★新館・旧館・別館の構成★
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性的、暴力的な表現を含んでいます。
虚構と現実の区別のつかない方
18歳未満の方はご遠慮くださいませ。
自己責任に於いて閲覧していただきますようお願いします。
物も言わず、必死にカメラのシャッターを切る聡史がようやく、カメラをおろしてよろよろと立ち上がり、次の部屋へ行くとどさっと座り込んだ。晃は枕紙で、彼女の秘所を手早く拭うと、さっきとは違った意味の集中を見せて縄を解き始める。逝った後の身体はぐったりとして、何もかも縄にまかせきった状態になる。体重がかかって、結び目も解きにくいのだった。
まず右足を、それから左足を抱えるようにしてそっと下ろすと、巻き付いていた縄が彼女の肌をこすらないように、注意して取り除く。不用意に引っ張ると詩織のように白く柔らかな肌は擦過傷をつくってしまう。それから、しっかりと残った縄の後を軽く揉み解してやってから裾を、手早く足に巻きつけてやった。
次は吊るしていた腕だ。こっちの方が長い時間縛ったままだった。晃は真剣な表情で、彼女の身体を支え、縄に体重がかからないように持ち上げてやりながら結び目を解いていった。投げ出されるように腕が滑り落ちてくるのを受け止める。ぼんやりと、うつろな目を開けている詩織を抱きとめて、ゆっくりと畳の上に横たえた。乱れた胸元をかき合わせ、見八つ口から手を入れて襟を引いてやる。見苦しくない程度に、着物の乱れを整えてやってから、改めて彼女の手首をとり、赤く残った縄の後をそっと揉みほぐし、腕を擦ってやった。
初めての緊縛で、強いエクスタシーを無理矢理強要され、気を失ったようになった詩織だったが、優しく介抱されているうちにだんだんと意識がハッキリしてきたらしい。自分の手を握っている相手に焦点が合うと、驚いたように慌てて手を引き抜こうとした。晃は、逆らわず彼女の手を離した。軽くぽんぽんと腕の辺りを叩いてから、おもむろに立ち上がる。
「聡史」
すっかり呆けてしまった様子の男に親指を立てて合図し、彼がようやく我に帰ってそれを見たのを確認してから、晃は障子を閉めて部屋を出た。二人だけにしてやった方がいいのか、しないほうがいいのか。ちょっと迷うところだったが、自分自身もいっぱい、いっぱいになっていて、平静な顔でそこにいるのは難しくなってきていた。何といっても、晃はまだ若い。

庭石をたどりながら池の向こうに行くと、庭仕事をする人間のための足洗い場があったので、晃はかがみこんで顔を洗った。それで、ようやく一息つけた。池を眺める人のために点在している縁台に腰を降ろした。
タバコが吸いたい。縄師になって、女性の近くによらなければならない仕事を始めてから、禁煙した。なのに、無性にタバコが吸いたかった。驚くべき女性だな……。晃はさっきまで彼女の身体の中に入っていた右手を拡げて、その感触を思い出そうとした。ねっとりと絡みつく暖かい彼女の内部。
あ、やば。勃ってきたのに気が付いて、急いで、その感覚を振り払うように頭を振った。まいったな。この先、冷静に彼女を責められるのか自信が無くなっていた。
詩織の感じている表情。羞恥の身もだえ。ぴんと張った太腿の内側の筋肉の引きつり。熱い吐息。なまめかしい喘ぎ。そんな物がどっと蘇ってきた。
「聡史の馬鹿野郎」
晃にはよくわからなかった。自分の一番大事なものを他の男にゆだねる彼の神経が。
物狂い。
そう、聡史はそんな男だった。写真のためなら、どんな非常識な事でも平気でやる。突っ走りだすと止まれない。その集中力は、驚くべきものだった。そして、実際に晃が驚嘆するような写真を仕上げて見せた。
芸術家ってやつは……。
晃は溜息をつく。何を言っても無駄だろう。聡史はきっとやり遂げるに違いない。だが、その時、詩織はどうなっているのだろう……。
気が付くと母屋の方から、届けられた弁当とお茶を持った家人がやってくるのが見えた。晃は立ち上がって、家人が離れに近づく前に捕まえる事にして近づいて行った。
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午後からは、土蔵での撮影になった。着物を脱がせる事がメインの撮影で、午前中のショックで食欲が無い詩織は、無理矢理弁当を喉に押し込んだ。
撮影のモデルは体力を使う。食べないで低血糖の発作にでもなったら、どんでもない迷惑をかけることになる。食べなかったせいで起きたのか、やっていることのせいで起きたのか、分からない事態だけは引き起こしたくなかった
食事がすむと詩織は、障子をきっちりと閉めて、屏風の陰で乱れた着物をいったん脱いで、風を当て、その間に身体を丁寧にタオルで拭ってから、もう一度着物を着付けなおした。足袋だけは替えを持って来ていたので、新しいものには履き替えた。もう一度乱され、剥ぎ取られるためだけに着物をきちんと纏っていく。
始まったばかりで、死ぬほど恥ずかしい思いをした詩織は、胸をふさぐ悲しみに囚われないようにしようと必死だった。今は他の事は考えまい。与えられた仕事をちゃんとこなす事だけを考えよう……。帯締めを結びお太鼓をぽんと叩いて、詩織は部屋の外へ足を踏み出した。
土蔵の中はひんやりと冷たく、それでいて寒さは感じられない。二階の奥に座敷がしつらえられていて、太く黒光りするむき出しの梁や柱が、この土蔵の立てられた時代を表していた。詩織が喉を通らない弁当と格闘していた頃、晃の手でライトや道具が運び込まれ、聡史の手でセッティングがすまされている。
聡史の指示で詩織は、ライトの中央に斜めを向いて横座りになった。聡史がポーズをつけるがままに視線をぼんやりと彷徨わせる。フィルムを巻き上げる音が、するたびに、ギクッとするのを抑えられない様子を見せる。
脅えている。
詩織の姿を眺めながら晃は溜息をつく。緊張している詩織の表情は固い。そして、それが、今の撮影のコンセプトにぴったりの状況を作り出していた。聡史が指を上げて合図をしたので、晃は、詩織の側に行った。
「裾をまくるよ」
驚かないように、示唆しておいて、カメラの方向を考えながら裾を乱していく。足袋に隠れたつま先がくの字に曲がっている。力が入っているのだ。聡史が指で合図するたびに、晃は、進み出ると詩織の着物を脱がせ始めた。
まず帯締めを解いて引き抜く。名古屋の帯のたれがパタンと落ちて流れる。何枚か撮影が進むのを待って、帯揚げを解いて帯枕を外した。帯が形を成さなくなってほどけはじめる。晃は、くるくると帯を引き抜いくと簡単に畳んで土蔵の隅に拡げてあった、たとうの上に置いた。畳の中央には博多織の伊達締めだけを締めた詩織がしどけなく裾を乱して座っている。
「詩織ちゃん立って」
詩織は、まったく逆らわなかった。手を取った晃が導くままに素直に立ち上がる。そんな彼女の様子が晃を帰って不安にさせる。だが、その不安な気持ちをねじ伏せると、晃はてきぱきと作業を続けた。
握りこんだ彼女の腕を後ろに廻させて軽く縄でくくる。伊達締めをほどき、おはしょりの下の腰紐もほどくと着物の前が割れた。裾の位置を整えると、晃は、伊達締めと腰紐を持って、また下がった。
次の合図で襟を持って引き下ろす。半分ずり落ちた着物が縄のかかった腕にかかって、着物が脱げてしまうのを防いでいた。もう一度縄をほどくと着物を取り払った。薄紅色の綸子の襦袢姿の詩織が現れる。詩織の頬はますます硬直し、身体の動きがギクシャクしてきた。
次の合図で晃が詩織の側に近づくと、詩織は午後の撮影が始まって初めて晃の手を避けようとした。泣きそうな瞳が晃の視線を一瞬捉えたがさっと逸らされてしまう。晃は、フィルムを変えている聡史をチラッと見ずにはいられなかった。
あの男は、今何を考えているのだろう。もう一度手を後ろに廻させて軽く、くくった。誰も何も喋らない。だが、三人ともだんだんと緊張が高まってくるのは、感じていた。息をするのさえもはばかるような雰囲気だ。
晃の手が、襦袢を押さえているもう一本の伊達締めにかかると詩織は、観念したかのように目を瞑って息を吸い込んだ。シュシュシュシュ……絹が鳴る音がして伊達締めが引き抜かれると襦袢の前がはらりと割れた。
もう、着物を脱がされた時のような落ち着きは詩織の中に存在しない。身体が現れるのを防ごうとして前かがみになるところを、手首を握ってぐいっと引き起こす。ついに、白く、まろやかで弾むような乳房がこぼれ出た。
纏っている長襦袢の色のような淡い乳首は、すでに尖っている。捻られた首筋から鎖骨のくぼみにかけて、ライトの光をまぶしく弾き返した肌が白くそのなまめかしいラインを浮き上がらせていた。晃は、聡のほうを見ながら彼女の首の後ろを掴んでぐいっと頭を上向かせた。シャッターの音を聞きながら、襟に手をかけて、肩から襦袢を引き下ろす。真っ白で、ぬめぬめと光るようにすべらかな肩がむき出しになった。晃は、舌を巻いてその肌を見つめていた。
半裸になった詩織を座らせる。俯く様に身体を捻って伏せようとする詩織の姿を聡史は多くの枚数を費やして撮った。縄を解くと晃は手早く襦袢を剥ぎ取った。詩織は胸を抱えるようにして、しゃがみこんだ。
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撮影のモデルは体力を使う。食べないで低血糖の発作にでもなったら、どんでもない迷惑をかけることになる。食べなかったせいで起きたのか、やっていることのせいで起きたのか、分からない事態だけは引き起こしたくなかった
食事がすむと詩織は、障子をきっちりと閉めて、屏風の陰で乱れた着物をいったん脱いで、風を当て、その間に身体を丁寧にタオルで拭ってから、もう一度着物を着付けなおした。足袋だけは替えを持って来ていたので、新しいものには履き替えた。もう一度乱され、剥ぎ取られるためだけに着物をきちんと纏っていく。
始まったばかりで、死ぬほど恥ずかしい思いをした詩織は、胸をふさぐ悲しみに囚われないようにしようと必死だった。今は他の事は考えまい。与えられた仕事をちゃんとこなす事だけを考えよう……。帯締めを結びお太鼓をぽんと叩いて、詩織は部屋の外へ足を踏み出した。
土蔵の中はひんやりと冷たく、それでいて寒さは感じられない。二階の奥に座敷がしつらえられていて、太く黒光りするむき出しの梁や柱が、この土蔵の立てられた時代を表していた。詩織が喉を通らない弁当と格闘していた頃、晃の手でライトや道具が運び込まれ、聡史の手でセッティングがすまされている。
聡史の指示で詩織は、ライトの中央に斜めを向いて横座りになった。聡史がポーズをつけるがままに視線をぼんやりと彷徨わせる。フィルムを巻き上げる音が、するたびに、ギクッとするのを抑えられない様子を見せる。
脅えている。
詩織の姿を眺めながら晃は溜息をつく。緊張している詩織の表情は固い。そして、それが、今の撮影のコンセプトにぴったりの状況を作り出していた。聡史が指を上げて合図をしたので、晃は、詩織の側に行った。
「裾をまくるよ」
驚かないように、示唆しておいて、カメラの方向を考えながら裾を乱していく。足袋に隠れたつま先がくの字に曲がっている。力が入っているのだ。聡史が指で合図するたびに、晃は、進み出ると詩織の着物を脱がせ始めた。
