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夏が近づいてきています。ちょっとウェストを細くして、むだ毛を薄くして、匂いもシャットアウト!そして、楽しいえっちを・・・。と、いうので
ラブコスメティックでいっぱいお買い物をしてしまいました。だって、サンプルのローションを使ったら、すごーくいやらしい風景でよかったんだもん。それなのに、彼は今中期出張中。ゴールデンウィークに一回戻ってくるみたいなので、それまではなにもかもお預けです。
博人君と遊んでいる間に、次のストーリーを考えようと目論んでいたのに、まったくうまくいきませんでした。再び見切り発車!しかも、今回は女王様。大丈夫なんでしょうか。
実のところ私、自分がSなのかMなのか、まだ、みきわめがついておりません。だから、Sの立場で考えたり、Mの立場でしゃべったりしています。そしてSの時に好きなプレイとMのときに好きなプレイはまったくの別物。人は簡単にSだとかMだとか割り切れないんじゃないかなぁ・・・・と、思っています。(結論を引き延ばしているだけという意見も(笑))両方やれるという方も結構いらっしゃいますし・・・、相手によって切り替わる方も、反対に絶対にチェンジできない確固たる性癖をお持ちの方もいらっしゃいます。
ところで、さやかの登場人物は常にノーマルだから・・・という会話をしていますが、このノーマルというのはどういう意味でしょうか。さやかの見るところSMが好きで実際にSMをしていても、無くても生きていける方がやっぱりいるんです。
やめようと思ってやめられる人はノーマル。どうしたって無きゃ生きていけない人はアブノーマル。SMはある意味「趣味趣向の世界」という面もあるので、ノーマルの方でも楽しめる部分もあると思います。でも、これはさやか独自の物語の中の意見だから、鵜呑みにしないように。
ずっとあなたが好きでした

博人君と遊んでいる間に、次のストーリーを考えようと目論んでいたのに、まったくうまくいきませんでした。再び見切り発車!しかも、今回は女王様。大丈夫なんでしょうか。
実のところ私、自分がSなのかMなのか、まだ、みきわめがついておりません。だから、Sの立場で考えたり、Mの立場でしゃべったりしています。そしてSの時に好きなプレイとMのときに好きなプレイはまったくの別物。人は簡単にSだとかMだとか割り切れないんじゃないかなぁ・・・・と、思っています。(結論を引き延ばしているだけという意見も(笑))両方やれるという方も結構いらっしゃいますし・・・、相手によって切り替わる方も、反対に絶対にチェンジできない確固たる性癖をお持ちの方もいらっしゃいます。
ところで、さやかの登場人物は常にノーマルだから・・・という会話をしていますが、このノーマルというのはどういう意味でしょうか。さやかの見るところSMが好きで実際にSMをしていても、無くても生きていける方がやっぱりいるんです。
やめようと思ってやめられる人はノーマル。どうしたって無きゃ生きていけない人はアブノーマル。SMはある意味「趣味趣向の世界」という面もあるので、ノーマルの方でも楽しめる部分もあると思います。でも、これはさやか独自の物語の中の意見だから、鵜呑みにしないように。


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それは、会社が入っているビルの、エレベーターが故障した時に起きた。朝の出社時で、エレベーターの中は結構混雑していた。急に足元がかしいだと思うと、ガタンと揺れて止まってしまった。電気が一瞬消え、非常灯がついたものの薄暗い。
箱の中に閉じ込められた人間のかすかな叫び声と不安なつぶやき…すぐに動くだろうという期待と押し殺した恐怖の中、私達は30分近くもちょっと斜めにかしいだ四角い床の上にじっと立っているしかなかった。
最初に激しく揺れた瞬間、私は新しいハイヒールと考え事のせいで、まったく無防備に前につんのめってしまった。目の前に立っていたのは、三年前から付いてくれている直属の秘書、東野和希…今年で二十七になる彼は、経営者がよだれを流して欲しがる恐ろしい記憶力の持ち主だ。
パソコンのデーターベースを持ち歩いているのと同じなだけに、便利な事この上なかった。おとなしそうな見かけによらず、結構身体にはしっかりとした筋肉が付いている。それは、今、初めて確認した。着やせするタイプなのか、普段のスーツの上からはすっきりとした若者らしい格好の良さだけが目立っていたので、まったく気が付かなかった。よろめいた身体をあっさりと両腕で抱きとめられて、腕にも胸にもきちんと鍛えられた筋肉が付いている事に気が付いた。なかなかの抱き心地のよさに、ここは遠慮なくおいしい思いをさせてもらおうと、さりげなく彼の胸に身体を預ける。
「社長、大丈夫ですか?」
心配そうに囁いてくる。頭の中でペロッと舌を出して、大丈夫と低く答えた。エレベーターに取り付けられた外部マイクから、警備員らしき職員の問い合わせの声が入ってくる。一番操作盤の近くにいた男性が答え、すぐに修理をさせるのでそのまま待っていて欲しいという要請が続く。
やれやれ仕方ない、という雰囲気が流れたが、何せ狭い箱の中に見知らぬ人間がひしめき合っているのだ。みな落ち着かない様子でせわしなく足を踏みかえる事で不快感、焦燥感を押さえつけている様子だった。
思いがけない、時間の余裕に、今朝、一番にしないといけない事、それから今日一日の予定を頭の中で総浚いする。決定事項と考慮すべき事態の寄り分けに忙しく頭を回転させていると、右の腰辺りになにやらさっきまで無かった固いものが当たる気配がした。
無意識のうちに、なんだろうと太腿を押し付けてみてから、はたと自分のおかれている状況に思い当たった。のんきに秘書の身体に、自分の身体を押し付けて、感触を楽しんでいる真最中だったのだ。こっちが心地よいって事は、相手もその感触を味わっているわけで、この腰に出現したモノの正体は、その結果に他ならない。思わず顔をあげて、当の本人をまともに見つめてしまった。
