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 明け方の夢を膨らませて作った、切ないSMの物語


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性的、暴力的な表現を含んでいます。
虚構と現実の区別のつかない方
18歳未満の方はご遠慮くださいませ。
自己責任に於いて閲覧していただきますようお願いします。

 
 
  どれほどの時間がたったのかわからない。しっかりとあの方を抱きしめていた私の腕の中で、ようやく息を吹き返したかのように身じろぎして身を起こされる。力のない指で私の胸を押し返し、どうにかしてまっすぐ座りなおそうとしていた。
「夢を見るんだ」
 その声の不気味さに、私は思わず彼の顔を見直していた。
「縛られて身動きができない夢。ゆるゆると体を責め弄られる……」
 彼の目は何も映していないかのように虚ろだった。それでいて紡がれる言葉は血のにじむ苦痛に彩られている。
「繰り返される苦痛と恥辱。底知れぬ快楽。そして、私はそれを、その快楽を味あう。喜びを持って……」
「ばかな!」
 思わず両肩を掴んで揺さぶってしまう。
「ほんとうだ。私はその夢を乗り越えられない。どうやっても、忘れられないんだ」
 それで、それで快楽奴隷を求めようとされたのですか?まさか、まさか……。それほどまでに堕ちてしまわれたのですか?自分からそれを求めようとするほどに?
「思うようにされた」
 悔しそうに顔をゆがめる主。
「私は分からない。分からないんだ。自分の考えていることも、王が私にほんとうにあれを望んでいたのかということも。だから、もう一度最初からやり直してみたかった。今度は立場を代えて。そうすれば乗り越えられるんじゃないかと」
 息を詰めて見つめていた私の唇から思わず安堵の息が洩れた。胸を覆う口惜しさは消えないが、彼が立ち上がろうとしているのなら、私がすることは決まっていた。
「では、わたくしを」
 彼は驚愕したように、私を振り仰いだ。
「ヴァイス!だめだ」
「フランツ様。どのようなものであれ、外から引き入れれば人目を引きます。使用人の口には戸がたてられないもの。奴隷を求められるのは思い直されますように。必要ならばわたくしをお使いくださればいいのです」
「ヴァイス……お前は騎士なんだぞ。騎士にとって誇りほど大切なものは無いはずだろう?」
「では、あなたは?あなたでさえ、国王陛下の御為にその屈辱を耐え忍ばれたのでしょう?」
 彼は認められないように首を振り続けた。
「お前は分かってない」
 フランツ様は苦しそうに顔をゆがめ逡巡した。
「それがどんなものなのか……拘束され痛めつけられる事がどういうのなのか。それが自分をどう変えていくのか……お前には分からない。いや、分かって欲しくなんかない」
「……なぜです?」
 私は、あなたのもの。最初からあなたのものなのです。
「わたくしは、知りたい。あなたが見た地獄を。そして、それを分かち合えるのはわたくしだけの特権です」
「だが!だが!私はお前にだけは知られたくないんだ。他の誰に知られてもお前にだけは……。それが、どうして分からない?」
「では、わたくしの気持ちはどうなるのです。あなたがこの家の中で、私以外の他の誰かに触れるなんて。そんな事、とても、耐えられそうにありません」
その瞬間、私ははっとして自分の口をふさいだが、出てしまった言葉は戻しようも無かった。
 彼は私の目を見つめた。その白い頬はいつのまにか涙で濡れていた。私は、彼に仕えて9年この方、初めて主の泣くのを見たのだった。




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