まず帯締めを解いて引き抜く。名古屋の帯のたれがパタンと落ちて流れる。何枚か撮影が進むのを待って、帯揚げを解いて帯枕を外した。帯が形を成さなくなってほどけはじめる。晃は、くるくると帯を引き抜いくと簡単に畳んで土蔵の隅に拡げてあった、たとうの上に置いた。畳の中央には博多織の伊達締めだけを締めた詩織がしどけなく裾を乱して座っている。
「詩織ちゃん立って」
詩織は、まったく逆らわなかった。手を取った晃が導くままに素直に立ち上がる。そんな彼女の様子が晃を帰って不安にさせる。だが、その不安な気持ちをねじ伏せると、晃はてきぱきと作業を続けた。
握りこんだ彼女の腕を後ろに廻させて軽く縄でくくる。伊達締めをほどき、おはしょりの下の腰紐もほどくと着物の前が割れた。裾の位置を整えると、晃は、伊達締めと腰紐を持って、また下がった。
次の合図で襟を持って引き下ろす。半分ずり落ちた着物が縄のかかった腕にかかって、着物が脱げてしまうのを防いでいた。もう一度縄をほどくと着物を取り払った。薄紅色の綸子の襦袢姿の詩織が現れる。詩織の頬はますます硬直し、身体の動きがギクシャクしてきた。
次の合図で晃が詩織の側に近づくと、詩織は午後の撮影が始まって初めて晃の手を避けようとした。泣きそうな瞳が晃の視線を一瞬捉えたがさっと逸らされてしまう。晃は、フィルムを変えている聡史をチラッと見ずにはいられなかった。
あの男は、今何を考えているのだろう。もう一度手を後ろに廻させて軽く、くくった。誰も何も喋らない。だが、三人ともだんだんと緊張が高まってくるのは、感じていた。息をするのさえもはばかるような雰囲気だ。
晃の手が、襦袢を押さえているもう一本の伊達締めにかかると詩織は、観念したかのように目を瞑って息を吸い込んだ。シュシュシュシュ……絹が鳴る音がして伊達締めが引き抜かれると襦袢の前がはらりと割れた。
もう、着物を脱がされた時のような落ち着きは詩織の中に存在しない。身体が現れるのを防ごうとして前かがみになるところを、手首を握ってぐいっと引き起こす。ついに、白く、まろやかで弾むような乳房がこぼれ出た。
纏っている長襦袢の色のような淡い乳首は、すでに尖っている。捻られた首筋から鎖骨のくぼみにかけて、ライトの光をまぶしく弾き返した肌が白くそのなまめかしいラインを浮き上がらせていた。晃は、聡のほうを見ながら彼女の首の後ろを掴んでぐいっと頭を上向かせた。シャッターの音を聞きながら、襟に手をかけて、肩から襦袢を引き下ろす。真っ白で、ぬめぬめと光るようにすべらかな肩がむき出しになった。晃は、舌を巻いてその肌を見つめていた。
半裸になった詩織を座らせる。俯く様に身体を捻って伏せようとする詩織の姿を聡史は多くの枚数を費やして撮った。縄を解くと晃は手早く襦袢を剥ぎ取った。詩織は胸を抱えるようにして、しゃがみこんだ。
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晃が縄を持って近づいてくるのを、詩織は絶望の面持ちで見た。午前中に、明るい縁側で縛られた時とは違う。胸を絞り上げられるような恐ろしさ。もう、何もかも見られて、あんな恥ずかしい醜態まで晒した。改めて着物を脱ぐのは、恥ずかしいだろうが、それでも二度目なのだからさっきよりも楽なはず。そう騒ぐ気持ちを抑えて望んだ撮影だったが、詩織は、自分の考え違いを突きつけられていた。
裸になるということは、ただ恥ずかしいだけではない。当たり前のように与えられていた人間であると言う事。基本的な人権が守られる一人の人間であるという事を奪い取られるということ。文明の常識をすべて剥ぎ取られるような恐ろしさだった。むき出しの胸を晒す事は、もう何も守るものが無いような心細さを感じさせる。足元が頼りなく、踏む床さえも覚束ない。怖い。

晃は詩織の手を掴むと後ろに捻り上げた。午前中と同じ様に後ろ手に縄をかけていく。だが、今度は素肌の上に直に縄が廻される。それが、詩織を一層怖がらせている事に晃は気がついた。かすかに震え青ざめている詩織の肩は、細く華奢な少女のようだった。思わず抱き寄せたくなるような清らかさ。
晃は、奥歯を噛み締めながら、縄をかける事に集中しようとした。今度は留め縄を使って、ゆるまないようにきっちりとかける。素肌の上なので、ゆるいと、かえって擦り傷を作ってしまう。ほんの少しだけ、紙一重で肌に喰いこむ様にじんわりと縄を廻すと、ぎゅっと縄に抱きしめられるような感覚が押し寄せてくるはずだった。
きゅきゅきゅきゅ……。きゅっ。縄留めをすると、詩織が深く息を吸い込んだ。
「苦しくない?」
かすかにうなずく気配がする。晃は喉の渇きを感じて、うろたえた。次に待っているものを想像して、自分が高ぶっている事に気がついたのだ。聡史が撮影をするのに任せると、ライトの輪の中から逃れて、たとうのそばに置いてあったペットボトルを取り上げると、一気に飲み干した。
額に滲む汗を拭く。ライトの中に、詩織がうずくまっているのが見えた。背中を丸めるようにしてひざまずいたまま頭をたれている。まるで、神の前に額ずく巫女のように。その神は、禍々しく祟りを成す男神に違いなかった。後手の指がくねる。身体の中から何かが湧き上がってくるかのように、彼女の身体は肌がぴんと張り詰めてピンク色につやつやと光ってきている。
晃はその背中を見つめながら深呼吸した。彼女の身体が息を吸い込むのに合わせて、息を吸う。吐くのに合わせて息を、吐く。彼女に同調が始まる。トランスに入っている彼女は、ぼうっとかすんだ瞳をもたげた。誰かを探しているかのようにその視線が流れる。視線の方角から斜めにライトを横切って場に入っていく、ぼんやりと、近づいてくる晃を目で追う詩織。見ているのも定かでないような焦点が合っていない視線は、彼女が三度目の緊縛にして縄酔いに入ってきていることを示していた。
腕を掴み背中を支えながらそっと後ろへ横たえていく。後手に縛られた腕は身体の下敷きになると痛みが増す。
「足袋を……」
晃の言葉に詩織はうなずいた。何の疑いも無く足を晃に取らせる。晃は膝の上に取り上げた彼女の足袋のこはぜをひとつ一つ丁寧に外しながら、反対の手でゆっくりと縄を引き寄せた。足袋を脱がせた足はそのまま膝の上に抑えてもう一方の足も抱え上げる。
素足になった彼女の足首をぐっと掴んで足首同士を交差させた時、詩織は、夢から醒めたようにびっくりして生き返った。くるくるっと縄がまきつけられ、縛り上げられると、もう、膝を閉じ合わせる事はできない。詩織が焦って起き上がろうとしたのとは、反対に、晃はその交差した足首の縄目に腕を乗せると、詩織の身体に向かって押しながら自分の身体をのし上げていった。逆らいようも無く膝が大きく割れて菱型に開いていく。
「ああああ……」
詩織が必死になって、起き上がろうともがいても、晃の身体の下の足は、胡坐の形に留め縄をかけられてしまっていた。もう一本の縄を足して足首に絡ませると、もう一度強く体重を掛けて縄を首に廻した。身体は二つ折りになり腰巻が残っているとはいえ、一枚めくれば何もかも丸見えだった。しかも、その白絹の腰巻はすでに、足を胡坐に組み合わせた時点ですっかりめくれあがり、腰周りを隠す役にしか立っていない。
詩織はぎゅっと首を捻って、赤い顔をくなくなと振っている。晃は彼女の胡坐に組まれた脚に何本もの縄をかけ、後手の結び目に向かって腕を抱き締めるように縄を増やしていった。その張り巡らされた縄は、詩織の身体を捕らえ、蝶番のようにきっちりと折り畳む形を作り出していた。
晃は、ほっそりとしたたおやかな詩織の身体が、くねくねと縄の中でもがくのを身体で感じた。自分の中に確かにある残酷な加虐心が、彼女と肌を接している事でめらめらと燃え上がってくるのが分かる。だが、最後に残ったわずかな自制心が、後戻りする最後のチャンスを捉えた。全部の縄をくるくると巻き込んで、いつものように結び目が身体に当たっていないことを確認すると、晃はさっ……と聡史のほうを振り返った……。
聡史は、シャッターを切り続けながらも、じっと、晃が始めるのを待っている。晃は視線だけで、聡史を問い詰めた。やめるつもりはないのか。もっと他にもやりようがあるんじゃないのか。聡史は、真っ赤になった目をぎっと開くと、迷いを見せる晃をねめつけた。
観念した晃は正面を見つめて目を瞑る。もう一度息を深く吸い込む。詩織の呼吸に合わせて吐き出す。さっきは苦も無くできたことが、迷いのある今は集中できない。出来るだけ細く静かに呼吸を繰り返す。彼女に同調する。ひとつになる。そして、溶け合う。
そして晃は肘を彼女の脛に押し当てると、じんわりと体重をかけ始めた。
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裸になるということは、ただ恥ずかしいだけではない。当たり前のように与えられていた人間であると言う事。基本的な人権が守られる一人の人間であるという事を奪い取られるということ。文明の常識をすべて剥ぎ取られるような恐ろしさだった。むき出しの胸を晒す事は、もう何も守るものが無いような心細さを感じさせる。足元が頼りなく、踏む床さえも覚束ない。怖い。

晃は詩織の手を掴むと後ろに捻り上げた。午前中と同じ様に後ろ手に縄をかけていく。だが、今度は素肌の上に直に縄が廻される。それが、詩織を一層怖がらせている事に晃は気がついた。かすかに震え青ざめている詩織の肩は、細く華奢な少女のようだった。思わず抱き寄せたくなるような清らかさ。
晃は、奥歯を噛み締めながら、縄をかける事に集中しようとした。今度は留め縄を使って、ゆるまないようにきっちりとかける。素肌の上なので、ゆるいと、かえって擦り傷を作ってしまう。ほんの少しだけ、紙一重で肌に喰いこむ様にじんわりと縄を廻すと、ぎゅっと縄に抱きしめられるような感覚が押し寄せてくるはずだった。
きゅきゅきゅきゅ……。きゅっ。縄留めをすると、詩織が深く息を吸い込んだ。
「苦しくない?」
かすかにうなずく気配がする。晃は喉の渇きを感じて、うろたえた。次に待っているものを想像して、自分が高ぶっている事に気がついたのだ。聡史が撮影をするのに任せると、ライトの輪の中から逃れて、たとうのそばに置いてあったペットボトルを取り上げると、一気に飲み干した。
額に滲む汗を拭く。ライトの中に、詩織がうずくまっているのが見えた。背中を丸めるようにしてひざまずいたまま頭をたれている。まるで、神の前に額ずく巫女のように。その神は、禍々しく祟りを成す男神に違いなかった。後手の指がくねる。身体の中から何かが湧き上がってくるかのように、彼女の身体は肌がぴんと張り詰めてピンク色につやつやと光ってきている。
晃はその背中を見つめながら深呼吸した。彼女の身体が息を吸い込むのに合わせて、息を吸う。吐くのに合わせて息を、吐く。彼女に同調が始まる。トランスに入っている彼女は、ぼうっとかすんだ瞳をもたげた。誰かを探しているかのようにその視線が流れる。視線の方角から斜めにライトを横切って場に入っていく、ぼんやりと、近づいてくる晃を目で追う詩織。見ているのも定かでないような焦点が合っていない視線は、彼女が三度目の緊縛にして縄酔いに入ってきていることを示していた。
腕を掴み背中を支えながらそっと後ろへ横たえていく。後手に縛られた腕は身体の下敷きになると痛みが増す。
「足袋を……」