赤い顔をさっと背けた彼の様子から、本人も相当困惑しているのが見て取れた。うーん、これはちょっとセクハラも同然じゃない?と、気がついたが、あまりにもおいしいシチエーションに誘惑をこらえきれず、確認するかのように相手の足の間を狙って太腿を割り込ませる。思わず息を飲んで固くなっている彼が必死に平静を装い、呼吸を殺しているのは分かるが、ぴったりと密着しているせいで伝わってくる心臓の音がだんだん速まってくるのが手に取るようだった。こらえ切れなかったのか、溜息を漏らしてみじろぎした時には、身体を抱きとめた際に腰に廻された腕はかすかに熱を帯びて震えている。
一言も言わず、そぶりも見せず、お互いの身体が感じている事を探り合う。周囲の人間に気づかれるのを怖れて、身体を固くしている彼の太腿の辺りに手のひらを這わせた。ビクッと身体が揺れる。彼の唇が震えながら何か言おうとしているのが頭の上に感じられるが、実際には音は出なかった。
身体に廻されていた手のひらが、ぎゅっと握りこまれる気配。相当追い込まれている様子に思わず嬉しくなって身体を摺り寄せた。すると、耳元に彼の唇が降りてきて、溜息のようなかすかな喘ぎ声が吹き込まれた。ぞくっ、として総毛だった事にびっくりした。今まで一度もそんな目で見た事が無かっただけに、彼にちょっと触れられただけで、自分が感じている事に驚いた。慌てて、身体を離そうとすると、握りこまれていたはずの手のひらに引き止められる。うーん……どうしよう……でも、ここまで来て、抵抗しても仕方が無いような気もする。まあいいかと、無責任に考えて彼の身体に体重を預けた。
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箱の中に閉じ込められた人間のかすかな叫び声と不安なつぶやき…すぐに動くだろうという期待と押し殺した恐怖の中、私達は30分近くもちょっと斜めにかしいだ四角い床の上にじっと立っているしかなかった。
最初に激しく揺れた瞬間、私は新しいハイヒールと考え事のせいで、まったく無防備に前につんのめってしまった。目の前に立っていたのは、三年前から付いてくれている直属の秘書、東野和希…今年で二十七になる彼は、経営者がよだれを流して欲しがる恐ろしい記憶力の持ち主だ。
パソコンのデーターベースを持ち歩いているのと同じなだけに、便利な事この上なかった。おとなしそうな見かけによらず、結構身体にはしっかりとした筋肉が付いている。それは、今、初めて確認した。着やせするタイプなのか、普段のスーツの上からはすっきりとした若者らしい格好の良さだけが目立っていたので、まったく気が付かなかった。よろめいた身体をあっさりと両腕で抱きとめられて、腕にも胸にもきちんと鍛えられた筋肉が付いている事に気が付いた。なかなかの抱き心地のよさに、ここは遠慮なくおいしい思いをさせてもらおうと、さりげなく彼の胸に身体を預ける。
「社長、大丈夫ですか?」
心配そうに囁いてくる。頭の中でペロッと舌を出して、大丈夫と低く答えた。エレベーターに取り付けられた外部マイクから、警備員らしき職員の問い合わせの声が入ってくる。一番操作盤の近くにいた男性が答え、すぐに修理をさせるのでそのまま待っていて欲しいという要請が続く。
やれやれ仕方ない、という雰囲気が流れたが、何せ狭い箱の中に見知らぬ人間がひしめき合っているのだ。みな落ち着かない様子でせわしなく足を踏みかえる事で不快感、焦燥感を押さえつけている様子だった。
思いがけない、時間の余裕に、今朝、一番にしないといけない事、それから今日一日の予定を頭の中で総浚いする。決定事項と考慮すべき事態の寄り分けに忙しく頭を回転させていると、右の腰辺りになにやらさっきまで無かった固いものが当たる気配がした。
無意識のうちに、なんだろうと太腿を押し付けてみてから、はたと自分のおかれている状況に思い当たった。のんきに秘書の身体に、自分の身体を押し付けて、感触を楽しんでいる真最中だったのだ。こっちが心地よいって事は、相手もその感触を味わっているわけで、この腰に出現したモノの正体は、その結果に他ならない。思わず顔をあげて、当の本人をまともに見つめてしまった。
赤い顔をさっと背けた彼の様子から、本人も相当困惑しているのが見て取れた。うーん、これはちょっとセクハラも同然じゃない?と、気がついたが、あまりにもおいしいシチエーションに誘惑をこらえきれず、確認するかのように相手の足の間を狙って太腿を割り込ませる。思わず息を飲んで固くなっている彼が必死に平静を装い、呼吸を殺しているのは分かるが、ぴったりと密着しているせいで伝わってくる心臓の音がだんだん速まってくるのが手に取るようだった。こらえ切れなかったのか、溜息を漏らしてみじろぎした時には、身体を抱きとめた際に腰に廻された腕はかすかに熱を帯びて震えている。
一言も言わず、そぶりも見せず、お互いの身体が感じている事を探り合う。周囲の人間に気づかれるのを怖れて、身体を固くしている彼の太腿の辺りに手のひらを這わせた。ビクッと身体が揺れる。彼の唇が震えながら何か言おうとしているのが頭の上に感じられるが、実際には音は出なかった。
身体に廻されていた手のひらが、ぎゅっと握りこまれる気配。相当追い込まれている様子に思わず嬉しくなって身体を摺り寄せた。すると、耳元に彼の唇が降りてきて、溜息のようなかすかな喘ぎ声が吹き込まれた。ぞくっ、として総毛だった事にびっくりした。今まで一度もそんな目で見た事が無かっただけに、彼にちょっと触れられただけで、自分が感じている事に驚いた。慌てて、身体を離そうとすると、握りこまれていたはずの手のひらに引き止められる。うーん……どうしよう……でも、ここまで来て、抵抗しても仕方が無いような気もする。まあいいかと、無責任に考えて彼の身体に体重を預けた。
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何もせず、寄り添っているだけの30分が過ぎ、がたんという揺れとともに、エレベーターが動き出した。薄暗くなっていた照明も、元通りに明るくなり、ほっとした周囲の人間のざわつきとともに、腰に廻されていた彼の手が名残惜しげに離れていく。まあ、当然といえば当然。
ドアが開くと、入り口に近い人間から外に吐き出されていった。やれやれ、と向きを変えて、外を見ると心配そうな2人の社員の顔が見えた。5人ばかりの小さな会社だもの。全員がここにいたら、業務は成り立っていない。
「社長!」
「大丈夫よ。河野君は、もう出発した?」
「はい、エレベーターが動くのを待っていたいと言っていたのですが、時間が迫っておりましたので……」
