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 明け方の夢を膨らませて作った、切ないSMの物語


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性的、暴力的な表現を含んでいます。
虚構と現実の区別のつかない方
18歳未満の方はご遠慮くださいませ。
自己責任に於いて閲覧していただきますようお願いします。

 
 ぽかんと口を空けて、相手の顔を見てしまった。真剣な彼の瞳にぶつかって、思いもかけずに頭に血が昇る。小さなパニックがポンと弾けて、すっかりうろたえる。
「ねぇ。あなた、私が水曜日にどこに行くか知っているでしょう?」
「存じております。代わりに予約を入れた事もありますから」
「じゃあ。じゃあ。私がSだって事も分かっているでしょう!?」
 毎週水曜日、私は入会にきちんと紹介の必要な会員制のSMクラブに通ってプレイしている。そう、予約を入れてあったのに急に用事が出来て、キャンセルの手配をしてもらったりして、あらかたみんな彼には筒抜けになっていた。普段一緒に仕事をしていて、その言動から彼はノーマルだって思い込んでいるから、今朝の今朝まで相手をまったく『性愛の対象としての異性』とみなしていなかった。
「ええ。分かっています。ですから、今まであなたには知られないようにふるまってきました。気持ちを伝えたから何かが変わるとも思っていません。ただ、今朝の事がその場の成り行きのキスだと思われるのだけは、耐えられなかったので申し上げました」
 驚愕に椅子にどさっと座り込んでしまった。三年間、私の私生活のスケジュールを全部知られていて、はっきり言って誰よりも長い時間を一緒に過ごしていたのに、彼が私に好意を寄せていたなんて、これっぽっちも気がつかなかった。こんな世界に身を置いていて、相手の顔色を読んで過ごしているのに。この男は私にまったく気づかせない、鉄壁のポーカーフェイスを貫き通していたらしい。
「私が好き?」
 まったく計算が出来なくなって無防備に聞き返すと、彼の周囲に張り巡らせてあったぴりぴりとした防御の気配がしゅしゅしゅしゅと音を立てるかのように縮んでいくのが分かった。心底から辛そうな表情が水底から持ち上がってくる。
「ええ。好きです」
 どれくらいの時間、頭を抱えていたんだろう。遠慮がちな声に我に帰ると、東野は、心底困ったような顔をして目の前に立っている。私は、急に魅力的に見えるようになった部下と机を挟んで向き合っていた。
「……社長?お車を正面に廻させますか?」
 ぱちぱちと瞬きをすると、世界がようやくハッキリしてきた。一度、男と認識してしまったものを、後戻りなどできそうにない。そう思って改めてみると、非常に好みのタイプなのははっきりしているのだった。ひとつ溜息をついて頭を振りながら、これは、手ごわい相手に捕まったかもと思いながらうなずいた。
「お願い」




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