東野が手配したホテルは、よくも素人がこんなところ見つけ出した、と、思わず感心してしまうようなホテルだった。確かにラブホテルなんだけど、白い壁が真新しくて清潔感がただよっている。白木の柱と梁がさりげなく、黒い金具もまがまがしくチャーミングだ。
しかも、吊り上げるためのチェーンブロックが付いていた。非力な女にはありがたい設備だった。今まで至れり尽くせりの設備の館を常用していただけに、不安だったけど、これならなんとかなるだろう。
一通りの手回り品の詰まったキャリーバックを東野にガラガラ引かせて、部屋に入るとまずシャワーを浴びる事にした。バックの中から黒い絹のローブを取り出すと、東野を置き去りにしてバスルームに消えた。シャワーを浴びている間に考え直す事も可能だ。いや、できれば考えなおして逃げ出して欲しい。けれど、戻ってくると、東野は置いていった時のままの姿勢で、座って待っていた。
私はソファにわざと「どさっ」と音をたてて座った。足を投げ出して組む。もちろん下着をつけてないからむき出しの素足を絹のロープが滑り落ちていくと、きわどい足の線が露になる。手を組んでうつむいていた東野の目が釘付けになったのが分かる。たった一回。それも、あまりのも性急なセックスが、彼の欲望と焦燥を、いっそうに煽り立てただけの結果になってしまった事は、この一週間の彼の様子で分かっていた。
「脱いで」
さあ、どうする?ほとんどケンカを売っているような気分だった。昨日の真樹とのプレイがまだ気持ちにも身体にも残っている。彼は、一瞬だけ目を泳がせたが、すぐに真剣な表情で見つめ返してきた。立ち上がると二歩椅子から離れ、ネクタイを緩め、引き抜く。そして、座っていた椅子にそのネクタイを放り投げた。次に靴を脱ぎ、靴下を脱ぐ。それから、上着。まったく逡巡しない手つきでシャツのボタンをひとつずつ外していく。
前が開くと袖のボタンに移る。シャツをネクタイの上に脱ぎ捨てると。上半身裸になっていた。顔が赤くなってきて、彼が羞恥をこらえているのが分かった。だが、ためらったのは一瞬で、ベルトの金具を外してズボンを蹴り脱いだ。かがんで拾うと、それもネクタイの上に投げる。
すでに、全裸だった。下着を着けてこなかったらしい。一度だけ目が合い。さっと逸らされる。唇がかすかに震えているのが分かった。下から上までじろじろとねめつけた。見られる羞恥に、何度か深く息を吸って、どうにかして落ち着こうとしてはいるものの、身体が熱くなって震えが押さえられなくなっているのが分かった。
「後ろを向いて」
ギュッと眼をつぶって、くるりと身体を廻す。落ち着きなく手が居場所を探して握りしめられる。彼の羞恥に当てられて、頬が火照ってくるのが分かる。初体験の相手とプレイするのは、私にとっても初めてだという事に気が付いた。立ち上がると後ろから近づいた。
左手をお尻に押し付けて、右手を前に廻す。彼の身体がビクッと跳ねた。前に廻した手で胸から下腹へと撫で回す。
「あ……」
溜息のような喘ぎがもれる。勃ち上って来ているモノはわざとさけて太腿へと手を滑らした。背中を押して、ベッドに座らせる。ゆっくりと身体を返して元のソファに戻って座った。テーブルに準備されていた水割りを一口飲む。
「オナニーして見せて」
彼の頬が言われた言葉にショックを受けて凍りつくのを、見つめた。逡巡と羞恥を押さえつけようとして、自意識と格闘する彼の苦悶を舌なめずりして味わう。ひとつ、ふたつ大きく息を付くと、ベッドに浅く腰を掛けて、眼を閉じてそろそろと手を這わし始めた。
人前でオナニーするなんて、普通の経験じゃない。そう簡単に思い通りにいかないのが常だった。視線を意識すると、快感は途切れ、快感を追いすぎると、羞恥が強まる。
彼が、必死に私の存在を意識の外に追い出そうとして、眼をギュッと閉じて自分の中の感覚だけを追いかけようと努力しているのを黙って見つめた。だんだんと高ぶってきて息が速くなる。
「東野って、そんな恥ずかしい事が平気で出来る男だったのね」
一瞬で彼の意識が墜落したのが分かった。あっという間に素に戻り、萎えていく。やめていいといわれない以上、もう一度やり直しだった。
二度目のトライはさっきよりも恥ずかしく、さっきよりもみじめさがつのる。東野の喘ぎはさっきよりも切羽詰って、苦しそうだった。必死に自分をあおっているのが、分かる。今度は上手くいった。もう少しでいきそうだ。
「ストップ!」
