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 明け方の夢を膨らませて作った、切ないSMの物語


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性的、暴力的な表現を含んでいます。
虚構と現実の区別のつかない方
18歳未満の方はご遠慮くださいませ。
自己責任に於いて閲覧していただきますようお願いします。

 
 
 辺りが明るくなってきたのに気がつき、私はいてもたってもいられなくなって、部屋を出て玄関の扉の前に行った。鍵を外し扉を開ける。……どれくらいぼんやりとそこに立っていたのか。朝日がさしてきて眩しさに目を細めた時、馬車が軽やかな足音を立てて走ってくるのが見えた。思わず扉を押し開き、正面玄関に近づく馬車の扉に走り寄る。馬車が止まるのももどかしく扉に手をかけて開いた。うとうとされていたのかフランツ様はびっくりした様子で顔を上げられた。
「ヴァイス?どうしたんだ。いったい……」
 急いで馬車に乗り込み、フランツ様の首にかじりつく。ギュッと抱きしめた後に、はっと気がついて、急いで手を離した。フランツ様はちょっとはにかんだ様子で私の顔をご覧になっていた。
「ヴァイス。目が赤いぞ。寝なかったのか」
「フランツ様、背中を見せてください」
 物も言うのももどかしく、彼の上着に手を掛けようとした私の手をフランツ様がやんわりとしかしキッパリと押し返した。
「だめだ。ヴァイス、さがれ」
 私は、フランツ様の落ち着いた顔を見つめ、自分がとんでもない事をしたことに気がついて口の中で詫びの言葉をつぶやきながら馬車から降りた。萎れたまま、フランツ様が降りられるのに手を貸す。
「まったく。ヴァイス、私は姫じゃないんだから」
 笑いを含んだフランツ様の声に、先ほどの身分もわきまえぬ行為を許していただけた事にほっとしながらも、一晩中抱えていた不安は消す事ができず、いつの間にか玄関に控えていたモレンツにお湯の支度を頼むと、寝室までぴったりと後ろを付いて上がっていった。
 控えの間を抜け寝室に入ったとたんに、フランツ様は私の肩をつかむと扉に押し付けて唇を重ねてきた。膝を割り、腿を足の間に押し付ける。
「さあ、言ってごらん。何を想像していた?一晩中眠れなかったんだろう」
「フランツ様。陛下は……」
 ほとんど唇がふれ合わんばかりの距離で瞳を覗き込まれ、私は体が急激に火照ってくる。一晩中胸をさいなんだ想像が反転して自分の身に襲い掛かってくるようだった。膝がある意図を持って押し付けられ、私は身動きできずに痛みに呻く。
 フランツ様は十分私をいたぶったと納得すると、力を込めてじんわりと体を突き放した。体が離れると、急にぽっかりとあいた空虚な隙間に風が吹き込むような恐ろしさに捉われ、身震いしてしまう。
 フランツ様は寝台の横へ歩いていかれると、首のカラーに手を掛けると、ほどき始めた。刺繍で飾られた重い上着をベッドの上に脱ぎ捨てる。あちこちを留めつけている小さなボタンも次々と外され、くるくると服を脱いでしまわれると、素裸の上にベッドの上に用意されていたガウンをさっと羽織られてしまう。そして、ゆっくりと振り向かれた。
「見ただろう?どこにも傷は無いよ」
「フランツ様」
「でも、ベッドのお相手はしてきた」
 分かっていたはずなのに、覚悟していたはずなのに、体から血の気が引くのが分かった。両手を握りしめて、歯をくいしばる。その時ドアが開かれ部屋付きの小姓ミハエルが顔を覗かせてお湯を用意が整った事をつげた。フランツ様は手を振った。立場上、私はお辞儀をして下がるしかなかった。フランツ様の身の回りの世話をするのは、ミハイルの仕事なのだ。
 自分の部屋へ戻ると、もう平静な振りをすることは難しかった。椅子の上に、崩れるように座り込む。唇を噛み締め、暖炉の火を見つめては溜息を付く。フランツ様は陛下に抱かれておいでになったのだ。傷が増える事も無く、お苦しみになる事もなかったはずだとさざめく胸をいくらなだめてもだめだった。