「結構よ。みんなも仕事に戻って。東野、今日の予定を……」
「午前中は、決済を待っている書類がみっつあります。それから、昨日の三菱商事との会議の報告を…」
私の名前は、高月瑞季。三十二歳。ちっちゃな会社の社長業をしている。もともとは、親が残してくれた財産を転がすために始めた。株をあっちにやったり、こっちにやったりしているだけの、何も産み出さない会社。それがいつのまにか、親の残した人脈に助けられて大きくなった。今でも本業は、株ころがしが中心だけど、顔の広さに任せて、パーティーや個人のイベントを企画する副業を行うようになった。どっちにしても、社員を食べさせるのがメインなのか、お金を廻すのが目的なのか訳の分からない趣味のような会社になってしまっている。
エレベーターの中でのささやかな楽しみはもうすっかり頭の外へ消え去っていた。だから、うかつにも社長室に入った時には、後ろから付いてきているはずの秘書の動きなんかまったく気にしていなかった。
ところが、ドアが閉まったとたんに性急に後ろから伸びてきた腕に抱きこまれてしまった。びっくりしている間に、しっかり抱きしめられたと思うと、向きを変えられ壁に押し付けられていた。熱く濡れた唇が貪るようにキスを求めてくる。いや、それはまずいだろう…と、頭の中で忙しく考える。
相手は秘書なのだ。一日中一緒にいて仕事をする相手。あおりすぎた自分の自業自得とはいえ、こんな展開は予想していなかった。彼の唇が首筋に押し付けられる。あまりにも強い欲求に振り回されて、止めようがなくなっている様子だった。
「東野。やめなさい」
こんな所で事に及ぶなんてごめんだったから、殊更冷たく拒絶して見せた。
肩のところに顔を埋めていた彼の身体が一瞬固くなって、それから呻き声とも取れる押し殺した溜息をついた後に弛緩していく。ゆっくりと身体を起こして苦しげな瞳で私の目を覗き込んだと思うと、顔を歪めてくるりと背を向けた。右手を壁に付いて、息を整えようと悪戦苦闘している
若い者をからかうんじゃないって事よね。ついついあおった責任はこっちにあるし、男の子の生理を無視した行動だった事は確かだった。
「大丈夫?」
出来るだけ上司らしい冷静な声を出そうとしたつもりだけど、及第点には達していなかった。一拍置いて、振り向いた彼の前髪はすっかり乱れ、眼は欲望に曇っている。
「すいません…」
「気にしないで。あおったのは私なんだから」
さっと、きびすを返して中央の机を回り込む。まったく何も無かったように。そうする事が一番この場を収める方法のような気がして、今日一番の書類を取り上げる。ああぁ。まったく。朝から、部下を苛めるんじゃなかった。
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ドアが開くと、入り口に近い人間から外に吐き出されていった。やれやれ、と向きを変えて、外を見ると心配そうな2人の社員の顔が見えた。5人ばかりの小さな会社だもの。全員がここにいたら、業務は成り立っていない。
「社長!」
「大丈夫よ。河野君は、もう出発した?」
「はい、エレベーターが動くのを待っていたいと言っていたのですが、時間が迫っておりましたので……」
「結構よ。みんなも仕事に戻って。東野、今日の予定を……」
「午前中は、決済を待っている書類がみっつあります。それから、昨日の三菱商事との会議の報告を…」
私の名前は、高月瑞季。三十二歳。ちっちゃな会社の社長業をしている。もともとは、親が残してくれた財産を転がすために始めた。株をあっちにやったり、こっちにやったりしているだけの、何も産み出さない会社。それがいつのまにか、親の残した人脈に助けられて大きくなった。今でも本業は、株ころがしが中心だけど、顔の広さに任せて、パーティーや個人のイベントを企画する副業を行うようになった。どっちにしても、社員を食べさせるのがメインなのか、お金を廻すのが目的なのか訳の分からない趣味のような会社になってしまっている。
エレベーターの中でのささやかな楽しみはもうすっかり頭の外へ消え去っていた。だから、うかつにも社長室に入った時には、後ろから付いてきているはずの秘書の動きなんかまったく気にしていなかった。
ところが、ドアが閉まったとたんに性急に後ろから伸びてきた腕に抱きこまれてしまった。びっくりしている間に、しっかり抱きしめられたと思うと、向きを変えられ壁に押し付けられていた。熱く濡れた唇が貪るようにキスを求めてくる。いや、それはまずいだろう…と、頭の中で忙しく考える。
相手は秘書なのだ。一日中一緒にいて仕事をする相手。あおりすぎた自分の自業自得とはいえ、こんな展開は予想していなかった。彼の唇が首筋に押し付けられる。あまりにも強い欲求に振り回されて、止めようがなくなっている様子だった。
「東野。やめなさい」
こんな所で事に及ぶなんてごめんだったから、殊更冷たく拒絶して見せた。
肩のところに顔を埋めていた彼の身体が一瞬固くなって、それから呻き声とも取れる押し殺した溜息をついた後に弛緩していく。ゆっくりと身体を起こして苦しげな瞳で私の目を覗き込んだと思うと、顔を歪めてくるりと背を向けた。右手を壁に付いて、息を整えようと悪戦苦闘している
若い者をからかうんじゃないって事よね。ついついあおった責任はこっちにあるし、男の子の生理を無視した行動だった事は確かだった。
「大丈夫?」
出来るだけ上司らしい冷静な声を出そうとしたつもりだけど、及第点には達していなかった。一拍置いて、振り向いた彼の前髪はすっかり乱れ、眼は欲望に曇っている。
「すいません…」
「気にしないで。あおったのは私なんだから」
さっと、きびすを返して中央の机を回り込む。まったく何も無かったように。そうする事が一番この場を収める方法のような気がして、今日一番の書類を取り上げる。ああぁ。まったく。朝から、部下を苛めるんじゃなかった。
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一日の仕事が終って、退社する時間になったけれど、株式の数字が気になって、確認のためにネットの上で検討していた、東野が部屋に入ってきて、机の上に明日の予定表を置いた。
「ありがとう。ご苦労様」
いつもはこのまま退社していくのが常だったから、顔も上げずに挨拶した。ところが、退出する気配が無い。何気なく振り仰いで彼の顔を見つめてしまった。ちょっと頬を赤くして、困ったように眉を寄せてこっちを見ている。
