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 明け方の夢を膨らませて作った、切ないSMの物語


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性的、暴力的な表現を含んでいます。
虚構と現実の区別のつかない方
18歳未満の方はご遠慮くださいませ。
自己責任に於いて閲覧していただきますようお願いします。

 





 「君が、異存が無いようなら、これから娘に話そうと思う」
「もし、よろしければ、同席いたしたいのですが…」
 私は、話を告げられた時のその瞬間のマリエーヌの表情をみたかった。私自身の思惑はさておいて、彼女はいったい私の事をどう考えているのか知りたかったのだ。
 二週間の間、私と彼女は、婀娜で淫靡な遊びの共犯者としてお互いの楽しみをむさぼりあった。だが、それは決して恒久的な未来を見据えた関係でも、愛情や好意といった素直で美しい気持ちの結果でもありえなかった。
 生涯を共にし、運命を共にする相手として彼女を考えた場合、私の態度はあまりにも不誠実であり、彼女にとってふさわしいとは思えない。彼女の考え如何では、残りの夏休みに私は自分の越し方を振り返って改めるべきでは無いだろうか。
「お父様…?」
 マリエーヌは、私を伴って部屋へ入ってきた伯爵の姿を見て、不思議そうに首を傾げた。
「マリエーヌ、元気だったかい?」
「ええ、お父様。お父様もお変わりなく。随分とお久しぶりですこと」
 彼女は、くるりと瞳を廻してから、チラッと私の方を見た。いかにも嬉しそうに。キャメロン夫人は、できるだけもったいぶって立ち上がり、伯爵に丁寧にお辞儀をした。伯爵は形ばかりうなずいて、彼女の挨拶を受け流した。
「マリエーヌ。実は、私は彼を…」
 伯爵は手振りで私を指し示して、ちょっと言葉を切りマリエーヌを後ろめたそうに見て早口で告げた。
「ヘル・ボールドウィンをお前の夫として我が家に迎えたいと思っている」
 マリエーヌの瞳がキラリと光り、悪戯っぽい勝利の色を瞬かせながら、私の方を伺うのが分かった。自分の読みが当たった事を私に誇るように、唇の端が吊りあがり、そして即座に意識したそぶりで下がっていった。
 唇を震わせ、憂いを帯びた瞳をわざとらしく辺りに彷徨わせて見せる。私はその彼女の様子をみて、苦笑いを押し殺すしかなかった。彼女は、僕を夫に迎える事に何の逡巡もみせぬまま、受け入れたかのように見えた。
「お父様。ニコラスが私に何をしたのか…ご存知ないの?」
「マリエーヌ、彼は私の命令を受けてここへ来ているのだよ。私はもう、決めたのだ。彼は、お前のような娘にはうってつけの立派な殿方だ。お前を幸せにしてくれる。きっと…」
「ああ。ああ。私は今のままで充分幸せなのに!」
 急に立ち上がった彼女は、ぽろぽろと涙をこぼしながら、胸の辺りで両手を握りしめた。
「マリエーヌ、お前には彼のような夫が必要なのだよ。ヘル・ボールドウィンが卒業するまで、お前は王都の館で彼を待つように。それから、お前が彼にとっても、わが伯爵家にとっても、決して恥ずかしいまねをしないように、お前の身体には貞操帯を付ける事にした。私を失望させないように、わが伯爵家にふさわしい振る舞いをしておくれ」
「貞操帯ですって?お父様は、私を侮辱なさるおつもりなのですか?私、私、そんな事耐えられない!」
 伯爵が語る間、胸の前で握りしめていた両手を揉み絞っていた彼女は、叩きつけるように叫ぶとわっと泣きながら奥の寝室へと駆け込んだ。間に入る事も出来ずおろおろと立ち竦んでいたキャメロン夫人も慌ててその後を追う。伯爵は、眉をよせていらいらと、私に向かって困ったものだとでも言いたげにその手を振って見せた。
「すまないね。ニコラス。マリエーヌをお願いするよ」
 今までになく丁寧に私の同意を取り付けようとする伯爵に、私は深々とお辞儀をしてみせるしかなかった。
