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6、あけすけな展開

ここでは、「6、あけすけな展開」 に関する記事を紹介しています。
 アパートの中は、トンネル状に三部屋の続く、よくある二DKだった。部屋は、考えていたよりも綺麗に片付けられていた。と、言うよりもガランと何も無いっていうのが正解なのか?台所にダイニングテーブルと冷蔵庫とスリムな食器棚。奥の和室にはテレビ。カーテンこそ下がっているけど家具といえそうな物はそれくらいだった
「部屋に帰っているの?」
「ははは…。寝る時は帰っているよ。片付けるのが嫌いなんだよ。だから、何も置かないんだ」
 彼は、押入れを開けるとそこから折りたたみ式の座卓を出してテレビの前に置いた。買ってきたビールとつまみの袋を乗せる。押入れの反対のほうには、中には下段に布団が上段には服が入っているようだった。今、彼が開けた側には上段には棚のような物があって、カゴが並べられている。彼はポケットの中の物をそのカゴのひとつに全部入れ、腕時計も、携帯電話も全部放り込んだ。
 それから、スーツを脱ぎながら、風呂場のほうへ行く。そうか、押入れの中に全部入っているのか。真ん中の部屋の何も置かれて無い和室の押入れも、きっとこんな感じなんだろう。足の踏み場も無いような俺の部屋とはずいぶん違う。
「座っていろよ。お湯張ってくるから」
 まず、最初に風呂を入れるってことは、やっぱり「する」つもりなんだろうな。わざわざ部屋に呼んだんだし、最後までいくだろうと考えるのが自然のような気がする。部屋に誘われた時に、もうそのことは分かっていたけど、だんだん現実になってくるとちょっと心配になってきた
 男同士だとアナルセックスするっていうのは知っているけど、実際にどうやるのかまったく知識が無い。ほんとに、そこまでやれるかどうか、全然想像も出来なかった。だが、前回映画館の時、彼が一方的に「やって」くれるのにまかせてしまい、彼は結局いかずじまいだった。だから、今日は俺もちゃんとお返しせねばなるまい…と、それだけは思いつめていた。
 俺に、男のペニスを咥えられるかどうか…?
 驚いた。咥えたいような気がする。正直、くらくらするほど興奮してきた。彼のそれを触って口にする。改めてそのことを考えているうちに、もう、座っていられないような状態になってきた。戻ってきた彼は向かいに座るとネクタイを外しながら、ビールの缶を開ける。一つ目を俺の前におくと、もうひとつも開ける。
 そして、俺の顔を見ると、不思議そうな表情になって、それからすぐに俺のそこへ視線をやった。そして、にやっと笑うとにじり寄ってきて、手を伸ばしてズボンのボタンを外し、チャックを下ろしてくれた。そして「気にするな」と、言うように、そこを二回撫でると、また元の場所に戻ってビールを飲み始める。
「いつきは、映画館は初めてだったんだろう?」
 壁に寄りかかって、風呂を洗う時に濡れてしまったらしいシャツの腕をまくりながら聞いてきた。
「映画館も、男も初めて」
 誠一さんはびっくりして顔を上げた。
「そうなのか。高校時代とかなにも無かったの?」
 うなずくと、誠一さんはちょっと困ったような顔をした。

「もう、ぶっちゃけ聞いちゃうけどさ。今から風呂に入って、そしたら、この間の続きをやるつもりだったんだけど…初めてなのに、ほんとに映画館で一度会ったきりの男に押し倒されてセックスされてもいいのか?」
 いいのかって、言われても。その男とセックスする目的で、この部屋へ来ているんですけど…。真面目に聞いてくる彼の顔を見ているとなんだかおかしくなって、緊張が抜けてきた。
「上手くいくかどうか、わからないけど、やりたくて来ているんだから教えてよ」
「やりたいってことは、いつきは男が好きってことだよね。のんけってわけじゃないんだな?」
「のんけ?」
「映画館に来る奴の何割かはのんけなんだよ。ただ、触られてやってもらうのが目的の奴。くわれのんけって言うんだけどさ。いつきはこの間、まったく、されるがままだったから、そうかもしれないと思っていたんだ」
「違う…と、思う。俺、女はダメだから」
「そうか」
 誠一さんは、ぐいっとビールをあおった。
「で、どっちがやりたい?」
 ぽかん、と、口を開けて彼を見てしまったような気がする。彼は、くすくす笑って嬉しそうに体を揺すった。
「やるほうか。やられるほうか。どっちがよさそう?」
 やるほうか。やられるほうか。え?なんだって?そう言われて初めて、自分が常に掘られる立場にあるという考えは間違いだってことに気がついた。ちょっとうろたえて、ビールをごくごく飲み干す。
「えー。考えてなかった。誠一さんはどっちなの?」
「うーん。俺はどっちでも。リバだから。同じ相手でも両方やるかな。もう、決まっていて、タチしかやれない奴とか、ネコしかやれない奴とかもいるし…」
「ネコって、受けのことだよね…初めてでも、ネコってやれるの?」
「まあ、誰でも初めてはあるからな」

「じゃ、今日は、この誠一さんがやさしくお尻を拡げてやるよ。一回経験しとけば、無理矢理やられたらやばいとか分かるようになるし」
そう言うと誠一さんは、押入れを開けて、イチジク浣腸を出してきた。ポンと俺の手の上に乗せる。
「先に風呂入っているからやっといて」
 そう言うと、彼は、押入れの反対側を開けて下着を取り出した。それから洗いざらしのバスローブを放って来る。風呂場に消える彼の背中を見つめて、それから俺は手の中の箱をひっくり返した。やり方は書いてあるんだろうな。やれやれ、考えてもいなかった世界が次々と押し寄せてくる。いったいこれからどうなるんだろう。




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コメント
この記事へのコメント
初めては、都内の一流ホテルのジュニアスイートで…
じゃなくても樹君いいのッ!?
そんなに簡単に大丈夫!?Σ(゚Д゚;≡;゚д゚)
若いってすごい。すごい行動力。
イチジク君と向き合う樹君・・・。
かわいいー|`・ω・)ゝ”
2006/06/03(土) 03:47 | URL | せつな #-[ 編集]
 そういうこと考えるの女だけだって(ノ_-;)・・・。
そういうせつなは、都内の一流ホテルのジュニアスイートだったの?
さやかは、樹とあんまり変わらない展開だったよ。
おまけにすごく痛くて彼を蹴り飛ばしてしまった。
_(_△_)ノ彡☆ギャハハ!!バンバン!! 
彼が忘れっぽい人でよかった。
2006/06/03(土) 15:49 | URL | さやか #DS51.JUo[ 編集]
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