まったく流行におもねる気配も無いシンプルなダークなスーツにホワイトシャツ。素のままで染めていない黒髪を、ちょっと前髪をかき上げたような自然な髪型にしている。改めてみると、整った顔立ちですらりとした背丈なんだから、美青年なんだった。
「社長、お話が…」
思い余ってという彼の様子に、すっかり忘れていた朝のシーンが蘇ってきた。女の子と遊び歩いているというふうでもないのに、結構キスもうまかった。思い出しただけでちょっと熱くなってしまう。
「なあに?」
パソコンの画面を次々と閉じて、何気なく椅子を廻して立ち上がる。机の上の予定表を取り上げてめくりながら、先をうながす。
「今朝の事なんですが…」
まずい!まずいわ。まったく、直属部下なんかにじゃれたのは本当に失敗だった。日頃、ほとんど無駄口も聞かず、淡々と仕事をこなす有能な部下の意外な一面にはしゃいだ自分が呪わしい。
「決して、戯れに仕掛けたわけではないんです」
え?一瞬、聞いてはいけない言葉を聞いてしまった事に、本能の警報機がランプを点滅させる。すぐに彼の口を封じさせて、退出させないとものすごくまずい事態に足を突っ込む事になると気がついて、急いで顔を上げたが、もう間に合わなかった。
「ずっと、あなたが好きでした」
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「ありがとう。ご苦労様」
いつもはこのまま退社していくのが常だったから、顔も上げずに挨拶した。ところが、退出する気配が無い。何気なく振り仰いで彼の顔を見つめてしまった。ちょっと頬を赤くして、困ったように眉を寄せてこっちを見ている。
まったく流行におもねる気配も無いシンプルなダークなスーツにホワイトシャツ。素のままで染めていない黒髪を、ちょっと前髪をかき上げたような自然な髪型にしている。改めてみると、整った顔立ちですらりとした背丈なんだから、美青年なんだった。
「社長、お話が…」
思い余ってという彼の様子に、すっかり忘れていた朝のシーンが蘇ってきた。女の子と遊び歩いているというふうでもないのに、結構キスもうまかった。思い出しただけでちょっと熱くなってしまう。
「なあに?」
パソコンの画面を次々と閉じて、何気なく椅子を廻して立ち上がる。机の上の予定表を取り上げてめくりながら、先をうながす。
「今朝の事なんですが…」
まずい!まずいわ。まったく、直属部下なんかにじゃれたのは本当に失敗だった。日頃、ほとんど無駄口も聞かず、淡々と仕事をこなす有能な部下の意外な一面にはしゃいだ自分が呪わしい。
「決して、戯れに仕掛けたわけではないんです」
え?一瞬、聞いてはいけない言葉を聞いてしまった事に、本能の警報機がランプを点滅させる。すぐに彼の口を封じさせて、退出させないとものすごくまずい事態に足を突っ込む事になると気がついて、急いで顔を上げたが、もう間に合わなかった。
「ずっと、あなたが好きでした」
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ぽかんと口を空けて、相手の顔を見てしまった。真剣な彼の瞳にぶつかって、思いもかけずに頭に血が昇る。小さなパニックがポンと弾けて、すっかりうろたえる。
「ねぇ。あなた、私が水曜日にどこに行くか知っているでしょう?」
「存じております。代わりに予約を入れた事もありますから」
「じゃあ。じゃあ。私がSだって事も分かっているでしょう!?」
毎週水曜日、私は入会にきちんと紹介の必要な会員制のSMクラブに通ってプレイしている。そう、予約を入れてあったのに急に用事が出来て、キャンセルの手配をしてもらったりして、あらかたみんな彼には筒抜けになっていた。普段一緒に仕事をしていて、その言動から彼はノーマルだって思い込んでいるから、今朝の今朝まで相手をまったく『性愛の対象としての異性』とみなしていなかった。
「ええ。分かっています。ですから、今まであなたには知られないようにふるまってきました。気持ちを伝えたから何かが変わるとも思っていません。ただ、今朝の事がその場の成り行きのキスだと思われるのだけは、耐えられなかったので申し上げました」
驚愕に椅子にどさっと座り込んでしまった。三年間、私の私生活のスケジュールを全部知られていて、はっきり言って誰よりも長い時間を一緒に過ごしていたのに、彼が私に好意を寄せていたなんて、これっぽっちも気がつかなかった。こんな世界に身を置いていて、相手の顔色を読んで過ごしているのに。この男は私にまったく気づかせない、鉄壁のポーカーフェイスを貫き通していたらしい。
「私が好き?」
まったく計算が出来なくなって無防備に聞き返すと、彼の周囲に張り巡らせてあったぴりぴりとした防御の気配がしゅしゅしゅしゅと音を立てるかのように縮んでいくのが分かった。心底から辛そうな表情が水底から持ち上がってくる。
「ええ。好きです」
どれくらいの時間、頭を抱えていたんだろう。遠慮がちな声に我に帰ると、東野は、心底困ったような顔をして目の前に立っている。私は、急に魅力的に見えるようになった部下と机を挟んで向き合っていた。
「……社長?お車を正面に廻させますか?」
ぱちぱちと瞬きをすると、世界がようやくハッキリしてきた。一度、男と認識してしまったものを、後戻りなどできそうにない。そう思って改めてみると、非常に好みのタイプなのははっきりしているのだった。ひとつ溜息をついて頭を振りながら、これは、手ごわい相手に捕まったかもと思いながらうなずいた。
「お願い」
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「ねぇ。あなた、私が水曜日にどこに行くか知っているでしょう?」
「存じております。代わりに予約を入れた事もありますから」
「じゃあ。じゃあ。私がSだって事も分かっているでしょう!?」
毎週水曜日、私は入会にきちんと紹介の必要な会員制のSMクラブに通ってプレイしている。そう、予約を入れてあったのに急に用事が出来て、キャンセルの手配をしてもらったりして、あらかたみんな彼には筒抜けになっていた。普段一緒に仕事をしていて、その言動から彼はノーマルだって思い込んでいるから、今朝の今朝まで相手をまったく『性愛の対象としての異性』とみなしていなかった。