晃の言葉に詩織はうなずいた。何の疑いも無く足を晃に取らせる。晃は膝の上に取り上げた彼女の足袋のこはぜをひとつ一つ丁寧に外しながら、反対の手でゆっくりと縄を引き寄せた。足袋を脱がせた足はそのまま膝の上に抑えてもう一方の足も抱え上げる。
素足になった彼女の足首をぐっと掴んで足首同士を交差させた時、詩織は、夢から醒めたようにびっくりして生き返った。くるくるっと縄がまきつけられ、縛り上げられると、もう、膝を閉じ合わせる事はできない。詩織が焦って起き上がろうとしたのとは、反対に、晃はその交差した足首の縄目に腕を乗せると、詩織の身体に向かって押しながら自分の身体をのし上げていった。逆らいようも無く膝が大きく割れて菱型に開いていく。
「ああああ……」
詩織が必死になって、起き上がろうともがいても、晃の身体の下の足は、胡坐の形に留め縄をかけられてしまっていた。もう一本の縄を足して足首に絡ませると、もう一度強く体重を掛けて縄を首に廻した。身体は二つ折りになり腰巻が残っているとはいえ、一枚めくれば何もかも丸見えだった。しかも、その白絹の腰巻はすでに、足を胡坐に組み合わせた時点ですっかりめくれあがり、腰周りを隠す役にしか立っていない。
詩織はぎゅっと首を捻って、赤い顔をくなくなと振っている。晃は彼女の胡坐に組まれた脚に何本もの縄をかけ、後手の結び目に向かって腕を抱き締めるように縄を増やしていった。その張り巡らされた縄は、詩織の身体を捕らえ、蝶番のようにきっちりと折り畳む形を作り出していた。
晃は、ほっそりとしたたおやかな詩織の身体が、くねくねと縄の中でもがくのを身体で感じた。自分の中に確かにある残酷な加虐心が、彼女と肌を接している事でめらめらと燃え上がってくるのが分かる。だが、最後に残ったわずかな自制心が、後戻りする最後のチャンスを捉えた。全部の縄をくるくると巻き込んで、いつものように結び目が身体に当たっていないことを確認すると、晃はさっ……と聡史のほうを振り返った……。
聡史は、シャッターを切り続けながらも、じっと、晃が始めるのを待っている。晃は視線だけで、聡史を問い詰めた。やめるつもりはないのか。もっと他にもやりようがあるんじゃないのか。聡史は、真っ赤になった目をぎっと開くと、迷いを見せる晃をねめつけた。
観念した晃は正面を見つめて目を瞑る。もう一度息を深く吸い込む。詩織の呼吸に合わせて吐き出す。さっきは苦も無くできたことが、迷いのある今は集中できない。出来るだけ細く静かに呼吸を繰り返す。彼女に同調する。ひとつになる。そして、溶け合う。
そして晃は肘を彼女の脛に押し当てると、じんわりと体重をかけ始めた。
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「うう……く……苦しい」
捻りあげられた後手の手首に二人分の体重がかかる。きっちりと縄が巻き付き息を吸い込むたびにきゅうきゅうと音を立てるほど、身体中を縄に抱きしめられた詩織が、驚愕の瞳を見開いた。少し緩めて、一度詩織に息を吸い込ませてから、また、じんわりと押していく。身体中の自由にならない関節が、無理に折りたたまれる痛みに悲鳴を上げた。
「あ……ふっ……い、いた……痛い……」
痛いのは知っている。昔の牢では、竹を差し込んで捻り上げた。関節がきりきりとなるような、耐えがたい激痛。続ければ骨が外れるか折れるか、息が吸えなくなって痙攣するか……。
顔の表情を見るために仰向けでやってくれと聡史に言われた時、晃は、激しく反対した。腕に体重がかかる仰向けの姿勢の方が危険だし痛みも激しい。だが、物狂いの男は承知しなかった。今、晃は、聡史を説得できなかったつけを払っているのだ。彼女の顔色を確かめながら、少し緩めては先ほどより強く体重をかけていく。
身体の下にある彼女の肉が激痛と苦しみのために痙攣する。足の指が捻れる。ぽっかりと開いた瞳に涙が盛り上がり溢れて流れる。晃は自分の身体の狂おしいほどの昂りに、気持ちが引きずられ始めているのを必死で押し留めた。みぞおちの辺りが欲求にきゅううと捻れる。今すぐに彼女が、欲しい。思いっきり引き裂きたい。馬鹿な。一緒に暴走してどうするんだ。
「い、嫌……くっ、あ、痛い……」
身体が震え始めている。後ろに廻された腕が色を変え始める。詩織ちゃん……ごめん。そう、心に呟きながらも、噛み締められる唇や泣き濡れて苦痛に曇る瞳が愛おしくてならない。もっと、もっと、泣かせてみたい。晃は、これで、最後と、思いっきり体重を乗せた。
「きゃあああああ……」
詩織の顔色は急激に青ざめ、紫色になった唇が震える。
「詩織ちゃん。『お許しください。』は?」
晃は彼女の顔を覗き込む。だが、あまりの痛みに彼女の身体はぴくぴくと引きつるばかりで、はかばかしい反応がない。苦痛のあまりにパニックになってセーフワードの事を忘れてしまったのではないかと思うと気が気ではなかった。
「詩織ちゃん。『お許しください。』って言わないと、許してあげないよ。詩織ちゃん?」
詩織はいやいやと首を振るばかりで、彼女の顔色はどんどん青ざめ、いまや真っ白になっていた。晃は、詩織の瞳を覗き込む。詩織の視線を捉えようとするが、焦点はすでに合っていない。晃は、ぱっと立ち上がるといつも、道具の中に忍ばせているはさみで縄の要所々々をパチパチと切った。たたみこまれていた身体はだらんと拡がる。
ひゅううっと息を吸い込んだ彼女が、大きく喘ぎ始めて晃はほっとした。意地っ張りが……。だが、それくらいの気力が無ければ、これから先の責めに耐えられはしない。「Bondage」の後半は苦痛責めが続く事になるのだから……。
後ろ手の縄をすばやく解くと、次に脚を胡坐に縛り付けてある縄にかかった。
「詩織ちゃん。大丈夫。僕が分かるかい?」
うなずく詩織に意識はあるようだった。すべての縄を解いてしまうと、晃は改めて詩織の腕を持ち上げると掌で強くこすった。
「痺れは?」
「正座した時みたい……」
詩織がようやく意味のある言葉を言った事で、晃はちょっと安心した。そのまま腕をこすり続ける。
「なんだかまるで世界が大きくなったり小さくなったりするよう。ふわふわって身体が揺れて、気が遠くなって気持ちよくなって……」
晃は、もう少しで壊してしまうところだった彼女の手を黙ってこすり続けた。ふと、手元に影が差す。顔を上げると、すぐ側に聡史がカメラを握って立っていた。
「彼女は一日目でのりを越えた」
ぞっとするような、恐ろしいしゃがれ声に晃は、総毛だった。予想もつかない事態に脚を踏み入れ始めているのではないかと考えて、晃はぶるっと身ぶるしいた。
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捻りあげられた後手の手首に二人分の体重がかかる。きっちりと縄が巻き付き息を吸い込むたびにきゅうきゅうと音を立てるほど、身体中を縄に抱きしめられた詩織が、驚愕の瞳を見開いた。少し緩めて、一度詩織に息を吸い込ませてから、また、じんわりと押していく。身体中の自由にならない関節が、無理に折りたたまれる痛みに悲鳴を上げた。
「あ……ふっ……い、いた……痛い……」
痛いのは知っている。昔の牢では、竹を差し込んで捻り上げた。関節がきりきりとなるような、耐えがたい激痛。続ければ骨が外れるか折れるか、息が吸えなくなって痙攣するか……。
顔の表情を見るために仰向けでやってくれと聡史に言われた時、晃は、激しく反対した。腕に体重がかかる仰向けの姿勢の方が危険だし痛みも激しい。だが、物狂いの男は承知しなかった。今、晃は、聡史を説得できなかったつけを払っているのだ。彼女の顔色を確かめながら、少し緩めては先ほどより強く体重をかけていく。
身体の下にある彼女の肉が激痛と苦しみのために痙攣する。足の指が捻れる。ぽっかりと開いた瞳に涙が盛り上がり溢れて流れる。晃は自分の身体の狂おしいほどの昂りに、気持ちが引きずられ始めているのを必死で押し留めた。みぞおちの辺りが欲求にきゅううと捻れる。今すぐに彼女が、欲しい。思いっきり引き裂きたい。馬鹿な。一緒に暴走してどうするんだ。
「い、嫌……くっ、あ、痛い……」
身体が震え始めている。後ろに廻された腕が色を変え始める。詩織ちゃん……ごめん。そう、心に呟きながらも、噛み締められる唇や泣き濡れて苦痛に曇る瞳が愛おしくてならない。もっと、もっと、泣かせてみたい。晃は、これで、最後と、思いっきり体重を乗せた。
「きゃあああああ……」
詩織の顔色は急激に青ざめ、紫色になった唇が震える。
「詩織ちゃん。『お許しください。』は?」
晃は彼女の顔を覗き込む。だが、あまりの痛みに彼女の身体はぴくぴくと引きつるばかりで、はかばかしい反応がない。苦痛のあまりにパニックになってセーフワードの事を忘れてしまったのではないかと思うと気が気ではなかった。
「詩織ちゃん。『お許しください。』って言わないと、許してあげないよ。詩織ちゃん?」
詩織はいやいやと首を振るばかりで、彼女の顔色はどんどん青ざめ、いまや真っ白になっていた。晃は、詩織の瞳を覗き込む。詩織の視線を捉えようとするが、焦点はすでに合っていない。晃は、ぱっと立ち上がるといつも、道具の中に忍ばせているはさみで縄の要所々々をパチパチと切った。たたみこまれていた身体はだらんと拡がる。
ひゅううっと息を吸い込んだ彼女が、大きく喘ぎ始めて晃はほっとした。意地っ張りが……。だが、それくらいの気力が無ければ、これから先の責めに耐えられはしない。「Bondage」の後半は苦痛責めが続く事になるのだから……。
後ろ手の縄をすばやく解くと、次に脚を胡坐に縛り付けてある縄にかかった。
「詩織ちゃん。大丈夫。僕が分かるかい?」
うなずく詩織に意識はあるようだった。すべての縄を解いてしまうと、晃は改めて詩織の腕を持ち上げると掌で強くこすった。
「痺れは?」
「正座した時みたい……」
詩織がようやく意味のある言葉を言った事で、晃はちょっと安心した。そのまま腕をこすり続ける。
「なんだかまるで世界が大きくなったり小さくなったりするよう。ふわふわって身体が揺れて、気が遠くなって気持ちよくなって……」
晃は、もう少しで壊してしまうところだった彼女の手を黙ってこすり続けた。ふと、手元に影が差す。顔を上げると、すぐ側に聡史がカメラを握って立っていた。
「彼女は一日目でのりを越えた」
ぞっとするような、恐ろしいしゃがれ声に晃は、総毛だった。予想もつかない事態に脚を踏み入れ始めているのではないかと考えて、晃はぶるっと身ぶるしいた。
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ショーが、終って、楽屋に引き上げると椅子に座った晃は、ぐったりと壁にもたれかかった。ここのところ集中力を欠くために、ショーの間、一瞬も気が抜けなくて、妙に疲れる。観客との間も上手く同調できなくて、クライマックスを作り上げるために、力に任せて場を引っ張るせいもあった。先に引き上げてきていたM役を務めた洋子が、絹のガウン姿でくすくす笑いながらお絞りと冷たい麦茶をお盆に載せて持って来た。
「いつもと立場が反対」
「ああ……。ごめん。洋子さん。僕、酷い事しませんでした?」
「うふ。大丈夫よ。ちゃんとやれていたわ。いつもよりずっと神経質に念入りにしていたじゃない。どうしちゃったのかと思ったくらい」
「すみません。自分でもどうしょうもなくて」
