俺は、目を瞑った。ただ、感じるのはしがみついている映画館の座席の背と尻を撫で回している相手の手の感触だけ。焦るそぶりも無く、興奮する様子もなく、同じペースで、さわさわと撫で回されて、俺のほうは初めて他人の手で撫でられる快感にどうしていいか分からなくなっていた。
今、思い返すと、彼の触り方がどれほど上手かったかよく分かる。俺のあそこはもうすっかり昂ぶりきって、窮屈な服の中でびくびくと存在を象徴していた。もっと強い刺激が欲しくて、じれったさともどかしさにどうにかなりそうなのに、相手がやめてしまうのではと思うと動くこともできない。高い岸壁の際をいつまでも歩かされているような刺激に、俺はすっかり魅せられてしまっていた
後ろの男がじんわりと体を寄せてくる。固くなったペニスを、服越しに腰に押し付けられた。俺より背が高い。彼の左手が、座席の背もたれを握りしめている方の肩に乗せられたと思うと、尻を触っていたのと同じ、触るか触らないかの位置を保って撫で下ろされた。
ぞわっと、背中が総毛だって俺はちょっとのけぞった。彼の手は俺がしがみついている座席の隣の座席の背をつかむ右手が、ようやく撫で回していた尻から腰骨を伝わるようにして前へ移動し始める。だが、まだ行き着かない。腰と足の付け根のくぼみをゆるゆると移動しては急に太腿へ滑り降りる。たまらず俺は相手の体に尻を押し付けそうになって、はっと引き戻すことを繰り返してしまった。
もう、すっかり、彼の体に囲い込まれていた。頭が覗き込むように傾げられながら降りてきて、唇が耳のそばまで来る。暖かな吐息が耳にかかると、とうとう俺は、耐え切れず相手の腕の中から逃れようとした。太腿を撫でていた手が俺の腰を捉えるとギュッと抱き寄せられる。
「初めてなの?」
呆けてしまった俺は相手の質問の意味が分からなかった。それだけじゃない。その低くて暖かい落ち着いた声にショックを受けた。学食の食堂で想像していた、映画館で見知らぬ男の体を触る男というイメージからはかけ離れた相手の声。暖かく、低く柔らかく、落ち着いていて、安心させてくれる声。
なぜか、その声にすっかりと捉えられてしまった俺は、彼の左腕に自分の手をかけて腰をしっかりと相手に押し付けてしまっていた。応えようと唾を飲み込んだが、思ったように声にならず、うなずくしかできなかった。
相手の手は太腿の上を外側から内側へS字を描くように撫で回しはじめた。俺は彼に囲われて身動きもならず、必死で左腕につかまっているしかない。目を瞑ったまま、ゆるく首をふりつづけた。彼は太腿にいつまで時間をかけるつもりなんだろうか。立ち上がったペニスがびくびくとその存在を主張しているのに、彼はあからさまにそこを避けるようにきわどい所を何度も何度も撫でさすっては離れていく。俺はついに耐え切れず相手に懇願してしまう。
「もっと…」
「もっと、なに?」
なんで?分かっているのに言わせるつもりなんだ。突きあがってくる喘ぎを押し殺しながら俺は言葉を継いた。
「前を触って」
手は腿の前面部分を上下し始めた。くそっ。こいつ、解っていて、焦らしているんだ
「違う、ペニスだよ。触って」
つい、尖った声を出してしまい、慌てて口をつぐむ。その様子を見て、くすくす、笑った彼は、ようやく手をズボンの前のほうへ移動してきた
掌で覆うようにしてやんわりとその掌を足の間へ向けて差し入れていく。それからまたもとの位置へ。そこまできても彼は強く手を押し付けようとはしない。俺は尻をぴったりと彼の腰に押し付けて、そのもどかしい拷問に耐える。彼の固いそれが俺の尻の間にごりごりとあたる。
「あ…」
我慢しきれなくって、声が漏れた。
「いい?」
うん。すごく。心の中で呟きながら右手で顔を覆った。彼の右手は俺の玉袋の辺りをおおって揉み始める。左手が座席の背から離れて、棹の辺りを擦り上げる。焦らすようなさっきまでの刺激と違い。確実に感じさせようとしていた。俺は歯を喰いしばって喘ぎを押し殺そうとした。
「みんな見ているよ」
ぎくっ俺は、あっという間に正気に引き戻された。目を開けると、自分がいるのは映画館の中。目の前では一生懸命やりまくっている男女の映像そしてその画面の明かりに照らされて男に抱きしめられて前を擦りたてられて喘いでいる俺の姿は、場内の客の前にはっきりと見えているのだった。
何人もの男達が、あからさまに振り返って俺を見ている。焦った俺は手を振りほどいて相手の懐から逃れようとした。俺がそうするのが分かっていたように両手はギュッと体にまわされて俺を抱きしめた。
「待って、動かないで」
抱きしめられると、俺は、固まったまま、どうしたらいいか分からなかった。最初からこんな急な展開になるなんて予想してなかった。でも、そう、こうなることを望んでいたことも事実だった。俺を抱きしめていた手が少しゆるむと、俺がそれ以上抵抗しないのを確かめてから、シャツのボタンを外し始めた。俺は目を見開いて顎を震わせながらも、前の座席だけを見つめて、じっと相手がするままに任せた。
頭の中はまっしろだった。顔も知らない男に体を触られている様を、これまた顔も知らない男達の前にさらけ出しているのだ。男はまったく焦らないで、ひとつずつゆっくりとボタンを外していく。ズボンの中にたくし込まれている部分まで来ると、開かれたシャツの合わせ目から手を滑り込ませる。下に来ていたタンクトップを、たぐるようにめくりあげ、彼の手は俺の素肌を捉えた。むき出しにされた胸や腹を撫で回される。俺は大きく息をつきながら相手の腕にしがみついていた。
