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虚構と現実の区別のつかない方
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さやかは本宅「スパンキングとSM」の方でも、チョコチョコと妄想を書いています。ただし、あくまで妄想なので作品の形を成していません。コレが、「人形のように」を作るきっかけになりました。興味がある方は、遊びに行ってくださいね。作品名をクリックするとそのページに行けます。18禁ですので、未成年はご遠慮ください。
恥ずかしいの(6回シリーズ・完結)
入院した心愛ちゃんの担当は、浣腸の好きな看護士の悪鬼さん。医療行為のはずがドンドンエスカレートして・・・・。
可愛いせつな♪
さやかがblogの波の中でみつけた可愛いせつなちゃんのスパンキング体験!せつなちゃんは、さやかのものですからとっちゃダメです!
いきたい・・
ボーイズ超ショート・・・って言うより細切れ?まだ、キャラもできてない。コレがいつか形になる日は来るのかしら・・・・。
サディストの私
きれいな雪江お姉さんをお仕置きするのは、私の役目。今日は乳房を打ってあげるね。
みほちゃん1・前編
みほちゃん2・後編
みほちゃん3・前編
みほちゃん4・後編
みほちゃん5
みほちゃん6
みほちゃんと私
みほちゃん7
みほちゃん8
さやかが妄想を書き始めたきっかけになったみほちゃん。高校生の女の子です。彼女のブログのキリバン毎に書いていました。一生懸命虐めているうちにドンドン深みに。
それではサディストな彼を、お楽しみください。
・・・・って、書いてる本人もまだ、まったく先が見えてないんですけど・・・どうなるんだろう?不安だ。
サディストな彼

恥ずかしいの(6回シリーズ・完結)
入院した心愛ちゃんの担当は、浣腸の好きな看護士の悪鬼さん。医療行為のはずがドンドンエスカレートして・・・・。
可愛いせつな♪
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いきたい・・
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サディストの私
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みほちゃん1・前編
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みほちゃん5
みほちゃん6
みほちゃんと私
みほちゃん7
みほちゃん8
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それではサディストな彼を、お楽しみください。
・・・・って、書いてる本人もまだ、まったく先が見えてないんですけど・・・どうなるんだろう?不安だ。
サディストな彼


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高柳博人(たかやなぎひろと)に告白したのは、22の時だった。大学の階段の踊り場にたたずんで外を見ている横顔を見つけて、しばらく見つめていた。上質の仕立てのチャコールグレイの上着も、ボタンダウンのシャツも、ふちの無い眼鏡も、ちょっと癖のある茶色の柔らかな髪も、もう見納め。もうすぐ卒業してしまう。そう思うとその一瞬がとんでもなく大切なもののような気がして、息を殺して見つめてしまっていた。私は姫野夕姫。彼とは同じゼミの同級生だった。
その視線に、気がついて振り返った彼が優しく微笑んだ。
「やあ。教授のとこへ来たの?」
「うん。今日ようやく卒論受け取ってもらった」
「よく、頑張ったね。教授も褒めていたよ」
「博人さんほど優秀じゃないからなあ」
「要領だけはね」
にっこりといつもの女殺しの微笑みを浮かべられると、胸がキュンと痛んだ。…もう、会えなくなる。卒業したら、もう会うこともなくなる。そう思うとたまらなく辛かった。心の中にずっと秘めてきた憧れのような恋。ただ、振り向いてもらっただけで、笑いかけてもらっただけで、その日一日が幸せに過ごせる。そんな夢のような淡い恋。
だけど、4年越しで大事にしていた私の気持ち。絶対に告げることなんか無いはずと思っていたのに。もう、静かな茶色の瞳の中に自分の姿が映ることはないんだと思うと、どうしても黙っていられなかった。
