fc2ブログ

ずっとあなたが好きでした

ここでは、「ずっとあなたが好きでした」 に関する記事を紹介しています。


★新館・旧館・別館の構成★

1.新館、通常更新のブログ

2.別館、女性向けSMあまあまロマンス
つまりここ↑

旧館バナー
↑本館の旧コンテンツを見たい方はここに
プライベートモードです。パスワードは「すぱんきんぐ」
画像のリンク先は自己責任でお願いします




性的、暴力的な表現を含んでいます。
虚構と現実の区別のつかない方
18歳未満の方はご遠慮くださいませ。
自己責任に於いて閲覧していただきますようお願いします。

 
 二年目に入った頃、真樹は仕事が面白くなってきたからと館から出て行った。マンションを借りて東京のどこかで生活している。そして、月に一度、水曜日に私に会いに来てくれた。自然と私は、彼のいない残りの水曜日に、お金を払って、相手をしてくれる人と遊ぶようになった。
 月に一度の真樹との約束の日を決める。すると、残りの日には柚木さんが、私の相手をする男を選んで予約を入れてくれた。真樹が仕込んだ私は、結構偏ったプレイをするサディストに育ってしまっていた。まず、女王様らしくない。館に来ると一応着替えるから、黒のロングドレスにハイヒールにガーターベルトといった、いかにもそれらしいコスチュームにはなっているのだけど、相手の男性には、奴隷である事を要求しなかった。
 部屋に待っていてもらうけれど、服は会ってから脱いでもらうし、正座もさせたりしない。
 驚いた事に、これがMとしてきちんと調教を受けている男性には耐え難いものらしかった。服を脱ぎ、首輪をつけてひざまずくとスイッチが入って別人になる。その過程をすっ飛ばして、素のままで相対し、それから私の前で服を脱ぐ事になると、仕事として慣れているはずの彼らが顔を赤くした。
人間として扱われているのに、逆らう事を許されず、しかも容赦ない苦痛にさらされなければならないとなると、うまくトリップ出来ないらしいのだ。
 それでも、柚木さんがうまく算段を付けてくれて、四、五人の相手がローテンションで相手をしてくれていた。完全に苦痛系である事を考えて選んだ人間だから、多少の事は持ちこたえるだけの性癖は有している。でも、週代わりのお相手は、どうしたって、真樹の代わりでしかなかった。
 私は相手の名前もうまく覚えられなかった。柚木さんが呆れて、私のお相手の男はみんな「ゆうき」にしてしまった。自分の名前をちゃんと持っている男達だけど、私の前でだけ「ゆうき」になる。三年目に入った今、相手をしてくれる男達も、世話をしてくれる柚木さんも、もうすっかり水曜日にやってくるおなじみさんとして、自然に私を受け入れてくれていた。
 その日、真樹は、痛む程に引き伸ばされた身体を撫で上げられて悲鳴を上げた。優しく愛撫されるのは苦手な男なのだ。
「ねぇ、真樹は、恋人はいないの?」
「今…・聞かないで…・」
「じゃ、いつ聞くの?」
 意地悪く、彼の弱いところを狙って手をさまよわせる。
「瑞季…」
 うめき声しか上げられないのを知っていて、むごく責め立てる。そんな状態でも真樹は笑えるのだ。

「あうっ!」
「鞭で叩いてあげようか」
 玩びながら瞳を覗き込む。彼の瞳におびえが紛れ込む。いくら痛いのが「必要」な人間でも痛いものは痛い。苦しい事は苦しい。責められている時は、心底、恐怖するし、逃げ出したいのだ。その怯えを楽しみながら乗馬鞭の舌を使って、リングに止められて小さくなれない先っちょを思いっきりひっぱたいた。喰いしばった歯の間からうめき声をもらしながら、彼は枷を引き続ける。
「じゃあ、瑞季は…恋人がいるの?」
ビシッ!
「真樹には質問する権利はないの!」
「ああう!…・い、いない。だれも…まだ、ひとり…」
 ちょっと、びっくりして、真樹を見つめる。これだけいい男がずっと独り寝を囲っているのか。そんな事はありえない。
「嘘でしょ。ほんとの事言いなさい」
「ほんとうだよ。瑞季。そこは、もう、許して…。あう!」
 枷から外して、ふらふらしている真樹を四つんばいにしてその上に遠慮なく体重をかけて座った。真樹は、まだ鞭の痛みから立ち直れていないのか、呻き声をあげる。水割りの氷をカラカラ言わせながら聞く。
「ねぇ。月に一回で欲求不満にならないの?」
「大丈夫、その辺でつまみ食いしているから」
「危ないなぁ…。館で毎晩食い散らかしていた男が、外でうまくやれるもの?」
「うーん…、仕事が忙しくてそれどころじゃないんだよね」
「そうなんだ」
「瑞季はどうなの?恋人を作る気は無いの?」
「わからない。だって、恋した事なんかないような気がする」
 お尻の下で、くつくつ笑う真樹の身体が震える。悔しくて、思いっきりお尻を引っぱたいたけれど、派手な音の割には痛んだのは私の手だった。