「ええ。分かっています。ですから、今まであなたには知られないようにふるまってきました。気持ちを伝えたから何かが変わるとも思っていません。ただ、今朝の事がその場の成り行きのキスだと思われるのだけは、耐えられなかったので申し上げました」
驚愕に椅子にどさっと座り込んでしまった。三年間、私の私生活のスケジュールを全部知られていて、はっきり言って誰よりも長い時間を一緒に過ごしていたのに、彼が私に好意を寄せていたなんて、これっぽっちも気がつかなかった。こんな世界に身を置いていて、相手の顔色を読んで過ごしているのに。この男は私にまったく気づかせない、鉄壁のポーカーフェイスを貫き通していたらしい。
「私が好き?」
まったく計算が出来なくなって無防備に聞き返すと、彼の周囲に張り巡らせてあったぴりぴりとした防御の気配がしゅしゅしゅしゅと音を立てるかのように縮んでいくのが分かった。心底から辛そうな表情が水底から持ち上がってくる。
「ええ。好きです」
どれくらいの時間、頭を抱えていたんだろう。遠慮がちな声に我に帰ると、東野は、心底困ったような顔をして目の前に立っている。私は、急に魅力的に見えるようになった部下と机を挟んで向き合っていた。
「……社長?お車を正面に廻させますか?」
ぱちぱちと瞬きをすると、世界がようやくハッキリしてきた。一度、男と認識してしまったものを、後戻りなどできそうにない。そう思って改めてみると、非常に好みのタイプなのははっきりしているのだった。ひとつ溜息をついて頭を振りながら、これは、手ごわい相手に捕まったかもと思いながらうなずいた。
「お願い」
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私はいつからSMに興味を持つようになったんだろう?はっきりと覚えていないほどの昔から、ちょっとしたテレビの映像や小説のワンシーンに胸をドキドキさせている自分をみつけてしまっていた。縛られた手足や苦痛にひそめられる眉に身体が熱く反応する。
背徳とうしろめたさにときめきながら、こっそりと読みふけった危ない小説。大人になって、何人もの男性に交際を申し込まれたり、場合によっては際どいところまで行ったりしたのに、どうにも納得できなくて逡巡してしまう。そんな日々を重ねているうちに、自分が苦痛というものにこだわっている事に気がついた。
その頃両親が思いがけない事故で亡くなって、一人で生きていくようになった気軽さも手伝って、父の知り合いだった財界では密やかな噂になっていたある男に相談した。名前を高原弓人といった。手広く事業をやっていて、うなるほど財産を持っているその男は、ただただ自分の趣味のためだけに、秘密の会員制SMクラブを持っているという噂だったからだ。
小さなパーティーの暗い柱の影で、初めて私がその話を打ち明けた時、父が生きていた頃からの顔見知りだった彼は、吸っているタバコの銘柄を聞かれたほどにも反応を示さなかった。いいだろう。とあっさりとうべなって、その席からすぐに携帯で電話を入れると、そのままその場所へ自分の車で連れて行ってくれた。
それは、こんな場所に…と、驚くほどごく普通の都心の中心地にあった。周囲は高い塀がはりめぐらされていて外からはまったく中が伺われないように出来ている。
塀の中は木々がうっそうと森のように茂り、その屋敷がすごく古いものである事を感じさせた。車を乗り付けると自動で門が開き、そしてまた閉じる。そのまま車で玄関に横付けできるようにレンガの道が続いていた。タイルと大理石で出来たおちついた洋館の大きな扉の玄関を入ると、ホテルのようなエントランスが続いていた。
どこからかともなく柚木と名乗る、タキシードをきちんと着込んだ物静かなマネージャーが足音も立てずに現れた。
「真樹はいるか?」
「はい、二階のくちなしの間に控えております」
車の中で彼に説明を受けたところによると、このクラブは基本的に、SMを好む男女がホテル代わりに使える施設なのだという事だった。専属の調教師のような立場の人間が一人いて、頼めば縛り方や施設の使い方を教えてくれる。
それに、単独でパートナーがいない私のような人間のために、お金で相手をしてくれる人間も二十人ほど登録されているらしい。営業しているクラブとは違うので、すべて予約が必要で、当然急にやってきてもマネージャーしかいないという事も、あるのだった。
だが、特にプレイをするわけでもなく、一人の時間を過ごすためにやってくる人間も多くいるので、サロンで偶然行き会った相手と会話を楽しむもよし、そのまま二階の個室に連れ立って入るのもよし。時にはメンバーがパーティーを開いたり、行き場のない人間を泊めたりと、とにかくいろんな用途に使われているらしい。館の中のすべての事柄は、この柚木というマネージャーが引き受けていた。
私を連れてきた男が言うには、真樹という青年は、彼が偶然に出席していた秘密のパーティーのような場所で拾ったらしい。
「行く場所もなくすさんだ生活をしているように思えたので拾った」
苦笑しながら言われると、高原というこの男はいったいどういう生活をしているのかと、不審な気がして来た。
「あなたの飼い猫なんでしょう?」
「いや、違う。まだ、飼い主は見つかってないんだ。本人が一人の相手に飼われたくないと言っているから…」
今は、この館に住んでいて、家付き猫のように扱われているという話だった。猫だから、気が向かないと誰の相手もしない。気が向くと、誰にでも足にまとわりつく。そういう立場にあるらしい。それでも呼ばれれば、控えているくらいだから高原のことは、家主としてたてているのだろう。
案内された部屋でその青年は待っていた。猫という表現が驚くほどにぴったりの澄んだアーモンド型の瞳がガラスのように透けている。くるくると勝手に跳ね回る髪の毛は、栗色でやわらかい。しなやかな身体に小首をかしげるようなしぐさ……。ちょっと開いたふっくらとした待ち受けているような唇。白い絹のシャツにスリムな黒いパンツ。銀の鎖というシンプルな出で立ちで窓際にたたずんでいた彼は、まだ小娘でしかなかった私の目をまっすぐに見返してきた。
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背徳とうしろめたさにときめきながら、こっそりと読みふけった危ない小説。大人になって、何人もの男性に交際を申し込まれたり、場合によっては際どいところまで行ったりしたのに、どうにも納得できなくて逡巡してしまう。そんな日々を重ねているうちに、自分が苦痛というものにこだわっている事に気がついた。
