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 明け方の夢を膨らませて作った、切ないSMの物語


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性的、暴力的な表現を含んでいます。
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 山のような事務仕事だけでなく、実際の領地へ行って差配しなければならないこともある。領地には主の代わりにそういう役目を果たすため、代官や執事も任じられているのだが、どうしても直接相談しなくてはいけない場合は、フランツ様の代理として私が出向くことになった。
 いつかは一番遠方のミルヒシュトラーゼ家の領地のひとつ、シュヴァルツ侯爵領にも行かなければならず、そのことも考慮して、王都に近い領地から順番に廻って行くこととなった。場所によっては二泊か三泊すれば王都へ帰れるような場所だ。そうして、何度目だったか、館を留守にして帰宅した私のところに、公爵家の館の中の実質的な切り盛りをやっている家令であるオットー・モレンツがやってきた。
「なんですか?私はまず旦那様に、今回の視察のご報告をしないとならないのですが」
「分かっております。しかし、その前にどうしてもお耳に入れておきたいことがございまして……」
 かつては、ミルヒシュトラーゼ公爵家の家令である彼にとって、私はあれこれ指図を受ける使用人の一人にすぎなかった。騎士の称号を得たことによって平民である彼と貧乏貴族のはしくれにしかすぎないとはいえ、王宮にも伺候できるようになった私とでは、立場の逆転が起きているようだ。たった二年でこうなってしまったことに感慨を覚えながらも、私は旅から帰った埃だらけの体のまま、モレンツに導かれ、北側にある彼のための部屋へおとなしく案内された。

「実は、旦那様のことなのです。シュトゥルム様が立たれてすぐ、わたくしをお呼びになりまして……」
 ドアを閉めて鍵まで掛けた部屋の中で打ち明けられた事実は、私にとっては青天の霹靂だった。フランツ様が、快楽奴隷を手配するようにモレンツに命じたと言うのだ。何度も行われた過去の戦争の結果、わが国にも他国から流れ込んできた多くの奴隷が存在していた。彼らは市民のその下の階層の人間として、多くは金持ちの家の下働きや王都のあちこちの工事のための労働力として使役されていた。
 だが、その中でも快楽奴隷は、特殊な立場の人間だった。まず、見目が麗しくなければつとまらない。そして、その多くは性の嗜みについてあれこれと教育や調教が施されているのが常であり、場合によっては体自体も性の奴隷として加工されていることもあるといった種類の人間だった。日のささぬような屋敷の奥深くに飼われ、特殊なルートで売り買いされていると噂されているその奴隷たちは、普通の生活をしている人間の目に触れず、いない存在としてあつかわれていたのだ。
「確かに、このようなことは内密に行われております。しかし、下層の人間の情報網というものはなかなかに侮れないものなのです。主を亡くしたばかりのミルヒシュトラーゼ家が、そのような人間を館に入れたとなれば、フランツ様に耳目が集まるのは必定。しかし……」
「なんですって?」
 それに、続く初めて聞く事実は、私を先ほど以上に仰天させるのに十分な話だった。この国の多くの快楽奴隷達の行き着く先は王の枕辺であるというのだ。つまりは、奴隷達は王の慰みのために消費されていると言うのである。
「フランツ様は、陛下の小姓を勤められて二年。あるいは、その間に陛下の下でそのような遊びを覚えられたのかもしれません。しかし、ご命令とは言え唯々諾々と屋敷の中にそのように怪しげな人間を召し抱えれば、なにかと評判になります。なんといっても、人一人でありますから、いつまでも伏せておけるものではありませんし……」
「わかりました……」
 連綿と続くモレンツの話を聞いているうちに胸の中に黒い塊のようなものが湧き上がってきた。ここで、私がいくら主の無実を訴えてみたところで、本人が快楽奴隷の手配を命じているのだ。
 なんのために?そんなことは誰だって知っている。しかし、私自身はそれを認めたくない気持ちでいっぱいだった。それなのに、それ以上の何かがあるかのように言い募られると、ますますいたたまれないような、即座に否定してしまいたい気持ちがつのってきて、モレンツの言葉を遮らずに入られなかった。確かに好色で名を馳せていた王の事。私の知りえぬ二年間の間に、なにか、なまめかしい事があったのかも知れなかった。そういうことがあるかもしれないと想像したことが無かったわけではない。だが、改めてそれを認識することは、例えようもない辛さがあった。
 私は、モレンツとそれ以上の話をするのを避けて、早々にその部屋を辞した。自室に戻り、湯の支度を頼み、とりあえずは埃に汚れた髪や体をよく洗い、服を改めた。聞かねばならぬ話としても、おいそれと切り出せる話題ではなかった。しかも、私の中に渦巻いている得体の知れない感情が、私自身が冷静に判断できるような状態に無いことを告げていた。
 フランツ様が快楽奴隷を買う。
 その事実が私を苛んでいたのだ。私だけの主だったはずの人が、私の知らないところで、私以上に人を近づける習慣をみつけてしまったなんて。私は、唇を噛んで目を閉じた。あまりにも非論理的な自分の感情を持て扱いかねている自分がそこにいた。




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