「ずっとあなたが好きでした」

 胸の中にぽっと明かりが灯ったような瞬間。その事が頭の隅をよぎり、私は、眼を伏せて水割りを流し込んだ。



↓ランキングに参加しています。応援してね。☆⌒(*^∇゜)v ヴイッ

「気持ちを伝えたから何かが変わるとも思っていません」
 そこまで言われて何か変えるのも癪な気がして、事さら、視線も合わせないで知らん顔をしているつもりだけど、お互いの身体の方はちっとも同じとはいかなかった。
 仕事中の彼の動きをセンサーで拾ってしまう。すっきりとした襟足や、シャツの襟から除く首筋、腕まくりをした時の腕の動き。そんな事を見てない振りをしながらこっそりと見る。
 用があって、近づかなくてはならない時の彼の体温を味あう。何気なく身体を寄せる。押さえきれない身震いが彼の身体の中を走り抜けるのを感じると、妙に嬉しくなってしまう。
 そして、溜息。
 鉄壁のポーカーフェイスを誇っているかのように見えて、一度ばれてしまった本当の気持ちは、隠しようが無く洩れ出てきてしまうものだった。なんでもない振りをして、押し殺した振りをして、それでいて上がってくる体温。にじみ出る汗。なによりも、思いのこもった吐息。「あなだが好きだ」言えない気持ちが、色づいて洩れている吐息。辛い。辛い。辛い。と、背中に、額に、手の震えに、焦がれた気持ちが滲みでていた。
 ふうん。
 誰かに、慕われているという事実が、これほど自分を有頂天にさせるとは思いもかけなかった。私は、彼が私を欲しがっているという印を、彼の様子から拾い集めるのに夢中になった。
 彼が実に上手に自分の感情を隠していると、わざと近づいて刺激する。私がそうしている事を、彼も気づいているはずだった。けれど、お互いに意地になっているみたいに、その事に触れようとしない。ふたりだけの時間の緊張感はいやがおうにも高まっていった。
 こんな事は初めてだ。普通、好きになった人にこんな仕打ちしないだろう。ちょっとでも気に入られたくて、少しでも嫌われたくなくて。ああ。でも、そんな感情すら味わった事すら無いかもしれない。
 初めて恋した時、私はどうしたんだっけ?初めて好きになった人って?記憶は朧で、思い出せなかった。不思議だ。そうやって物思いにふけっていて、はっと気がつくと東野の視線が痛いほどに突き刺さって来る。私が何を考えているのか、知りたくて、知りたくて、気になって仕方が無いと言った目付き。そして、意識したそぶりで、無理矢理視線を引き剥がしていく。
 やがて、水曜日がやってくる。いつもどおりの定時報告。完全に表情を殺した彼の様子が内心の苦痛を露呈させてしまっていた。彼が何を考えているのかが、手に取れるほどに透けている。やきもち。嫉妬。独占欲。彼の中で嵐が吹き荒れ、胸の柔らかいところを食い破っているのが分かる。
「お車をビルの前に廻しました」
 横を向き、唇を噛み、歯を喰いしばって、そっと溜息をつく。そうよ…。私は今から男に会いに行くの。その男の体を味わいに。苦痛を味わいに。ちょっとだけ眉を寄せて、私を送り出す東野が、閉まったドアを見つめて手のひらに爪を立てて身もだえしている事が分かっていた。そして、その事が私にとって心地よい事も。