「…博人さん、私…私ね…」
彼の目がちょっと細くなり、何かを察したのだろう。留めようとするように、押さえようとするように手をあげたのに、私はその手を振り切るように一気に告げてしまっていた。
「あなたを、好き」
彼の目がちょっと見張られて困ったようにすぐ伏せられた。
「夕姫。あのね…」
断りの言葉を聞きたくなかった。だって、そんな事わかりきっていたから。大学二年で事業を起こして、着実に成功の道を歩んでいる彼学内でもいつも人の目を惹きつけていた彼。ちょっと近寄りがたく、ちょっと冷たく、意外に優しく、ものすごく頭がよすぎると評判だったけど、誰からも好かれていた。いつも女性から追っかけられていた。そのうえ男からも追っかけられていた。
同じ教授のゼミで、しばしば顔を合わせて、時々声を掛けてもらって、たまに教授と一緒に食事をご一緒させてもらって…そして、車で送ってもらった。私には、過ぎた思い出。
困ったような微笑。困ったような溜息。ちょっと視線を巡らせて…迷うように、それからそっとかがんで耳元に顔を寄せて来た。
「僕が、SMが好きでもいいの?」
世界がひっくり返った瞬間だった。
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その視線に、気がついて振り返った彼が優しく微笑んだ。
「やあ。教授のとこへ来たの?」
「うん。今日ようやく卒論受け取ってもらった」
「よく、頑張ったね。教授も褒めていたよ」
「博人さんほど優秀じゃないからなあ」
「要領だけはね」
にっこりといつもの女殺しの微笑みを浮かべられると、胸がキュンと痛んだ。…もう、会えなくなる。卒業したら、もう会うこともなくなる。そう思うとたまらなく辛かった。心の中にずっと秘めてきた憧れのような恋。ただ、振り向いてもらっただけで、笑いかけてもらっただけで、その日一日が幸せに過ごせる。そんな夢のような淡い恋。
だけど、4年越しで大事にしていた私の気持ち。絶対に告げることなんか無いはずと思っていたのに。もう、静かな茶色の瞳の中に自分の姿が映ることはないんだと思うと、どうしても黙っていられなかった。
「…博人さん、私…私ね…」
彼の目がちょっと細くなり、何かを察したのだろう。留めようとするように、押さえようとするように手をあげたのに、私はその手を振り切るように一気に告げてしまっていた。
「あなたを、好き」
彼の目がちょっと見張られて困ったようにすぐ伏せられた。
「夕姫。あのね…」
断りの言葉を聞きたくなかった。だって、そんな事わかりきっていたから。大学二年で事業を起こして、着実に成功の道を歩んでいる彼学内でもいつも人の目を惹きつけていた彼。ちょっと近寄りがたく、ちょっと冷たく、意外に優しく、ものすごく頭がよすぎると評判だったけど、誰からも好かれていた。いつも女性から追っかけられていた。そのうえ男からも追っかけられていた。
同じ教授のゼミで、しばしば顔を合わせて、時々声を掛けてもらって、たまに教授と一緒に食事をご一緒させてもらって…そして、車で送ってもらった。私には、過ぎた思い出。
困ったような微笑。困ったような溜息。ちょっと視線を巡らせて…迷うように、それからそっとかがんで耳元に顔を寄せて来た。
「僕が、SMが好きでもいいの?」
世界がひっくり返った瞬間だった。
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それからの展開は驚くほど早かった。私がびっくりして何も反応できないでいるうちに、あっという間に彼の車に押し込められた。頭の中で「SM」の文字がぐるぐる廻っているうちに、大きなマンションの地下駐車場に付いてしまい、彼にキッパリと車から降ろされて、エレベータへ…そしていつの間にかマンションの廊下を、腕をつかまれて早足で歩く彼を必死で追いかけていた。
指紋認証のコード板に、彼が叩きつけるように手のひらを当てて、ドアのロックが開くと、そのまま強引に引きずり込まれた。東京の街が目の前に広がるとんでもない広いマンション。
「こ、これ?博人さんのマンション?」
「違う。事業を起こすときに出資してもらった母方の叔父のマンションさ。会社の住所が必要だろうってタダで貸してもらった。
「あ、ちょっと待って…私…」
キスができるくらいすぐ間近に、博人さんの綺麗な顔があって、私の心臓はすでに倍以上に跳ね上がっていた。すでに手を握られ、座ったソファに膝で乗り上げられてるからまったく逃げようにも逃げられない。私の目を覗き込んでいた博人さんは、ふっと目を和ませるとゆっくりと起ちあがって後ろに下がった。