「なにかあったの?」
晃とは長い付き合いの洋子は、彼がもっとずっと若い頃からフェティッシュバー等での公開緊縛ショーで、しばしば相手役を務めてきたのだった。だから、お互いに気心も知れている。晃の縛りは基本をきっちり押さえて丁寧で速い事で定評だったが、実際に一番価値があるのは、彼の持つ舞台感覚だった。
何も言わなくても縛られる女性のリズムをちゃんと掴み、一番上手く縄にのれるように縛り上げてくれる。勘、呼吸、リズム。どれがかけてもショーはちぐはぐと上手くいかなくなってしまう。
晃は、洋子に打ち明けようかどうかすごく迷っている様子だったが、胸の中にしまって置くのも限界だったのだろう。穿き捨てるように告白し始めた。
「今、縛っている相手が……」
「うんうん、縛ってる相手が?」
「縛られるのが嫌なんですよ」
「はい?」
洋子はびっくりして、晃の顔をまじまじとみつめた。嫌がる相手を縛るなんて、今の日本ではありえない事態だった。第一、相手が協力してくれないと、複雑に縄をかける緊縛なんて成り立たない。
「服を脱ぐもの嫌。縛られるのも嫌。責められるのも嫌。本質的に彼女はまったくMじゃないんだ」
腹立たしげに言い放つ晃の焦燥の滲む表情を見ていると、晃がぎりぎりのところでかろうじて平静を保っている様子がありありと分かる。
「それって、もしかして、Bondage2の撮影なの?」
晃は憮然としてうなずいた。発売になったBondageは、日米ともに驚くほど評判が良くて、この手のマニアックな写真集としては破竹の勢いで売れているらしい。第二刷の発行の話がすでにあがっている。
「そのモデルの子は、カメラマンが選んだの?」
「ああ……。そうです」
「じゃあ、今さら変えられないのね」
「ええ。実のところカメラマンはBondage2の撮影をしたいんじゃなくって、彼女を撮りたいんです。だから、変更なんてありえない……」
「なにが一番いけないの?」
「なにがって……今までそんなこと一度もしたことないんです。嫌がっている相手を縛るなんて」
洋子は、晃の言いたい事がよくわかった。晃は技術者としてはものすごく優れているし、舞台での演者としても素晴らしい才能があるとは思うが、あまりサディズムを強く表す方ではない。
「そっか」
洋子は、ウーンと身体をのばした。
「晃って、好きな娘とか縛った事ないの?」
「……無いです」
「その娘の事……好き?」
晃は、ちょっと驚いたように、洋子を見た。考えてもいなかったのか前髪を掻き揚げて、思案をめぐらしている。溜息をつくとやれやれというように、洋子の事を見た。
「ええ。好きなんだと思うな」
晃は、座りなおすと、お絞りで手と顔を拭って、麦茶のグラスを取り上げた。
「でも、彼女はそのカメラマンと付き合っている。だから、最初から彼女の事をそういう目で見ることは除外しているつもりだったんです。ところが、いざ始まってみると、冷静じゃいられないんだ」
グラスをお盆に戻すと、また、溜息をつく。
「彼女の嫌がる様を見ていると興奮してくる。もっと酷い事をしてやりたくなる……。自分が何をしているのか、何をしたいのか、分からなくなって、どんどん歯止めが利かなくなってしまう」
「彼女は、ほんとはどうしたいのかな……。その事は考えてみた?」
晃は、唇を噛んで考え込んでいたが、再び溜息をついて、あきらめたように手足を投げ出した。それから、洋子の方をじっと見つめた。
「洋子さんは、なんで、SMに興味を持ったんですか?」
「え?私?……だって、好きだったから」
洋子はうろたえて、自分が真っ赤になっていることに気がついた。膝を抱えてちょっと照れてみせる。
「いいな。洋子さんは」
「どうして」
「だって……かわいい」
洋子は、ますます赤くなって思わず晃の肩をぶってしまった。
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「いつもと立場が反対」
「ああ……。ごめん。洋子さん。僕、酷い事しませんでした?」
「うふ。大丈夫よ。ちゃんとやれていたわ。いつもよりずっと神経質に念入りにしていたじゃない。どうしちゃったのかと思ったくらい」
「すみません。自分でもどうしょうもなくて」
「なにかあったの?」
晃とは長い付き合いの洋子は、彼がもっとずっと若い頃からフェティッシュバー等での公開緊縛ショーで、しばしば相手役を務めてきたのだった。だから、お互いに気心も知れている。晃の縛りは基本をきっちり押さえて丁寧で速い事で定評だったが、実際に一番価値があるのは、彼の持つ舞台感覚だった。
何も言わなくても縛られる女性のリズムをちゃんと掴み、一番上手く縄にのれるように縛り上げてくれる。勘、呼吸、リズム。どれがかけてもショーはちぐはぐと上手くいかなくなってしまう。
晃は、洋子に打ち明けようかどうかすごく迷っている様子だったが、胸の中にしまって置くのも限界だったのだろう。穿き捨てるように告白し始めた。
「今、縛っている相手が……」
「うんうん、縛ってる相手が?」
「縛られるのが嫌なんですよ」
「はい?」
洋子はびっくりして、晃の顔をまじまじとみつめた。嫌がる相手を縛るなんて、今の日本ではありえない事態だった。第一、相手が協力してくれないと、複雑に縄をかける緊縛なんて成り立たない。
「服を脱ぐもの嫌。縛られるのも嫌。責められるのも嫌。本質的に彼女はまったくMじゃないんだ」
腹立たしげに言い放つ晃の焦燥の滲む表情を見ていると、晃がぎりぎりのところでかろうじて平静を保っている様子がありありと分かる。
「それって、もしかして、Bondage2の撮影なの?」
晃は憮然としてうなずいた。発売になったBondageは、日米ともに驚くほど評判が良くて、この手のマニアックな写真集としては破竹の勢いで売れているらしい。第二刷の発行の話がすでにあがっている。
「そのモデルの子は、カメラマンが選んだの?」
「ああ……。そうです」
「じゃあ、今さら変えられないのね」
「ええ。実のところカメラマンはBondage2の撮影をしたいんじゃなくって、彼女を撮りたいんです。だから、変更なんてありえない……」
「なにが一番いけないの?」
「なにがって……今までそんなこと一度もしたことないんです。嫌がっている相手を縛るなんて」
洋子は、晃の言いたい事がよくわかった。晃は技術者としてはものすごく優れているし、舞台での演者としても素晴らしい才能があるとは思うが、あまりサディズムを強く表す方ではない。
「そっか」
洋子は、ウーンと身体をのばした。
「晃って、好きな娘とか縛った事ないの?」
「……無いです」
「その娘の事……好き?」
晃は、ちょっと驚いたように、洋子を見た。考えてもいなかったのか前髪を掻き揚げて、思案をめぐらしている。溜息をつくとやれやれというように、洋子の事を見た。
「ええ。好きなんだと思うな」
晃は、座りなおすと、お絞りで手と顔を拭って、麦茶のグラスを取り上げた。
「でも、彼女はそのカメラマンと付き合っている。だから、最初から彼女の事をそういう目で見ることは除外しているつもりだったんです。ところが、いざ始まってみると、冷静じゃいられないんだ」
グラスをお盆に戻すと、また、溜息をつく。
「彼女の嫌がる様を見ていると興奮してくる。もっと酷い事をしてやりたくなる……。自分が何をしているのか、何をしたいのか、分からなくなって、どんどん歯止めが利かなくなってしまう」
「彼女は、ほんとはどうしたいのかな……。その事は考えてみた?」
晃は、唇を噛んで考え込んでいたが、再び溜息をついて、あきらめたように手足を投げ出した。それから、洋子の方をじっと見つめた。
「洋子さんは、なんで、SMに興味を持ったんですか?」
「え?私?……だって、好きだったから」
洋子はうろたえて、自分が真っ赤になっていることに気がついた。膝を抱えてちょっと照れてみせる。
「いいな。洋子さんは」
「どうして」
「だって……かわいい」
洋子は、ますます赤くなって思わず晃の肩をぶってしまった。
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次の撮影の前に、晃は聡史の隙をついて詩織を物陰に引きずり込んだ。
「訊きたい事があるんだ」
「なあに」
回数を重ねるうちに、詩織も晃の人となりが分かってきたのだろう。不必要に脅えたり、恥ずかしがったりする事は無くなって来た。休憩時間に、雑談をしているときに笑い顔を見せることすらあった。
「この写真集で、詩織ちゃんが一番望んでいる事はなに?」
詩織は一瞬びっくりしたように、目を見開いた。ちょっと迷ったように視線が泳いだが、俯いてじっと考えている。晃は、黙って待った。一言で答えられる問題じゃない。ゆっくりと顔を上げた詩織の瞳は澄んでいた。
「負けたくないの」
「……何に?」
「分からない。……自分?……それとも、こうなった運命?最初の写真集のモデルさんにも……。聡史にも……」
最後の言葉は消え入るように小さかった。
「いい物を作りたい。……できるよね。わたし……」
「分かった」
晃は彼女の横をすり抜けて離れる際に、詩織の腕をぎゅっと握った。
「きっと、いい物になったって、君に言わせて見せる」
詩織のかすかな微笑みが残像となって晃の脳裏に残る。晃はぎゅっと歯を食い縛った。
撮影は、間を一週間から十日開けて行われていた。晃の仕事の関係もあったし、詩織の体力が回復するのを待つ意味もあった。
その日の撮影の手順は、撮影前日までに聡史と晃の間では事細かく相談されて決めてあった。詩織に知らされるのは、大まかな流れだけだった。例えば、「今日は蔵の中で縛る。着るのは腰巻だけで。予定は2時間。休憩を置いてもう2時間。午前は柱に立った形で縛り付けるから。午後は、疲れ具合を見てから決める」と、いうふうな具合だった。詳しいことを知らないということは、不安でもあるが、始まってしまえば何も考えずただ流れに任せればいいという利点があった。
晃は、ポジも、デジタル画像も毎回チェックに付き合っている。前回の撮影の晃の立ち位置や手足の映りこみ具合を細かく検討して、次の責めの時は、角度を少しずつ修正していく。舞台の経験があるので、一回直すと、同じ失敗は繰り返さないのが晃のすごいところだった。
次回は吊りをするというので、晃は神経質なくらいに細かく打ち合わせをした。一人で吊り上げて、アクシデントが起きたら対処するのに時間がかかる。スタッフが控えていれば、即座にみなで女性の身体を持ち上げれば掛かった荷重は和らぐ。縄を切っていく余裕も産まれる。だが、一人ではそうはいかない。
晃は、床で形を作って一気に吊り上げるという方法と上半身を作り上げてからその後に脚を吊っていき展開していく方法の二つを選んだ。
「吊りは、体力がいるから一日に一度だけにしたい。痕も結構残りやすいし……」
「最初の日はどちらを使う?」
「上半身を作り上げておいてからの方がいいかな?恐怖感が薄いし……」
「後手にして脚を後ろへ吊るんだな。責めに何を使うんだ」
「筆かな?後は、ずいき棒……」
「いつ、鞭を使うんだ?」
晃は、黙った。
「鞭を使う時は、からだが縦に伸びている時がいい。同じ吊りでも縄をほとんどかけないで両手で吊るか、それとも反対に大の字や、台の上に上半身だけ乗せてやりたいんだが……」
「俺は大の字がやりたい。それに逆さ吊り。蔵の中で」