その頃両親が思いがけない事故で亡くなって、一人で生きていくようになった気軽さも手伝って、父の知り合いだった財界では密やかな噂になっていたある男に相談した。名前を高原弓人といった。手広く事業をやっていて、うなるほど財産を持っているその男は、ただただ自分の趣味のためだけに、秘密の会員制SMクラブを持っているという噂だったからだ。
小さなパーティーの暗い柱の影で、初めて私がその話を打ち明けた時、父が生きていた頃からの顔見知りだった彼は、吸っているタバコの銘柄を聞かれたほどにも反応を示さなかった。いいだろう。とあっさりとうべなって、その席からすぐに携帯で電話を入れると、そのままその場所へ自分の車で連れて行ってくれた。
それは、こんな場所に…と、驚くほどごく普通の都心の中心地にあった。周囲は高い塀がはりめぐらされていて外からはまったく中が伺われないように出来ている。
塀の中は木々がうっそうと森のように茂り、その屋敷がすごく古いものである事を感じさせた。車を乗り付けると自動で門が開き、そしてまた閉じる。そのまま車で玄関に横付けできるようにレンガの道が続いていた。タイルと大理石で出来たおちついた洋館の大きな扉の玄関を入ると、ホテルのようなエントランスが続いていた。
どこからかともなく柚木と名乗る、タキシードをきちんと着込んだ物静かなマネージャーが足音も立てずに現れた。
「真樹はいるか?」
「はい、二階のくちなしの間に控えております」
車の中で彼に説明を受けたところによると、このクラブは基本的に、SMを好む男女がホテル代わりに使える施設なのだという事だった。専属の調教師のような立場の人間が一人いて、頼めば縛り方や施設の使い方を教えてくれる。
それに、単独でパートナーがいない私のような人間のために、お金で相手をしてくれる人間も二十人ほど登録されているらしい。営業しているクラブとは違うので、すべて予約が必要で、当然急にやってきてもマネージャーしかいないという事も、あるのだった。
だが、特にプレイをするわけでもなく、一人の時間を過ごすためにやってくる人間も多くいるので、サロンで偶然行き会った相手と会話を楽しむもよし、そのまま二階の個室に連れ立って入るのもよし。時にはメンバーがパーティーを開いたり、行き場のない人間を泊めたりと、とにかくいろんな用途に使われているらしい。館の中のすべての事柄は、この柚木というマネージャーが引き受けていた。
私を連れてきた男が言うには、真樹という青年は、彼が偶然に出席していた秘密のパーティーのような場所で拾ったらしい。
「行く場所もなくすさんだ生活をしているように思えたので拾った」
苦笑しながら言われると、高原というこの男はいったいどういう生活をしているのかと、不審な気がして来た。
「あなたの飼い猫なんでしょう?」
「いや、違う。まだ、飼い主は見つかってないんだ。本人が一人の相手に飼われたくないと言っているから…」
今は、この館に住んでいて、家付き猫のように扱われているという話だった。猫だから、気が向かないと誰の相手もしない。気が向くと、誰にでも足にまとわりつく。そういう立場にあるらしい。それでも呼ばれれば、控えているくらいだから高原のことは、家主としてたてているのだろう。
案内された部屋でその青年は待っていた。猫という表現が驚くほどにぴったりの澄んだアーモンド型の瞳がガラスのように透けている。くるくると勝手に跳ね回る髪の毛は、栗色でやわらかい。しなやかな身体に小首をかしげるようなしぐさ……。ちょっと開いたふっくらとした待ち受けているような唇。白い絹のシャツにスリムな黒いパンツ。銀の鎖というシンプルな出で立ちで窓際にたたずんでいた彼は、まだ小娘でしかなかった私の目をまっすぐに見返してきた。
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高原は私を彼に紹介もせず、その辺りに座るように促すと、テーブルの上に用意されていたグラスに水割りを作って渡してくれた。
その青年も何も話さず言葉に出さず、それこそ猫のような足取りで近づいてきたと思うと、背伸びして高原の唇にくちづけた。オカエリナサイの軽いキス。
その次の瞬間に、高原は青年の手首をつかんで捻りあげていた。呆然としている間に、白いシャツが乱暴にボタンを飛ばしながら引きはがれる。どこから出てきたのか分からないほどすばやく麻縄が手首に巻かれたと思うと、驚きに瞬きをしている間に後手に縛りあげられていた。胸にその縄を廻す。傍目にもはっきりと分かるほど、ぎりぎりと引き絞られて手首が背中に引き上げられた。
高原は息も乱していない。そのまま青年をテーブルの上に引き倒し、手を廻してズボンのボタンを外したと思うと引き下げた。真っ白な細い身体が現れる。下着を着けていなかったので、もう素裸だった。
私は、あまりの急展開な事態にびっくりしてしまって、声も出なかった。新たな縄が出てくると、青年はうつぶせのまま、テーブルの足に廻された縄でテーブルに留めつけられてしまう。足首にも縄が巻かれると、体重をかけてぎゅううっと押し曲げられて太腿に押し付けて縛る。足を拘束した縄もしっかりともう一本のテーブルの脚に結び付けられた。
残りの足だけがかろうじて床についていたが、その足首も足を伸ばしたままテーブルの足に縛り付けてしまうと、青年はもう全然身動きが出来ない状態になっていた。
高原は表情もかえずに荷物のように縄をかけまわされた青年の腕に、肘を乗せゆっくりと自分の体重をかける。青年の、諦めていたように閉じられていた目がぱっと見開き苦痛に顔がゆがむ。片方だけ床についている足の指が床を捉えようとまさぐり、反対の足の指はしっかりと反り返っていた。
「あ…あ……」
首を振る。あっという間に冷や汗が青年の身体に噴出して、てらてらと光り始める。握りしめたこぶしは白く、反対に上半身は紫色とピンクのグラデーションのような色になってきている。折れる…。それ以上やったらまずいという限界を見極めて、ぱっと高原は手を離すと起き上がった。青年はひゅうと音を立てて息を吸い込むと、その後は激しく喘ぐばかりだった。高原の手のひらが容赦なく青年の尻に叩きつけられる。ばしぃっ!