「コーヒーでも入れるよ」
そう言ってダイニングらしき方へ消えていく。
そうして、目の前にミルクの入ったコーヒーを置かれるまで、私はぼんやりと部屋を見ていた。さっきまで、大学の埃っぽい廊下で、切ない恋の終わりを嘆いていたはずなのに、今は彼のとんでもなく広くて豪華なマンションのソファに座っている。何が起きたのかさっぱり分からない。いや、分かってはいるんだけど頭が考えるのを拒否しているみたいだった。
「どうぞ」
機械的にマグカップを取り上げて、両手で包むようにしてくちびるをつけるとほんのり甘かった。ミルクたっぷり、お砂糖二杯。自分のコーヒーの好みを博人さんが知っていることに驚いて、ちょっと嬉しくて、顔がにやけた。斜め向かいのソファに座った彼は、肘掛にひじを付いて、首をかしげるようにして私を見ていた。
「怖がらないんだね」
「え?」
なにを言われたんだろう?そう思って、まじまじと彼の顔を見つめているうちにようやくさっきの言葉がよみがえってきた。SM。SMって言ったわよね。SMって、あれ?縛って、鞭でビシバシ打つやつ?私が目をぱちぱちさせているのを見て、博人さんは微笑んだ。あ、だめ、女殺しの微笑み…。
「SMって…まさか…Mの方じゃないですよね」
「夕姫は、僕が虐められて喜ぶように見えるの?」
想像してみる。博人さんが縛られて鞭で打たれているところ…。あまりにも絵になるような気がして怖かったけど、それで彼が喜ぶとは思えなかった。
「違うみたい」
「じゃ、反対は想像できる?」
「反対?」
「夕姫が虐められる側」
そうか。Mじゃないって事は、Sな訳で、当然お相手を縛って鞭打つ側なのよね。ウウウ。似合う。似合いすぎる。頭の中の想像は爆走していた。ついさっきまで私の中でセピア色のあこがれの王子様だった彼が、悪魔に変身しても、驚くほど似合っているのにびっくりした。でも、その博人さんに虐められている私。だめ……まっしろ。
私は首を横に振った。
「だめ。想像できない」
彼は、困ったように溜息を付いた。
「そうだと、思っていたんだ。だから、気が付いていたけど、気付かない振りしていた」
「え?」
「君の気持ち」
知っていた?私が恋していることを?博人さんが好きな事を?
あたりまえか。すごく聡い人だもの。ミーハーなファンが憧れるように見つめまくっていて気持ちが筒抜けにならないはずはないんだ。そうだよね。そりゃ、その場の勢いだったのは認めるけど、なんか清水の舞台から飛び降りるほどの決心だったのに、知っていたなんて…あまりにもショックだった。私は、自分の気持ちの中にぐるぐると迷い込み始めていた。
「夕姫?」
どこか遠くで名前を呼ばれている。
「夕姫」
「え?」
何か。言った?ダメ。私の頭。全然動いていないみたい。
「自分の事ばかり考えてないで、少しは同情して欲しいんだけど」
「え?なにを」
「君を好きな僕の気持ちを」
ダブルノックアウト!私は目を見開いたまま固まって、真っ白な頭はどうやったら元に戻るのか分からなかった。
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指紋認証のコード板に、彼が叩きつけるように手のひらを当てて、ドアのロックが開くと、そのまま強引に引きずり込まれた。東京の街が目の前に広がるとんでもない広いマンション。
「こ、これ?博人さんのマンション?」
「違う。事業を起こすときに出資してもらった母方の叔父のマンションさ。会社の住所が必要だろうってタダで貸してもらった。
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キスができるくらいすぐ間近に、博人さんの綺麗な顔があって、私の心臓はすでに倍以上に跳ね上がっていた。すでに手を握られ、座ったソファに膝で乗り上げられてるからまったく逃げようにも逃げられない。私の目を覗き込んでいた博人さんは、ふっと目を和ませるとゆっくりと起ちあがって後ろに下がった。
「コーヒーでも入れるよ」
そう言ってダイニングらしき方へ消えていく。
そうして、目の前にミルクの入ったコーヒーを置かれるまで、私はぼんやりと部屋を見ていた。さっきまで、大学の埃っぽい廊下で、切ない恋の終わりを嘆いていたはずなのに、今は彼のとんでもなく広くて豪華なマンションのソファに座っている。何が起きたのかさっぱり分からない。いや、分かってはいるんだけど頭が考えるのを拒否しているみたいだった。
