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 明け方の夢を膨らませて作った、切ないSMの物語


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性的、暴力的な表現を含んでいます。
虚構と現実の区別のつかない方
18歳未満の方はご遠慮くださいませ。
自己責任に於いて閲覧していただきますようお願いします。

 

 急な予定変更で休日出勤を余儀なくされた志方は、朝から向き合っていた書類の最終チェックをしていた。もう、すでに斜めになり始めた日差しが部屋の奥の方まで届くようになっている。パーティションで仕切られているとはいえ60人分ほどの社員の机が並ぶ、誰もいないオフィスには空調の音が静かに響いているだけだ。凝り固まった肩を回して、うんと背伸びをした。上着は、すでに朝この部屋に入る早々に脱いでしまい、椅子の背にかかっている。終日パソコンと向きあっていたせいでチカチカとする目をぎゅっと閉じて、目頭を押さえた。
 キイッっとかすかなドアの音がして、志方は顔をあげた。ドアを開けて入ってきたのは同じフロアの一番端の部屋で仕事をしている同僚の高野晃だった。二つ年下の彼は、すっきりと細身の肩をダークグレーのスーツに包んだ、整った顔立ちのどこかしら垢抜けた男である。こんな殺風景な会社のフロアではなく、どちらかといえば六本木辺りのしゃれたバーのカウンターにいた方がよっぽど似合うのではないかと思ってしまう。高野は志方をみつけると、フロアを横切ってまっすぐ彼の方へやってきた。高野の動きは、特に他人と違う振る舞いをしている訳でも、しゃれた格好をしている訳でもないのに、どこかしら清清しく人目を轢き付ける。


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「仕事終わった?」
 視線を合わせてにっと笑うと高野は前髪を掻き揚げた。そんなしぐさがよく似合う、あまりの色っぽさに志方はパチパチと瞬きをして、相手の顔をまじまじと見てしまう。
『コレって、誘ってるんだろうか・・・。』
 実は、ふたりは半年前から付き合っているのだった。きっかけは、なんという事もない。誰か先輩の移動に伴う送別会だった。普段ほとんど酒を飲まないように見えていた高野が、どういうはずみか酔っ払ってしまったのをたまたますぐ傍に座っていた志方が引きずって帰って、自分の家に泊めたせいだった。
 志方がふと、夜中に目が覚めて、なぜか起き上がってぼんやりと座り込んでいる高野に声を掛けると、不思議そうな顔でこっちを見ていたと思う間もなく倒れこんできた。お互い、知らない仲じゃなく、そう、どちらかと言えば仕事の息は合うほうだったし、会話も交わしていたんだけど、だからと言って、そういう展開になるなんて、高野を家に連れ帰った時点では、志方もまったく考えていなかった。自分の性癖について高野に仄めかした事も無く、相手もそれらしいことは何も示さなかったから、お互いに相手はノンケだと思っていたと思う。
 だが、もつれ合ってみれば、あっという間に知れてしまうの当たり前の事だった。そして、いつの間にか、お互いにお互いの気持ちを確認する事もないままに、週に一度はどちらかの家に泊まったり、一緒に食事に出かけたりするようになっている。

「ああ、うん。おまえ、今日はなんで会社にいるんだ。」
「拓真が、休出って、女の子が言ってたから見に来ただけ。」
 高野は志方の座っている椅子の縁にちょっと左膝を乗せると、机に手を付いて乗り出してきた。志方の手に持っているさっきプリントアウトしたばかりの書類へ手を伸ばすとぺらりと捲ってみて、にやりと笑う。
「うん、終わってるね。」
「せっかくの休日が台無しさ。」
 志方はチェックした書類を揃えるとホチキスでしっかりと綴じて、新しい封筒へ滑り込ませた。明日、課長に確認してもらってから、コピーを取る事になるだろう。机の一番上の引き出しに放り込み、鍵を掛ける。
「この後、暇なら、どっかへ食いに行くか?」
「ああ、うん、そのつもりで来たんだけどさ・・・その前に。」
 うん?と訊ねるように顔をあげた志方の唇に高野の乾いた唇が重ねられた。キスに気を取られていると高野は椅子の肘掛に手を乗せて椅子を滑らせた。おっと、と慌てて自分もその腕を握ってバランスをとったが椅子は二人の男を乗せて通路を滑り、一番端の壁にぶつかって止まった。