 その夜、彼女は夕食の席に現れなかった。泣き伏せって気分が悪くなったかのように説明するキャメロン夫人は、軽蔑と嫌悪の様子を滲ませて私を無視してみせたが、さすがに伯爵に強く抗弁する度胸はなかった様子だった。伯爵は、重ねて私に将来の約束を繰り返して、近いうちに貞操帯を作る職人をよこす事を告げて次の朝早く都へと戻っていった。 
 私は……。私はと言えば、とにかくマリエーヌに早く会う事ばかりを考えていた。二日続けて夕食の席に姿をみせなかった彼女だが、きっとやってくるだろうと踏んで、食事の後、いつもの四阿に足を運んだ。
「マリエーヌ」
 人影の無い四阿にぼんやりと立ち尽くし、これからの事を考えていると、まったく気配を感じさせなかった彼女が身体ごととぶつかってきて、私は慌ててその身体を受け止めた。
「ニコラス。私の言ったとおりになったでしょ?」
 彼女は長い髪を後ろへ跳ね除けながらにっこりと笑った。
「君は、それでいいの?私を夫にする事に何の異議も無いの?」
「異議?」
 私の腰に手を廻していた彼女は、心底びっくりしたように目を見開いてみせて、それから体を二つに折って笑い始めた。
「あっはははははっはあ…。異議だって?そんな物、なんの役に立つと思うの?お生憎様。伯爵だって私にそんな物が在るなんて考えてもみない様子だっただろう?」
「伯爵と君の間の関係については、意見を言うのは控えさせてもらうよ。私にとっては、どうともできぬ事柄なのだからね。でも、僕と君の間は違う。君は、僕をどう思っているんだい?僕と一生を共にする事をどう考えているの?」
「おやおや…」
 心底おかしそうだった彼女はふっと笑いを納め、僕の顔をまじまじと覗き込んできた。
「正直に言うと、その事はまったく考えてもみなかった」
 そうして、僕の体に廻していた手をゆっくりとほどくと、僕の顔を見つめたままおずおずと後に下がり始めた。
「あなたこそ、私の事をどう考えているの?スカートを履いているけど、私は男根の飾りをつけた女の子じゃないんだよ。本当の所、女の子がどういうものかもよく分からない。あなたに子供をあげる事もできないと思うし、それに愛情だって…。…ええと、ごめん。だめだ。神さまだって結婚するのは男と女って決めているんでしょ?」
 不安そうに、眉を寄せる彼女の愛らしさといったら…みなさんにも想像がつくでしょう。もしも、私に選ぶ事ができるのであれば、こんなにかわいらしい子供と、せっかくここまで近づきになれたのに、それを諦めて離れて行く事などできそうにもなかった。
「僕は、君が好きなんだ。君と結婚したいと思っている。僕が君にしてきた事が褒められた事じゃないって分かっているよ。どう考えても君が僕に対して愛情を抱くような行為じゃ無かったって事もね。でも、もう一度やり直しても、やっぱり同じ事をしてしまいそうだし、今から心を入れ替えようとしてもやめられないんじゃないかって気がするほど君をお仕置きする事を愉しんでいる。本当は、君のような幼い子供にこんな淫らがましい行為をするべきじゃないんだよ。ああ。でも、でもね…」
 私達は、困惑したまなざしを交わしあった。マリエーヌは掌をパニエで膨らましたスカートの上にこすりつけた。それからその赤い唇を可愛らしい舌でぺろりと舐めた。
「ねぇ。だったら。私をあなたのものにして、これからも、うんとお仕置きしてくれる?私が悪い事をしないように、しっかりと鎖に繋いでくれる?」
 この子供は、まだ本当の愛情を知らない。そして、僕自身、まだ彼女のなんたるかを何も知りえていない。私は彼女の足元に跪き、そっとその裾を手に取りくちづけた。
「愛している。君を僕の鎖で繋いであげよう」
彼女はにっこりと嬉しそうに笑い、そして、僕の胸に飛び込んできたのだった。



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