フランツ様の体が羽根枕から滑り降りてきて、私の体にぴったりと寄り添う形になられる。私は口を空けているために、弾む呼吸も喘ぎも隠しようがなくなっていた。
「ヴァイス、私を抱いてみたいか?」
思いもかけない言葉に私は、答えられなかった。なんですって、なんとおっしゃいました。
「私がお前にしたように、縄をかけて、玩び、犯してみたくはないか?」
その時、フランツ様の手は、ねっとりと絡みつきながら完全に立ち上がったそれをくるみこんでは絞りあげ始めた。私は思わず体をもがかせていた。切れ切れの喘ぎ。
「私は知りたい。お前が感じていることを。陛下との間にあったのは嫌悪と屈辱だけだった」
力を込めて、首を左右に振る。
「……抱きたく。……ありません」
わたしは絶対にあけまいとしてきつくに瞳をつぶった。視線が合ってしまえば、彼には隠しようが無い。フランツ様の手が袋にかかり、徐々に圧力を掛けてくる。痛みが下半身から広がり、どこへも逃げられないからだが、痛みにねじれ引きつる。
「嘘だ」
「抱きたく、ありません!フランツ様……どうか……。あうっ」
ギュッと握りつぶされて、ショックで縛られていることを忘れて必死に縄を引いた。
「抵抗しないんじゃなかったのか?」
あそこを握りしめられた激痛の中では力を抜くことさえ難しい。彼の唇が肩に触れ、ゆっくりと移動していき、一番柔らかなくぼみに歯が立てられた。
「本当のことを言うんだ」
私は、必死に首を振った。中心を握りこまれている状態では、逃げようが無い。
「嘘つき」
じんわりと、圧を掛けてくる。フランツ様。フランツ様。のけぞり、硬直する。耐え難い激痛に筋肉がねじれた。
「私が欲しいんだろう?お前の心をきかせておくれ」
「言えません。お許しください」
必死に足を蹴る。縛められていて何ほどの動きも出来なかった。すっかり焦れた彼は、あっという間に乱暴に体をひっくり返し後ろからのしかかってきた。中心は相変わらず捕らえられたままだ。何の準備も無く、何も塗られていないそこへフランツ様の体が押し付けられる。前を捻られるよりも、もっと酷い激痛が突き抜ける。
「あ……あ……あう!」
「私は、お前に抱かれてみたいのに」
それを口に出した瞬間に私は主を裏切ってしまうだろう。もう、下僕ではいられない。そう思うと唇を必死で噛み締めて時間を稼ぐしかない。本当の欲望を闇の中へ必死になって押し込もうとして私はのたうった。痛みが、私を助けてくれる。真実があらわになるのを防いでくれる。
「まったく、強情な奴だな」
痛みでは私を動かせないことに気がついたフランツ様は、いったん腰を引くと私の体から手を離し、体に寄り添うような体勢に戻っていった。反対の手を背中へ滑らせる。私は、この不意打ちにのけぞり硬直した。そして、ゆるゆるとした愛撫。一番感じやすいところを探す彼の手の動きが始まった。私は、必死に手を握りしめ、体をシーツに押し付けた。
いくら抑えようとしても、体の感覚が彼が与えてくれるものを貪欲にむさぼろうとしていた。耳を澄ますように、心を研ぎ澄ませて快感を追ってしまう。手。フランツ様の手を……。這い回る。撫で回す。焦らされてもどかしさに気が狂いそうだ。
「王都から領地へ移動した旅の間……お前は、私を抱きたがっていたろう?」
ええ。ええ。そうです。抱きたかった。あなたが私が与える苦痛にすくむ様を見て、引き裂き、無理矢理あなたの中に押し入っていきたかった。あなたに私が与える苦痛が、私にもたらす喜びに恐怖していました。これでは王と同じ。あなたを苦しめる悪魔と。あなたは気が付いていましたね。私がその狭間で煩悶し惑乱しているのを……。ああ。やめてください。私はあなたを壊してしまいかねない。
彼の愛撫には終わりがなかった。いつまでもじわじわと私の感覚が研ぎ澄まされ落ちていこうとするへりを、責めつけ続ける。耐えられる限界を常に強いられて、飢えて貪婪な体が勝手に暴走しようとし始める。与えられた少ないものを隅々まで味あうことで、のりを越えようとし始める。だめだ。抑制できない。
「私を欲しくはないのか」
欲しい。あなたを私のものに。私だけのものに。誰にも渡したくない。あなたを束縛したい。王になど触らせたくない。
「ヴァイス……」
背中に彼の唇が降りてくる。私はどうしようもなくそれを待ち受けるしかない。身のうちを貫く鋭い快感。背の中心を彼の舌が唇が弄りまわす。私は引きつけ、体をうねらせた。
「フランツ様……やめてください。やめて……。耐え……られない」
「……我慢するんだ。嘘つきの罰だ」
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