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 明け方の夢を膨らませて作った、切ないSMの物語


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性的、暴力的な表現を含んでいます。
虚構と現実の区別のつかない方
18歳未満の方はご遠慮くださいませ。
自己責任に於いて閲覧していただきますようお願いします。

 

 次の金曜日、博人さんと私はちょっとしゃれたフランス料理のお店で夕食をした。私の仕事が終るのを博人さんは会社の玄関じゃなくって300メートルくらい離れた路地の駐車場で待っている。会社の人に見つからないように。だって、博人さんの乗っている車は大きくってピカピカしていてやけに目立つ。博人さんは、いつも車の外に出て車に寄りかかって待っている。あまりにもしゃれた服装で、かっこよく見えるのでこれまた目立つ。だから、会社の前で待っていたらすぐに噂になってしまうと思って、いつも、ちょっとは離れたところで待っていてもらうようにしたのだった。
 車に乗ると仕事用のバックは、トランクにしまい、上着を脱いで、いくつかアクセサリーをつけて、結んでいた髪をほどく。それから、博人さんが選んでくれたちょっと小ぶりのバックと上品な上着が魔法のように現れるので、それを身に付ける。ちゃんと博人さんが案内してくれる場所で浮き上がらないように、いつもシンプルなワンピースを着て行く様にしていた。
 博人さんが連れて行ってくれるレストランでは、ちゃんと着飾った男女がなごやか食事を楽しんでいるところが多いのだ。料理もとってもおいしいし、私にはちょっと場違いな気分だった。
 でも、回を重ねるうちに最初のように食べたものの味がよく分からないような緊張は無くなった。いつも、メニューは博人さんにお任せ。きちんと説明してくれるので、私はそれらの知識を大急ぎで取り込んで、さも周囲の立派な人たちのお仲間のようなふりをしながら食事をしていた。
 最後のデザートとコーヒーが出たころに、奥の個室から外国人のカップルと何人かの日本人のグループが出てきた。そして、通り過ぎるときにそのうちの一人がおやっというようなそぶりでこちらを見た。博人さんは背中を向けていたので気がつかなかった。その人は、全員をドアの外へ送って行ってから、改めて戻ってきた。
「博人」
 博人さんは、ぱっと振り向くと、ちょっと目を見張って、立ち上がった。
「叔父さん」
 何だかとっても背の高い中年の紳士だった。にっこりと笑って、私のほうへうなずくように顔を向け、ちょっと眉をあげた。博人さんは、すごくためらってから、仕方ないという様子でうなずいた。
「叔父さん、紹介します。大学で同じ学部だった姫野夕姫さん。夕姫、これは僕の母方の叔父で高原弓人氏。僕が、事業を起こしたのも、全部彼のサポートを受けての事なんだ」
 そう、事業。博人さんは大学に在学中からベンチャーの会社を起こして、小さいなりに社長業をやっているんだった
「いやいや、彼は優秀なのでつい手を貸してあげたくなるんですよ」
 差し出された手を、私は立ち上がって握った。暖かくて大きな手。
「で、いつ結婚する?」
 私は高原さんの手の中に手を預けたまま硬直した。
「叔父さん!」
 博人さんが珍しく赤くなっている。
「だって、部屋の総入れ替えをした原因だろう?」
 え?……部屋の総入れ替え……?
 そう、あのマンション。SMのためのプレイルームのあるマンションは「事業を起こすときに出資してもらった母方の叔父のマンション」だと言っていたっけ…。しばらくぼんやりと高原氏の顔を見つめていた私は、急に頭がハッキリしてきて、慌てて自分の手を彼の手の中から取り戻した。
 ということは、ということは。…知っている?博人さんがSMを好きで、三人のプレイメイトを持っていて、その人たちと別れて、私を縛っているってことを知っているってことォ?
 天地がひっくり返ったかと思った。今日初めて会った人が、博人さんが私を抱いているって知っている。SMすることを私が承知した事を知っている

 この人は、みんな知っているんだぁ!

 かあああっと体中が真っ赤になったような気がして、私はうつむいた。そんなことって!もう、顔をみられないじゃないのぉ~。
 くすくすと高原氏が笑うもんだから、博人さんも困ったような顔をしてチラッと私のほうを見た。
「まだ、そこまで、言ってないんです。叔父さんが先に言い出しちゃ困ります」
「ああ、そうか。悪い。悪い。……すみませんね。夕姫さん。まさかこいつが、ちゃんと恋愛するとは思ってなかったもんで、嬉しくてね」
「叔父さん……」
 博人さんが頭を抱えてますます困った様子をすると、高原氏は心底嬉しそうに声を上げて笑った。ポケットから金色のクレジットカードがひらめく。博人さんは、ちょっと頭を下げてカードを受け取ると、会計をするために入り口の方へ行った。
「悪く思わないで。本当に私は喜んでるんだ」
 高原氏はにっこりして、再度、私の手を取った。私は、恥ずかしくて消え入りたいような気持ちだったけど、まさかその手を振り払うわけにも行かなかった。
「博人をよろしく」
 戻ってきた博人さんからカードを受け取ると、鷹揚に手を振って、礼を言おうとする博人さんを遮って、高原氏は帰っていった。博人さんは、どさっと音を立てて椅子に座った。こんな振る舞いをするなんて、ほんとに珍しくて、私は改めて博人さんを見た。
「まいったな」
 なにが?博人さんはどきまぎする私の目を覗き込んだ。
「もうしばらくは、内緒にしとこうと思ったのに」
 なにを?私はだんだん体が熱くなって、さっきよりも赤くなってるんじゃないかと思うと気が気じゃなくなってきた。
「マンションへ来る?」
 ……それは、つまり…今夜も。
 私は、真っ赤になったままうなずいた。




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