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 明け方の夢を膨らませて作った、切ないSMの物語


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性的、暴力的な表現を含んでいます。
虚構と現実の区別のつかない方
18歳未満の方はご遠慮くださいませ。
自己責任に於いて閲覧していただきますようお願いします。

 
 何もせず、寄り添っているだけの30分が過ぎ、がたんという揺れとともに、エレベーターが動き出した。薄暗くなっていた照明も、元通りに明るくなり、ほっとした周囲の人間のざわつきとともに、腰に廻されていた彼の手が名残惜しげに離れていく。まあ、当然といえば当然。
 ドアが開くと、入り口に近い人間から外に吐き出されていった。やれやれ、と向きを変えて、外を見ると心配そうな2人の社員の顔が見えた。5人ばかりの小さな会社だもの。全員がここにいたら、業務は成り立っていない。
「社長!」
「大丈夫よ。河野君は、もう出発した?」
「はい、エレベーターが動くのを待っていたいと言っていたのですが、時間が迫っておりましたので……」
「結構よ。みんなも仕事に戻って。東野、今日の予定を……」
「午前中は、決済を待っている書類がみっつあります。それから、昨日の三菱商事との会議の報告を…」
 私の名前は、高月瑞季。三十二歳。ちっちゃな会社の社長業をしている。もともとは、親が残してくれた財産を転がすために始めた。株をあっちにやったり、こっちにやったりしているだけの、何も産み出さない会社。それがいつのまにか、親の残した人脈に助けられて大きくなった。今でも本業は、株ころがしが中心だけど、顔の広さに任せて、パーティーや個人のイベントを企画する副業を行うようになった。どっちにしても、社員を食べさせるのがメインなのか、お金を廻すのが目的なのか訳の分からない趣味のような会社になってしまっている。
 エレベーターの中でのささやかな楽しみはもうすっかり頭の外へ消え去っていた。だから、うかつにも社長室に入った時には、後ろから付いてきているはずの秘書の動きなんかまったく気にしていなかった。
 ところが、ドアが閉まったとたんに性急に後ろから伸びてきた腕に抱きこまれてしまった。びっくりしている間に、しっかり抱きしめられたと思うと、向きを変えられ壁に押し付けられていた。熱く濡れた唇が貪るようにキスを求めてくる。いや、それはまずいだろう…と、頭の中で忙しく考える。
 相手は秘書なのだ。一日中一緒にいて仕事をする相手。あおりすぎた自分の自業自得とはいえ、こんな展開は予想していなかった。彼の唇が首筋に押し付けられる。あまりにも強い欲求に振り回されて、止めようがなくなっている様子だった。
「東野。やめなさい」
 こんな所で事に及ぶなんてごめんだったから、殊更冷たく拒絶して見せた。
 肩のところに顔を埋めていた彼の身体が一瞬固くなって、それから呻き声とも取れる押し殺した溜息をついた後に弛緩していく。ゆっくりと身体を起こして苦しげな瞳で私の目を覗き込んだと思うと、顔を歪めてくるりと背を向けた。右手を壁に付いて、息を整えようと悪戦苦闘している
 若い者をからかうんじゃないって事よね。ついついあおった責任はこっちにあるし、男の子の生理を無視した行動だった事は確かだった。
「大丈夫?」
 出来るだけ上司らしい冷静な声を出そうとしたつもりだけど、及第点には達していなかった。一拍置いて、振り向いた彼の前髪はすっかり乱れ、眼は欲望に曇っている。
「すいません…」
「気にしないで。あおったのは私なんだから」
 さっと、きびすを返して中央の机を回り込む。まったく何も無かったように。そうする事が一番この場を収める方法のような気がして、今日一番の書類を取り上げる。ああぁ。まったく。朝から、部下を苛めるんじゃなかった。



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