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 明け方の夢を膨らませて作った、切ないSMの物語


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性的、暴力的な表現を含んでいます。
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さわってほしい


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 好きな人がいるんだ。どういうわけか男。しかも十五歳以上も年上……。困った事に主治医。毎日がためいきの連続だよ。
 俺の名前は香川淳一(かがわじゅんいち)。十六歳。高校生。父親はいない。母親は自堕落なホステス。つまり俺は私生児ってわけ。でも、お袋はあきれるくらい美人だ。とても十六の息子がいるなんて思えない。当然周囲には子供がいる事を出来る限り隠していた。ところが最近体を壊しちまった。病気だから働けない。そこで、お袋は、いい考えを思いついた。俺を、知り合いの男に売ったんだ。
 信じられるかい?一人息子を男娼として売っちゃうなんて。そいつはめちゃくちゃ金持ちで、いい男で、お袋のお客だったらしいけど、若いきれいな男をとっかえ、ひっかえお袋の店に連れて来るっていうんで、男が好きなんだろうって評判だったらしい。
 あああ。それで、お袋は、一千万も吹っかけて俺を売りに出したって訳。売るほうも売るほうだけど、買う方も買う方だよ。人身売買だぜ。もちろん建前上はそうはなっていないさ。だけど、お袋は金を持ってドロン。俺は自分名義の借金と一緒に男の所へ放り出されたって訳。
 金を踏み倒せば、未成年の俺は、無一文。身寄りも無く、頼る人もいない。家も無くなって寝るところも無い。どうすりゃいいのよ。おとなしくその男のものになるしか無いじゃん。そうすれば、とりあえずは広い屋敷に、暖かいベッド。コックが作ったうまい食事。贅沢な服にちゃんとした教育が保障されるっていうんだからさ。俺には選択の余地なんて無いって事。そいつが俺をどうしようと思っていたか知らなかったし……。
 いや、違うな。知っていてもやっぱり、その男のところに残ったと思う。
 何しろ母親が男に売ろうって思いつくくらいだから、俺は母親似の美人さん。路頭に迷えば、その先の見当くらいつくさ。どっちに転んだって身売りする方へいっちまう。小学校の頃、学校の先生に尻を撫で回されたり、見知らぬ高校生に押し倒されそうになったりなんてしょっちゅうだった。だから、自力で立つよりも、男のものになった方が安楽な生活が出来る。そう思ってしまった。そして、黙ってその男の家に行った。
 正直に言うと、逃げ回っていたせいで、男どころか女も知らない。全くの童貞だった。せめて、俺を買った相手が有閑マダムだったら、なんぼかましだったって、心の中でお袋をののしったけど、何の意味も無い。お袋に聞こえるわけじゃなし、俺の運命がよくなるわけでもない。
 男に売られたら、次に待っているのは…男に抱かれなきゃいけないって事だけ。
 はああああああ。全くもう、お先真っ暗ってこの事だよ。せめて、好きな娘とエッチしとくんだった。




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 男の名前は、高原弓人(たかはらゆみと)。年齢はいくつだろう。多分四十代後半。職業は社長。ほんとはよく分からない。いくつも会社を持っているんだ。会社だけじゃない。ホテルもレストランもバーも持っている。金も使い切れないほど持っている。青山に本宅があって、奥さんも息子も娘も持っている。多分愛人だって男妾だって持っているんだろう。お袋の勤めていた店にとっかえひっかえ若くて綺麗な男を連れて来たって言ってたから、ホストクラブとか秘密クラブとか売春組織とか、思いっきり、怪しい事していたって不思議じゃないんだ。
 ただし、見かけはえらくかっこいい。水も滴るいい男で、服の着こなしだって、押し出しだって…。女が群がって付いて来ても不思議じゃない。はっきり言って「金出して男買う必要がどこにあるんだ!」って叫びたくなるような男なんだよ。
 で、俺が呼びつけられたのは、成城にある、別宅。別宅って言っても部屋が三十七に、風呂が十八もあるっていう迷路のようにでかい家。塀も高くて、厳重なセキュリティも、監視カメラも、警備員も付いている。玄関を入ってドアを閉められたときには、二度と外に出られないんじゃないかって思ったくらい。執事って、とんでもない職業の人間がいて無表情に出迎えてくれて、男の部屋へ案内してくれた。応接間?それとも書斎?分からないけど男はガウンを着て、ブランデーを飲んでくつろいでいた
「君が淳一君か」
 思いっきり余裕かましたような態度と口調。
「条件は聞いたと思うけど、どうするつもりだい」
「…借金をチャラにする代わりに、ここに住んであんたのものになる。その代わり大学卒業まで生活教育の一切を面倒見てくれる。8年間の契約で…。その間は、何をされても文句を言わず絶対服従。そのかわりあんたも、一生残るような傷は体につけない。…だろ?」
 この後の一言が俺の運命を決めてしまう。ああ、そうさ。開き直れ。逃げ場はない。震えを抑えて息を吸い込んだ。落ち着け俺。
「条件は飲んだから」
「ふむ、絶対服従って意味。分かっているのか」
「多分、分かってない。あんたが……あんたが何するつもりか知らないからね。きっと、思いっきり変態な事させるつもりなんだろ。でも、しょうがないさ。他に、選びようが無いし、お袋は俺をだまし討ちに、金だけ握ってさっさととんずらこいちゃったし」
 高原は、苦笑した。
「じゃあ、脱いで。体を見せてもらおう」
 いきなりかよ。こんな明るいところで?ベッドとかにも行かずに?これから、どういう生活が始まるのか突きつけられたような気がして、血の気が引いていくような気分だった。でも、ここで引いたら負けなんだ。何に負けるって分かっている訳じゃないけど、そんな事なんかなんでもない……って、顔をしてないと、やっていけそうに無い。俺は、歯をくいしばって、服を脱ぎ始めた。
 男同士だっていっても、相手がいやらしい目的で見ているって思うだけで、顔から火が出るような屈辱だった。ボタンを外す手が震える。なんでもない。こんな事、ただ、服を脱ぐだけ。裸を見られたって減るもんじゃないし。自分自身に言い聞かせるようにして叩きつけるように服を脱いでいく。素っ裸になるとぐいっと顎を挙げて、男をにらみつけた。でも、どうしたって、顔が青ざめているのも、体が震えているのも、隠しようが無かった。
 高原は、しばらく俺の顔を見ていた。それから舐めるように視線を下げていった。羞恥って、どんなものだか思い知らされるような視線。ちりちりとあそこに張り付くような。膝がかくかくと震える。こぶしを握りしめて足を踏ん張る。そうしていないと倒れそうだった。
「後ろを向いて」
 追い討ちをかけるように高原が指図する。何を言われても逆らえないんだ。くるりと体を返す。思わず尻に力が入る。男同士で何をするのか知っているさ。尻の穴にあれを突っ込むんだ。ああ。だけど、自分が本当にヤラレル立場になるなんて今までこれっぽっちも考えてもみなかった。



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