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 明け方の夢を膨らませて作った、切ないSMの物語


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性的、暴力的な表現を含んでいます。
虚構と現実の区別のつかない方
18歳未満の方はご遠慮くださいませ。
自己責任に於いて閲覧していただきますようお願いします。

 

 切り裂かれた服の間から手を差し込まれた。酷い事されちゃうんだ!いや!猿轡の奥からはくぐもったような声しか出ない。必死に首を振り、手首の縄を緩めようとめちゃくちゃにもがいた…だめ。全然ゆるまない。
 あ、あ、いや。博人さん。乱暴にあちこちまさぐられて、嫌悪に総毛立つ。涙が溢れてくる。見られたくない。私が嫌がれば嫌がるほど相手を喜ばせてしまう。のし掛かって来る体から、ちょっとでも離れようとのけぞった。相手のたぎりたったペニスが柔らかな体を擦りあげてくる。助けて。助けて。そんなこと!いやあ!
 その瞬間、私の上に覆いかぶさっていた体が乱暴に引き剥がされて突き飛ばされた。
 博人さん!彼の力強い手があっという間に、私を抱き寄せると、犯人が取り落としたナイフで手首の縄を切った。猿轡を乱暴に引きほどかれる。
「ひ…博人さん」
 涙で顔が見えない。上着を着せ掛けられて強く抱きしめられた。
「夕姫」
 絞り出すような声。博人さん。来てくれたんだね。大丈夫。大丈夫だよ。泣かないで。私は大丈夫だから。彼は泣いてなんかいなかったのに、でも確かに声はしめっぽかった。私は彼のシャツにしがみついた。
「あ…博人さん。気をつけて…」
 まだ、そこに犯人がいるの。なにをするかわからない。恐ろしい。博人さんの腕の中からふりかえって見ると、その男の人は床にうずくまったまま震えながら泣いていた。
「聡。自分が何をしたか分かっているのか」
 初めて聞く、博人さんの冷たい声。氷のように低く響く…。私は思わず、ぞくりとして、彼の体から身を飛行とした博人さんは、許さず、懐に引き寄せる。
「……ご主人様。どうして?……どうして?俺はあなたのものだったのに。一生あなたに仕えていくと思っていたのに。なんで、俺を手放すんだ。俺は、誰よりもあなたの与えてくれる痛みに耐えていた。どんなことをされてもひるまなかった。あなたの鞭が、あなたの手が、俺を切り裂くのをどんなに俺が焦がれているか知っていて…知っていて……」
 私はその時初めて分かった。あの電話。博人さんのベッドの上で聞いたあの留守電の声の持ち主。彼は、まさしく博人さんのパートナーの一人だった人。私が切れてと頼み、博人さんがその言葉の通りに切り捨てた奴隷の一人だったのだ。
 博人さんが聡と呼んだ青年はしゃくりあげて泣いていた。見捨てられた子供のような泣き声。私が彼をそうさせたのだ。私が、まだ、博人さんに満足に答えられない何の覚悟も出来てない私が。ずっと長い間博人さんに奴隷として使えていた彼を切り捨てるように言った。そして、博人さんはその通りにしたのだ。
「聡。立ちなさい」
 私は驚いて博人さんを見た。あまりにも哀れな様子で泣いている青年になんて冷たい響きの声。でも、床に手を着いてしゃくりあげていた青年は、はじかれるように立ち上がった。
「お前は私を主人としてはいなかっただろう。お前は野良で、好きに相手を選んでいたじゃないか」
 男は激しく首を振った。
「だって、そういう形じゃないと、俺を受け入れてくれなかったじゃないか」
「そうだ。私は、お前の主人になる覚悟が無かった。だか、野良であることはお前の誇りのような物だと思っていたから、お前が主人を持ちたいといった時はびっくりしたよ。お前は私と別れることではなく、新しい主人へ正式に譲られる事を選んだ。お前が選び、私はそれに従って、お前に新しい主人を与えたはずだ」
 そんな!右を選んでも左を選んでも彼には博人さんと別れるしかないってことじゃない。自分が望んだことなのに、博人さんを責めるような考え方をしている自分に気が付いて、震えるくちびるを両手で押さえた。言葉が外に飛び出してこないように。
「そうです。そうです。でも、俺は…耐えられなかった。あなたが、あなたが…彼女を…。俺を捨てて…彼女を……」
「聡。お前は考え違いをしている。お前を新しい主人に譲り渡した手は私の手だろう?」
 はっと、青年は博人さんの顔を見た。蒼白になった顔をゆがませて、がたがたと震え始める。
「やれやれ。どうにか間に合ったみたいだな」
 全員が振り返ると、そこに立っていたのは高原氏だった。
「博人。お前が全速力で走るから、えらい目にあったぞ」
 髪を掻き揚げると青年をじっと見る。青年は脅えたように後ずさった。
「各務、そいつを繋げ」
 高原氏の後ろに控えていたもう一人の男が進み出て青年の腕を取り、後ろにねじ上げたと思うと手錠を掛ける音がした。青年はよろよろとされるままになっている。各務と呼ばれた男性は、博人さんの腕の中にもぐりこんでいた私のほうへ視線を向けた。
「怪我はありませんか?」
 博人さんは、急いで私の顔をのぞきこみ、忙しく体に手を這い回らせて確認した。私が、人前でそうされることに赤くなって腕をつっぱり、首を振ると、博人さんの体からほっとしたように体から力が抜けた
「…大丈夫のようです」
「何かあったら、すぐに連絡をください」
 あっさりとひとつうなずいて、男性は青年を引き立てていった。
「博人、自分で運転できるか?」
「ええ、大丈夫です」
「俺の預かりにしていいな」
 博人さんは、顔を上げて、私の体をそっと離すと、きっちりと高原氏に向けてお辞儀をした。
「お願いします」
 あっさりとうなずいた高原氏は、さっきの二人の後を追うようにして消えていった。
どこかでエンジンのかかる音がする。
「ど、どうなるの?…彼」
「分からない。罰を与えるのは彼の新しい主人だ」
 私は、呆然と宙を見つめた。
「夕姫が、彼を警察に訴えたいのなら、別だけど」
 急いで首を振る。急に寒気が襲ってきて、ぶるっと震えてしまった。博人さんが慌てて私を抱きしめる。
「夕姫。夕姫」
「ご、ごめんなさい。こんなことになるなんて」
「君のせいじゃない」
 博人さん。泣いているの?そんなばずはないのに私は、彼の声を聞きながらなぜかそう考えていた。
「帰ろう」
 うなずいて、博人さんの腕に体を預ける。立っているのがやっとだった。ともかく危機は去ったのだ。



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