控えているクラブの従業員の男。それに、私の家のために働いていた弁護士の、一人息子だった。
私がまだ、セーラー服を着ているような娘の頃からずっと、我が家に出入りしていたその息子は、幽霊のようにやつれた青い顔をして、激しく私に詰め寄ってきた。
「マナカさん、どうしてあなたは・・・。切り落とした手首は、もう、あなたの思っているようなものでは無くなってしまう事を知らない訳ではないでしょう?固くなり、干からびて、腐っていく。肉が腐っていく時のあの匂い。あなたには決して耐えられないでしょうに。」
この弁護士の息子は、ずっと、私のことを見張っていたのだろうか。私が、父親と不仲になり、家を飛び出して、今の仕事についてからもずっと。私が、自分のしたい事。夢見ていた事を諦めず、いつか、私が、男の手首を切り落とす算段をする事を予見していたに違いない。
どんな時でも、私の父は、私を思い通りに動かそうと、あらゆる手を打ってくる。どんなに遠くに逃げおおせたつもりでいても、それは、父の作った檻の床が、恐ろしく広く、どこまでも鉄条網の張り巡らされた塀が続いているだけだったのだから。
男の手首を切り落とそうとした女王様の噂は、あっという間に業界の端から端まで、伝わってしまったに違いない。私は頸になり、天職のように思っていた仕事を取り上げられて、父の選んだ男と結婚して海外に移り住むか、ほとぼりがさめるまで「そんな噂が辿り着かないどこか田舎」にしばらく隠遁しているように強く言い渡されてしまった。
なんといっても、今度のことは、ひとつ間違えば警察沙汰。騙された、殺されかけたと喚き立てる私の愛しい手首の持ち主を黙らせる莫大な示談金を払ったのも父ならば、迷惑料を要求する店のオーナーへ引導を渡したのも父なのだ。そのお金と人脈の力を持ってして、私に手首をくれる人を見つけ出してくれるほどに、私を理解してくれたなら、私も家を出る必要もなかったのに。
父の選んだ男は、私の大嫌いな上流社会のステレオタイプの男でしかなく、結婚すれば、せっせと私の人生を灰色に塗り尽くすに違いなかった。私は、「都会を離れる」という選択肢をなくなく受け入れるしかなかった。父の言うとおりにするのだから、私の気持ちも少しは組んでくれなくては。私は、知り合いの伝手を辿り、もう二度と、決して、誰かの手を切り落としたりしないという、誓紙とともに、せめてもの、その身体の奥から湧き出ては吹き零れる禍々しい欲求を紛らわせてくれる仕事を取り戻した。
私は、どこか、自分だけの空へ飛び立つ翼を見つけるまで、普通の女王様のふりをして、できるだけ人から離れていようと思った。誰とも深く付き合わず、誰にも心を打ち明けず、さも「仕事で女王様をやっています」というなりをして、私の欲望を揺り動かすスイッチを入れるような、そんな同じような香りをさせる人達や、それ故の悲しみを滲ませる人たちからは出来るだけ離れて。普通の人間のふりができるように、口を閉じて、仮面を被って。優等生の高校生時代に培ったもう一人の私。
そうして、だから、私は山梨の、このクラブに女王様として、世過ぎをしているのである。毎週、週末には、例の我が家の弁護士の息子が、客となって、私が、新しく怪しい目論見を捻り出していないか、確かめに来るのだった。
男が私を買うお金を出しているのが、ほんとうは父なのか、それとも弁護士の息子本人なのか分からなかったけれど、その息子が週末に泊まりに来るのを受け入れている限り、私は、そのSMクラブの中の取り決め通り、旅館の客室で過ごすことができて、毎日、自分だけの時間を持てるから都合が良かったのだった。
それに、その男は、この場所で、手首を恋い慕う、私の本当の気持ちを知っているただ一人の男なのだから、一緒に過ごす時間を持つことに否やはなかった。