びくっ!と身体が大きく揺れる。いく瞬間にとめられた経験の無い彼の身体が、混乱しながらも必死に踏みとどまったのが分かった。身体中に力をこめて、息をつめて、シーツに爪を食い込ませる。
「あぅ…」
打ち上げられた魚のように、空気を求めて口が開いた。ふいごのように息を付きながら、身体がもう少しで得られたはずの快感を逃した苦痛に引きつる。私は立ち上がって彼に近づいた。見上げてくる瞳はすっかり欲望に曇っている。中断させられた快感を求めて身もだえする。髪をつかんで顔を引き上げると、深くくちづけた。彼の口の中を舌でなめずりまわす。突き放すように手を離すと。また、ソファに戻る。
「もう一度よ」
歯を喰いしばって屈辱を必死に押さえつけている。いつもより暗い瞳が、一瞬私をねめつけるように閃いたが、すぐにさっと逸らされた。今度はさっきのようなおずおずとした動きからではなかった。
挑発するように、袋にも手を這わせて、ねっとりと絡みつかせる。すっかり先走りで濡れそぼっているのでぴちゃぴちゃと淫猥な音がする。突き上げてくる羞恥を赤い顔を左右に振って振り払う。逝かせて貰えないのは承知の上での三度目のトライ。今度は、待ち構えていたので逝きそうになる瞬間を自分で捉えていた。
「ストップ!」
「く…っ」
身体中がいく事を求めて捻れる。握りこんだ手を意志の力で引き剥がし、シーツにめりこむほどに身体を突っ張らせて耐えた。
「あ…あ…」
懇願しそうになる口を必死で閉じているのが分かる。初めての彼にはいかにも辛いはずだった。喘ぎが収まり、ようやく顔を上げられるようになるまで、長い時間が掛かった。
「もう一度よ」
絶望の眼で見返してきても、東野は逆らわなかった。今度はあっという間に坂を駆け上がる。でも、いかせるつもりはなかった。今は、彼もそれは知っている。腹筋に力を込めて、崖から滑り落ちまいとしがみつく。濡れた手で顔を覆い、びくびくと身体を引きつらせた。四度目の欲求も、彼は押さえつけて見せた。
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しかも、吊り上げるためのチェーンブロックが付いていた。非力な女にはありがたい設備だった。今まで至れり尽くせりの設備の館を常用していただけに、不安だったけど、これならなんとかなるだろう。
一通りの手回り品の詰まったキャリーバックを東野にガラガラ引かせて、部屋に入るとまずシャワーを浴びる事にした。バックの中から黒い絹のローブを取り出すと、東野を置き去りにしてバスルームに消えた。シャワーを浴びている間に考え直す事も可能だ。いや、できれば考えなおして逃げ出して欲しい。けれど、戻ってくると、東野は置いていった時のままの姿勢で、座って待っていた。
私はソファにわざと「どさっ」と音をたてて座った。足を投げ出して組む。もちろん下着をつけてないからむき出しの素足を絹のロープが滑り落ちていくと、きわどい足の線が露になる。手を組んでうつむいていた東野の目が釘付けになったのが分かる。たった一回。それも、あまりのも性急なセックスが、彼の欲望と焦燥を、いっそうに煽り立てただけの結果になってしまった事は、この一週間の彼の様子で分かっていた。
「脱いで」
さあ、どうする?ほとんどケンカを売っているような気分だった。昨日の真樹とのプレイがまだ気持ちにも身体にも残っている。彼は、一瞬だけ目を泳がせたが、すぐに真剣な表情で見つめ返してきた。立ち上がると二歩椅子から離れ、ネクタイを緩め、引き抜く。そして、座っていた椅子にそのネクタイを放り投げた。次に靴を脱ぎ、靴下を脱ぐ。それから、上着。まったく逡巡しない手つきでシャツのボタンをひとつずつ外していく。
前が開くと袖のボタンに移る。シャツをネクタイの上に脱ぎ捨てると。上半身裸になっていた。顔が赤くなってきて、彼が羞恥をこらえているのが分かった。だが、ためらったのは一瞬で、ベルトの金具を外してズボンを蹴り脱いだ。かがんで拾うと、それもネクタイの上に投げる。
すでに、全裸だった。下着を着けてこなかったらしい。一度だけ目が合い。さっと逸らされる。唇がかすかに震えているのが分かった。下から上までじろじろとねめつけた。見られる羞恥に、何度か深く息を吸って、どうにかして落ち着こうとしてはいるものの、身体が熱くなって震えが押さえられなくなっているのが分かった。
「後ろを向いて」
ギュッと眼をつぶって、くるりと身体を廻す。落ち着きなく手が居場所を探して握りしめられる。彼の羞恥に当てられて、頬が火照ってくるのが分かる。初体験の相手とプレイするのは、私にとっても初めてだという事に気が付いた。立ち上がると後ろから近づいた。