「逆さ吊りをするなら、知り合いに助手を頼みたい。万が一のために」
「詩織に、相談した方がいいな」
「分かった。鞭は何を使う?」
「乗馬鞭やバラ鞭は避けたいんだが……ささら竹は?」
「馬鹿言うなよ。傷だらけになっちまう。一生痕が残ったらどうするんだ」
「うーん。何か……探してくれないか?」
「竹鞭……かな。だが、それでも相当の痛みだぞ」
「みみず腫れになるくらいがいいんだ」
晃は、わざとらしく思いっきり溜息を付いて見せた。
「竹鞭なら節のあとが付く。絵的にはお前の好みだろうがな」
詩織は、だんだんと体つきが変わってきていた。最初にそれに気がついたのは、さすがに聡史だった。胸がぽったりと柔らかく膨らみ、反してウェストのくびれが強くなってきている。両手で握りこめるのではないかと思わせるほどだった。尻はぬめっと白く肌理が細かく、大理石を磨きこんだように艶を増してきている。もちろん毎回撫で回している晃にとっても、彼女の肌の変化は驚きのひとつだった。見られているということが女性をこれほど変えるものなのか……。
どこか幼い様子を残していた詩織の身体は、熟れて膨らみ、たわわに実って重さをましてくる甘い果物のようだった。着物を剥いていく時の恥ずかしがる様子も、どこかしら甘く蕩けるようになってきた。男二人は明らかにその様に魅せられてしまっている。
特に、直に手を触れる晃は、吐く息さえも熱い。そして、その代わりに頭の方はどんどん冴え渡ってくる。場が進むと音がしなくなって、聞こえるのは縄鳴りの音と、彼女の吐息だけ……。だんだんと視界が狭まって周囲が暗くなっていく。しかも、目の前の彼女の姿だけでなく、カメラの中の彼女が二重写しになる感覚がかぶさってくる。
ぐいっと脚にかけた縄を天井の梁に引っ掛けて思いっきり引くと、詩織の片足は後ろ向きに吊りあがる。普段しない格好に足の付け根が痛むのか、詩織は顔をゆがめて呻いた。縄をしっかりと止めてから、荷重を減らすために膝の上と太腿に何本か縄を足した。床に付いている、残された一本の右足が爪先立って震えていた。足先に体重がかかって白くなっている。大きく脚が開かれているために、何も隠しようが無い。
左足の縄先をくるくると仕舞いこみながら、晃は、我を忘れて、しっとりと濡れ光っている彼女のピンク色の合わせ目を中指と人差し指で擦り上げた。声にならない悲鳴を発して、彼女が跳ねる。脚を閉じようとしたのだろう一瞬右足が宙に浮き、身体がゆらりと揺れる。慌てて足を床につけるが、爪先だけで踏ん張りようが無かった、爪先の位置が決まらず不安定に身体がかしぐ。詩織は、再び悲鳴を上げて、身体を固くした。
元の位置へ身体の位置を戻してやろうとして、晃はためらった。そして、もう一度彼女の身体の合わせ目に手を滑らせる。今度は、彼女も自分がどうやっても抵抗できない状態になっていることに気が付いている。不安定な形に固まったまま、どうにかして重心を取り戻そうとつま先の位置を探っていた。いやいやと頭を左右にふる。
「逆らえないの。辛い?」
晃は、彼女の耳元で囁いた。
「聡史の前で、脚を閉じる事もできなくて、僕に触られて濡れる所をあからさまに見られるの……辛い?」
「……言わないで」
睦言を言うように晃は詩織の耳たぶにそっと唇を寄せて、熱い息を吹きかけた。そっと耳たぶを甘噛みする。詩織の背中が汗でじっとりと光り始めていた。
「僕が何をしても、詩織ちゃんは逃げられない。どこを触られても、何も隠せない」
晃の右手が伸ばされ太腿の内側から膝までをさまよった。左手は乳房を掴んでいる。詩織の突っ張った右足は細かく震え続ける。縄が身体に喰い込み、揺れる。いや。やめて。お願い。そんな触り方……。髪の毛をすくように、優しい動きで脚の間をすきあげる手にぶるっと詩織は身震いした。
身動きがならない身体を、触られる時、自由な時とまったく違う鋭い快感が稲妻のように駆けめぐる。詩織は胸に廻された縄に体重を掛けて身体を揺すった。
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「訊きたい事があるんだ」
「なあに」
回数を重ねるうちに、詩織も晃の人となりが分かってきたのだろう。不必要に脅えたり、恥ずかしがったりする事は無くなって来た。休憩時間に、雑談をしているときに笑い顔を見せることすらあった。
「この写真集で、詩織ちゃんが一番望んでいる事はなに?」
詩織は一瞬びっくりしたように、目を見開いた。ちょっと迷ったように視線が泳いだが、俯いてじっと考えている。晃は、黙って待った。一言で答えられる問題じゃない。ゆっくりと顔を上げた詩織の瞳は澄んでいた。
「負けたくないの」
「……何に?」
「分からない。……自分?……それとも、こうなった運命?最初の写真集のモデルさんにも……。聡史にも……」
最後の言葉は消え入るように小さかった。
「いい物を作りたい。……できるよね。わたし……」
「分かった」
晃は彼女の横をすり抜けて離れる際に、詩織の腕をぎゅっと握った。
「きっと、いい物になったって、君に言わせて見せる」
詩織のかすかな微笑みが残像となって晃の脳裏に残る。晃はぎゅっと歯を食い縛った。
撮影は、間を一週間から十日開けて行われていた。晃の仕事の関係もあったし、詩織の体力が回復するのを待つ意味もあった。
その日の撮影の手順は、撮影前日までに聡史と晃の間では事細かく相談されて決めてあった。詩織に知らされるのは、大まかな流れだけだった。例えば、「今日は蔵の中で縛る。着るのは腰巻だけで。予定は2時間。休憩を置いてもう2時間。午前は柱に立った形で縛り付けるから。午後は、疲れ具合を見てから決める」と、いうふうな具合だった。詳しいことを知らないということは、不安でもあるが、始まってしまえば何も考えずただ流れに任せればいいという利点があった。
晃は、ポジも、デジタル画像も毎回チェックに付き合っている。前回の撮影の晃の立ち位置や手足の映りこみ具合を細かく検討して、次の責めの時は、角度を少しずつ修正していく。舞台の経験があるので、一回直すと、同じ失敗は繰り返さないのが晃のすごいところだった。
次回は吊りをするというので、晃は神経質なくらいに細かく打ち合わせをした。一人で吊り上げて、アクシデントが起きたら対処するのに時間がかかる。スタッフが控えていれば、即座にみなで女性の身体を持ち上げれば掛かった荷重は和らぐ。縄を切っていく余裕も産まれる。だが、一人ではそうはいかない。
晃は、床で形を作って一気に吊り上げるという方法と上半身を作り上げてからその後に脚を吊っていき展開していく方法の二つを選んだ。
「吊りは、体力がいるから一日に一度だけにしたい。痕も結構残りやすいし……」
「最初の日はどちらを使う?」
「上半身を作り上げておいてからの方がいいかな?恐怖感が薄いし……」
「後手にして脚を後ろへ吊るんだな。責めに何を使うんだ」
「筆かな?後は、ずいき棒……」
「いつ、鞭を使うんだ?」
晃は、黙った。
「鞭を使う時は、からだが縦に伸びている時がいい。同じ吊りでも縄をほとんどかけないで両手で吊るか、それとも反対に大の字や、台の上に上半身だけ乗せてやりたいんだが……」
「俺は大の字がやりたい。それに逆さ吊り。蔵の中で」
「逆さ吊りをするなら、知り合いに助手を頼みたい。万が一のために」
「詩織に、相談した方がいいな」
「分かった。鞭は何を使う?」
「乗馬鞭やバラ鞭は避けたいんだが……ささら竹は?」
「馬鹿言うなよ。傷だらけになっちまう。一生痕が残ったらどうするんだ」
「うーん。何か……探してくれないか?」
「竹鞭……かな。だが、それでも相当の痛みだぞ」
「みみず腫れになるくらいがいいんだ」
晃は、わざとらしく思いっきり溜息を付いて見せた。
「竹鞭なら節のあとが付く。絵的にはお前の好みだろうがな」
詩織は、だんだんと体つきが変わってきていた。最初にそれに気がついたのは、さすがに聡史だった。胸がぽったりと柔らかく膨らみ、反してウェストのくびれが強くなってきている。両手で握りこめるのではないかと思わせるほどだった。尻はぬめっと白く肌理が細かく、大理石を磨きこんだように艶を増してきている。もちろん毎回撫で回している晃にとっても、彼女の肌の変化は驚きのひとつだった。見られているということが女性をこれほど変えるものなのか……。
どこか幼い様子を残していた詩織の身体は、熟れて膨らみ、たわわに実って重さをましてくる甘い果物のようだった。着物を剥いていく時の恥ずかしがる様子も、どこかしら甘く蕩けるようになってきた。男二人は明らかにその様に魅せられてしまっている。
特に、直に手を触れる晃は、吐く息さえも熱い。そして、その代わりに頭の方はどんどん冴え渡ってくる。場が進むと音がしなくなって、聞こえるのは縄鳴りの音と、彼女の吐息だけ……。だんだんと視界が狭まって周囲が暗くなっていく。しかも、目の前の彼女の姿だけでなく、カメラの中の彼女が二重写しになる感覚がかぶさってくる。
ぐいっと脚にかけた縄を天井の梁に引っ掛けて思いっきり引くと、詩織の片足は後ろ向きに吊りあがる。普段しない格好に足の付け根が痛むのか、詩織は顔をゆがめて呻いた。縄をしっかりと止めてから、荷重を減らすために膝の上と太腿に何本か縄を足した。床に付いている、残された一本の右足が爪先立って震えていた。足先に体重がかかって白くなっている。大きく脚が開かれているために、何も隠しようが無い。
左足の縄先をくるくると仕舞いこみながら、晃は、我を忘れて、しっとりと濡れ光っている彼女のピンク色の合わせ目を中指と人差し指で擦り上げた。声にならない悲鳴を発して、彼女が跳ねる。脚を閉じようとしたのだろう一瞬右足が宙に浮き、身体がゆらりと揺れる。慌てて足を床につけるが、爪先だけで踏ん張りようが無かった、爪先の位置が決まらず不安定に身体がかしぐ。詩織は、再び悲鳴を上げて、身体を固くした。
元の位置へ身体の位置を戻してやろうとして、晃はためらった。そして、もう一度彼女の身体の合わせ目に手を滑らせる。今度は、彼女も自分がどうやっても抵抗できない状態になっていることに気が付いている。不安定な形に固まったまま、どうにかして重心を取り戻そうとつま先の位置を探っていた。いやいやと頭を左右にふる。
「逆らえないの。辛い?」
晃は、彼女の耳元で囁いた。
「聡史の前で、脚を閉じる事もできなくて、僕に触られて濡れる所をあからさまに見られるの……辛い?」
「……言わないで」
睦言を言うように晃は詩織の耳たぶにそっと唇を寄せて、熱い息を吹きかけた。そっと耳たぶを甘噛みする。詩織の背中が汗でじっとりと光り始めていた。
「僕が何をしても、詩織ちゃんは逃げられない。どこを触られても、何も隠せない」
晃の右手が伸ばされ太腿の内側から膝までをさまよった。左手は乳房を掴んでいる。詩織の突っ張った右足は細かく震え続ける。縄が身体に喰い込み、揺れる。いや。やめて。お願い。そんな触り方……。髪の毛をすくように、優しい動きで脚の間をすきあげる手にぶるっと詩織は身震いした。
身動きがならない身体を、触られる時、自由な時とまったく違う鋭い快感が稲妻のように駆けめぐる。詩織は胸に廻された縄に体重を掛けて身体を揺すった。