「ズボン、脱がせてもいい?」
さすがに必死になって首を振った。見世物になっているのに、そこまでやれないだが、相手はそんな俺の反応をあやすようにしてベルトのバックルを外す。カチャ。と、いう金属音が周囲に響き渡った様な気がした。コットンパンツのボタンもあっという間に外されてしまう。彼の人差し指がチャックの合わせ目をゆっくりと上下する。
「チャック、下ろすよ」
いやだ。首を振る。首まで赤くなっているのが分かった
「下ろすよ」
彼の手がからかうように上下を繰り返す。俺はその刺激に爪先立つようにして膝をつぼめずにはいられない。
「下ろすよ」
人差し指と親指がチャックの金具をつまんで、ジジジ…とチャックは恐ろしくゆっくりと下りて行き始めた。嫌なら、抵抗すればいい。そんなことは簡単だ。相手が押さえつけている腕は、頼りないほど力を込めていない。相手の声だって俺ほど我を忘れているわけじゃなかった。確かに昂ぶってうわずっているようだったが、それでも、まだまだ落ち着いていた
つまりは、そういうわけ。俺は自分で望んで、そいつが俺のコットンパンツを引き降ろすのにまかせたんだ。
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この記事へのコメント
だ・か・ら、さっさと自分で脱いじゃうのさ。
というよりも、ボタンを外す作業のように
面倒な事は彼はしないのだ。
「早く脱いで」と、顔に大書してあるぞよ。
それに、さやかは必ずインナーかスリップかキャミを着てる。
いや、それ以前にもうあまり恥ずかしくないかも・・・。
( ̄□( ̄□( ̄□ ̄;)!!ガーンガーンガーン………
ま、まずい、倦怠期か!?
というよりも、ボタンを外す作業のように
面倒な事は彼はしないのだ。
「早く脱いで」と、顔に大書してあるぞよ。
それに、さやかは必ずインナーかスリップかキャミを着てる。
いや、それ以前にもうあまり恥ずかしくないかも・・・。
( ̄□( ̄□( ̄□ ̄;)!!ガーンガーンガーン………
ま、まずい、倦怠期か!?
一番後ろの席の背もたれにもたれるようにして立っていることにした
↑ううう…。ゴメンナサイ|||-_|||
せつなは座ってるんだと思い込んでいて、③を何度も読み返しては
「おかしい…」どうして後ろから抱きしめられるんだろう、こういうところは背もたれが低いのかもしれない…
などど勝手に解釈してました><
本当にごめんなさい…シクシク…失態…。
★パジャマのボタンを外される時って恥かしくないですか?(w
(゚∈゚*)エヘヘ。いいなー><
その間、じっと彼の手を凝視するだけ…
ほわーわーん♪
(ホテルだとヘンテコな甚平さんのようなのが多いですぅ…)
↑ううう…。ゴメンナサイ|||-_|||
せつなは座ってるんだと思い込んでいて、③を何度も読み返しては
「おかしい…」どうして後ろから抱きしめられるんだろう、こういうところは背もたれが低いのかもしれない…
などど勝手に解釈してました><
本当にごめんなさい…シクシク…失態…。
★パジャマのボタンを外される時って恥かしくないですか?(w
(゚∈゚*)エヘヘ。いいなー><
その間、じっと彼の手を凝視するだけ…
ほわーわーん♪
(ホテルだとヘンテコな甚平さんのようなのが多いですぅ…)
2006/06/03(土) 03:27 | URL | せつな #-[ 編集]
立ってるんだから浮かせなくても大丈夫。
違うってば。
引き降ろされたんだから、手伝ってない。
せつなは脱がせてもらうんだぁ。
さやかは、たいてい自分で脱いじゃう。
脱ぐ暇が無い時は・・どうしてるんだろう?
えーと (Θ_Θ;)
そうそううつぶせにされて、引き下ろされてるな。
だから、腰は浮かしてないかなぁ。
もし、仰向けだったらもちろん協力するよ。
いや、実際の話さやかの場合はお互いの家だから
お風呂に入るとパジャマになっちゃうの。
だから、ブラとかもしてないし・・・・。
なんて事言わせるの。(〃∇〃) てれっ☆
違うってば。
引き降ろされたんだから、手伝ってない。
せつなは脱がせてもらうんだぁ。
さやかは、たいてい自分で脱いじゃう。
脱ぐ暇が無い時は・・どうしてるんだろう?
えーと (Θ_Θ;)
そうそううつぶせにされて、引き下ろされてるな。
だから、腰は浮かしてないかなぁ。
もし、仰向けだったらもちろん協力するよ。
いや、実際の話さやかの場合はお互いの家だから
お風呂に入るとパジャマになっちゃうの。
だから、ブラとかもしてないし・・・・。
なんて事言わせるの。(〃∇〃) てれっ☆
コットンパンツを引き降ろす時、
腰浮かせてなかった??(w
せつなもあの時とっても迷うんですよ~。
てこずらせるのも申し訳ないと思うし
だからといって腰をぴこっっと浮かせるのも
恥かしい…って迷ってること自体が
もっと恥かしく感じたり…。
腰浮かせてなかった??(w
せつなもあの時とっても迷うんですよ~。
てこずらせるのも申し訳ないと思うし
だからといって腰をぴこっっと浮かせるのも
恥かしい…って迷ってること自体が
もっと恥かしく感じたり…。
2006/05/31(水) 13:29 | URL | せつな #-[ 編集]