「どうぞ」
機械的にマグカップを取り上げて、両手で包むようにしてくちびるをつけるとほんのり甘かった。ミルクたっぷり、お砂糖二杯。自分のコーヒーの好みを博人さんが知っていることに驚いて、ちょっと嬉しくて、顔がにやけた。斜め向かいのソファに座った彼は、肘掛にひじを付いて、首をかしげるようにして私を見ていた。
「怖がらないんだね」
「え?」
なにを言われたんだろう?そう思って、まじまじと彼の顔を見つめているうちにようやくさっきの言葉がよみがえってきた。SM。SMって言ったわよね。SMって、あれ?縛って、鞭でビシバシ打つやつ?私が目をぱちぱちさせているのを見て、博人さんは微笑んだ。あ、だめ、女殺しの微笑み…。
「SMって…まさか…Mの方じゃないですよね」
「夕姫は、僕が虐められて喜ぶように見えるの?」
想像してみる。博人さんが縛られて鞭で打たれているところ…。あまりにも絵になるような気がして怖かったけど、それで彼が喜ぶとは思えなかった。
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「じゃ、反対は想像できる?」
「反対?」
「夕姫が虐められる側」
そうか。Mじゃないって事は、Sな訳で、当然お相手を縛って鞭打つ側なのよね。ウウウ。似合う。似合いすぎる。頭の中の想像は爆走していた。ついさっきまで私の中でセピア色のあこがれの王子様だった彼が、悪魔に変身しても、驚くほど似合っているのにびっくりした。でも、その博人さんに虐められている私。だめ……まっしろ。
私は首を横に振った。
「だめ。想像できない」
彼は、困ったように溜息を付いた。
「そうだと、思っていたんだ。だから、気が付いていたけど、気付かない振りしていた」
「え?」
「君の気持ち」
知っていた?私が恋していることを?博人さんが好きな事を?
あたりまえか。すごく聡い人だもの。ミーハーなファンが憧れるように見つめまくっていて気持ちが筒抜けにならないはずはないんだ。そうだよね。そりゃ、その場の勢いだったのは認めるけど、なんか清水の舞台から飛び降りるほどの決心だったのに、知っていたなんて…あまりにもショックだった。私は、自分の気持ちの中にぐるぐると迷い込み始めていた。
「夕姫?」
どこか遠くで名前を呼ばれている。
「夕姫」
「え?」
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「自分の事ばかり考えてないで、少しは同情して欲しいんだけど」
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好き?好きって好き?私の事を好きだって事?それって…なに?私は博人さんを好きで、博人さんは私を好きって事?そんなことってある?
博人さんは立ち上がると、妙にゆっくりと動いてきて、私の座っているソファの肘掛に腰を降ろして、背もたれに腕を掛けた
「夕姫は、気が付いてなかったの?」
そんな、そんなことって…。
「気が付いているはずないじゃない!」
思わず立ち上がっていた。
「だって、博人さんって、ポーカーフェイスなんだもん。そんなことって。そんなことって。ちっとも分からなかった。これっぽっちも想像もしてなかった」
私が、真っ赤な顔をして抗議したものだから、博人さんは困ったような顔をして、そっと私の腕を引っ張った。
「分かった。分かったから座って」
ぱふん。ふかふかの上等のソファは私が思いっきり飛び乗っても、まったく動じないでその重みを受け止めた。えーと、でも、何か考えないといけないことがあったのよね。私は額に手を当てて考える。えーと、えーと……。
…SM。
私は、改めてまじまじと博人さんの顔を見つめた。
「SMが好き……」
博人さんはちょっとまぶしそうな、困ったような、照れたような顔をして微笑んだ。
SMが好きって言った……。
「SMが好きってことは…女の人を縛ったりぶったり、蝋燭なんて垂らしちゃったり…するってことなの」
「そうだよ」
まったく動じない平静な返事に聞こえた。でも、その時、ソファの背もたれにかけられた彼の手のがかすかに震えているのに気が付いた。ポーカーフェイスの博人さん。好きって告げるだけで、四年もかかった私。清水の舞台から飛び降りるような気持ちだった。じゃあ、自分はSMが好きって言うのにはどれほどの勇気が必要なんだろう。
同情。同情って言った?
