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 明け方の夢を膨らませて作った、切ないSMの物語


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性的、暴力的な表現を含んでいます。
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 風がきもちいい夜だった。夏の緑のむせるような香りがあたりに満ちて、うっそうと茂る森の暗さが屋敷の庭の木々におおいかぶさる。「降るように煌めく空に瞬く星」という、つきなみな表現がぴったりの空に、明るい満月がかかっている。やがては、夏の休暇は終わる。私は学校に戻らなくてはならない。後半年という月日は、短いようでいて、恋をしている男には永遠にも続くような長さだった。
 だが、それでも夏の初めにあの一冊の本を脇に抱えて、やってきた田舎の屋敷で、このように美しく愛らしい花を摘む事になろうとは、想像すらしていなかった。
 白いロープを一枚纏いつけただけの彼女は、ベッドの上にちょこんと座って私を待っていた。
「ニコラス」
 にっこりとほほえむその飾り気の無い素顔にはなんのてらいも作為もなく、嬉しそうに私を迎えてくれるのだった。私は彼女の横に出来るだけ静かに座り小さなその白い手を握った。そっとその指先に小さなキスを贈る。
 「愛している」その事を胸の中に繰り返し刻み込んだ。他人から見れば私の行いは決して愛とは呼べないものだったろう。だが、私の中にははっきりと触れられるほどに強い気持ちが湧きあがってくるようになっていた。彼女を幸せにしたい。彼女の望むものを与えたい。たとえ、それが、彼女の身体に刻む苦痛であっても……。

 彼女自身はどうだったのだろう。彼女の笑顔。そしてしがみついてくる細い身体。甘えるような、誘うようなしぐさ。そう、彼女も私を愛していると錯覚するほど、私も若くおめでたくは無かった。
 彼女が何を考え、何を信じているにしろ、それもまだまだこれから変えていくしかないのだった。私達の間に、夫婦として一生を共にするほどの何かを、二人で見つけていくしかないのだ。
 私は彼女の肩を抱いて引き寄せた。寝巻きのリボンを解いて、向き卵のように白くつるんとした艶々しい身体を、絹の贅沢な寝巻きの中からするりと取り出す。
 キスを重ねる。何度も何度も。まぶたに。頬に。耳の後ろに。首筋に。肩に。可愛らしく小さな胸のまるみに。みるく色をした薔薇の宮殿。赤い唇が開き、かすかな吐息をもらす…。誘っているね、マリエーヌ。君はそれがどういうものだか、知っているの?

触れ、導き、たゆたい、お互いにからみつき、眼と手と唇で確かめ合う。
味わい、さぐり、揺らめいて、ひとつになり、二人でその高みを登る。
愛を誓う。繰り返し。お互いに信じていない永遠を。
彼女は彼、そしてどちらでもないなにか。

「私は男根の飾りをつけた女の子じゃないんだよ」

 私は彼女のその言葉を自分自身の心に繰り返した。私達の旅は始まったばかり。私は彼女の本質に触れ、そしてそれを理解できるのか。それでも、愛していると言えるのか。彼女の瞳を覗き込みながら、私は自分の胸に問いかける。

 ああ。「愛している」それだけははっきりと言えるだろう。腕の中で汗ばみ、しがみついてくる細い身体を確かめながら、私は歯を喰いしばって彼女の中に押し入り、留まり続けた。
 何度でも彼女に誓おう。その私の愛を。私がマリエーヌを愛しているのは、彼女が女性でもなく男性でもなかったうえに、彼女が私に見せた子供らしくもなく人間らしくもない、胸を締め付けるような恐怖と悲しみのせいなのだから。


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