「あうっ!」
肉を打つ鋭い音が響き渡って、白い彼の尻にピンク色の手形がくっきりと浮かび上がってくる。ガラスのような瞳には透き通った涙が盛り上がってきた。高原は自分が手形をつけた尻を優しくなでまわし、十分堪能してからまた打ち据えた。今度は、一定の速さで打ち続ける。バシッと鋭い音がする度に、青年の身体が捻れる。
「くっ!」
彼の背が反りあがり、縄がギシギシときしむ。だが、逃げようもない状態に縛り上げられているのだ。ただただ、打ち据えられるしかなかった。最初は歯を喰いしばっていた青年が、悲鳴を上げたのは百回を数えた頃だったろうか。
「百」
宣言されて、初めて高原が数を数えていた事に気がつく。
「あ!あうっ。痛。痛い。もう、許し…て」
それからの、青年は一打ち毎に跳ね、叫び続けた。頭を打ち振る。叫びすぎて声がかすれ、頬は涙でびっしょり濡れている。私は、握りしめた両手を膝の上で揉み絞りながら彼の苦痛を見つめていた。真っ赤になった尻がだんだん腫れ上がってきて紫色の痣になってくる。百五十を越す頃には、彼はただただ泣き声をあげ、謝り続けていた。
「ごめんなさい」
「もうしない」
「許して」
「許してください」
「もうだめ」
「耐えられない」
自由になろうと必死にもがく身体は、縄目の中でのたうち続ける。だが、高原はまったく気にしていない様子で、二百回を数えるまで打ち続けた。打ち終わると、すぐに身体にかけられた縄を手早く解く。傍目にもぎゅうぎゅう締め付けていた縄は、血流も滞らせていたに違いない。紫色になった手足が、みるみるうちにピンク色になり、身体に食い込んでいた縄目の痕は、もがいたせいで擦れた内出血を残していた。
高原はぐったりした相手の身体をテーブルの上に仰向けに乗せ上げると、足首と太腿をひとつにくくりテーブルの足に左右別々に留めた。それから手首をひとつにくくり頭の上にあげてその縄もテーブルの足に廻す。さっきと違って今度は縄を締め上げたりしなかった。こんなに酷い目に会っているのに、青年の中心は天をつくようにそそり立っていた。高原がポケットから何かを取り出すと、そのコックにパチンと音を立ててはめた。三つの輪が三角になるようにつながったゴムのリングだった。ひとつの輪を袋の根元から締め上げるようにもうひとつの輪を袋の上を締め上げるようにすると、残りの輪がペニスの根元をしっかりと締め上げて、痛々しいばかりに食い込んだ。
そんなひどい目に合わせられて頬を涙でびっしょりと濡らしていながら、青年がようやく見開いた眼はうっとりと情欲に煙っていた。
初めて高原は、私のほうを見た。
「どうだった?」
「のぼせちゃった」
「やりすぎたか?」
「ううん。でも、私は彼ほど我慢できそうにない」
高原の眉が上がって、近づいてくると私の顎に手をかけてそっと上向かせられた。
「だが、反対だろう?」
反対?高原は私の座っているソファの背もたれに尻を乗せて、青年の方へ手を振った。
「そそられると思わないか?」
「思うわ」
そして、気がついた。彼が言っている言葉の意味に。
彼は私が責める側の人間だという事を見抜いていたのだった。
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それから、水曜日になると私はその館に通うようになった。水曜日を選んだのは、そのクラブにお客が来る確率が一番少ない曜日だったからだ。私は、真樹に会うためだけにクラブに通い始めた。
まったくの素人だった私は、最初はなんにも出来なかった。そんな私を真樹は面白がった。そして、手取り足取り苦痛を与える方法を教え始めた。
女が男の体に縄をかけるのは案外と重労働だった。真樹は手枷と足枷を持ち出して、縄の問題を除外した。手のひらで打つと私の手があっという間に腫れ上がってしまうのを見て、鞭だのパドルだのケインだのを使わせるようになった。
最初はおっかなびっくりで、悲鳴を聞くとひるんでいた私だったが、持っている性癖の誘惑には抗いがたいものがあるらしい。いつのまにか、傷をあまり残さないで、手酷く痛めつける方法をみつけはじめた。私が間違いなくSである事を確認した真樹は、蝋燭や針やアナルプラグ等の道具を少しずつ増やして、私が納得するまで試させた。私は暗い喜びにどっぷりと浸かって行った。
「痛い?」
「痛い」
針を試した時は、私はほとんど労する事なく相手の苦痛を得る事に夢中になってしまった。脇腹に一本ずつ丁寧に刺し並べていった針が太腿の付け根に差し掛かった時は、さすがに真樹も音をあげた。
「瑞季。もうだめ。耐えられそうにない」
詰めていた息を吐き出すと、彼は囁くように訴える。手足をベッドに引き伸ばされる形に拘束され、わずかに身体をひねる事しかできない彼の身体は、冷や汗にてらてらと光っていた。ふうん、とうなずいて、次の針を刺す。真樹の顔がゆがむ。浅い息をつなぎながら、頭を起こそうとする鼠径部に次の針をつき立てた。
「あ……」
しっかりと眼をつぶって、歯を喰いしばる様を、溜息を付きうっとりと眺める。美しい青年が私だけのために苦痛を耐える様は、私をしっかりと絡め取って放さなかった。最初は冷静にあれこれ手ほどきをしている彼が、責めがだんだんと進むにつれ、息を弾ませ身体を捻らせる。力をこめ筋肉が盛り上がる。身体がしない。苦痛に捩れる。そんな様を私はじっと見つめるのが大好きだった。
高原とは、めったに会う事は無かったけれど、それでも気にかけてくれていたのだろう。吊や大物の道具を使う時には、わざわざ待っていて立ち会ってくれた。