「どうして私が博人さんを同情するの?」
「どんなに好きでも、夕姫を自分のものに出来ない。夕姫はノーマルだから」
その瞬間、私は初めて博人さんを見つけた。四年間見つめていたセピア色の王子様じゃなくって、素のままの私だけの博人さん。
「でも、私、博人さんが好き」
ちょっと、躊躇って博人さんは私の横に滑り降りてきた。
「夕姫」
私は、ビクッと後ろに下がった。どうしてなのか分からない。反射的な動きだった。
「大丈夫。いくら、SMが好きだって、いきなり押し倒したりしないから」
「じゃ、じゃ、どうして、あんなに強引にここまで連れて来たの?」
「だって、こんな話、廊下じゃ話せない」
そのとおりだった。
「それに、同じ事を考えていた」
同じ事?
「このまま会えなくなるなんて、耐えられない」
ビンゴ!その通り。私は博人さんの胸の中に飛び込んだ。
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私は、博人さんと付き合い始めた。大学を卒業して、そこそこの会社の普通のOLとしてのスタートを切った私にとって、博人さんは相変わらず夢の中の王子様だった。
私は、彼が「SMが好き」と、言ったことを忘れ始めていた。あまりにも具体性に欠けていたせいなのか。それとも、直視するのを怖れていたせいだろうか。違う。彼が私に見せ始めた彼の世界が、あまりにも日常からかけ離れ手いて、私はふわふわと夢の中に迷い込んでいったのだ。
会社の帰りに待ち合わせをして、夕食を食べる。買い物をする。映画に行く。休日には、ドライブをして、手をつないで歩く。その一つ一つが本当に夢の中の世界だった。
彼と一緒に歩くようになって気が付いた。博人さんは一般人では無かったのだ。まず、一緒に夕食を食べようという話になると、連れて行かれるのはネクタイをしないでは入れないようなレストランなのだった。その後にちょっと飲もうかと言われると案内されるのはホテルのバー。
買い物に行けば、タグを見るのが怖いようなお店に連れて行かれ、店員が後から付いてくる。支払いは全部カード。映画を見れば、指定席。いや、そういうお金の問題じゃない。
どんな豪華なレストランに行っても、相手が普通の男なら、現実の世界だった。でも、そこに座っているのが博人さんというだけで、私はすっかり舞い上がってしまいお姫様になったような気になってしまう。差し出される手に、廻される腕に、囁かれる声にうっとりとなって、異次元の世界へ迷い込んでしまうのだった。
後ろから囲い込むように抱きすくめられる。耳元で優しく呟かれる。
「愛しているよ」
頬に触れてくるくちびる。さらりとさりげなく通り過ぎていく乾いたくちびる。
強く引き寄せられ、抱き締められる。甘いキス。吐息。抱擁。幸せな事以外、何も考えられない。
でも、自分の狭いアパートに帰ってくると、ふと、不安になった。パソコンのスイッチを入れて検索する。
「SM」そこに現れるのは、縛られた女性の姿。欲望がぶつけられる対象としての…。私は首を振る。あまりにも今、別れてきた相手にそぐわない…。想像できなかった。セックスを知らないって訳じゃない。初体験は高校生の時だったし、その時の彼とは大学に入るまで続いた。大学に入ってからも付き合った相手はいた。結局は二、三度で別れてしまったけど…。
でも、あまりにも乏しい私の体験からは、何も推し量れなかった。
「部屋に来る?」
夕食の後に誘われた。付き合い始めて三ヶ月。断る理由はなにもなかった。うなずいて微笑み、彼の車に乗った。駐車場に車が滑りこんだ時、エンジンを切ってしばらく彼はハンドルを指で叩いていた。
「どうしたの?」
薄暗い駐車場でじっと見つめられた。
「迷っている」
私は見つめ返した彼の目が光ったような気がして。
「何を…?」
さ夕姫くようなかすれた声しか出なかった。
「君が欲しい」
