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四行小説

ここでは、「四行小説」 に関する記事を紹介しています。


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性的、暴力的な表現を含んでいます。
虚構と現実の区別のつかない方
18歳未満の方はご遠慮くださいませ。
自己責任に於いて閲覧していただきますようお願いします。

 
ゆうは、お尻を叩かれるのが好きな女の子です。
でも、叱られるのは好きではありません。
そんなゆうに、大好きな彼が出来ました。
ゆうの好きな男の子、ひろくんは、お尻を叩くだけでなく、説教もする男の子です。


興味のあるものがあれば、走って行って突いてみる。
おもしろかったら、触ったり、押したり、叩いてみたりする。
そんな女の子、ゆうの、元気いっぱいの行動は、たて続けの失敗と、罪のない いたずらと、笑いや喜びで溢れています。
そして、後ろを追いかけては尻拭いをする大好きな彼、ひろくんのため息も、ゆうの楽しみのひとつです。


大好きな人なのに、困った顔をするのが、ちょっと嬉しい。
ありのままの自分を、受け入れてくれる人がいる事が嬉しい。
叱られるのは嫌だけど、お尻を叩くその大きな掌のあったかさが、小さなスパンキーのゆうを、愛されている幸せでいっぱいにしてくれるのです。
お尻を叩かれると、痛みだけじゃなくて、胸がきゅんっとなることは、内緒ですが。


いつも、悪いことをして、お尻を叩かれて、ひろくんにしがみついて泣きながら、小さい子供のようにあやしてもらうゆう。
どこかでゆうも分かっているのです。
自分が、今、何者にも縛られず、小さいことで悩んだりしないで、自由に、遠くまで走っていけるのは、ひろくんがいるから。
ゆうの、そんな毎日の悩みや、迷いや、寂しさを、大好きなひろくんが引き受けてくれているからだという事を。
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眠れない夜に、机に座っていると、男の手首が訪ねてくる。
手首は車のキーを、机の上に置くと、ただそれだけで、いなくなる。
私は、その男を大好きだった。
その男は10年前にビルから飛び降りて死んだ。

眠れない夜に、無理に寝ようと布団の中で輾転反側していると、男の手首が訪ねてくる。
手首は片方だけしかないのに、私の首を締めようとするが、うまくいかない。
私は、昔、その男に殺されかけた事がある。
その男は、私が泣きながら抵抗したので、翌日一人で死んでしまった。

眠れない夜に、窓を開けて静かな闇が、部屋の中に入り込むのを眺めていると、山の麓から坂を登ってくる、バイクの排気音が近づいてくる。
カーブを曲がるたびに、ふかすアクセルの音が遠くまで響く。
私は、そのバイクの主が、右折の四トントラックに轢かれて死んだことを思い出す。
追突を避けられないと分かって、自分から転んだので、彼のバイクだけは、無事にトラックの下をすり抜けたと聞いた。

眠れない夜に、部屋を徘徊した後、隣でぐっすりと眠ってる男の布団をめくって、懐に潜り込もうとする。
冷えた身体のせいで、男は必ず目を覚ます、そして、迷惑そうに、私を抱き寄せる。
この男は、私の愛した人の中でただ一人、まだ死んでいない。
私が眠れないのは、いつか、この男が死んだ後の事を、思い悩んでるせいに違いない。
5歳の時だった。
家のブロックの影で、知らない若い男にスカートをめくられたのは。
寒がりでタイツやパンツを重ね着してたので、男は、私の服をうまく脱がせられなかった。
じゃあ、キスをしようと言われて、怖くなって走って逃げだした。

映画館は広くて、人もまばらだったのに、男は、中学の友達と並ぶ私の横に座った。
そして、ビートルズが走り回るコメディを観ながら、私の身体を触ろうとした。
私は、友達に知れてしまうのが怖くて、一生懸命バックで男の手を塞せいだ。
映画は1時間半もあったのに、暗かったので、息の荒かった男の顔は見ていない。

いとことご飯を食べに行って、何も考えずぼんやりとレジに並んでいた。
後ろから来た酔っ払ったサラリーマンの四人連れの一人が、肩越しに、私の胸を強く掴んだ。
私は、16歳だった。
男というものが大嫌いになった。
【縄とYシャツとビアンの彼女】
ビアンのはずなのに、彼女の部屋には、ピンと糊のきいた男物のYシャツが、ハンガーにかけてあった。
不信に思って、縛りながら、あれは、だれのものかと、問い詰めた。
「私の寝間着よ。寢る時に着るの。それだけよ。ただそれだけよ。」
「寢る」時に着るという言葉は、妙に私を苛立たせ、彼女の背中にYシャツを被せて踏みつけると、Yシャツと私達の関係が、同時に、ビリっと音を立てて裂けた。