左手をお尻に押し付けて、右手を前に廻す。彼の身体がビクッと跳ねた。前に廻した手で胸から下腹へと撫で回す。
「あ……」
溜息のような喘ぎがもれる。勃ち上って来ているモノはわざとさけて太腿へと手を滑らした。背中を押して、ベッドに座らせる。ゆっくりと身体を返して元のソファに戻って座った。テーブルに準備されていた水割りを一口飲む。
「オナニーして見せて」
彼の頬が言われた言葉にショックを受けて凍りつくのを、見つめた。逡巡と羞恥を押さえつけようとして、自意識と格闘する彼の苦悶を舌なめずりして味わう。ひとつ、ふたつ大きく息を付くと、ベッドに浅く腰を掛けて、眼を閉じてそろそろと手を這わし始めた。
人前でオナニーするなんて、普通の経験じゃない。そう簡単に思い通りにいかないのが常だった。視線を意識すると、快感は途切れ、快感を追いすぎると、羞恥が強まる。
彼が、必死に私の存在を意識の外に追い出そうとして、眼をギュッと閉じて自分の中の感覚だけを追いかけようと努力しているのを黙って見つめた。だんだんと高ぶってきて息が速くなる。
「東野って、そんな恥ずかしい事が平気で出来る男だったのね」
一瞬で彼の意識が墜落したのが分かった。あっという間に素に戻り、萎えていく。やめていいといわれない以上、もう一度やり直しだった。
二度目のトライはさっきよりも恥ずかしく、さっきよりもみじめさがつのる。東野の喘ぎはさっきよりも切羽詰って、苦しそうだった。必死に自分をあおっているのが、分かる。今度は上手くいった。もう少しでいきそうだ。
「ストップ!」
びくっ!と身体が大きく揺れる。いく瞬間にとめられた経験の無い彼の身体が、混乱しながらも必死に踏みとどまったのが分かった。身体中に力をこめて、息をつめて、シーツに爪を食い込ませる。
「あぅ…」
打ち上げられた魚のように、空気を求めて口が開いた。ふいごのように息を付きながら、身体がもう少しで得られたはずの快感を逃した苦痛に引きつる。私は立ち上がって彼に近づいた。見上げてくる瞳はすっかり欲望に曇っている。中断させられた快感を求めて身もだえする。髪をつかんで顔を引き上げると、深くくちづけた。彼の口の中を舌でなめずりまわす。突き放すように手を離すと。また、ソファに戻る。
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この記事へのコメント
お尋ねありがとうございます。
本宅「スパンキングとSM」のバナーは
左上のプロフィールの欄にあります。
テンプレートを替えた時
バナーのデザインも変えたんですよ。
引き続き遊びに来てくださいね♪
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いつもこちらから、本宅の“スパンキングとSM”にお邪魔していたのですが、バナーが無くなって行けなくなりました。
もう、貼らないのですか?
もう、貼らないのですか?
2007/06/30(土) 14:36 | URL | rin #-[ 編集]
瑞希さん、いぢわるですっ><
耐える東野さん、いじらしいなぁ…。
男性の場合はいってしまったら隠しようがないですよねvv
でも我慢して我慢してーいくのって凄く気持ちよさそう。
Σ(・ε・;) ややや。実体験に基づいたコメントじゃないですよぅ。
耐える東野さん、いじらしいなぁ…。
男性の場合はいってしまったら隠しようがないですよねvv
でも我慢して我慢してーいくのって凄く気持ちよさそう。
Σ(・ε・;) ややや。実体験に基づいたコメントじゃないですよぅ。
2006/05/13(土) 11:13 | URL | せつな #-[ 編集]
えーと(^_^;)これはいわゆる寸止めって奴ですね。
で、行く寸前というのも男性は隠せないらしい。
ボールがきゅっと上にあがるらしいの
だから、ぎりぎりじゃないのに「ふり」だけしてもダメです!
せつなは焦らされるのが好きなんでしょ!
ranさんも好きそうに見えるしなぁ・・・・。
(*'‐'*) ウフフフ♪
で、行く寸前というのも男性は隠せないらしい。
ボールがきゅっと上にあがるらしいの
だから、ぎりぎりじゃないのに「ふり」だけしてもダメです!
せつなは焦らされるのが好きなんでしょ!
ranさんも好きそうに見えるしなぁ・・・・。
(*'‐'*) ウフフフ♪