↓ランキングに参加しています。応援してね。☆⌒(*^∇゜)v ヴイッ
 次の水曜日は、真樹との約束の日だった。私は、ここのところの、東野との無言の駆け引きに、すっかりと夢中になっている自分の事を真樹に相談してみたかった。性癖が恋の邪魔をする事は、真樹が一番よく知っている。荒れていた私生活を清算し、まがりなりにも仕事をする普通の生活へ戻っていった彼の意見を聞きたかった。
 ところが、間の悪い事って必ずあるもので、ちょっとしたパーティーの招待客の設定でクレームがあって、どうしても私が顔を出さないと納まらない話になってしまった。今日の顧客は殊の外気難しいだけでなく、どうも、私をそのパーティーに引きずり出したいという思惑があるようだった。
 適当なところで切り上げられるという読みは外れ、どう頑張っても抜けられそうに無い。私は、仕方なく東野に柚木に電話するように頼んだ。クレームをつければ、私が出てくるという前例にしたくなくて、思いっきり粘って突っぱねる。
 そこは、副業と趣味同然の仕事の強みで、この顧客が気に入らなければ切り捨てるまでという私の強気の態度に、ようやく向こうが折れて帰った時には、すでにその日は終わりになろうとしていた。
 真樹はどうしたろう。あの時間なら、すでに館に来ていたはず。誰かと遊んで帰ったろうか。それとも、まだ、居残っているだろうか。
 気になって、つい、帰社するとすぐ携帯で電話していた。すぐに柚木が電話に出て、真樹は何もしないで帰ったと告げた。
「もし、ご都合がよろしければ、来週の水曜日にと言付かっておりますがいかがいたしますか?」
「ええ、お願いします。予定を調整してくださる?」
「かしこまりました。お伝えして、他の者の予定を変更しておきますので。どうぞ、お気遣い無く」
 電話を切って振り向くと、そこに東野が立っていた。固い表情をして、明日のための予定表を机の上に置く。
「そんなに……キャンセルした事が、気になるんですか?」
 東野がそこまで踏み込んできた事に、ちょっと驚いてみつめてしまった。自分でも考えて発した言葉ではなかったのだろう、思わず飛び出した言葉に失敗したというように口をすぼめた。急いで表情を取り繕って目を伏せる。
「申し訳ありません。出すぎた事でした」
「いらいらしているのね。疲れたんでしょ」
「いいえ。社長こそ、お疲れになったでしょう。車を廻しますので…」
「気持ちを伝えたから何かが変わるとも思っていません…そう言ったのは、嘘だったのかしら」
 油断しているところを思いっきり深く切り裂いた。
 彼は一瞬ひるんで、そして、切り返ししてきた。
「気がついてらっしゃるんですね。…知っていて、そして、弄ってらっしゃる」
 身体の向きを変えて一歩詰め寄ってくる。彼の中で秘書という仮面が崩れ去ったのが分かった。
「そうです。嫉妬していますよ。あなたに一番近いところにいる男に。当然でしょう。僕が望んでも得られないものをその男は手にしているんだ」
「どうして?あの時まで私にまったく気がつかせなかったくせに。あそこまで啖呵を切っといて、たった一言で随分と態度を変えたのね」
「それは……!あの時は、あなたが振り向いてくれるなんて思っていなかった。今は違う。僕の事を男だと分かっているでしょう?」
 高ぶっていく気持ちを無理に押し殺して、平静に会話をしようとしている彼を、改めてみなおしたものの、だからといって、途方にくれてしまう事態だという事には変わりなかった。自分で始めておいて収集がつかなくしてしまうのは、前回と同じだった。どうしてこう不器用なのかしら。せっかくの面白い遊びもどうやら終わりにしなくてはならないらしい。
「私があなたを男だと認識して、多少の好意を持ったからって言って、何も変わりようが無いでしょう?」
「大違いですよ。それまでは、まるで木石を相手にしているかのように、僕がそこにいるとも思っていなかった」
「だからって、水曜日のお相手に嫉妬しても仕方ないじゃないの。ただの遊び相手なんだし」
「あなたは気付いてないんですね。その男の事を口に出す時、あなたは明らかに表情が違う」
 びっくりして、自分の行動を反芻してみた。確かに真樹は普通の相手ではない。だって、彼は私の育ての親同然だったのだから。だからって、プレイの最中は誰だって同じだった。欲しいのは相手の苦痛だけ。真樹が他の人間と違うのは、プレイ以外の部分によるものが大きいのだ。
「ねえ、分かっているの?相手はMで私はS。私達は普通の交際をしているわけじゃないのよ」
「分かっています。三年間ずっとお側にいたんですから。……でも!」
 彼は、一瞬口をつぐんで、そして苦しそうに言葉をつないだ。
「……あなたは、僕を秘書として見るのをやめたでしょう?」
 気付かれている。当たり前だ。私の気持ちが変わってきている事を気付かれているのは分かっていた。でも、それがどうして起きたのかまで察しているとは思っていなかった。彼の言葉の端々に、私が自分のS性を彼に振り向け始めているのに気が付いている事が伺われて、びっくりした。彼はもう一歩近づいて来て、腕をとって私を引き寄せようとした。私は反射的に振り払った。
「あなたにできるはずないじゃないの!ただ痛めつけるだけじゃないのよ。彼らは私の足元に這いつくばって、足を舐めたり、尿を飲んだりするんだから。そんな事、まともな男性にできる訳ないじゃない」
 その瞬間、自分でも一番見たくなかった事が露になってしまった事が私をひどく動揺させた。そう、自分がSであるかぎり、普通の恋愛なんて出来やしないのだ。出来るだけ酷い言葉を叩きつけて、彼が飛びのいて離れていくのを、しっかりと確認しないと納まらなくなっていた。それなのに、東野はもう一歩近づくと、今度はしっかりと私の腕を捕らえた。
「僕の気持ちがそれだけのものだと?彼にできる事が、どうして僕には出来ないと思われるんですか」
「彼らが私の相手をするのは、私が好きだからじゃないもの。仕事だし、SMが好きなのよ。誰でもいいの」
「あなたもそうなのですか?相手があなたを好きでなくても?ただ仕事だとしても?」
「そうよ」
 つかんだ腕を引き寄せて、間近に覗き込まれる。吸い込まれそうなほどに深い相手の瞳の色に見入ってしまった。どうしてだろう。彼の反応は予想していたものとはまったく違う。東野はどうしていつも私をびっくりさせるのだろう。
「だったら、僕でもいいわけですよね」
 しまった。理詰めでやったら勝てない相手だったのに。なんて馬鹿。



