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 明け方の夢を膨らませて作った、切ないSMの物語


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性的、暴力的な表現を含んでいます。
虚構と現実の区別のつかない方
18歳未満の方はご遠慮くださいませ。
自己責任に於いて閲覧していただきますようお願いします。

 






  伯爵が命じた貞操帯の職人が三日ほどして現れた時、私は意外な気持ちを感じながら彼を迎えた。手に仕事のための蛸が出来ている鍛冶屋の店先で会うような職人を想像していたからだ。
 漆黒の長い髪をきっちりとひとつのみつあみにして後へながし、丁寧な仕立ての紺のビロードの上着を着た猫のようなブルーグレイの瞳、青年はアルバート・ハルトヴィックと名乗った。美しい細工の銀の縁取りを施した大きな鞄を持っている。
「ハミルトン伯爵様のご依頼を承りまして、まかりこしました。末の十四歳のお嬢様のための貞操帯を誂えると伺っておりますが、まちがいございませんでしょうか」
 私がなんと答えてよいものかためらったのを見越したハルトヴィックは、深々と頭を下げて言葉を続けた。
「お嬢様におかれましては、特別のご事情がございます事は、伯爵からくれぐれも内密にと念を押されて参っておりますので、いささかもご懸念の必要はございません」
「では、ハルトヴィック殿。よろしくお願いします」
「はい、かしこまりました。十四歳というご年齢から考えますに、お嬢様のご様子によっては、常に貞操帯を調節する必要がございます。なんと申しましても、細工は鉄でございますので、柔らかなご婦人の肌に当たって、ご不快のございませんように、身体にぴったりとあわせて誂えなければなりませんので」
 それは、しばしばこの男が私達の生活に出入りし、そして彼女の身体に触れるという事でもあった。私は、彼にマリエーヌを預ける事に対する嫉妬と不安と不思議な倒錯的な欲望を感じて戸惑った。
「マリエーヌに引き合わせましょう。こちらです」
 マリエーヌは、自室のテラスにキャメロン夫人と向かい合わせに座り、ハンカチに刺繍をしていた。その様を見ると、彼女が少女ではないという事をついつい失念してしまう。どこからどう見ても、良家の子女が家庭教師と向き合って縫い物をしているふうにしか見えないのだ。
「マリエーヌ。お父上のおっしゃっていた職人を連れてきたよ」
 マリエーヌは、すべすべとした柔らかな頬を紅くして、手に持っていたハンカチを静かに机の上に乗せ立ち上がった。
 形ばかりの自己紹介と、鷹揚に見せたうなずきをやりとりしたあげくキャメロン夫人は部屋から追い出された。

 マリエーヌは、慎ましげなふりをして、節目がちにちらちらとハルトヴィックをみていたが、夫人が部屋を出ると、すぐに少女の仮面をするりと脱いで、身を翻して私の懐に飛び込んで来た。
 私が慌てて手を拡げて彼女の身体を受け止めると、きらりと瞳を光らせたマリエーヌは
くすくすと笑いながら彼のほうへ艶っぽくうっとりとするような目付きを送って見せた。
「ニコラス。貞操帯が、どういうものだか、あなたは知っているの」
 噂には聞いていたものの、本物を見た事が無かった私は、黙って首を振った。
「ふうん」
 マリエーヌは、私の手の中で彼女はパニエの膨らんだ裾を翻してくるりと身体を廻し、好奇心を露にした活き活きとした表情で、今日初めて会った男を上から下までじろじろと眺めた。
「ねえ。お父様は本当に、ただ、貞操を守るためだけの貞操帯とおっしゃっていた?」
 ハルトヴィックは、表情を変えずに優雅に片足を引いて、深々とお辞儀をした。
「伯爵様におかせられましては、お嬢様の望むままに小物などもあれこれと取り揃えるようにとのご命令でした」
 きらきらと光が煌めくような可愛らしい笑い声が彼女の唇から零れ、その笑いに身体を震わせながらマリエーヌは私の身体へしなだれかかってくる。
「ほら、やっぱり。館の中に閉じ込めた娘をどう料理すれば、一番あてがった男の気を引く事ができるのか、あれこれと策をめぐらされたって事でしょう?」
 彼女の言葉に込められた棘と真実の意味を悟った私は、赤くならずにはいられなかった。そして、気まずい思いで、かしこまった様子で控えているハルトヴィックを困惑して見た。彼は、何もかも心得ておりますと言う様なかすかな笑みを浮かべて、私の方へうなずき返した。
「それでは、お嬢様。よろしければお身体の寸法を測らせていただけますでしょうか。そのためのお道具もみな取り揃えましてお持ちいたしておりますので」
 一瞬、淫猥な笑みが、ハルトヴィックの頬をよぎって消えた。私は、考えてもみなかった自体に直面している事に気がつき、腕の中の彼女の身体を抱きしめた。



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