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 明け方の夢を膨らませて作った、切ないSMの物語


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性的、暴力的な表現を含んでいます。
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  私にとっては、週末の逢引の戯れのひとつであり、大切な恋人に少し意地悪をした程度の悪戯心にすぎなかった。しかし、しっかりと蓋を閉じられ、放り出されたマリエーヌにとっては、腹立たしい仕打ちだったに違いない。
 それ以上に、どんなに試みてもなんとも刺激をあたえようのないそこに、じりじりといぶられるような熾火を置かれた状態に追い込まれた彼女は、転々と眠れぬ夜を過ごしていたのだった。
 腕の中でお仕置きに震えるマリエーヌを抱きしめて過ごした時間が、私の心も目も眩ませていたのだとしか思えない。あれほど何度も「私は女の子じゃない」と繰り返す彼女の言葉を聞いていながら、美しく装い、花のように笑う彼女を私は可愛らしい少女のように思っていたのだった。
 私の心の中ではマリエーヌは、将来妻となる憧れの恋人に間違いなく、本当は彼でもある半陰陽であるという事は、いつの間にかすっかりと抜け落ちてしまっていた。
 神父が彼女をきつくお仕置きした事は、おぞましい堕落した神父の悪行のように思い込んでいたし、伯爵が彼女に貞操帯を付けた事は、行き過ぎた父親の心配だとも受け取っていた。そもそも誰にも会わせないのだから、そんな必要もないだろうと。
 彼女の中から溢れだして周囲に毒を撒き散らす「モノ」の存在など頭から信じていなかった。多くの美しい淑女達に貞操帯を誂え、多くの女性をその計測の場で啼かしたであろうハルトヴィックが、手も無く彼女に魅せられてしまった事も、自分の妬心に捉われて見過ごしてしまった。言い訳を許してもらえば、彼女の周囲の男たちの張り巡らせた煙幕や比喩的表現が、私の彼女を愛おしく思う心が思い込みたいと願っていた彼女を疑わせない手助けにもなっていたのだ。
 もちろん、半陰陽だからといって、まるで彼女が悪魔のように思う必要があったわけではない。そして、いまだに、まるで悪いものを押し込め、封印してしまうようなやり方が、彼女のためであり、私達のためであるなどという詭弁を弄するつもりもない。
 だが、私はあまりにも若く未熟でそして性的にはきわめて経験が少ない若い男でしかなかった。彼女が一瞬にして私を虜にした手管を疑うすべもないくらいに。
 なぜ、自分がこうまで彼女を自分のものにしたいと願っているのか、そして、多くの男たちの胸にきざすものがなんなのか。なにがそれを引き起こしているのか…。考えようともしなかったのである。
 学問所で過ごす時間は無機質で、平穏で、私は先週彼女の上に置き捨てた悪戯の事はすっかりと忘れてしまった。伯爵家からの使いが大慌てで門を叩き「急ぎ館までお運びいただきたい」と、いう執事の言葉を伝えるまで、私はその事を思い出しもしなかったのだ。
「お呼びになったのは伯爵ではないのか?」
「伯爵様は、ここ十日ほど王様のお供で狩に出られていて、一度もお戻りではないのです。お願いでございます。もう、ボールドウィン様にお越しいただくしか私どもには、他にどうしようもなく…」
取り乱した様子の使いの召使の説明は切れ切れで、いったい何が起きたのかを理解するにはあまりのも足りなかった。私は、書きかけの論文を放り出し、塾頭に伯爵の名に物を言わせて外出許可を取り付けると、取るものもとりあえず召使が連れてきていた四頭馬車に飛び乗ってマリエーヌの待つ、伯爵の館に駆けつける事となったのだった。



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