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 明け方の夢を膨らませて作った、切ないSMの物語


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性的、暴力的な表現を含んでいます。
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 幼い頃から従者としてお仕えしていた主人。ミルヒシュトラーゼ公爵家のたった一人の跡取り息子フランツ・フォルスト・シュヴァルツ・ミルヒシュトラーゼ・ハルトヴィック子爵は、この二年間、国王陛下の小姓として王宮へあがったきりだった。
 私は、従者としての仕事を失い、フランツ様がお勤めを辞すまで、国王陛下の軍隊で、兵士としての訓練に明け暮れることになった。いずれは、フランツ様の手足となって一緒に戦場へお供することを願っていた私にとっては、主のいない館に残って内向きの仕事をするよりもずっと有意義な日々だった。
 公爵家とは比べるべくも無い貧乏貴族の息子だったとはいえ、幼い頃からフランツ様のお側を離れず、常にご一緒させていただいたおかげで、一通りの教養や学問。剣や弓や馬術といったことも、どこへ出されても恥ずかしくない程度には鍛えられていたが、フランツ様をお守りするためにはそれだけでは満足できようも無い。
 何年か後に、お側仕えに戻ったときに褒めていただける日を夢見て一心に文武の鍛錬に励んだ。
 なじんでみれば、軍隊は私の居場所としては、非常に居心地のよい場所だった。幸いに、指揮官に恵まれたことも手伝い、いつのまにか活躍の場も増えて今年の夏に無事騎士の叙勲を受けることが適った。
 もちろん雇い主であるミルヒシュトラーゼ公爵家の口添えが大きかったことは言うまでもないが。これで、私は、公爵家に戻った後も堂々と胸を張って、主のお供が適うものとそればかりが嬉しかった。従者のままでは、どこへお供するにも身分の壁が大きすぎて、ご一緒できない場面の方が多い。たとえ、誰も知らないような田舎のささやかな貴族の出だとしても騎士の身分さえあれば、王宮へお供することも可能なのだ。
 だが、主人は、国王陛下の寵愛深く、なかなか小姓勤めを辞すことが適わなかった。私など足元にも及ばないほど武術にも学問にも容姿にも恵まれていた主人のことだ。たとえ尊い国王の身の回りのお世話をする誉れの仕事とはいえども、剣戟の響きも馬のいななきも無い王宮の奥深く押し込められて、きっといらいらと窓の外を飽かず眺めているのではと思われた。
 あの方は、空が似合う。大鷹のように力強く自由に空を羽ばたき、その鋭い爪の元に、獲物を押さえつける方がずっとずっと似合う人なのだ。
 時々は宿下がりもあり、館の方へは戻られているのであろうが、悲しき軍隊勤めでは、お顔を見に帰ることも適わない。この二年間というもの寝ても覚めても、主の姿を懐かしく思う日々だった。フランツ様が館に戻られて自分を呼び戻してくれる日を信じ、焦がれ、焦がれて待つ。
 その願いがついに適えられたのは、皮肉なことに並ぶものの無い宰相として政治の世界で辣腕をふるっていたミルヒシュトラーゼ公爵の突然の死のせいだった。フランツ様は、ただ一人の跡取り息子として公爵家を継ぐために王宮を辞した。
 そして、私もフランツ様の命令によって軍隊を退役して主の下へ戻ることになった。待ち焦がれていたとは言え、喪に塗り込められた館であることを思うと複雑だった。悲しみにくれているであろう主の気持ちを思うと、それ以上に。
それは、私が21歳、主であるフランツ様が19歳を迎えた夏の終わりだった。





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