それは、会社が入っているビルの、エレベーターが故障した時に起きた。朝の出社時で、エレベーターの中は結構混雑していた。急に足元がかしいだと思うと、ガタンと揺れて止まってしまった。電気が一瞬消え、非常灯がついたものの薄暗い。
箱の中に閉じ込められた人間のかすかな叫び声と不安なつぶやき…すぐに動くだろうという期待と押し殺した恐怖の中、私達は30分近くもちょっと斜めにかしいだ四角い床の上にじっと立っているしかなかった。
最初に激しく揺れた瞬間、私は新しいハイヒールと考え事のせいで、まったく無防備に前につんのめってしまった。目の前に立っていたのは、三年前から付いてくれている直属の秘書、東野和希…今年で二十七になる彼は、経営者がよだれを流して欲しがる恐ろしい記憶力の持ち主だ。
パソコンのデーターベースを持ち歩いているのと同じなだけに、便利な事この上なかった。おとなしそうな見かけによらず、結構身体にはしっかりとした筋肉が付いている。それは、今、初めて確認した。着やせするタイプなのか、普段のスーツの上からはすっきりとした若者らしい格好の良さだけが目立っていたので、まったく気が付かなかった。よろめいた身体をあっさりと両腕で抱きとめられて、腕にも胸にもきちんと鍛えられた筋肉が付いている事に気が付いた。なかなかの抱き心地のよさに、ここは遠慮なくおいしい思いをさせてもらおうと、さりげなく彼の胸に身体を預ける。
「社長、大丈夫ですか?」
心配そうに囁いてくる。頭の中でペロッと舌を出して、大丈夫と低く答えた。エレベーターに取り付けられた外部マイクから、警備員らしき職員の問い合わせの声が入ってくる。一番操作盤の近くにいた男性が答え、すぐに修理をさせるのでそのまま待っていて欲しいという要請が続く。
やれやれ仕方ない、という雰囲気が流れたが、何せ狭い箱の中に見知らぬ人間がひしめき合っているのだ。みな落ち着かない様子でせわしなく足を踏みかえる事で不快感、焦燥感を押さえつけている様子だった。
思いがけない、時間の余裕に、今朝、一番にしないといけない事、それから今日一日の予定を頭の中で総浚いする。決定事項と考慮すべき事態の寄り分けに忙しく頭を回転させていると、右の腰辺りになにやらさっきまで無かった固いものが当たる気配がした。
無意識のうちに、なんだろうと太腿を押し付けてみてから、はたと自分のおかれている状況に思い当たった。のんきに秘書の身体に、自分の身体を押し付けて、感触を楽しんでいる真最中だったのだ。こっちが心地よいって事は、相手もその感触を味わっているわけで、この腰に出現したモノの正体は、その結果に他ならない。思わず顔をあげて、当の本人をまともに見つめてしまった。
赤い顔をさっと背けた彼の様子から、本人も相当困惑しているのが見て取れた。うーん、これはちょっとセクハラも同然じゃない?と、気がついたが、あまりにもおいしいシチエーションに誘惑をこらえきれず、確認するかのように相手の足の間を狙って太腿を割り込ませる。思わず息を飲んで固くなっている彼が必死に平静を装い、呼吸を殺しているのは分かるが、ぴったりと密着しているせいで伝わってくる心臓の音がだんだん速まってくるのが手に取るようだった。こらえ切れなかったのか、溜息を漏らしてみじろぎした時には、身体を抱きとめた際に腰に廻された腕はかすかに熱を帯びて震えている。
一言も言わず、そぶりも見せず、お互いの身体が感じている事を探り合う。周囲の人間に気づかれるのを怖れて、身体を固くしている彼の太腿の辺りに手のひらを這わせた。ビクッと身体が揺れる。彼の唇が震えながら何か言おうとしているのが頭の上に感じられるが、実際には音は出なかった。