弁護士の息子は、私の部屋に来ると、その少し灰色の混じった薄い茶色い悲しそうな瞳で私をじっと見つめた。この男はまだ、私のことが少しばかり好きなのかもしれない。私が少女の頃からずっと変わらずに。
「私は、男の手首が好きなだけなのよ。」
「ええ・・・・・・、分かっていますよ。マナカさん。」
そう言うと男は服を脱ぎ、それから、左の肩に義手を留めつけてあるベルトを外して、父が大枚をはたいて作らせた、その爪の一枚一枚まで本物そっくりの義手を外して、私に握らせてくれる。それから、風呂にお湯を張り、片腕のまま、湯を使うのだ。
湯から上がってきた男は、片方だけ残っている右手で、私が、冷たい義手に頬ずりをしながら流す涙を拭おうとする。そんな時、私は思わず、もう一本の木の切り株のように先が丸くなった腕に口づけせずにはいられない。
なんといっても、その腕は、私が、生涯でただ一度だけ、我がものとすることができたあの血の匂いがむせ返るような寝床で掻き抱いた手首の、生えていた腕なのだから。
それに比べて、男の身体はどうだろう。私の思い通りには決してならない。重くて、ものを言ったり、動きまわったり、その上、食べたり、排泄したり。生きているということはなぜ、こんなにもうっとおしいのかしら。理屈っぽくて、口うるさくて、ちっとも美しくない。だから、切り落としてしまおうと思ったのだった。
けれど、それを承知してくれる男はなかなかいない。私の職業は、女王様だったから、指の一本や二本、いちもつでさえも、捧げてくれるという下僕は、いないでもなかったけれど、でも「手首をあげましょう」と、いう男はなかなかいなかった。例えいても、それは、ちょっとした嬉しがらせの一種でしかなかったり、そんなつもりの遊びだったりして、いざ、真剣に手首を切り落とす時になると、怖気づいて、大慌てに逃げ出す者ばかりだった。
だとしたら、薬を飲ませて、朦朧としているうちに縛り付け、泣いたり喚いたりしていても構わずに切り落としてしまうというのはどうなのだろう。
切る時に使うのは電動ノコギリがいい。キーンというあの耳に突き刺さる響きが、男の恐怖を煽り、冷や汗を搾り取ることができる。すっぱいような匂いの恐怖の汗と、言葉にならず、うろたえたように口をぱくぱくさせる様が面白くないこともない。ほんとうは、私のために、覚悟を決めて、自らその手首を捧げてくれるのなら、喜びは倍増し、雲の上に乗るように幸せな心持ちになるだろうに。
そう思って、よく考えて、目当ての手首の持ち主を口説いてから、その口の中に薬を放り込んで、身体をベッドに縛り付けている時に、ホテルのドアが激しくうち叩かれた。男を縛り付けるのに熱中していた私が、びっくりして、立ちすくんでいるうちに、ドアは蹴り破られて、三人の男達がなだれ込んで来た。それは、私の勤めているSMクラブのオーナーと、仕事のためにホテルにいる間車で近くに控えているクラブの従業員の男。それに、私の家のために働いていた弁護士の、一人息子だった。
私がまだ、セーラー服を着ているような娘の頃からずっと、我が家に出入りしていたその息子は、幽霊のようにやつれた青い顔をして、激しく私に詰め寄ってきた。
「マナカさん、どうしてあなたは・・・。切り落とした手首は、もう、あなたの思っているようなものでは無くなってしまう事を知らない訳ではないでしょう?固くなり、干からびて、腐っていく。肉が腐っていく時のあの匂い。あなたには決して耐えられないでしょうに。」
この弁護士の息子は、ずっと、私のことを見張っていたのだろうか。私が、父親と不仲になり、家を飛び出して、今の仕事についてからもずっと。私が、自分のしたい事。夢見ていた事を諦めず、いつか、私が、男の手首を切り落とす算段をする事を予見していたに違いない。