ハンドルを押しやるようにして、そのままゆっくりと助手席にいる私の上に手を伸ばしてくる。右手をドアに付いて、左手できようにシートベルトを外す。そして、動けない私の上に覆いかぶさってくる。
「欲しくて、気が狂いそうだ」
ほとんどくちびるがふれそうなくらいに近づいて囁かれる。彼の吐息がくちびるにかかる。
「限界」
私は目を瞑ってそのくちびるが押し付けられるのを待った。
見ないようにして。気がつかないふりをして、私は彼のものになった。
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こんなセックスは初めてだった。ベッドの中での彼は、一から十まで、ゆっくりと、念入りに、丁寧に紳士的に振舞った。気が狂いそうなのは私の方だった。
好きで好きで好きでたまらない人に見られ、さわられ、愛される。その事がどれほどの羞恥と喜びをもたらすのか、知らなかった。
何をされても感じる。体が反応する。ピンク色の渦に巻き込まれ何が何だか分からなくなった。
気が付くと彼の腕の中・・・幸せで、幸せで、泣いている私がいた。彼は、気が付くと、黙ってその涙を拭ってくれて、もう一度覆いかぶさってきてキスをくれた。
うとうととまどろんでいるうちに、ベッドがきしんで彼が起き上がる気配を感じて、目を開けた。
「休んでおいで。」
ぽんぽんと、頭を撫でられて、また、枕に顔を埋めた。彼はベッドルームに隣接する風呂場に消えていった。シャワーの出る音がする。ぼんやりと枕もとのオレンジ色の光に照らされる、今まで彼が寝ていた枕を見つめた。手を伸ばして抱き締める。かすかに彼の香りがする。日向のにおい。
「好き」
トゥルルルルル。電話の音に私ははっとなった。枕もとの電話が鳴っている。急いで、その横の時計を覗き込むと午前2時だった。電話がかかってくるような時間じゃない。二回ほどの呼び出し音の後、すぐに電話は留守録に切り替わった。男の子の声?私はほっとして、また、枕の上に頭を戻す。そして、そのまま全身が冷たくなって固まってしまった。
「・・・・だから、明日の夜会ってもらえませんか?もう、一ヶ月も会ってない。辛いんだ。あなたの鞭が恋しい。恋人が出来たのは知ってます。でも、それとこれとは別でしょう?思いっきり責めて欲しい。・・・・連絡を待っています。」
プツンと、電話が切れてツーツーツー三回鳴った後静かになった。オレンジ色の留守録を示すランプが点滅する。
私は、動けなかった。心臓が咽喉元まで競りあがってきたような気がした。引き寄せた枕を抱き締めて顔を押し付けた。どうしよう。どうしよう。どうしよう。
部屋に石鹸の匂いが漂ったと思ったら、闇の中を博人さんがほとんど音を立てないで近づいてきて、まっすぐ電話のところへやってくると、点滅しているランプの明かりをスイッチを押しなおして切った。
私は、じっと息を殺して、動かないで、枕に顔を押し付け続けた。
ベッドが沈んで博人さんが座ったのが分かった。
「聞いたね。」
聞かなかった。聞かなかった。私は、知らない。聞いてない。だめだ。だめ。・・・知らないときには、戻れない。
私は、勢いよく跳ね起きた。すぐ側に博人さんの体があった。ぶつかるようにしてその背中にしがみつく。博人さんは、私の体にシーツを巻きつけるようにして膝の上に抱き取った。彼の体にしがみつく。しっかりと、強く抱き締められて、ようやく私は呼吸が出来るようになった。
「男の子だった。」
しばらくの沈黙の後、聞かなければよかったと思う答えが返ってきた。
「相手は三人。男一人に女二人。男の子は20。女性の方は・・・」
私は思わず博人さんの口を押さえていた。目が合うとまったく表情のない彼の顔の瞳だけが泣いていた。
「どうして・・・?愛してるって言ってくれたのに。」
「愛してる。」
博人さんに抱き締められて、私は彼の首筋に濡れた頬を押し付けた。
愛してる。愛してる。愛してる。・・・でも、それとこれとは別でしょう?