↓ランキングに参加しています。応援してね。☆⌒(*^∇゜)v ヴイッ


 「待ってよ。私には分からない。だって東野は、SMしたいわけじゃないでしょう」
「あなたが好きなんです。いけませんか。辛いんだ。どうしてその男には許すのに、僕には許してくれないんです」
「許すとか許さないとか、そんな問題じゃないんだってば」
 覗き込んでくる彼の瞳の奥を明らかな苦痛の色がよぎった。罪深い私は、ぞくぞくしてしまう。この男は、なんでこんなに私をそそるんだろう。館で会う男たちとは明らかに違う何かを突きつけてくる。
「僕に抱かれるのは、そんなに嫌ですか?」
「SMの相手とは、セックスしないの」
 あ、しまった。と、思った時には、もう遅かった。彼の頭の中のコンピューターがめまぐるしく検索する音が聞こえるようだった。すべてのスケジュールがさらいだされ、あっという間に結果がはじき出された。彼の瞳が驚きと喜びに光った。
「だったら、あなたは、この三年間、誰ともセックスしていない」
 そのとおりだった。SMを覚えてから一度もセックスしてなかった。日本では、普通、女王様は、奴隷とはセックスしないものなのだ。彼の中の情報が洗い出され、吟味され、そして結論が出た時には、もうしっかりと抱きしめられていた。
「僕の事が好きなんですね」
「いや」
「今だけでいいんです。言ってください。お願いだから」
 首筋に熱い唇を押し付けて、懇願してくる。頭がぐるぐると回るような気がして、足から力が抜けていって。もうどうしようもなくて彼の身体にしがみついた。言えない。自分でも分からないのに。どうしたらいいの。忙しく体をまさぐってくる手に、耳に吹き込まれる熱い息に、無意識のうちに反応しながら、心のうちで呟く。
「お願いです。本当の事を言って」
「好き…かも」
 唇を強引に奪われた。舌が割って入ってきて絡みつく。強く荒々しい蹂躙するようなキス。ずっと押し殺してきた彼の感情が、急激に膨れ上がって何もかもを押し流して行った。
 まさか社長室のソファの上で秘書に押し倒されるなんて事は、想定外だったけど、来客用の思いっきり大きな革張りのソファに、しっかりと体重をかけて押さえつけられると、何だか抵抗するのが馬鹿馬鹿しくなってきた。
 この男の身体がいいのは知っている。自分の身体がそれに反応しているのも。しかもこんなにそそられる男なんだし、私の事を好きだと言ってくれているんだし。一生懸命自分に言い訳をして欲望に身を任せた。
 彼は、ほとんど服を脱がず、私の服もほとんど脱がせず、ろくに愛撫もしないで、最初のキスの唇を離す事もしないで、考えられる限りの最短距離で侵入してきた。入ってきた瞬間、貫かれた痛みに身体が固くなる。そのとたん、無我夢中の様子だった彼は、ぱっと顔をあげた。その彼の顔が驚愕にゆがんでいる。
「なんで……。初めてだったんですか?」
「そんなはずないじゃない」
 荒い息を必死に整えて、唾を飲み込んだ彼は、しばらくじっと私の身体の反応を確かめていた。
「……嘘だ」
 腕を突っ張って、歯をくいしばって、今までかけていた体重をかけないように苦労しながら、どうしたらいいのか分からないといった様子で顔を覗き込んでくる。
「なぜ、言ってくれなかったんです」
「違うってば。そんなはずないじゃない」
 もう、口をきく余裕も無い様子だった。あの、エレベーターの中のアクシデントから引っ張りに引っ張って、ネチネチネチネチ、毎日刺激しあってきたのだ。我慢も限界だったのだろう。思いを遂げて、中に入ってから後戻りなんて出来るものじゃない。必死に動くまいと突っ張っていた身体が、私の収縮に答えて暴走しだすのは無理もなかった。
「あ…っつ…」
 ついていく事は出来なかったけど、受け止める事だけは出来た。結構それで満足して、ぐったりと弛緩した彼の腕の中にまるくなった。一度きりになったとしても、これだけ求められれば十分満たされたような気がしていた。




