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7、初めて

ここでは、「7、初めて」 に関する記事を紹介しています。
 初めての夜は、驚きの連続だったように思う。風呂から上がると真ん中の部屋に布団が二つ、くっつけて並べて敷かれていた。布団の横に座卓は移動していて、その上にスキンだの、ローションだの、ティッシュだの、タオルだのが並べられている。
 そんな道具を見ると「その気になったからってすぐさま押し倒すわけにもいかないんだな」と、思えてきて、なんだか「男同士って、考えていたのと違う」と、不思議だった。
 こんなに念入りに準備してくれるのは、ちょっと神経質な誠一さんのそれなりの気遣いだってことは、後からいろいろと経験をつむ過程で分かってくるのだが、その時はもう、これがスタンダードだと思っているから、ローションを持ち上げて「こんなものもって歩くのか」と、溜息をついてしまった。
 電気が消され、座卓の上の小さなスタンドだけになると、誠一さんは手馴れた様子で俺を押し倒した。映画館の時と同じ、迷いの無い手で、あちこち撫で回されて、ビンビン跳ねるペニスを咥えられて、喘ぎ声をあげさせられた。しばらくすると、彼は、俺の腰を持ち上げるようにして、四つんばいにさせた。
 それから、お尻の割れ目に冷たいローションが垂らされた。それまでの展開とは裏腹のやけに慎重な手つき。最初はしわを押し広げるように、中指でじんわりと揉みこむようにされた。しばらくマッサージすると、もう一度ローションを継ぎ足して、今度は中指をゆっくりと入れてくる。異物感に俺はげげっとなり、ちょっと腰がつんのめる。誠一さんは、分かっていたのかお腹のところで支えてくれて、俺が、もう一度体勢を戻すと、前のほうも触ってなだめるように玩んだ。
 指が一本ずつ増えて三本になるまで、ずいぶん時間がかかった。さんざん前を擦られて、俺はもうじれったくて、いきたくて…彼の手に腰を押し付けてしまった。体は汗ばみ、だんだん呼吸が速くなってくる。
 指が二本に増えたとき、執拗に擦られる場所に、感じるところがあるのが分かった。俺は、目を閉じて、初めてのその感覚を味わった。それまでの内臓を掻き回されるような異物感が少し後退し、反対に言葉に出来ないような異様な快感が前面に出てくる。だが、三本の指が抜き差しされると、気持ちよさと一緒におさえようもない嘔吐の感覚が突き上げてきて、俺は呻いた。
「大丈夫か?」
 大丈夫ってなに?どういうのが大丈夫なの?頭がぐらぐらして答えられない。そのうちに、彼が自分のものにスキンを被せようとしていることに気がついて慌てた。
「誠一さん。俺、まだ、あんたの咥えてないよ」
 何しろ今日はお返しをしないと、というそれだけしか考えてなかったから、廻らない頭で、廻らないろれつで、訴えた。
「え?しゃぶりたかった?ごめん。ごめん。また、後でね。時間をおくと尻がもどっちゃうからさ」
 そう言うと、手早く俺を仰向けにして、足を抱えてきた。うう。とうとう、犯られちゃうのか。そう思うとさすがに体が固くなる。

 俺が固くなったのが分かったのか、誠一さんは押し当てたまま、俺のペニスを握りこんで気をそらせようとした。そして、初めて屈み込んで俺にキスした。キスされるなんて思ってなかったから、びっくりして目を開けると、その隙をついて、めりめりと彼が押し入ってきた。痛い。体が勝手に逃げようとして腰が捻れる。でも、思ったよりしっかりと押さえつけられていたらしく、全く逃げられなかった。
「あうっ」
 割とあっけなく「ぽん」と、一番太いところが通り過ぎて、すると少し楽になった。誠一さんは足を抱えなおして、しばらくそのままじっとしていた
そんな中途半端な位置で、待っているなんて、ちょっといたたまれない早く。と、言おうとした時、じんわりと圧力がかかってくる。俺が耐え切れずに喘ぐと、一休みして前を弄る。そうやって、少しずつ少しずつ彼は進み、ようやく彼の腹が俺の尻にぴったりと押し付けられる。入った。
その日、誠一さんはあくまで優しかったと思う。激しく抜き差しすることも無く、その代わりに念入りに前にもローションを垂らして、擦ってくれた。だから、俺がはじけたとき、彼はまだいってなかった。
 彼を咥えていかせてやらなきゃと思ったんだけど、気持ちとは裏腹に体はぐったりと布団に沈み込んでいくばかりで、どうにも起き上がれなかった。
「なんで、いくまでやらなかったの」
 口を利くのも億劫な気分だったけど、不思議だったから思わず聞いた。誠一さんは、もう少し回数やってから…とか、口の中でもごもご呟いていた後から分かったんだけど、アナルの中って要するに腸だから、まったく締まりがないんだ。女性の膣のように「ねっとりと絡みつく」なんて表現できる状態じゃなくって、広い空間が広がっているばかりだから、締まりがいいのは入り口だけなんだって。その入り口の締め付けで「いく」ためには、しっかりピストンしなきゃダメなわけで。初めての俺にそこまで要求して、キレちゃったとか、吐いちゃったとか、そういう情けない事態に直面させたくなかったらしい。
 結局、一休みして、第二ラウンドに入った時、初めて俺は男のあれを咥えた。最初から、 何の警戒も無くぱっくりといったせいで、行き過ぎてえずいてしまった。
「おいおい、初めてなんだから、咽喉まで入れちゃダメだよ」
 涙目になってる俺に、慌てて彼は腰を引く。

 そんな感じで一から十まで、手取り足取り教えられて、俺はようやく「初めて」を卒業した。恐怖を覚えることも無く、不安も一掃されたわけで、そういう意味では、彼が最初だったことはすごく感謝している
 その後6ヶ月ぐらい、俺は、週一の割合で彼の部屋に通っていた。恋していたわけじゃなかったけど、クラブの先輩にあれこれ指導してもらうみたいに、だんだん彼になついていったと思う。やがて、彼は俺の中で「いく」ようになり、おれも彼の体で「たち」の経験も踏ませてもらった。俺は彼のことを「誠一」と呼び捨てにするようになり、彼は俺のことを「樹」と、漢字で呼べるぐらいに親しくなった。そう、だから、俺の初めてはみんな彼のもの…。




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コメント
この記事へのコメント
 アナルセックスって難しい・・・。
まず綺麗にしないといけないし
ローションがないと、入れられないし
ちょっと乱暴にすると傷ついちゃうし
場所が場所だから傷つくと大変な事になっちゃうし。
 ところで、樹ってほんとは責めなのか受けなのか。
どっちだ?
2006/06/13(火) 16:59 | URL | さやか #DS51.JUo[ 編集]
せつなは「はじめて」のシーンを読むのが好きー><
さやかさまの小説でも、みなさまのブログでも…。
なんだかきゅーんってしてしまう。
樹くんのはじめてにもきゅーんとしてしまった。
ハアハア。(〃▽〃)
2006/06/13(火) 14:20 | URL | せつな #-[ 編集]
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