どんな時でも、私の父は、私を思い通りに動かそうと、あらゆる手を打ってくる。どんなに遠くに逃げおおせたつもりでいても、それは、父の作った檻の床が、恐ろしく広く、どこまでも鉄条網の張り巡らされた塀が続いているだけだったのだから。
男の手首を切り落とそうとした女王様の噂は、あっという間に業界の端から端まで、伝わってしまったに違いない。私は頸になり、天職のように思っていた仕事を取り上げられて、父の選んだ男と結婚して海外に移り住むか、ほとぼりがさめるまで「そんな噂が辿り着かないどこか田舎」にしばらく隠遁しているように強く言い渡されてしまった。
なんといっても、今度のことは、ひとつ間違えば警察沙汰。騙された、殺されかけたと喚き立てる私の愛しい手首の持ち主を黙らせる莫大な示談金を払ったのも父ならば、迷惑料を要求する店のオーナーへ引導を渡したのも父なのだ。そのお金と人脈の力を持ってして、私に手首をくれる人を見つけ出してくれるほどに、私を理解してくれたなら、私も家を出る必要もなかったのに。
父の選んだ男は、私の大嫌いな上流社会のステレオタイプの男でしかなく、結婚すれば、せっせと私の人生を灰色に塗り尽くすに違いなかった。私は、「都会を離れる」という選択肢をなくなく受け入れるしかなかった。父の言うとおりにするのだから、私の気持ちも少しは組んでくれなくては。私は、知り合いの伝手を辿り、もう二度と、決して、誰かの手を切り落としたりしないという、誓紙とともに、せめてもの、その身体の奥から湧き出ては吹き零れる禍々しい欲求を紛らわせてくれる仕事を取り戻した。
私は、どこか、自分だけの空へ飛び立つ翼を見つけるまで、普通の女王様のふりをして、できるだけ人から離れていようと思った。誰とも深く付き合わず、誰にも心を打ち明けず、さも「仕事で女王様をやっています」というなりをして、私の欲望を揺り動かすスイッチを入れるような、そんな同じような香りをさせる人達や、それ故の悲しみを滲ませる人たちからは出来るだけ離れて。普通の人間のふりができるように、口を閉じて、仮面を被って。優等生の高校生時代に培ったもう一人の私。
そうして、だから、私は山梨の、このクラブに女王様として、世過ぎをしているのである。毎週、週末には、例の我が家の弁護士の息子が、客となって、私が、新しく怪しい目論見を捻り出していないか、確かめに来るのだった。
男が私を買うお金を出しているのが、ほんとうは父なのか、それとも弁護士の息子本人なのか分からなかったけれど、その息子が週末に泊まりに来るのを受け入れている限り、私は、そのSMクラブの中の取り決め通り、旅館の客室で過ごすことができて、毎日、自分だけの時間を持てるから都合が良かったのだった。
それに、その男は、この場所で、手首を恋い慕う、私の本当の気持ちを知っているただ一人の男なのだから、一緒に過ごす時間を持つことに否やはなかった。
弁護士の息子は、私の部屋に来ると、その少し灰色の混じった薄い茶色い悲しそうな瞳で私をじっと見つめた。この男はまだ、私のことが少しばかり好きなのかもしれない。私が少女の頃からずっと変わらずに。
「私は、男の手首が好きなだけなのよ。」
「ええ・・・・・・、分かっていますよ。マナカさん。」
そう言うと男は服を脱ぎ、それから、左の肩に義手を留めつけてあるベルトを外して、父が大枚をはたいて作らせた、その爪の一枚一枚まで本物そっくりの義手を外して、私に握らせてくれる。それから、風呂にお湯を張り、片腕のまま、湯を使うのだ。
湯から上がってきた男は、片方だけ残っている右手で、私が、冷たい義手に頬ずりをしながら流す涙を拭おうとする。そんな時、私は思わず、もう一本の木の切り株のように先が丸くなった腕に口づけせずにはいられない。
なんといっても、その腕は、私が、生涯でただ一度だけ、我がものとすることができたあの血の匂いがむせ返るような寝床で掻き抱いた手首の、生えていた腕なのだから。