↓ランキングに参加しています。応援してね。☆⌒(*^∇゜)v ヴイッ


  あきれた事に出血してしまった。そのせいで、本当に初めてじゃなくて、久しぶりだっただけだと、何度繰り返しても東野は納得しなかった。バージンで、男とふたりきりでSMなんて怖くて出来ない。
 すっかり青くなっていた東野は、根掘り葉掘り過去の事まで食い下がってきて、私を困惑させた。データーを与えてしまうと、つじつまが合わない時に余計な疑いを招いてしまいかねない。忘れたい過去の事はすっかり記憶の彼方に追いやってしまっている私としては、おぼろげな記憶を彼に言うのはごめんだった。
 とにかく初めてではなかった事は何とか納得させたものの、あまりにも性急な行為で私に痛い思いをさせたと信じ込んだ東野は、ひどく自己嫌悪に陥っている様子だった。だが、とろとろと愛撫なんかされていたら、どこかで破綻していたと思う私としては、彼の性急さに救われたのだと分かっていた。
 簡単に後始末をして、起き上がろうとしたところを、また腕を引かれて押さえ込まれた。
「東野」
 とがった声を出して見せたが、向こうも完全に開き直っている。
「離しませんよ。今、行かせたら、これきりにするつもりでしょう?」
 なんて、鋭いんだろう。ものすごく早まった事をしてしまったような気がして頭を抱えたくなった。
「セックスしたからSMしない、なんて言わせませんから」
「東野ぉ…」
 なんだか、すっかり身体中の活力を吸い取られたような錯覚に陥る。どうしたいんだか。どうしたらいいんだか。自分でも訳が分からなくって。あきらめて、彼の腕の中にもたれかかった。
「…少し考えさせて」
「嫌だ」
 だだっこのように、腕をつかんだ掌に力をこめて来る。いつもビロードのようになめらかで耳にやさしく響く彼の声がざらざらとかすれてうわずっていた。
「もう、何もなかったように振舞うなんて、耐えられない」
「だけど、だけど、しょうがないでしょう。そういうのが私は好きなんだから」
 一瞬、東野の動きが止まった。それから、抱きしめていた腕をちょっと緩めて、そこに書かれている筈の何かを探り出そうとするように、まじまじと私の顔を覗き込んで来た。
 ここで、負けちゃダメ。Sなんだから!私は、しっかりと彼の目を見返した。彼は、私の顔を見つめ、もう一度すべてのデーターをさらいなおした。(多分)そして一瞬目を閉じて、溜息をついて諦らめたかのようにうなずいた。
「分かりました」
 え?何が分かったの?なんで納得したの?彼は身体を起こすと、腕を取ってゆっくりと私の身体を支えて起き上がらせた。それから、すばやく身じまいをし、乱れていた私の服も手早く整えてくれた。そして、ソファの下に転がっていたハイヒールを拾うと、片方ずつ足を持ち上げて履かせてくれる。私がぼんやりしているうちに、立ち上がって机の上の書類を取上げ私の腕を取って立ち上がらせた。
「車を正面に廻します。家まで送りますから、明日の予定に眼を通して置いてください」
 何かを振り払うように、何かを吹っ切るように、彼がドアを開けて部屋を出て行くと、何がどうなったのかよく分からないまま、しばらく呆然としていた。それから、渡された書類をぱらぱらとめくった…。ものすごくまずい事態に突入しているという自覚が襲ってきて、めまいがした。



↓ランキングに参加しています。応援してね。☆⌒(*^∇゜)v ヴイッ
 次の水曜日の夜、真樹に会うと、私は前置きもなしに、すべての顛末をぶちまけた。ソファでセックスした事に話が及ぶと、真樹は驚いた様子で口笛を吹く。
「それはまた、すごい快挙じゃないの」
 嬉しそうに笑う真樹の頭を、衝動に任せて思いっきりはたいた。あの翌日から東野は、もとの東野に戻っていた。何もなかったかのように、衝動を押し殺してみせた。もちろん、それはあまりうまくいっていなかったけれど。とにかく、なんでもない振りをしようとしていた。
「瑞季は、こだわりすぎなんだよ。Sだから女王様にならないと、なんて、ほんとは思ってないでしょ。好きなようにしたら」
 私は、ちょっと悲しくなって、真樹の顔を見られなかった。
「それが、どういう事だか分かっているの?」
 真樹は薄く微笑むと、そっと手を伸ばしてきて、私の頭を引き寄せた。
「分かっているよ」
 そっと、髪の毛を撫でてくれる。
「結果がどうなるか。三ヶ月は水曜日を空けて待っているよ。何も連絡がなければそれで終わりだ」
「ねぇ。ほんとにそれでいいの?」
「瑞季。プレイしなくなっても、そのまま二度と会わなくても、僕は一生君のものだよ。僕が必要な時はいつでも柚木に電話して。どんな時でも、君を優先するから。何も心配しなくていいんだ」
 優しすぎる言葉に思わず涙がこぼれた。真樹はいつでも優しすぎる。この三年間、私は彼がいたから楽に生きてこられたのに。彼は私の前にひざまずくと、顎にそっと手をかけて、初めてのキスをくれた。ついばむような優しいキス。
「大丈夫だよ。彼が納得したらまた会える。会えなくても「君の欠落」が僕にとっては支えになるさ」
 その夜、私たちは最後になるかもしれないプレイをした。私は彼の身体を吊って、バラ鞭で彼の身体をまんべんなく打ち叩いた。強くなく、手加減をしながら、それでいて長く、長く…・痛みがどうやっても耐えられなくなるほどひどくなるまで身体中にみみずばれを作って、呻いている彼の背中に、痕になるほど強く一本鞭をひとつ打ち込んで、彼を吊るしたまま、部屋を出た。そして、私は後始末を柚木に任せて館を後にした。