「おい、あぶないだろうが。」
 くすくすと笑う年下の恋人は、悪びれる様子も無く身体を起こすとオフィスの広い窓を覆うブラインドの紐を引いて閉じた。ジャッと派手な音を立ててグレーのブラインドが降りてくる。向かいのビルから丸見えなのだから、ブラインドを閉めるのはいいとしても、この危なっかしい平行移動はいったい何のためだったのか。眉を上げて問いかける志方の両肩に手を掛けると、高野はゆっくりと首筋へ向かってその手を滑らせた。
「あそこ。」
 ちらっと今、志方が座っていた机の方へ視線を走らせる。
「カメラから丸見えなんだよね。」
 防犯カメラという名目で室内のあちこちに仕掛けられているカメラは社員の仕事振りを克明に観察するためではないかというもっぱらの噂だったが、全く気にしていなかった志方は自分の席が、そのカメラの真正面にあることを示唆されてがっくりと肩を落とした。今、その監視カメラの目の前で軽くとはいえ二人は男同士でキスをしてしまったような気がする。

 改めて志方の足の間の椅子の縁に膝を乗り上げさせた高野は、器用な細い指で志方のネクタイを解き始めた。えんじ色の地色に白や黒の斜めのストライプの入った、いたってスタンダードなネクタイがするすると彼のワイシャツから抜き取られていく。
「おい、どうするんだ。まさか。ここでやるとか言うんじゃないだろうな。」
 カメラの件で思わず脱力している志方の目の前で、高野はネクタイに人差し指を掛けるとぐいっと緩めた。ゆっくりと思わせぶりなしぐさでネクタイを解く。
『・・・こいつは。』
と、志方は心の中で感心していた。
『なんで、こんなにいろっぽいんだ。』
 特に綺麗だとか華奢だとか思ったことはない。やってる事だって、ただネクタイを解いているだけだった。だが、どういう訳かこの男、なんでもない仕草さえ、やたらとそそる所があった。身体の関係が出来るまでは全く気が付かなかった以上、これは、志方だけに向けられた高野の気配なのだった。
 志方が思わず恋人を抱き寄せようと腰に手を廻すと、高野は軽くその手を払った。それから、改めて仕方の足の間の椅子の縁に膝を乗り上げて、高野は、器用な細い指で志方のネクタイを解き始めた。えんじ色の地色に白や黒の斜めのストライプの入った、いたってスタンダードなネクタイがするすると志方のワイシャツから抜き取られていく。
 一度は持ち上げた手をもう一度肘掛の上に乗せていた志方は、高野がそのネクタイを彼の手首に巻き付けたのを見てちょっと目を見張った。セックスしていて、ちょっとサドッ気の多い奴だなと思った事はある。それ以上にマゾッ気がありすぎるんじゃないかと思った事もあった。肩に噛み付いてきたり、乱暴に扱われたがったり・・・。だが、こんな風にあからさまな行為に及んだ事はまだ無かっただけに、それが、オフィスの中という事もあって意外だったのだ。右手首にネクタイを結び付けた高野は脚を使って椅子をくるりと廻した。大急ぎで手を伸ばして志方の左手首を掴む。椅子の後ろでひとつにくくり合わせるつもりなのだろうが、抵抗されるのを怖がっているような慌ただしい動作だった。

 『どうしたもんかなぁ。』
 志方はのんびりと考えている。別に、SMするのに抵抗があるわけじゃない。だが、その場合、ほんとにこいつはSなのかしらん。そう考えを巡らしながら、もう一度くるりと椅子を廻して壁に押し付けた高野の瞳を、まじまじと覗き込んだ。後ろめたそうに視線を逸らした高野が自分のしている行為の意味や結果についてよく分かっているとも思えなかった。
「どうしたいんだ?」
「やりたい・・・。」
 動けなくなった志方の首に、腕を廻して高野はしがみついてきた。肩にぎゅっと押し付けられた頭が切なげな溜息を付く。
「やるだけなら、縛らなくてもいいだろう。」
 答えはない。高野は、ただ、黙って腕に力を込めた。




 ギシッ・・・椅子のバネがきしむ。水の中で動くようにどこかしら不可思議な動作で高野は立ち上がると後ろに下がった。そして、椅子から動けない俺の前で、ポケットに手を突っ込んで考え込んでいる。まだ、どうしたらいいのか決められない・・・そんな迷いがありありと表に出ている立ち姿だ。