 いくら打ち消しても、陛下とフランツ様が床をともにされた事実が胸を苛む。そんな権利は無い。嫉妬する権利は無いんだ。だが、いくら打ち消しても、心は思うようにならなかった。
 ドアを叩く音がしてはっと我に返り、立って行って開けるとミハイルが立っていた。
「旦那様がお呼びです」
 三歩廊下を横切れば、寝室に通じるドアだった。普段はしっかりと鍵が掛かっているドアは内側から開かれていた。すっかりくつろいだ様子のフランツ様はベッドの上に座って葡萄酒を飲んでいらっしゃった。肩で息をしている私を見ると眉を上げて傍らに座るよう促してくる。そして、ベッドサイドのもうひとつの葡萄酒グラスを手渡された。
 フランツ様の静かな様子を伺うと、何をお尋ねするのも僭越な気がして、ただ黙って葡萄酒を無理に咽喉に流し込んだ。やがて、フランツ様は見かねてグラスを取り戻してテーブルの上に置かれ、その隣に自分の空になったグラスも戻される。
「お断りしてきた」
 はっとしてフランツ様の顔を見直す。
「もう、責めのお相手はしかねるとお話しした」
 静かな横顔に食い入るように瞳を走らせる。
「納得されたよ。そのかわりに愛人になれと口説かれたけど」
 フランツ様の声に、ふっと笑いが滲み、私は、呻き声をもらすまいと唇を噛み締めた。気配を察したのか、振り向いたフランツ様はさっと手を伸ばして私の唇にふれた。
「口を緩めるんだヴァイス。傷が付くだろう?」
 フランツ様はちょっとためらわれて、それからその唇に唇をかすかにふれあわせた。唇が離れていこうとする時、思わず追いすがろうとしてしまい、押し返されてしまった。フランツ様が顔をしかめる。
「血の味がするぞ。まったく」
 薄く微笑まれると、ぺろりと唇をなめられる。私は背筋がぞくぞくするのを抑えられなかった。
「それで、仕方なく……お前の話をしたんだ」
 自分の瞳が驚愕に見開かれるのを止めようが無い。話が非常に危ない綱渡りを彼にさせたことをうかがわせる展開になった事に、私は冷や汗が滲んでくるのを感じた。
「陛下は、お前と私を分け合う事を承知されたよ」
「それは……」
 分け合う?あなたを?私と王で?
 私の胸に冷たい氷の楔が打ち込まれる。その瞬間、私はフランツ様を半分失った事を突きつけられたのだ。蜜月は終わりを告げ、あなたの全てが私のものだった日々は終わりになった。当然過ぎるほど当然の事実。そうだ。自分のものだと思う事の方が間違いなのだ。それは、分かっている。だが、体を支配しても王があなたの心を得る事があるとは想像していなかった私にとって、それはわが身を引きちぎられたほどの苦しみでもあった。
 手が震える。彼に知られてはならない。私はその手をベッドの角に押し付ける。自分の浅ましい思い。嫉妬と独占欲を悟られまいとして、私は身もだえしたいほどの苦しみを必死になって押さえつけた。
「だが、お前は私のもの。私だけのものだ」
 ゆるゆると目を上げると、フランツ様が私に突きつけていたのは、皮で編まれた一本の鞭だった。
「そうだろう?」
 静かな波がひたひたと寄せてくる。あるべきものは、あるべき場所へ返る。私の想いも。あなたの想いも。私の一生はあなたのもの。あなたに捧げられたものなのだから。私はベッドから滑り降りると、フランツ様の前にひざまずいた。そして、一度だけ彼の瞳を強く見つめ返してから頭をたれ、その鞭にくちづけた。






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 ヴァイス。ごめんよ~。σ(^_^;)アセアセ...ハッピーエンドにしてあげたかったんだけど、この先もずーっといろいろ、いろいろひどい目にあってください。君の人生は艱難辛苦の連続だぞ。何しろ開き直ったフランツほど怖いものは無いのだ。じゃあ、じゃあ、頑張ってくれたまえ。退場。あ、皆様よろしければ、感想をお願いします。m( __ __ )m

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