 真樹に背中を押された事で、私は、東野との関係を見つめなおさざるをえなかった。こだわらないで好きにやれって事は、好きな時に彼に抱かれて、好きな時はじゃれて、好きな時に痛めつけてもいいって事よね。それって、信じられないくらい鬼畜な行動よね。
 机の上に肘をついて、部屋の中を、書類を持って移動する彼を眼で追った。視線に気がついて眼を上げた東野が、もの問いたげにみつめかえしてくる。私は昨日、いつものように彼を置き去りにして館へ行った。別れ際の彼の表情は、撃ち殺されるのを待っている獣のようだった。そのせいで、彼の態度は、今日は妙に硬い。ちょっとやつれた様子で、昨日は眠れなかったのがありありだった。
 そんな自分勝手な事をして、普通の男は納得するんだろうか。真樹のようにぶっ飛んだ人生を送っている男に保障されても、安心できない。でも、それ以外の生き方なんてできそうにもなかった。じゃあ、どうすればいいんだろう。とりあえず、プレイしてみなくちゃ分からないわよね。東野は、頭で考えているだけでやれると思っているみたいだけど、ほんとにその場面になれば、現実を知って、とっとと逃げ出すかもしれない。そうなったら、すごく便利で有能な秘書を失う事になる事になる。それは、困る。
「社長?」
 あんまりじっと見つめたんで、とうとう無い振りができなくなったらしい。息だけの声で、問いかけてくる。
「ねえ。もし、上手くいかなくても、仕事やめないって約束して」
 あまりに短絡的な物言いに、自分で言ってしまってから赤面してしまっていた。彼は、ぱたぱたとまばたきをしてからこくこくとうなずいた。
「約束します」
「じゃあ、今日、ホテルを押さえて。SMが出来るラブホテル。吊りが出来る設備があるところにして」
 東野が思わず息を呑んだのが分かった。私は、出来るだけ何気なく視線をそらせた。
「分かりました」
 東野の声は冷え冷えとして硬かった。
「社長、申し付けられておりましたホテルの手配が整いました」
 社員と打ち合わせをしていた場所に入ってきた東野が、後ろからかがみこむようにしてはっきりとした声で告げたのは、終業30分前の事だった。