身体に廻されていた手のひらが、ぎゅっと握りこまれる気配。相当追い込まれている様子に思わず嬉しくなって身体を摺り寄せた。すると、耳元に彼の唇が降りてきて、溜息のようなかすかな喘ぎ声が吹き込まれた。ぞくっ、として総毛だった事にびっくりした。今まで一度もそんな目で見た事が無かっただけに、彼にちょっと触れられただけで、自分が感じている事に驚いた。慌てて、身体を離そうとすると、握りこまれていたはずの手のひらに引き止められる。うーん……どうしよう……でも、ここまで来て、抵抗しても仕方が無いような気もする。まあいいかと、無責任に考えて彼の身体に体重を預けた。
↓ランキングに参加しています。応援してね。☆⌒(*^∇゜)v ヴイッ

スポンサーサイト


箱の中に閉じ込められた人間のかすかな叫び声と不安なつぶやき…すぐに動くだろうという期待と押し殺した恐怖の中、私達は30分近くもちょっと斜めにかしいだ四角い床の上にじっと立っているしかなかった。
最初に激しく揺れた瞬間、私は新しいハイヒールと考え事のせいで、まったく無防備に前につんのめってしまった。目の前に立っていたのは、三年前から付いてくれている直属の秘書、東野和希…今年で二十七になる彼は、経営者がよだれを流して欲しがる恐ろしい記憶力の持ち主だ。
パソコンのデーターベースを持ち歩いているのと同じなだけに、便利な事この上なかった。おとなしそうな見かけによらず、結構身体にはしっかりとした筋肉が付いている。それは、今、初めて確認した。着やせするタイプなのか、普段のスーツの上からはすっきりとした若者らしい格好の良さだけが目立っていたので、まったく気が付かなかった。よろめいた身体をあっさりと両腕で抱きとめられて、腕にも胸にもきちんと鍛えられた筋肉が付いている事に気が付いた。なかなかの抱き心地のよさに、ここは遠慮なくおいしい思いをさせてもらおうと、さりげなく彼の胸に身体を預ける。
「社長、大丈夫ですか?」
心配そうに囁いてくる。頭の中でペロッと舌を出して、大丈夫と低く答えた。エレベーターに取り付けられた外部マイクから、警備員らしき職員の問い合わせの声が入ってくる。一番操作盤の近くにいた男性が答え、すぐに修理をさせるのでそのまま待っていて欲しいという要請が続く。
やれやれ仕方ない、という雰囲気が流れたが、何せ狭い箱の中に見知らぬ人間がひしめき合っているのだ。みな落ち着かない様子でせわしなく足を踏みかえる事で不快感、焦燥感を押さえつけている様子だった。
思いがけない、時間の余裕に、今朝、一番にしないといけない事、それから今日一日の予定を頭の中で総浚いする。決定事項と考慮すべき事態の寄り分けに忙しく頭を回転させていると、右の腰辺りになにやらさっきまで無かった固いものが当たる気配がした。
無意識のうちに、なんだろうと太腿を押し付けてみてから、はたと自分のおかれている状況に思い当たった。のんきに秘書の身体に、自分の身体を押し付けて、感触を楽しんでいる真最中だったのだ。こっちが心地よいって事は、相手もその感触を味わっているわけで、この腰に出現したモノの正体は、その結果に他ならない。思わず顔をあげて、当の本人をまともに見つめてしまった。
赤い顔をさっと背けた彼の様子から、本人も相当困惑しているのが見て取れた。うーん、これはちょっとセクハラも同然じゃない?と、気がついたが、あまりにもおいしいシチエーションに誘惑をこらえきれず、確認するかのように相手の足の間を狙って太腿を割り込ませる。思わず息を飲んで固くなっている彼が必死に平静を装い、呼吸を殺しているのは分かるが、ぴったりと密着しているせいで伝わってくる心臓の音がだんだん速まってくるのが手に取るようだった。こらえ切れなかったのか、溜息を漏らしてみじろぎした時には、身体を抱きとめた際に腰に廻された腕はかすかに熱を帯びて震えている。