 踏ん切りがついたのか、やがて高野は、服を脱ぎ始めた。ワイシャツのボタンをひとつずつ外していく。出来るだけ時間をかけて、もったいぶって、ゆっくりと、ひとつずつ。今時には珍しい白いワイシャツの前がはだけると滑らかな肌が少しずつ露になっていった。
 すでに腹までボタンは外されている。ベルトを引き抜き、両手を腹に沿わせながら後ろへ滑らせながらシャツの裾をズボンから引き出して行く。




 見た目はすごく華奢なくせに、サーフィンをやるせいか高野はしっかりと筋肉のついた身体をしてるのだった。慣れ親しんで隅から隅まで知っている身体。男同士だから、別に恥ずかしいわけでもない。だが、明らかに異常なシチエーション。誰もいなくても会社の中でこんな事をしている事が志方の頭をくらくらさせる。腕を縛られていて、どうしようもない。しかし、こんな所へ誰かやってきたら、全く逃げようが無く、どう言い訳のしようもない。




 くらくらしてくる頭とは全く別の所で冷静に、相手のしぐさを見つめる自分がいる事に志方は戸惑っていた。その時、志方の腕を縛ってから初めて高野が顔を上げて、しっかりと志方の瞳を見つめ返した。一瞬の躊躇いの後に視線はゆっくりと逸れて行く。どこを見ているのか分からない高野の様子は、まるで恥ずかしがっているようで、志方は新鮮な想いで彼の仕草を見つめ続けた。




 ものすごく躊躇した後に、高野は、シャツの肩をはだけて見せる。見せるために技巧を凝らしてる訳じゃないという精一杯の虚勢を張って。だが、街頭に立つ娼婦を思わせるようなそんな仕草があまりにも似合う男に、志方は魅せらられるようにじっと見つめずにはいられなかった。思わせぶりに溜息を付くと、高野の手は今度はズボンのボタンへと降りていく。




『おい、おまえ、それはやりすぎだろう。』
 志方は、心の中でそう考えながらも、高野の行為を止めなかった。ここまで来たら、行くところまで行かないと・・・おさまりがつく筈もない。だが、その、行くところはどこなのか。高野が考えている事が全く分からない以上に、志方は自分がこの事態を楽しんでいる事が不思議だった。縛られているのは志方なのに、責められているのは事を進めている高野の方のような気がする。




 服がその重みで滑り落ちていく間、高野は一瞬目をつぶった。シャツは、まだ、身体にまとわり付いたままだ。
『本気で全部脱いでしまうつもりらしい。』
 志方が内心で呆れていたのは、高野のその振る舞いではなかった。それよりもずっと驚きを感じているのは、高野がどこまで自分を追い込めるのかを楽しんでいる自分の気持ちだった。
『俺は・・・。もしかしたら、高野は俺も知らないこの気持ちを・・・?』
 自分から仕掛けて挑発した高野が、最後に来て、初めて辛そうに顔をゆがめるのを見て、志方はぞくぞくと肌が粟立つような興奮を感じた。




 全裸になった高野は、見せ付けるようにゆっくりと近づいて来て、もう一度志方の首に腕を廻して抱きついてきた。切なげにわざとらしく溜息をついてみせる。それから、力を抜くとそのままずるずると足元に滑り落ちていく。そして、志方のズボンのチャックを素早く降ろすと、いつもの手順で引っ張り出したそれをするりと口の中に納める。




 ぴちゃぴちゃ・・・。舌が鳴る淫猥な音を聴きながら、足元から昇って来る強い快感を堪えながら、志方は猫がミルクを飲むように一心にそれをしゃぶっている相手を見つめ続けていた。責められてるのは縛られている志方なのか。それとも床に全裸でぺったりと座り込んで男の物を銜え込んでいる高野なのか。その血の味がするような加虐を味わっているのは、主導権を握っている高野なのか。それともなすがままにされた志方なのか。なりゆきで繋げた身体が導き出した二人の関係が、この先どこへ行くのか。それとも行かないのか。志方は歯を喰いしばり、先急ごうとする自分の欲望を押さえつけた。

 ただ床に跪いている相方のその姿をずっと見ていたいために。




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