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博人さんの手が誰かほかの人に触れるなんて、その腕が誰かほかの人を抱くなんて。耐えられない。つい、この間までのまったく手の届かない人だと思っていた時とは違う。やきもち。嫉妬。私の中で説明できないような気持ちがわいて来た。
「私…私、ちゃんと博人さんの物になる。博人さんが望むことをするから。だから…だから…」
「夕姫には無理だ」
「どうして!?いや。そんなの嫌!」
博人さんは取り乱してしがみつく私の両手首を握って、そっと引き離した。私はびっくりして、取りすがるのをやめた。博人さんは、困ったような顔をして私を見ていた。
「夕姫。君はあまりにもノーマルすぎる。無理をしたら壊れてしまう」
「そんな事。そんな事」
「夕姫。泣かないで。彼らとは別れる。ちゃんとするから心配しないで」
そんなこと。私は嫌々と、ダダをこねるように首を振っていた。「SMが好き」って、言っていた博人さん。黙っていることも出来たのに、告白したのはなんのためだったの?私、本当は知らないままいたかったのに。
「…私じゃダメなの?」
息を呑んだ博人さんの顔色が変わった。一瞬の間の後、ぐいっと両腕を惹かれてベッドの上に放り出された。シーツがめくれてむき出しになった胸にタオルのガウンだけ着た彼がのしかかってきた。
「嫌!」
恐ろしくて、無意識のうちに逃れようともがいた。
「聞くんだ!夕姫!」
ビクッと跳ねて動かなくなった私の上に、影になった博人さんの顔がかぶさってくる。
「僕は、変われない。今まで、いろいろやっても、どうしても変われなかった。自信が無いんだ。このまま僕の自由にさせると、僕は君を壊してしまう。それでもいいのか?」
激しい彼の言葉に私は脅えた。でも、でも、もう、彼の手を離したくない。彼の目を見つめ返す。
「…いいわ。壊して」
博人さんの目が驚愕に見開かれる。腕を握っている手に力が入る。痛い。
「壊してもいい。博人さんのものになるの」
「夕姫……」
溜息をひとつ。ゆっくりとのしかかってくる彼の熱くて重い体。その彼の首に両手を廻して必死にしがみついていた。
「夕姫。夕姫。……降参だよ。まったく、君は」
三人と別れるための期間は一ヶ月。その間は博人さんには、会わないで待っている。そして、冷静によく考える。それが、彼が私に約束したすべてだった。
翌日の夜。携帯にメールが入った。博人さんの新しい携帯の番号とメール。私は「受け取りました」と、短い返事だけを送った。
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「私…私、ちゃんと博人さんの物になる。博人さんが望むことをするから。だから…だから…」
「夕姫には無理だ」
「どうして!?いや。そんなの嫌!」
博人さんは取り乱してしがみつく私の両手首を握って、そっと引き離した。私はびっくりして、取りすがるのをやめた。博人さんは、困ったような顔をして私を見ていた。
「夕姫。君はあまりにもノーマルすぎる。無理をしたら壊れてしまう」
「そんな事。そんな事」
「夕姫。泣かないで。彼らとは別れる。ちゃんとするから心配しないで」
そんなこと。私は嫌々と、ダダをこねるように首を振っていた。「SMが好き」って、言っていた博人さん。黙っていることも出来たのに、告白したのはなんのためだったの?私、本当は知らないままいたかったのに。
「…私じゃダメなの?」
息を呑んだ博人さんの顔色が変わった。一瞬の間の後、ぐいっと両腕を惹かれてベッドの上に放り出された。シーツがめくれてむき出しになった胸にタオルのガウンだけ着た彼がのしかかってきた。
「嫌!」
恐ろしくて、無意識のうちに逃れようともがいた。
「聞くんだ!夕姫!」
ビクッと跳ねて動かなくなった私の上に、影になった博人さんの顔がかぶさってくる。
「僕は、変われない。今まで、いろいろやっても、どうしても変われなかった。自信が無いんだ。このまま僕の自由にさせると、僕は君を壊してしまう。それでもいいのか?」
激しい彼の言葉に私は脅えた。でも、でも、もう、彼の手を離したくない。彼の目を見つめ返す。
「…いいわ。壊して」
博人さんの目が驚愕に見開かれる。腕を握っている手に力が入る。痛い。
「壊してもいい。博人さんのものになるの」
「夕姫……」
溜息をひとつ。ゆっくりとのしかかってくる彼の熱くて重い体。その彼の首に両手を廻して必死にしがみついていた。