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最後に残った右足が吊り上げられた時、詩織は悲鳴を上げた。考えていたのを上まわる胸を強く圧迫される苦しさ。そして、吊り上げられた足に掛かる体重の重み。たとえ不安定でも、爪先だけでも、床についているのとついていないのはまったく違うのだと思い知らされる。目の前が暗くなってくる。
「痛い?ごめん。もう少しだから……」
晃が引き上げた右足に、次々と新たな縄を掛け足して行く。先ほど身体を撫で回していた時とは、別人の顔になっていた。めまぐるしく動く晃の手が急いで廻した縄目を整えるために指を滑らせると、今度は腰の周りに新たな縄を増やし始めた。胸にかかっていた荷重が減って行く。詩織は、必死に息を吸い込んだ。
「聡史、頼む」
ようやく、息を付くと、晃は詩織の傍を離れた。彼女の身体はうつぶせになって、ゆらゆらと宙に浮いている。辛そうに眉を寄せて目を閉じた詩織は、後ろに廻した拳を白くなる程に、しっかりと握りしめていた。次々と光るフラッシュをぼんやり眺めながら、晃は汗で濡れた手と顔を拭った。掌には、さっきふれた柔らかな彼女の身体の感触が残っている。晃は詩織と同じ様にその掌をぎゅっと握りこんだ。
吊り上げた後は、あまり時間が残されていない。脚の間に入った晃は、さっき愛撫した、濡れて光っている花びらに、ずいき棒を滑らせた。詩織の身体がびくんと跳ね上がる。見えない場所で何をされているのか、初めての詩織には分からないのだ。ぬめりを塗りつけるように、何度もその場所を擦りあげた。一番感じる場所を特に念入りに狙う。充血したその場所をこうやって擦られると、次に起きる事を予想した女性の身体の中はどんどん熱くなってくる。
「あ……」
耐え切れずに、詩織が声を漏らした瞬間に、晃は、彼女の中にずいき棒をゆっくりと突き立てていった。痙攣する太腿の付け根の筋肉にそっと手を当てて脚を押し拡げる。
「う……うん……」
半分ほど入れてからもう一度ゆっくりと抜く、それからもっと深く差し入れる。何度かそれを繰り返してから、先だけを差し入れて小刻みに揺する。もう一度抜いて、花びらの合わせ目を擦りあげる。そして、深く突き立てる。緩急を混ぜながら、少しずつ少しずつ追い上げていく。
詩織に出来るのは、頭を揺する事と、拳を握りしめる事、そして、身体を震わせることだけだった。もがけばもがくほど縄は喰い込み、身体中を締め付けられる。じっと動かないで耐えるしかなかった。
くちゅ……何度目かにずいき棒が差し入れられたとき、恥ずかしい水音が隠しようも無く響き始めた。詩織はかあっと身体が熱くなるのを感じる。何度も何度も責められて、もう、これ以上恥ずかしいことなんて無いと思っていてもやっぱり恥ずかしい。必死で耐えている詩織を追い込むかのように、晃は、抜き差ししながら膨らんだ感じやすい場所へ左手の中指を押し当てると細かく震わせた。
「あ……あ……あ……」
強い快感がうねりとなって押し寄せてくる。逃げられない。いつもなら、そのうねりに任せてのけぞったり身体を揺すったりできるのに、宙に浮いている身体は詩織の思うようにならなかった。囚われてしまっている事が強く身に沁みる。だが、震える詩織を置き去りにして晃の手が離れていく。
「え?あ……いや……」
身体の中心にずいき棒は深く突き刺さったままだった。腰の周りに甘い快感がまとわり付いて、詩織がちょっとでも気を許すとひとりでに逝ってしまいそうだった。
「詩織ちゃん」
名前を呼ばれて、瞼を開けると、彼女の目の前には、毛先がけばだった柔らかそうな大きな筆と、しなやかに強くくねりそうな細い筆が、差し出されていた。
「筆でくすぐられた事……ある?」
詩織は目を見開き、恐怖に引きつった頬を左右に振った。
「うんと、良くしてあげるから」
「いや……っ!」
晃が、再度脚の間に戻って行くと、詩織は縄が喰い込むに構わず不自由な身体を必死にもかかせた。
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「痛い?ごめん。もう少しだから……」
晃が引き上げた右足に、次々と新たな縄を掛け足して行く。先ほど身体を撫で回していた時とは、別人の顔になっていた。めまぐるしく動く晃の手が急いで廻した縄目を整えるために指を滑らせると、今度は腰の周りに新たな縄を増やし始めた。胸にかかっていた荷重が減って行く。詩織は、必死に息を吸い込んだ。
「聡史、頼む」
ようやく、息を付くと、晃は詩織の傍を離れた。彼女の身体はうつぶせになって、ゆらゆらと宙に浮いている。辛そうに眉を寄せて目を閉じた詩織は、後ろに廻した拳を白くなる程に、しっかりと握りしめていた。次々と光るフラッシュをぼんやり眺めながら、晃は汗で濡れた手と顔を拭った。掌には、さっきふれた柔らかな彼女の身体の感触が残っている。晃は詩織と同じ様にその掌をぎゅっと握りこんだ。
吊り上げた後は、あまり時間が残されていない。脚の間に入った晃は、さっき愛撫した、濡れて光っている花びらに、ずいき棒を滑らせた。詩織の身体がびくんと跳ね上がる。見えない場所で何をされているのか、初めての詩織には分からないのだ。ぬめりを塗りつけるように、何度もその場所を擦りあげた。一番感じる場所を特に念入りに狙う。充血したその場所をこうやって擦られると、次に起きる事を予想した女性の身体の中はどんどん熱くなってくる。
「あ……」
耐え切れずに、詩織が声を漏らした瞬間に、晃は、彼女の中にずいき棒をゆっくりと突き立てていった。痙攣する太腿の付け根の筋肉にそっと手を当てて脚を押し拡げる。
「う……うん……」
半分ほど入れてからもう一度ゆっくりと抜く、それからもっと深く差し入れる。何度かそれを繰り返してから、先だけを差し入れて小刻みに揺する。もう一度抜いて、花びらの合わせ目を擦りあげる。そして、深く突き立てる。緩急を混ぜながら、少しずつ少しずつ追い上げていく。
詩織に出来るのは、頭を揺する事と、拳を握りしめる事、そして、身体を震わせることだけだった。もがけばもがくほど縄は喰い込み、身体中を締め付けられる。じっと動かないで耐えるしかなかった。
くちゅ……何度目かにずいき棒が差し入れられたとき、恥ずかしい水音が隠しようも無く響き始めた。詩織はかあっと身体が熱くなるのを感じる。何度も何度も責められて、もう、これ以上恥ずかしいことなんて無いと思っていてもやっぱり恥ずかしい。必死で耐えている詩織を追い込むかのように、晃は、抜き差ししながら膨らんだ感じやすい場所へ左手の中指を押し当てると細かく震わせた。
「あ……あ……あ……」
強い快感がうねりとなって押し寄せてくる。逃げられない。いつもなら、そのうねりに任せてのけぞったり身体を揺すったりできるのに、宙に浮いている身体は詩織の思うようにならなかった。囚われてしまっている事が強く身に沁みる。だが、震える詩織を置き去りにして晃の手が離れていく。
「え?あ……いや……」
身体の中心にずいき棒は深く突き刺さったままだった。腰の周りに甘い快感がまとわり付いて、詩織がちょっとでも気を許すとひとりでに逝ってしまいそうだった。
「詩織ちゃん」
名前を呼ばれて、瞼を開けると、彼女の目の前には、毛先がけばだった柔らかそうな大きな筆と、しなやかに強くくねりそうな細い筆が、差し出されていた。
「筆でくすぐられた事……ある?」
詩織は目を見開き、恐怖に引きつった頬を左右に振った。
「うんと、良くしてあげるから」
「いや……っ!」
晃が、再度脚の間に戻って行くと、詩織は縄が喰い込むに構わず不自由な身体を必死にもかかせた。
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「あ、晃さん。いや……。お願い。やめて」
晃は、右手のふわふわとした筆を彼女の足裏に這わせ始めた。詩織は硬直した。思わず脚を蹴ろうとするが、一瞬縄がびんっと音を立てただけで、苦もなく晃に抱き取られていた。くねくねとくねりながら筆は内腿をあがってくる。そして脚の間を駆け上がると尻の合わせ目をさわさわと撫で回してから、今度は尻たぼの丸みにそって動かされる。
反転した筆は同じ道程を辿って足裏へ戻っていく。晃はその過程を何度も繰り返した。しかも左手に握られた筆が絶え間なくずいき棒の周囲をくすぐり続けている。あまりのくすぐったさと強い快感に詩織は気が狂いそうだった。だが、どうしようもない。ただただ、身体を固くして震えながら耐えるしかなかった。
「は……あぁ……あ。いや。もう、いや。耐えられない」
「我慢して」
晃は彼女の身体の中心の下にしゃがむと左手の細い筆でクリトリスを狙って撫で始めた。詩織はビクッと顎を突き上げる。柔らかな筆の方は脇腹から腰骨の周りを廻って、足の付け根をいったりきたりしている。詩織は必死に拳を握りしめた。
鋭い快感が身体の中心を切り裂く。くすぐったさが身体をもみくちゃにするようだった。だが、さっきまでのずいき棒のような、大きなうねりにはならない。いつまでもいつまでもぎりぎりの際を炙り続けられるようで切れ目の無い快感が続く。彼女の身体はあっという間に汗みずくになっていた。
「もう……駄目。駄目。絶対駄目。……お願い。許して」
「いい子だ。我慢して」
晃は、手を緩めてくれない。詩織は歯を食いしばった。もう少し。あと少し。あと少しだけ。駄目。我慢できない。出来ないの。晃さん。筆は絶え間なく身体を這いずり回る。逃げられないことが詩織を一層敏感にし、刺激は耐えがたく襲い掛かってくる。少しでも筆から遠ざかろうと、身体に力を込めてみても、筆の動きが一層強く感じられるだけで何の役にも立たなかった。
いやいや、と詩織は首を打ち振った。小刻みに震える身体は、全身桃色に色づいている。晃は太い筆を床に置くと、細い筆の動きを速めながら、ずいき棒を抜き差しし始めた。強く押し、そして、ゆっくりと抜く。
「あ……ああ……あ……ん」
詩織の体が捻れる。自由を制限された身体が許される限りの範囲で伸び上がり縮む。晃は、ちらっと聡史の方をみた。彼女の横顔を捉えようと位置を変えたのを確認すると、晃は、抜き差しのスピードを速め、一気に彼女を追い上げた。はっ、はっ、と詩織の呼吸が荒くなる。
「いいよ。詩織ちゃん。逝って!」
「ああああぁっ!」
詩織は涙を振りこぼしながら、逝った。びくびくと身体が痙攣し、意識が薄れていく中、晃が身体を抱き上げるのを感じていた。
「聡史!」
詩織が、急激なオーガズムに逝った後、モータードライブが音を止めるのを晃はじりじりと待っていた。聡史のうなずくのを確認して、詩織を抱き上げる。聡史がニッパーを持って急いで近づいてきた。梁に掛かっている縄を次々に切っていく。長い事使い込んだ大事な縄だろうに、晃はまったく気に留めなかった。
とにかく急いで切ってくれ。そう、言われていたとおりに、聡史は全部の縄を大急ぎで切り離す。晃はライトから外れた場所に布団を挽き延べていた。彼女の身体をそこへそっとおろす。残りの縄を、包帯を切るためのはさみを使って、二人がかりで切り解いた。
身体が自由になると詩織は一気に息を吸い込んだ。手も足も折れ曲がってぐったりとしたままで、動こうともしない。晃は一つ一つの関節の動きに逆らわないように注意しながら、彼女の手足を伸ばして行った。聡史がタオルで彼女の縄の痕を擦り始める。とろんとした表情の詩織は二人のなすがままだった。意識はトランスしたままだったが、手足の先まで綺麗なピンク色なのを確認して、晃は彼女をもう一度抱き上げるとさっきの場所へそっとおろした。新しい縄を振りほどくと、彼女の身体に巻きつけるように散らす。