【縄とYシャツと尿瓶】
後手に縛った彼女の、うねうねとうごく尻を、二度三度掌でひっぱたくと立ち上がった。
高みに昇った後の汗ばんだ肌に、ふわりとワイシャツをかけてやる。
足首をベッドに繋いだ鎖を確かめると、呆然と横たわる女の顔の前に尿瓶を置いた。
部屋に鍵をかけて、私は会社に出社した。

【縄とYシャツとアイロン】
旦那様のワイシャツに火のしをかけるために炭をおこした。
旦那様との、血をすすりあうような饗宴の縄痕が、着物から覗く手首にも、覆われた身体にも、ひた隠しにしている心にも残っている。
人の気配を感じて顔をあげると、能面の様に美しい奥様が私を見下ろしていた。
意識が途切れる前に聞いたのは、多分、私の頬の肉が焦げる時の音だったと思う。

【縄とYシャツと案山子】
夜明けに、亀甲に縛った彼女をベランダに出して、鍵をかけた。
明るくなってくる時間だったので、「外から見えちゃう。」と、泣く顔がかわいい。
朝日は、建ち並ぶビルの隙間から射してくる。
ふと見ると、とり込み忘れた俺のワイシャツを纏って、洗濯バサミで吊られてる案山子のような彼女の姿が見えた。
「カップルで来てる相手に誘われてもついて行っちゃだめ。相手もデートなんだから」って、言っても。
「私が誘ってる訳じゃない。相手のツレに気を使ってないわけじゃないよ。常識ないみたいに言わないで。」、と、頬を膨らませて不満そう。
そういいながら、一緒に来た私を置き去りにして、花の間を、好奇心ではちきれそうになって飛び回るミツバチ。
私とあなたも、カップルで来てるって事は、まったく、頭にないみたい。

この階段を降りると別れが待っている。
分かっていたので、降りないで登ろうとした。
焦っていたので、滑った。
一番下まで最短時間で落ちた。
どこへ行っても、男の興味は他の女の上にある。
私の気持ちよりも、新しく視界を横切る自分からより遠い人の反応をおもしろがる。
二人で一緒にいる時くらい私の方を見て。
「見てるよ。君が大好きだ。」と、いう言葉は、いらなくなったフライやーのように、風に舞い散る。


SMバーのソファに私と斜向かいに座ってて、喋りながら男は、何気なく靴を脱ぎ、靴下を脱ぐ。
私に向けた顔は、私の言葉に相槌を打っているけれど、男の視線が気にしているのは、私がテーブルの下を見ないかだけ。
足元には、酔っ払って丸くなっているかわいい野良猫。
テーブルの陰で猫の身体を踏んで、反応を楽しむ男の目は、私の血だらけ傷だらけの心を素通りする。


外に出ると、叩きつけるような土砂降りだった雨は、すでに霧雨になっていた。
雨の匂いがする。
まだ、七分咲きの桜は、散りもせずに、夜空に濡れた花びらを揺らしながら仄白く浮かんでいる。
たち込める冷たい霧に、折り紙のような小さな傘は役に立たず、私の頬を濡らした。


男のさらりと乾いた、それでいて暖かい手が、私の裾をまくる。
軋む縄の音と麻縄の香り。それに重なっていく、湿って濡れている熱く火照ったいやらしい女の匂い。
死んでしまった夫でもなく、情を重ねた恋しい人でもない。
ただ、今の時間だけ。二人濡れて絡まり奪い奪われて、何も考えずに、死んだように眠りたかった。
彼女はスーツフェチだ。
それも、抜いだり着たりする時の動きが大好き。
ワイシャツ一枚になると、彼女は「ストップ!」と、言う。
それ以上脱ぐと、もうスーツじゃないから。


鞭打たれることから逃げられない時、身体は無意識に反応する。
理性の軛を逃れて、悲鳴のメロディに合わせて、美しい踊りを踊る。
願うのはただただ、この時間が早く終わってくれることだけ。
それでも、また、この場所に、戻ってきたくなる女達は、何を病んでいるのだろう。


二日酔いの割れるような頭の痛みに呻きながら見つめる、目の前に落ちている片足は、俺と同じ靴を履いている。
身体中が、頭以上に酷く痛むのは、ホームから落ちた上に、一晩を線路の砂利の上ですごしたせいらしい・・・。
しかたなく、119番に電話しようと、ポケットの中にあるはずの携帯を手探りした。
ちくしょう、どうやら、今日から、俺は、片足で生きていかなくてはいけないようだ。
 

ヘリコプターが爆音を響かせながら旋回してくる浜辺は、海から上がった人たちで通勤時間帯の電車のホームみたいに混雑していた。
つっ立ったまま、ぼんやりと眺める荒い波間の中には、定間隔を保ちながら海に入って行くライフセイバー達の背中が見える。
この二時間の間、親が、必死に探しても探しても見つからなかった子は、うちの子と同じ小学4年生の男の子らしい。
明日の新聞には、救助されたというニュースでも、載せてもらえるのだろうか。