↓ランキングに参加しています。応援してね。☆⌒(*^∇゜)v ヴイッ
 
 東野が手配したホテルは、よくも素人がこんなところ見つけ出した、と、思わず感心してしまうようなホテルだった。確かにラブホテルなんだけど、白い壁が真新しくて清潔感がただよっている。白木の柱と梁がさりげなく、黒い金具もまがまがしくチャーミングだ。
 しかも、吊り上げるためのチェーンブロックが付いていた。非力な女にはありがたい設備だった。今まで至れり尽くせりの設備の館を常用していただけに、不安だったけど、これならなんとかなるだろう。
 一通りの手回り品の詰まったキャリーバックを東野にガラガラ引かせて、部屋に入るとまずシャワーを浴びる事にした。バックの中から黒い絹のローブを取り出すと、東野を置き去りにしてバスルームに消えた。シャワーを浴びている間に考え直す事も可能だ。いや、できれば考えなおして逃げ出して欲しい。けれど、戻ってくると、東野は置いていった時のままの姿勢で、座って待っていた。
 私はソファにわざと「どさっ」と音をたてて座った。足を投げ出して組む。もちろん下着をつけてないからむき出しの素足を絹のロープが滑り落ちていくと、きわどい足の線が露になる。手を組んでうつむいていた東野の目が釘付けになったのが分かる。たった一回。それも、あまりのも性急なセックスが、彼の欲望と焦燥を、いっそうに煽り立てただけの結果になってしまった事は、この一週間の彼の様子で分かっていた。
「脱いで」
 さあ、どうする?ほとんどケンカを売っているような気分だった。昨日の真樹とのプレイがまだ気持ちにも身体にも残っている。彼は、一瞬だけ目を泳がせたが、すぐに真剣な表情で見つめ返してきた。立ち上がると二歩椅子から離れ、ネクタイを緩め、引き抜く。そして、座っていた椅子にそのネクタイを放り投げた。次に靴を脱ぎ、靴下を脱ぐ。それから、上着。まったく逡巡しない手つきでシャツのボタンをひとつずつ外していく。
 前が開くと袖のボタンに移る。シャツをネクタイの上に脱ぎ捨てると。上半身裸になっていた。顔が赤くなってきて、彼が羞恥をこらえているのが分かった。だが、ためらったのは一瞬で、ベルトの金具を外してズボンを蹴り脱いだ。かがんで拾うと、それもネクタイの上に投げる。
 すでに、全裸だった。下着を着けてこなかったらしい。一度だけ目が合い。さっと逸らされる。唇がかすかに震えているのが分かった。下から上までじろじろとねめつけた。見られる羞恥に、何度か深く息を吸って、どうにかして落ち着こうとしてはいるものの、身体が熱くなって震えが押さえられなくなっているのが分かった。
「後ろを向いて」
 ギュッと眼をつぶって、くるりと身体を廻す。落ち着きなく手が居場所を探して握りしめられる。彼の羞恥に当てられて、頬が火照ってくるのが分かる。初体験の相手とプレイするのは、私にとっても初めてだという事に気が付いた。立ち上がると後ろから近づいた。
 左手をお尻に押し付けて、右手を前に廻す。彼の身体がビクッと跳ねた。前に廻した手で胸から下腹へと撫で回す。
「あ……」
 溜息のような喘ぎがもれる。勃ち上って来ているモノはわざとさけて太腿へと手を滑らした。背中を押して、ベッドに座らせる。ゆっくりと身体を返して元のソファに戻って座った。テーブルに準備されていた水割りを一口飲む。
「オナニーして見せて」
 彼の頬が言われた言葉にショックを受けて凍りつくのを、見つめた。逡巡と羞恥を押さえつけようとして、自意識と格闘する彼の苦悶を舌なめずりして味わう。ひとつ、ふたつ大きく息を付くと、ベッドに浅く腰を掛けて、眼を閉じてそろそろと手を這わし始めた。
 人前でオナニーするなんて、普通の経験じゃない。そう簡単に思い通りにいかないのが常だった。視線を意識すると、快感は途切れ、快感を追いすぎると、羞恥が強まる。
 彼が、必死に私の存在を意識の外に追い出そうとして、眼をギュッと閉じて自分の中の感覚だけを追いかけようと努力しているのを黙って見つめた。だんだんと高ぶってきて息が速くなる。
「東野って、そんな恥ずかしい事が平気で出来る男だったのね」
 一瞬で彼の意識が墜落したのが分かった。あっという間に素に戻り、萎えていく。やめていいといわれない以上、もう一度やり直しだった。
 二度目のトライはさっきよりも恥ずかしく、さっきよりもみじめさがつのる。東野の喘ぎはさっきよりも切羽詰って、苦しそうだった。必死に自分をあおっているのが、分かる。今度は上手くいった。もう少しでいきそうだ。
「ストップ!」
 びくっ!と身体が大きく揺れる。いく瞬間にとめられた経験の無い彼の身体が、混乱しながらも必死に踏みとどまったのが分かった。身体中に力をこめて、息をつめて、シーツに爪を食い込ませる。
「あぅ…」
 打ち上げられた魚のように、空気を求めて口が開いた。ふいごのように息を付きながら、身体がもう少しで得られたはずの快感を逃した苦痛に引きつる。私は立ち上がって彼に近づいた。見上げてくる瞳はすっかり欲望に曇っている。中断させられた快感を求めて身もだえする。髪をつかんで顔を引き上げると、深くくちづけた。彼の口の中を舌でなめずりまわす。突き放すように手を離すと。また、ソファに戻る。
「もう一度よ」
 歯を喰いしばって屈辱を必死に押さえつけている。いつもより暗い瞳が、一瞬私をねめつけるように閃いたが、すぐにさっと逸らされた。今度はさっきのようなおずおずとした動きからではなかった。
 挑発するように、袋にも手を這わせて、ねっとりと絡みつかせる。すっかり先走りで濡れそぼっているのでぴちゃぴちゃと淫猥な音がする。突き上げてくる羞恥を赤い顔を左右に振って振り払う。逝かせて貰えないのは承知の上での三度目のトライ。今度は、待ち構えていたので逝きそうになる瞬間を自分で捉えていた。
「ストップ!」
「く…っ」
 身体中がいく事を求めて捻れる。握りこんだ手を意志の力で引き剥がし、シーツにめりこむほどに身体を突っ張らせて耐えた。
「あ…あ…」
 懇願しそうになる口を必死で閉じているのが分かる。初めての彼にはいかにも辛いはずだった。喘ぎが収まり、ようやく顔を上げられるようになるまで、長い時間が掛かった。
「もう一度よ」
 絶望の眼で見返してきても、東野は逆らわなかった。今度はあっという間に坂を駆け上がる。でも、いかせるつもりはなかった。今は、彼もそれは知っている。腹筋に力を込めて、崖から滑り落ちまいとしがみつく。濡れた手で顔を覆い、びくびくと身体を引きつらせた。四度目の欲求も、彼は押さえつけて見せた。