一言も言わず、そぶりも見せず、お互いの身体が感じている事を探り合う。周囲の人間に気づかれるのを怖れて、身体を固くしている彼の太腿の辺りに手のひらを這わせた。ビクッと身体が揺れる。彼の唇が震えながら何か言おうとしているのが頭の上に感じられるが、実際には音は出なかった。
身体に廻されていた手のひらが、ぎゅっと握りこまれる気配。相当追い込まれている様子に思わず嬉しくなって身体を摺り寄せた。すると、耳元に彼の唇が降りてきて、溜息のようなかすかな喘ぎ声が吹き込まれた。ぞくっ、として総毛だった事にびっくりした。今まで一度もそんな目で見た事が無かっただけに、彼にちょっと触れられただけで、自分が感じている事に驚いた。慌てて、身体を離そうとすると、握りこまれていたはずの手のひらに引き止められる。うーん……どうしよう……でも、ここまで来て、抵抗しても仕方が無いような気もする。まあいいかと、無責任に考えて彼の身体に体重を預けた。
↓ランキングに参加しています。応援してね。☆⌒(*^∇゜)v ヴイッ


[PR]

この記事へのコメント
えへ。
ranさんはいつもそうなってます。
二人きりになったり、体が密着したりすると…。
せつなはそれが凄く嬉しいんです。
自分が女性だってことを自覚できる。
そうなるのはせつなだからだよ。ってranさんはいいますけど。
誰にでも反応してもらったら困るんデスよっ…。と云いたい(w
こーんなことかいてranさんにバレたら
怒られるぅぅー><
ひーえーvv
ranさんはいつもそうなってます。
二人きりになったり、体が密着したりすると…。
せつなはそれが凄く嬉しいんです。
自分が女性だってことを自覚できる。
そうなるのはせつなだからだよ。ってranさんはいいますけど。
誰にでも反応してもらったら困るんデスよっ…。と云いたい(w
こーんなことかいてranさんにバレたら
怒られるぅぅー><
ひーえーvv
2006/04/24(月) 10:41 | URL | せつな #-[ 編集]
体が密着していて…
せつなはもちろん、きゅーん♪になってしまう。
そしてパートナーが東野君と同じ状態になってたりすると
とっても嬉しいんですよね。
お互い心で感じてる証拠って感じで…。
せつなはもちろん、きゅーん♪になってしまう。
そしてパートナーが東野君と同じ状態になってたりすると
とっても嬉しいんですよね。
お互い心で感じてる証拠って感じで…。
2006/04/23(日) 04:03 | URL | せつな #-[ 編集]
そりゃ、そうだろう・・・。
で、ranさんともその経験有り?
男が欲しがってるって、いいよね。
さやかは、大好き♪
でも、それを我慢してるのがもっと好き♪
で、ranさんともその経験有り?
男が欲しがってるって、いいよね。
さやかは、大好き♪
でも、それを我慢してるのがもっと好き♪
おーい!ranさんあのねー!せつながねー!
(=⌒▽⌒=) ニャハハハ♪
ご馳走様です。
いいなあ、いつも発情してる男。
(見も蓋もない言い方。)
それも、「せつなだけモード」なんだもんね。
私もそんなふうに求められてみたいものだ。
なぜ、淡白な仏様を好きになっちゃったんだろう・・・?
仕方ない、せつなを虐めてSのフラストレーションを晴らそう。
(=⌒▽⌒=) ニャハハハ♪
ご馳走様です。
いいなあ、いつも発情してる男。
(見も蓋もない言い方。)
それも、「せつなだけモード」なんだもんね。
私もそんなふうに求められてみたいものだ。
なぜ、淡白な仏様を好きになっちゃったんだろう・・・?
仕方ない、せつなを虐めてSのフラストレーションを晴らそう。