「私と一緒にいない時はどうしているの?」
一年もたった頃、ようやく、私は、毎週会っている青年が誰なのかまったく知らない事に気がついた。苗字すら知らない。
「仕事」
「ほんとに?」
真樹は、声を立てて笑った。
「何していると思っていたの?」
「何にも考えてなかった」
「そうだと思った。瑞季は僕の苦痛にしか興味がないみたいだったから」
「だって、私、まだ紹介もされてないんだもの」
「ああ……そうだったかも」
私はベッドの上で肘枕をしている青年の前に自分の足を突きつけた。空いている手で足の甲を優しく撫でてもらいながら、肘掛の中ですわり心地のいい姿勢をさぐる。
「どうして私を受け入れてくれたの」
「どうして?」
「だって、何にも知らなかった。何にも出来なかった。高原氏みたいなベテランさんの方が、ずっと楽しめるんじゃない?」
「そう?そうだね。ま、瑞季ができない事は、他の客で間に合わせているし、それに、彼は僕の方を見てないからね」
「え?」
「彼には大事にしている奥さんと、同じくらい大事にしている愛人がいるんだ。だから、遊び歩いてはいても、結局はそこへ還っていく」
「私があなたを見ているかしら?だって、今、初めてあなたが誰なのか知らない事に気がついたのに」
「そうだね。でも、僕が必要だったでしょ」
彼は、ちょっと笑って足の甲に唇を付けた。舌を伸ばしてゆっくりと舐めしゃぶる。そう、私は彼が必要だった。いや、彼の苦痛が、苦しみが、彼の身体が必要だった。
それって見ている事になるの?それで、満足なの?
「いいんだ。幸せな気持ちになれたから」
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まったくの素人だった私は、最初はなんにも出来なかった。そんな私を真樹は面白がった。そして、手取り足取り苦痛を与える方法を教え始めた。
女が男の体に縄をかけるのは案外と重労働だった。真樹は手枷と足枷を持ち出して、縄の問題を除外した。手のひらで打つと私の手があっという間に腫れ上がってしまうのを見て、鞭だのパドルだのケインだのを使わせるようになった。
最初はおっかなびっくりで、悲鳴を聞くとひるんでいた私だったが、持っている性癖の誘惑には抗いがたいものがあるらしい。いつのまにか、傷をあまり残さないで、手酷く痛めつける方法をみつけはじめた。私が間違いなくSである事を確認した真樹は、蝋燭や針やアナルプラグ等の道具を少しずつ増やして、私が納得するまで試させた。私は暗い喜びにどっぷりと浸かって行った。
「痛い?」
「痛い」
針を試した時は、私はほとんど労する事なく相手の苦痛を得る事に夢中になってしまった。脇腹に一本ずつ丁寧に刺し並べていった針が太腿の付け根に差し掛かった時は、さすがに真樹も音をあげた。
「瑞季。もうだめ。耐えられそうにない」
詰めていた息を吐き出すと、彼は囁くように訴える。手足をベッドに引き伸ばされる形に拘束され、わずかに身体をひねる事しかできない彼の身体は、冷や汗にてらてらと光っていた。ふうん、とうなずいて、次の針を刺す。真樹の顔がゆがむ。浅い息をつなぎながら、頭を起こそうとする鼠径部に次の針をつき立てた。
「あ……」
しっかりと眼をつぶって、歯を喰いしばる様を、溜息を付きうっとりと眺める。美しい青年が私だけのために苦痛を耐える様は、私をしっかりと絡め取って放さなかった。最初は冷静にあれこれ手ほどきをしている彼が、責めがだんだんと進むにつれ、息を弾ませ身体を捻らせる。力をこめ筋肉が盛り上がる。身体がしない。苦痛に捩れる。そんな様を私はじっと見つめるのが大好きだった。
高原とは、めったに会う事は無かったけれど、それでも気にかけてくれていたのだろう。吊や大物の道具を使う時には、わざわざ待っていて立ち会ってくれた。
「私と一緒にいない時はどうしているの?」
一年もたった頃、ようやく、私は、毎週会っている青年が誰なのかまったく知らない事に気がついた。苗字すら知らない。
「仕事」
「ほんとに?」
真樹は、声を立てて笑った。
「何していると思っていたの?」
「何にも考えてなかった」
「そうだと思った。瑞季は僕の苦痛にしか興味がないみたいだったから」
「だって、私、まだ紹介もされてないんだもの」
「ああ……そうだったかも」
私はベッドの上で肘枕をしている青年の前に自分の足を突きつけた。空いている手で足の甲を優しく撫でてもらいながら、肘掛の中ですわり心地のいい姿勢をさぐる。
「どうして私を受け入れてくれたの」
「どうして?」
「だって、何にも知らなかった。何にも出来なかった。高原氏みたいなベテランさんの方が、ずっと楽しめるんじゃない?」
「そう?そうだね。ま、瑞季ができない事は、他の客で間に合わせているし、それに、彼は僕の方を見てないからね」
「え?」
「彼には大事にしている奥さんと、同じくらい大事にしている愛人がいるんだ。だから、遊び歩いてはいても、結局はそこへ還っていく」
「私があなたを見ているかしら?だって、今、初めてあなたが誰なのか知らない事に気がついたのに」
「そうだね。でも、僕が必要だったでしょ」
彼は、ちょっと笑って足の甲に唇を付けた。舌を伸ばしてゆっくりと舐めしゃぶる。そう、私は彼が必要だった。いや、彼の苦痛が、苦しみが、彼の身体が必要だった。
それって見ている事になるの?それで、満足なの?
「いいんだ。幸せな気持ちになれたから」
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