フィルムを入れ替えた聡史が戻ってきた時、晃はすでに壁際に下がって座り込んでいた。縄をほどいた後の写真が欲しい。そう聡史が言い出した時、晃は吊りじゃない時に出来ないのかとごねた。だが、結局は晃の方が折れた。詩織は思っていたよりも縄に敏感で、あれほど嫌がっているのに、縛られる事によって快感を得るようになるのも速かったから、吊れば、必ずトランス状態になるだろう。しかも、吊りをすれば、縄の痕はくっきりと深く綺麗に残る。聡史の主張ももっともなのだ。
撮影が終ると、晃はもう一度彼女を抱き上げて布団の上におろした。大きなシーツをかけて身体を覆ってやり、その下へ手を入れて手首や、足首をマッサージした。
「痺れてない?」
「うん。大丈夫」
詩織は、素直に彼の手に身をまかせながら、そっと視線をめぐらせて聡史を探す。カメラを片付けている聡史は、横になっている詩織には見つけられなかった。
「呼んでこようか?」
「え……?」
覗き込んでくる晃と目があって、詩織は赤くなった。
「いいの。大丈夫だから」
「無理しないの。強い縛りだったから、不安になるのは当然なんだから」
詩織は、溜息を付くと、ゆっくりと首を振った。
「いいの。自分から……来て欲しかっただけ」
「あいつは、そういうところは不器用だから……」
「うん。分かっている」
手の中で彼女の身体が柔らかく溶けていくのを感じながら、晃は、目を閉じた詩織の瞼からぽろりと滴が零れ落ちるのをやるせない想いで見つめた。
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晃は、右手のふわふわとした筆を彼女の足裏に這わせ始めた。詩織は硬直した。思わず脚を蹴ろうとするが、一瞬縄がびんっと音を立てただけで、苦もなく晃に抱き取られていた。くねくねとくねりながら筆は内腿をあがってくる。そして脚の間を駆け上がると尻の合わせ目をさわさわと撫で回してから、今度は尻たぼの丸みにそって動かされる。
反転した筆は同じ道程を辿って足裏へ戻っていく。晃はその過程を何度も繰り返した。しかも左手に握られた筆が絶え間なくずいき棒の周囲をくすぐり続けている。あまりのくすぐったさと強い快感に詩織は気が狂いそうだった。だが、どうしようもない。ただただ、身体を固くして震えながら耐えるしかなかった。
「は……あぁ……あ。いや。もう、いや。耐えられない」
「我慢して」
晃は彼女の身体の中心の下にしゃがむと左手の細い筆でクリトリスを狙って撫で始めた。詩織はビクッと顎を突き上げる。柔らかな筆の方は脇腹から腰骨の周りを廻って、足の付け根をいったりきたりしている。詩織は必死に拳を握りしめた。
鋭い快感が身体の中心を切り裂く。くすぐったさが身体をもみくちゃにするようだった。だが、さっきまでのずいき棒のような、大きなうねりにはならない。いつまでもいつまでもぎりぎりの際を炙り続けられるようで切れ目の無い快感が続く。彼女の身体はあっという間に汗みずくになっていた。
「もう……駄目。駄目。絶対駄目。……お願い。許して」
「いい子だ。我慢して」
晃は、手を緩めてくれない。詩織は歯を食いしばった。もう少し。あと少し。あと少しだけ。駄目。我慢できない。出来ないの。晃さん。筆は絶え間なく身体を這いずり回る。逃げられないことが詩織を一層敏感にし、刺激は耐えがたく襲い掛かってくる。少しでも筆から遠ざかろうと、身体に力を込めてみても、筆の動きが一層強く感じられるだけで何の役にも立たなかった。
いやいや、と詩織は首を打ち振った。小刻みに震える身体は、全身桃色に色づいている。晃は太い筆を床に置くと、細い筆の動きを速めながら、ずいき棒を抜き差しし始めた。強く押し、そして、ゆっくりと抜く。
「あ……ああ……あ……ん」
詩織の体が捻れる。自由を制限された身体が許される限りの範囲で伸び上がり縮む。晃は、ちらっと聡史の方をみた。彼女の横顔を捉えようと位置を変えたのを確認すると、晃は、抜き差しのスピードを速め、一気に彼女を追い上げた。はっ、はっ、と詩織の呼吸が荒くなる。
「いいよ。詩織ちゃん。逝って!」
「ああああぁっ!」
詩織は涙を振りこぼしながら、逝った。びくびくと身体が痙攣し、意識が薄れていく中、晃が身体を抱き上げるのを感じていた。
「聡史!」
詩織が、急激なオーガズムに逝った後、モータードライブが音を止めるのを晃はじりじりと待っていた。聡史のうなずくのを確認して、詩織を抱き上げる。聡史がニッパーを持って急いで近づいてきた。梁に掛かっている縄を次々に切っていく。長い事使い込んだ大事な縄だろうに、晃はまったく気に留めなかった。
とにかく急いで切ってくれ。そう、言われていたとおりに、聡史は全部の縄を大急ぎで切り離す。晃はライトから外れた場所に布団を挽き延べていた。彼女の身体をそこへそっとおろす。残りの縄を、包帯を切るためのはさみを使って、二人がかりで切り解いた。
身体が自由になると詩織は一気に息を吸い込んだ。手も足も折れ曲がってぐったりとしたままで、動こうともしない。晃は一つ一つの関節の動きに逆らわないように注意しながら、彼女の手足を伸ばして行った。聡史がタオルで彼女の縄の痕を擦り始める。とろんとした表情の詩織は二人のなすがままだった。意識はトランスしたままだったが、手足の先まで綺麗なピンク色なのを確認して、晃は彼女をもう一度抱き上げるとさっきの場所へそっとおろした。新しい縄を振りほどくと、彼女の身体に巻きつけるように散らす。
フィルムを入れ替えた聡史が戻ってきた時、晃はすでに壁際に下がって座り込んでいた。縄をほどいた後の写真が欲しい。そう聡史が言い出した時、晃は吊りじゃない時に出来ないのかとごねた。だが、結局は晃の方が折れた。詩織は思っていたよりも縄に敏感で、あれほど嫌がっているのに、縛られる事によって快感を得るようになるのも速かったから、吊れば、必ずトランス状態になるだろう。しかも、吊りをすれば、縄の痕はくっきりと深く綺麗に残る。聡史の主張ももっともなのだ。
撮影が終ると、晃はもう一度彼女を抱き上げて布団の上におろした。大きなシーツをかけて身体を覆ってやり、その下へ手を入れて手首や、足首をマッサージした。
「痺れてない?」
「うん。大丈夫」
詩織は、素直に彼の手に身をまかせながら、そっと視線をめぐらせて聡史を探す。カメラを片付けている聡史は、横になっている詩織には見つけられなかった。
「呼んでこようか?」
「え……?」
覗き込んでくる晃と目があって、詩織は赤くなった。
「いいの。大丈夫だから」
「無理しないの。強い縛りだったから、不安になるのは当然なんだから」
詩織は、溜息を付くと、ゆっくりと首を振った。
「いいの。自分から……来て欲しかっただけ」
「あいつは、そういうところは不器用だから……」
「うん。分かっている」
手の中で彼女の身体が柔らかく溶けていくのを感じながら、晃は、目を閉じた詩織の瞼からぽろりと滴が零れ落ちるのをやるせない想いで見つめた。
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土蔵の二階から縄をおろして、彼女を下半身から空中に吊り上げる。頭が斜めに下を向いて、ハンモックに揺られるように背中に縄を廻したい。晃の希望でそう決まった後、一階にしまわれていた道具を全部別の蔵へ移動してもらった。
二階の手すりに何本も縄をかけてその真下に布団を敷いて彼女を横たえた。全裸の彼女は心細そうに身体に腕を廻している。明るい光の差し込む離れの和室での撮影の時よりも、土蔵を使う日のほうが、恐ろしそうにする詩織を不憫に思いながらも、撮影も大詰めになって来たこの頃は、大仕掛けの吊りのシーンが増えてしまうのだった。
今日は吊り上げた後に蝋燭を使うから…。詩織に説明されたのはそれだけだった。蝋燭は初めてなので、尚更不安に感じるのだろう。足を片方ずつ縄に繋いで腰にも幾重にも縄を廻す。縄の形が出来上がってくると、詩織は、身体が持ち上がる前から全身を赤く羞恥に染めていた。このまま吊り上げられれば足を大きく開いた形でさかしまになることになってしまう。だが、もくもくと作業をする晃の横顔は真剣そのもので、話しかけられる状態ではなかった。
「聡史。上げるぞ。彼女を頼む」
手すりにかけた縄を晃が引っ張って縄止めをする間、詩織を抱いて持ち上げるのが聡史の役割だった。恋人の腕で横抱きにされて詩織は、思わずその胸に頭を擦りつけた。聡史の着ている白いシャツに乳首が擦れる。ぎゅっと目を瞑って、これから待ち受けるものに備える。腕の中で震える詩織に、聡史は思わず彼女の身体をかき抱いた。
カメラを構えている聡史には、彼女に触れる術がない。晃が縄をかけ、撫で回す事で、しだいに乱れていく恋人の姿をじっと凝視しているだけなのだ。切り分ける。彼女の身体を分解し、その中に入っていく。そして、それを自分の中に仕舞いこむ。頭の中でだけ行われる作業。没頭し我を忘れるほどにレンズの中の世界に集中している聡史だったが、たまにこうして生身の身体に触れると、奥深くに仕舞いこまれている別の欲求が水面に急浮上してくるような気がした。あまりにも急いで上がってきてしまったために、身体の中の圧力を調節できない……。そんな感覚だった。
驚いて目を見張っている彼女にかまわず唇を押し付けた。激しく味わい舌を差し入れる。嘗め回す。貪り食う。べちゃべちゃと音がするのではと思うほどに激しいキス。思わず詩織も我を忘れたのか、聡史の首に腕を廻して抱き寄せる。縄を引こうと待ち構えていた晃は、目の前で唇を合わせる二人をじっと凝視していた。次々と現れる瞬間の重なり。時が止まってしまったかのように長い間、二人はお互いを味わい尽くした。ビクッと彼女が震え、キスだけで逝こうとしているのが分かる。
ようやく唇を離した聡史は、自分がやってしまったことに呆れていた。詩織は、ぼうっと煙るように霞のかかった瞳をしている。チラッと晃に視線をめぐらすと、縄を掴んだまま表情も変えず、動きもせずに、じっと待っていた
「……詩織、吊るよ」
詩織の瞳が生き返った。自分の置かれている状況に思い当たったのか、みるみる首筋が真っ赤になった。彼女が理解したのを確認して、晃に合図をした時。晃は一瞬奇妙な目付きを聡史に見せたが、すぐに背を向けてしまった。そして、掛け声を掛けて全体重で縄を引き下ろした。
詩織の腰がぐいっと持ち上がる。衝撃に詩織は擦れた悲鳴を上げる。引き上げた縄を柱に縄止めすると、晃はあっという間に詩織の側に戻ってきていた。聡史は縄の動きに合わせて詩織の身体を押し上げている。晃は、その身体に手すりから降りている縄を次々に繋いでいく。
シュッ、シュッ、シュッ、シュシュシュシュシュッ。
いつもながらの子気味よい音を立てながら、縄がはねる。晃の手と聡史の手が詩織の身体の上で交錯した。
「聡史。もう少し上げて。背中を……」
晃の縄が上半身にも廻される。彼女の手がハンモック状に背中を支える縄にかかった。そうして、腕に力を入れて身体を持ち上げるようにしているのを聡史が手伝った。
「オーケー。ローションを塗ろう」