↓ランキングに参加しています。応援してね。☆⌒(*^∇゜)v ヴイッ

 その後彼を手枷につないで吊った。両手を拡げてバーの両端につなぐ吊り。足が床に届きそうで届かないくらいの高さ。吊りは静かだけれど本人にとってはすごく辛いのは知っていた。私は新しい水割りを作ってソファに戻った。
 大きかった氷がからからと音を立てなくなるくらいに溶けた頃には、彼は吊られた体を脂汗でてらてらと光らせていた。どこを見ているか分からない視線は、時々私の姿を求めてさまよう。眉は寄せられ、青い顔は苦痛にゆがむ。足は、つくはずのない床を求めて探る。息が浅くなり、速くなる。吹き出す汗が身体を伝わり足先から床にたれる。ぽたん。ぽたん。と、滴のたれる音の間隔がだんだんと早くなってくる。眼を閉じた彼は殉教者のようだった。
 ひょいと足を伸ばして腰の辺りを押す。吊られた身体が力を加えられた事でゆらゆらと揺れる。
「く……」
 筋肉が一瞬で浮き上がり、苦痛を減らそうと緊張する。体力が無い方が早く終わりになる。彼は、なまじきちんと鍛えた身体を持っているせいで、身体が勝手に逆らおうとして苦痛をいや増しているのだった。
『こんなに辛そうなのに、いつ、根をあげるのだろう』と、不思議に思い。これは、自分から言い出す気はないなと気が付いた。
 プレイに慣れてくれば、どの辺りが自分の限界か分かってくるし、どの辺でギブアップすれば身体を痛めつけずにすむか見極めも付く。館で私の相手をした男達は商売だから、身体を壊してしまっては元も子もないのだ。
 真樹はそうじゃなかったけど、それでも、自分の楽しみのためにやっているのだから、懇願するのもその楽しみの一つなのだった。
 東野は違う。苦痛を喜びに変える術を知らない彼は、ただ闇雲に耐えている。しかも「出来ない」と言ったが最後、私が放り出しかねないのを恐怖しているのだった。
 チェーンブロックのスイッチを切り替え、ガラガラとバーを降ろして彼の足を床につけた。これ以上粘ると肩の関節が外れてしまう。
「う…」
 足が付いた瞬間、安堵と、ゆるんだ筋肉がきしむ痛みに東野の身体が震えた。腕の痺れが取れて、ずきずきと筋肉が痛み出すその頃合まで黙って待った。それから、その背中にバラ鞭をゾロリと這わせる。何が起きようとしているのか気が付いた東野の身体が、緊張に引きつった。
「ああ……」
 溜息が洩れる。持ちこたえられるかちょっと危ぶんだが、思い切って振り下ろした。ビシッ!と皮の鳴る音が響き、踏みとどまれなかった彼の身体が揺れた。ちょっと間を置いてもう一度。
「あうっ!」
 しっかりとした声の悲鳴が上がって安堵した。もう一度鞭を背中に這わせてから、強く叩きつけると、バーをもっと降ろして手枷を外した。
 片方の手枷を外す時には意識も朦朧としているようだったのに、もう片方の手枷が外れた瞬間に抱きすくめられた。どこにこんな体力が残っていたんだろうと、びっくりするほど強い力で、腕の中に囲い込まれる。
「合格しました?」
「プレイの最中にそんな事しないの!」
 胸が喜びにきゅうんと絞り込まれた事を悟られたくなくて、事さら蓮っ葉に肩をはたいて見せた。静かでせつない色の瞳に出会ってうろたえる。
「こんなに我慢したのに、誉めてくれないんですか?」
「いいかげんにして。そんなべたべたした身体で触らないで。ちゃんとお風呂に入ってきて」
「お風呂に入ってくれば抱きしめてもいいんですね」
 笑いの滲んだ声に驚いた。ここまで手加減無しに痛めつけられて、それでも笑える男なんて、貴重品だった。
「いいわ。お風呂から上がったら、セックスしましょう」
 東野の不思議そうな目が右から左へくるりと移動する。
「SMの相手とはセックスしないんじゃなかったんですか?」
「東野は、SMの相手だけでいいの?」
 笑っていた瞳が急に真剣になった。
「いいえ。もちろん全部いただきたいです」
 そして、私の身体を捉えていた腕をゆっくりとほどくと、確認するようにもう一度顔を覗き込んでから、くるりと背中を向け、シャワーに消えた。




↓ランキングに参加しています。応援してね。☆⌒(*^∇゜)v ヴイッ