「夕姫。夕姫。……降参だよ。まったく、君は」
三人と別れるための期間は一ヶ月。その間は博人さんには、会わないで待っている。そして、冷静によく考える。それが、彼が私に約束したすべてだった。
翌日の夜。携帯にメールが入った。博人さんの新しい携帯の番号とメール。私は「受け取りました」と、短い返事だけを送った。
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一ヶ月が過ぎた。約束の日に博人さんは会社の前に車で迎えに来ていた。私は、彼に導かれるまま助手席に滑り込んだ。
「別れた」
運転席に乗った博人さんは、エンジンを掛けながらそう言った。
「三人とも、後の引き取り手も探してもらった。今後は一切会わないし、連絡もしない」
差し出された名刺を私が受け取ると、シートベルトをかけた彼はハンドルを切り、車は動き出した。
「マンションの新しい電話番号とパソコンのメールアドレスだよ。携帯電話の方は、もう知らせてあったね。以前のは、契約を解除したからもうつながらない」
私は、びっくりして彼の顔を見た。
「…引き取り手?」
「彼らとはSMのパートナーの関係だったからね。彼らはもう、新しい主人を持った」
私はなんといっていいのか分からなくて改めて名刺を見つめた。黙ったまま背もたれに体を預ける。安心と不安。後悔と喜び。どう考えていいのか解らない。この一ヶ月思い惑いながらも、毎日カレンダーとにらめっこをして、日にちを数えて過ごした。もう、彼は私のもの…そして、私は「彼の物」。
目を閉じて、息を吸い込む。彼の香り。一ヶ月ぶりの私の愛する人の香りを。
マンションが近づいてきて、なにげなく私は目を上げて建物の中にあるはずの彼の部屋を探す。ふと、何だか違和感に目を凝らしているうちに車は地下の駐車場へ吸い込まれていった。
「まず、夕食にしよう。テイクアウトのイタリア料理が来ている。準備するよ」
彼が上着を脱ぎながら台所の方へ行ったのを確認して急いで部屋を見廻した。リビングとキッチンと寝室しか知らない。大体の見当をつけてドアを開けて廊下を横切りもう一度ドアを開けた。
「あ」
何も無いがらんどうの空間。カーテンさえも外されて、黒光りするフローリングがむき出しになっていた。広い部屋。二十畳はある。壁一面に広がる透明な大きな窓。反対の壁は鏡張りになっていた。部屋を横切って窓から下を覗いた。
そうか、こんなに大きな窓があるのに、カーテンが下がってないから中が素透しに見えて違和感がしたんだわ。でも、どうして…?なぜ、こんなに何一つ無いのかしら。
気配を感じて振り返ると閉めたつもりのドアに彼が寄りかかって立っていた。
「…まったく、君は。油断も隙もないな」
思わず赤くなっていた。
「ごめんなさい。外から見て何だか変だったから……」
「無理を言って全部、引き取ってもらったんだ。ここは叔父のマンションだったから…」
「叔父様…?」
ゆっくりと部屋の中に入ってくる。
「うん。専用のベッドや調教用の椅子や道具がね。内装もプレイルームらしくなっていたし」
私はびっくりして、彼に向き直っていた。
「嫌だろうと思って。全部新しく設え直すつもりなんだ」
…叔父様のマンションに調教用のプレイルーム?
「そう。叔父も同じ性癖なんだ。だから、すぐにばれた」
頬に手を掛けてあお向けられた。
「誰にも見つからないよう、一生懸命隠していたのにね。同類にはすぐに分かるらしい」
腰に手を廻して引き寄せられる。
「それから、いろいろ手ほどきを受けて、この部屋をあてがわれた。パートナーも叔父の関係で知り合った。今回も叔父に頼んで、新しい主人を見つけてもらった。引渡しにも立ち会ってもらった」
…引渡し?彼の腕の中にすっぽり納まってしまった私の胸は、急激に高鳴ってきていた。
「いずれ君にも紹介するよ」
彼の顔が降りてくる、くちびるとくちびるが今にも重なるくらいのところで囁かれる。
「愛しているよ」
私は、耐えられなくて目を瞑った。
「もう、君一人だけだ」
くちびるがそっと押し付けられる。もう、何も考えられない。体がかあっと熱くなって、押し付けられた彼の膝が足の間に割り込んできても、何の抵抗も出来ずに彼のなすがままになった。
その日、私は何も無いがらんどうな部屋の、固い木の床の上で彼に抱かれた。
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