吊り上げてからローションを塗りたい。それが、晃の希望だった。ローションの塗られた身体に縄を掛けて吊るのを嫌がったのだ。その違いが聡史にはよく分からなかったが、縛るのは晃の仕事だったから一切口出ししなかった。とろんとしたローションが詩織の身体の上に絞り出された。
二人の男が両側から彼女の身体にそれを急いで塗り拡げ始めた。詩織は驚いて顔を上げる。撮影が始まってから二人の手が同時に彼女の身体に触れてくるのは初めてだった。ぬるぬるとしたローションが塗り拡げられて行く。敏感な彼女のくびれやくぼみも余すことなく男達の手が撫で回していく。
「う……ん……」
じっとしていようと思う端から、身体が反応する。上から覗き込むようにして一心不乱に作業をしている二人の男は、詩織の動揺に気が付いているはずなのに、いや、気が付いているからこそ、彼女の感覚を煽り立てるような手の動きをわざと執拗に繰り返し始める。やがて、下腹の上にローションが絞り出されると、その上に掌を乗せた聡史は彼女の足の間へ手をすべらせた。
「あ……」
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二階の手すりに何本も縄をかけてその真下に布団を敷いて彼女を横たえた。全裸の彼女は心細そうに身体に腕を廻している。明るい光の差し込む離れの和室での撮影の時よりも、土蔵を使う日のほうが、恐ろしそうにする詩織を不憫に思いながらも、撮影も大詰めになって来たこの頃は、大仕掛けの吊りのシーンが増えてしまうのだった。
今日は吊り上げた後に蝋燭を使うから…。詩織に説明されたのはそれだけだった。蝋燭は初めてなので、尚更不安に感じるのだろう。足を片方ずつ縄に繋いで腰にも幾重にも縄を廻す。縄の形が出来上がってくると、詩織は、身体が持ち上がる前から全身を赤く羞恥に染めていた。このまま吊り上げられれば足を大きく開いた形でさかしまになることになってしまう。だが、もくもくと作業をする晃の横顔は真剣そのもので、話しかけられる状態ではなかった。
「聡史。上げるぞ。彼女を頼む」
手すりにかけた縄を晃が引っ張って縄止めをする間、詩織を抱いて持ち上げるのが聡史の役割だった。恋人の腕で横抱きにされて詩織は、思わずその胸に頭を擦りつけた。聡史の着ている白いシャツに乳首が擦れる。ぎゅっと目を瞑って、これから待ち受けるものに備える。腕の中で震える詩織に、聡史は思わず彼女の身体をかき抱いた。
カメラを構えている聡史には、彼女に触れる術がない。晃が縄をかけ、撫で回す事で、しだいに乱れていく恋人の姿をじっと凝視しているだけなのだ。切り分ける。彼女の身体を分解し、その中に入っていく。そして、それを自分の中に仕舞いこむ。頭の中でだけ行われる作業。没頭し我を忘れるほどにレンズの中の世界に集中している聡史だったが、たまにこうして生身の身体に触れると、奥深くに仕舞いこまれている別の欲求が水面に急浮上してくるような気がした。あまりにも急いで上がってきてしまったために、身体の中の圧力を調節できない……。そんな感覚だった。
驚いて目を見張っている彼女にかまわず唇を押し付けた。激しく味わい舌を差し入れる。嘗め回す。貪り食う。べちゃべちゃと音がするのではと思うほどに激しいキス。思わず詩織も我を忘れたのか、聡史の首に腕を廻して抱き寄せる。縄を引こうと待ち構えていた晃は、目の前で唇を合わせる二人をじっと凝視していた。次々と現れる瞬間の重なり。時が止まってしまったかのように長い間、二人はお互いを味わい尽くした。ビクッと彼女が震え、キスだけで逝こうとしているのが分かる。
ようやく唇を離した聡史は、自分がやってしまったことに呆れていた。詩織は、ぼうっと煙るように霞のかかった瞳をしている。チラッと晃に視線をめぐらすと、縄を掴んだまま表情も変えず、動きもせずに、じっと待っていた
「……詩織、吊るよ」
詩織の瞳が生き返った。自分の置かれている状況に思い当たったのか、みるみる首筋が真っ赤になった。彼女が理解したのを確認して、晃に合図をした時。晃は一瞬奇妙な目付きを聡史に見せたが、すぐに背を向けてしまった。そして、掛け声を掛けて全体重で縄を引き下ろした。
詩織の腰がぐいっと持ち上がる。衝撃に詩織は擦れた悲鳴を上げる。引き上げた縄を柱に縄止めすると、晃はあっという間に詩織の側に戻ってきていた。聡史は縄の動きに合わせて詩織の身体を押し上げている。晃は、その身体に手すりから降りている縄を次々に繋いでいく。
シュッ、シュッ、シュッ、シュシュシュシュシュッ。
いつもながらの子気味よい音を立てながら、縄がはねる。晃の手と聡史の手が詩織の身体の上で交錯した。
「聡史。もう少し上げて。背中を……」
晃の縄が上半身にも廻される。彼女の手がハンモック状に背中を支える縄にかかった。そうして、腕に力を入れて身体を持ち上げるようにしているのを聡史が手伝った。
「オーケー。ローションを塗ろう」
吊り上げてからローションを塗りたい。それが、晃の希望だった。ローションの塗られた身体に縄を掛けて吊るのを嫌がったのだ。その違いが聡史にはよく分からなかったが、縛るのは晃の仕事だったから一切口出ししなかった。とろんとしたローションが詩織の身体の上に絞り出された。
二人の男が両側から彼女の身体にそれを急いで塗り拡げ始めた。詩織は驚いて顔を上げる。撮影が始まってから二人の手が同時に彼女の身体に触れてくるのは初めてだった。ぬるぬるとしたローションが塗り拡げられて行く。敏感な彼女のくびれやくぼみも余すことなく男達の手が撫で回していく。
「う……ん……」
じっとしていようと思う端から、身体が反応する。上から覗き込むようにして一心不乱に作業をしている二人の男は、詩織の動揺に気が付いているはずなのに、いや、気が付いているからこそ、彼女の感覚を煽り立てるような手の動きをわざと執拗に繰り返し始める。やがて、下腹の上にローションが絞り出されると、その上に掌を乗せた聡史は彼女の足の間へ手をすべらせた。
「あ……」
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平気な振りなんか出来なかった。足を閉じようとして腰が持ち上がる。お尻の割れ目まで掌が探りながら降りてきて、また、這い上がっていく。足の付け根にそってもう一度。反対の付け根に沿ってもう一度。もう、ローションはまんべんなくついているはずなのに、聡史はそれを何度か繰り返した。
詩織は縄を握りしめて顔を必死に背けそれに耐えた。その間に晃は彼女の顔を覗き込むようにして、掌にローションを絞り出しては、彼女の首筋やうなじ肩に手を這わせていく。くるりと脇の下を晃の手が滑る。びくんと詩織の身体が跳ねる。さっき、キスで逝ってしまった事が彼女の身体を一層敏感にしているかのようだった。
聡史の手が太腿へかかる。はあっと、詩織は甘い溜息を漏らした。ローションを使われる事がこんな感覚をもたらすなんて、詩織は知らなかった。ぬるぬるぬるぬると手首、足首に向かって二人の男の手が移動する。日頃はほとんど意識しない。手首やくるぶしがこんなに感じるなんて……詩織は身体を固くして作業が終りになるのを待っている。
「もう一度やって」
聡史のセリフに驚いて、詩織は彼の方を振り返った。聡史は手を拭いながら、彼女の身体から離れていく。バケツに用意されていた水で丁寧に手を洗ってから、カメラを持って戻ってくる。晃は、もう一度同じ行程を辿って彼女の身体を刺激した。必要のない作業の繰り返しによる残酷な愛撫。
「あ……いやっ……」
意地悪く足の間を行き来する掌を執拗にレンズが狙う。身体を支えきれずに詩織は仰け反った。頭が後ろにがくんと倒れる。いやいやと左右に揺れる頭を見ながら晃は彼女の身体がすでに晃の手になじんでいるのを感じた。
最初の時の嫌悪と拒否はすでにない。やわらかく渦を巻いている飾り毛の彩る丘を掻き混ぜるようにしながら晃はそっと彼女の身体に覆いかぶさった。さかしまに揺れる瞳を覗き込む。何も映していないガラス玉のような瞳。
「詩織ちゃん。逝って」
息を吸い込むと、詩織は大きくのけぞった。
蝋燭に火が灯された。脅えた詩織の瞳がその炎を追う。
「熱いよ」
わざと脅すように囁く晃の様子を聡史はいぶかしんでみやった。あれほど、詩織の体や気持ちを気遣っていた晃なのに、どういう風の吹き回しなのか。じじじじ……蝋の燃える臭いが辺りに拡がった。
詩織の力を込めて縄を握りしめる手が震える。詩織は、蝋燭が身体の上を移動する様から視線を逸らす事が出来なかった。無意識に逃げようとして身体が捻れてしまう事も、縄に引かれて大きく開いている足を閉じようと必死に力を込める事も無駄なのにやめる事も出来ない。
溶けた蝋が溜まってくるのを待って、晃は彼女の胸の上に蝋燭を傾けた。最初の量の多い滴がポタポタポタっと続けざまに彼女の胸に流れ落ちた。
「う。ううっ」
熱いというよりは、突き刺さるような痛みに詩織は縄を握りしめる。蝋燭は一度まっすぐになって、一呼吸揺すられてから、再び傾けられた。嫌。詩織は、心の中で叫んだが、容赦なく蝋は乳首を狙って落ちてくる。あ、あっつい。詩織の身体がびくびくと引きつる。晃の傾ける蝋燭は少しずつ位置を変え、常に新しい彼女の身体の上に落ち続けた。
「あ、あつ。熱い。あつうう……」
詩織の我慢がついに切れた。蝋が落ちるたびに身体を揺すって悶える。胸はすでにもう真っ赤だった。蝋はすでにゆっくりと下腹に向けて移動を始めている。見開かれた詩織の瞳にぷっくりと涙が盛り上がる。
「あああ……。嫌。嫌。あつう」
下腹を赤く埋め尽くした晃は、足の間に移動した。そして、詩織の膝から内腿に向けて、蝋を傾けていく。足の付け根が一番熱い。それは晃も分かっているから、そこを念入りに焼くつもりなのだった。
もう、詩織の頭からは羞恥の感情は消え去っていた。ただただ、彼の手から足の間を守りたい。それだけが彼女の頭を占めているすべてだった。だが、足を閉じ、蝋を避けようとする彼女の動きは足の間の晃の身体で遮られる
「ああ!熱い!熱い!いやぁ!やめて………。あつううい!」
伸び上がるようにのけぞる彼女の身体。すでに頭を上げて蝋燭の動きを追う余裕は彼女の中から失われていた。全身を縄にまかせて四肢を必死にツッパリ、足をばたつかせる。蝋燭は身体から離れ、また近づいてくる。確実にそれは彼女の一番怖れている場所に近づいてくるのだ。
「あああああ……。嫌。そこは、嫌。いやああ!」
晃は左手を伸ばすと花びらを押し拡げた。詩織は恐怖に囚われ突き動かされていて、蝋燭の位置が少しずつ高くなっていることに気が付く余裕も無い。最初の熱い滴が彼女の中に落ちたとき。詩織は悲鳴を上げて気が狂ったようにもがき始めた。だが、どれほどもがいても、手足が左右に揺れるばかりで吊り下げられた身体は、蝋燭のしずくから逃れる事が出来なかった。
「許して!嫌。お許し……お許しくださいぃ」
はっと、傾いていた蝋燭がばねのように跳ね上がった。晃は蝋燭の火を急いで吹き消すと彼女の背中側に廻って身体を持ち上げるようにして支えた。びくびくと痙攣する彼女の身体を抱きしめる。
「大丈夫。終わったよ。もう、終りだ。怖かったね。心配しないで。大丈夫だから」
ひっく、ひっくとしゃくりあげながら泣きじゃくる詩織を、晃はやさしく揺すり続けた。
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