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 明け方の夢を膨らませて作った、切ないSMの物語


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性的、暴力的な表現を含んでいます。
虚構と現実の区別のつかない方
18歳未満の方はご遠慮くださいませ。
自己責任に於いて閲覧していただきますようお願いします。

 
「脱いでください」
 心底傷ついたというような、表情が一瞬だけフランツ様の頬をよぎった。だが、それは一瞬だけで、あっという間にいつもの怜悧な横顔が戻ってくる。大きく息を吸い震えながら吐く。燃える気持ちを表すかのように、熱く欲望が滲む吐息を……。
 たっぷりとしたレースのカラーをその細い指で器用に解き始めた。複雑な結び目がするすると解けていく。高価なベネチアンレースが開いた胸の周囲に拡がった。ためらっていたのは最初だけだった。自分で望んだ事だから、決して弱みを見せまいとして、勤めて冷静そうな振りをして、服のボタンをひとつずつ外していく。服を脱げば、待っているのは更なる屈辱なのに。そんな物はなんでもないという様子で、シャツを脱ぎ、ズボンに手をかけた。
「陛下はよほどあなたが愛しいのでしょうね。肩から胸へまるで花びらが散ったように赤く、くちづけの痕が残っていますよ」
 青ざめていた顔があっという間に朱に染まる。思わず隠すように胸元に当てた手は、だが、すぐに震えながらも降ろされた。王に愛されているとは思っていなかった。執着と欲望。でなければ、フランツ様がこれほどかたくなになるわけが無かった。
何といっても、幼少の折からずっとお側にお仕えしているのだ。もし、王がそれなりの人柄をフランツ様に示されたのなら、私がこの方を焦がれたほどとは言わなくても何がしかの尊敬か愛情を、もしくは忠誠を受けることが出来たはずなのだった。忠誠。そう、臣下としての無条件な忠誠はたしかにあったかもしれない。だが、誠心誠意心を奉げつくした忠誠などではありえなかった。それがあれば、これほどフランツ様が苦しまれるはずも無い。
 すっかり服を脱ぎ捨てた身体に黒い皮の枷を撒き付けた。暖炉のそばの大きな鏡の前に自然に供えられている二本の柱。ちょうど男がゆるやかに手を伸ばしたあたりに、金具を止める輪が止めつけられている。手首についている鉄の金具をそこへはめ込むだけで両手を開いた形に拘束できる。後は足首も同じようにして床に届くあたりにある柱の金具に鎖を使って繋ぐだけだった。
 大の字に張られた身体は三メートルほどの距離で鏡にその姿を映りこませていた。私は、後ろから彼のその姿を見つめた。拘束され、もう何も逆らう事が出来なくなった、囚われの主の姿を。
「ヴァンツそんなにじろじろ見るな」
彼のすっかり固くなった棹がビクッと跳ねる。
「見られると、興奮しますか?」
「……」
 赤くなった頬をそむけ歯を喰いしばって、鏡の奥の私の目をみつめてくる。その目が真摯に訴えてくるその言葉を読み違えまいと、喰い入るようにみつめ返した。助けてくれ。気が狂いそうだ。身体が熱い。耐えられない。許せない。自分が欲望に引き回されることが……・。
 彼の瞳によぎる気持ちをしっかりと受け止めて、渡された一本鞭の輪をほどき、ひゅうん……と空で鳴らせてみせた。
 ビクッと彼の身体が動く。身体の芯から溢れ出る欲求とは裏腹に、彼の気持ちは鞭を怖れているのだった。苦痛に虐げられ、思いのままに踏みしだかれる事を。痛みに支配され、日頃きつく纏っている鎧を引き剥がされる事を。それでも、その鎧が彼を苦しめている。
泣き言も言えず、不満もこぼせない。誰にも打ち明けられない苦しみがじりじりと彼のうちを焼き焦がし、息もつけぬほどに責めさいなんでいるのだ。忘れられる一瞬は、ただ、怖れているはずの苦痛のうちにだけある。なんと、皮肉な事なのだろう。その鞭が初めに彼を縛りつけ、プライドを保とうとしている彼をひきずり降ろしたはずだったのに。




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