一瞬にして血が逆流する。しっとりとした奴の唇が誘うように二度ほど俺の唇を挟んで、それからもっと強く押し付けられた。お互いの開けられた口から、伸ばされた舌がふれあう。神崎が乗り出してきて俺は自然と上を向いて、彼の背中へ掌を廻す。大きく息を吸い込んで彼の舌を口の中に誘う。焦る俺をなだめるように、舌はちろちろと俺の唇を舐めてから一気に深く入り込んできた。
何が起きているんだろう。今まで、知らなかった体中の空気が抜けていく感覚が俺を襲う。とろとろと溶けて流れ出すように、すべてのものの形があやふやになって、物を考えられなくなっていく。
一度離された唇が、俺の上でなにかささやく。聞きたくない。今は、ただひたすら味わいたい。俺はしゃにむに奴の唇に追いすがり、下がっていくそれを捕まえようと、必死に乗り出した。いつのまにか体の位置が変わり、俺は彼の上に乗り上げていく。神崎は、俺のうなじに右手を食い込ませながら引き寄せると、さっきよりも激しく荒々しい動作で俺の唇を蹂躙した。
気がつくと奴の胸の上で、パクパクと空気を求めて喘いでいた。ぴったりと合わさった体から熱いエネルギーが伝わってくる。俺は顔をゆがめて、その熱を吸い取ろうと身をくねらせた。神崎のやけに断固とした、掌が俺を押しのけるまで。
ソファの上に起き上がった俺の唇はキスで腫れ、目は欲望でとろんとしていたはずだ。体中が奴にふれることを欲して悲鳴を上げるような気分だった。無理矢理に引き離された、さっきの続きを欲求する体。俺はその体に腕を廻してぎゅっと抱きしめた。顔をうつむけて、溢れ出ようとする欲望を押さえ込もうと格闘する。
愛されたい…。触れられたい…。
味わったものがもたらした喜びと幸せが俺を動揺させた。ただ、ちょっとキスしただけじゃないか。体が触れあっただけじゃないか。だが、今まで俺の知ってるものとまったく違う。好きな人とのキスがこんなだなんて、誰も教えてくれなかった。
まるで、乾ききった砂の上に落ちた滴のように、俺を潤して、一瞬の後には染み渡って無くなった。引き剥がされた瞬間の喪失感は、俺の力を根こそぎこそぎ取っていった。
「抱かないって言ったくせに、何でキスするんだよ」
俺はあまりの胸苦しさに大きく喘いだ。神崎は、俺が身もだえしている有り様を、目を細めて見ている。やがて、もう一度手を伸ばしてきて、震えている俺の髪の毛を掻き揚げる。ぞくっと背中を震えが走って、俺は体に廻した腕に必死で力を込める。
「お前、会う度に目一杯媚態で誘っているくせに。じゃあ、どうして欲しかったんだ?」
どうして?どうしてって…。
もっと、もっと欲しい。
やめろ。自分で墓穴を掘ってどうするんだ?
だって。だって。じゃあ、どうしろって言うんだ。こんなに焦がれて、こんなに追い求めた相手の側にいて、ただ座ってじっとあいつを見ているだけで満足してろって言うのか?
我慢も限界だった。俺は、奴に向き直るとしゃにむに抱きつこうとして押しのけられた。
「俺はおまえを抱けない」
冷たい表情で立ち上がって行こうとする神崎。俺は頭がどうかなっていたのか。思わずあいつの腕を掴んでいた。だが、振り向いたあいつの瞳の中に嫌悪を見つけたら俺はもう立ち直れない。急いで手を離すと、必死で顔をうつむける。神崎は、下を向いている俺を見て、溜息をついた
「なんで分からないんだろうな。それとも分かりたくないのか」
俺の横にもう一度座った神崎は、手を伸ばしてきて、俺の顔を持ち上げると、しげしげとのぞきこんだ。
「いいか、俺はサディストなんだ。お前にそういう男の相手が出来るか?男が好きだからって、そんなことが好きなはず無いだろう?別種の人間なんだから。支配されること。痛めつけられること。そういうことが好きだっていうのと、男しか好きになれないっていうことは別物だろう?」
「わからない。そうなのかも。だからって諦らめることも出来ないんだ」
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何が起きているんだろう。今まで、知らなかった体中の空気が抜けていく感覚が俺を襲う。とろとろと溶けて流れ出すように、すべてのものの形があやふやになって、物を考えられなくなっていく。
一度離された唇が、俺の上でなにかささやく。聞きたくない。今は、ただひたすら味わいたい。俺はしゃにむに奴の唇に追いすがり、下がっていくそれを捕まえようと、必死に乗り出した。いつのまにか体の位置が変わり、俺は彼の上に乗り上げていく。神崎は、俺のうなじに右手を食い込ませながら引き寄せると、さっきよりも激しく荒々しい動作で俺の唇を蹂躙した。
気がつくと奴の胸の上で、パクパクと空気を求めて喘いでいた。ぴったりと合わさった体から熱いエネルギーが伝わってくる。俺は顔をゆがめて、その熱を吸い取ろうと身をくねらせた。神崎のやけに断固とした、掌が俺を押しのけるまで。
ソファの上に起き上がった俺の唇はキスで腫れ、目は欲望でとろんとしていたはずだ。体中が奴にふれることを欲して悲鳴を上げるような気分だった。無理矢理に引き離された、さっきの続きを欲求する体。俺はその体に腕を廻してぎゅっと抱きしめた。顔をうつむけて、溢れ出ようとする欲望を押さえ込もうと格闘する。
愛されたい…。触れられたい…。
味わったものがもたらした喜びと幸せが俺を動揺させた。ただ、ちょっとキスしただけじゃないか。体が触れあっただけじゃないか。だが、今まで俺の知ってるものとまったく違う。好きな人とのキスがこんなだなんて、誰も教えてくれなかった。
まるで、乾ききった砂の上に落ちた滴のように、俺を潤して、一瞬の後には染み渡って無くなった。引き剥がされた瞬間の喪失感は、俺の力を根こそぎこそぎ取っていった。
「抱かないって言ったくせに、何でキスするんだよ」
俺はあまりの胸苦しさに大きく喘いだ。神崎は、俺が身もだえしている有り様を、目を細めて見ている。やがて、もう一度手を伸ばしてきて、震えている俺の髪の毛を掻き揚げる。ぞくっと背中を震えが走って、俺は体に廻した腕に必死で力を込める。
「お前、会う度に目一杯媚態で誘っているくせに。じゃあ、どうして欲しかったんだ?」
どうして?どうしてって…。
もっと、もっと欲しい。
やめろ。自分で墓穴を掘ってどうするんだ?
だって。だって。じゃあ、どうしろって言うんだ。こんなに焦がれて、こんなに追い求めた相手の側にいて、ただ座ってじっとあいつを見ているだけで満足してろって言うのか?
我慢も限界だった。俺は、奴に向き直るとしゃにむに抱きつこうとして押しのけられた。
「俺はおまえを抱けない」
冷たい表情で立ち上がって行こうとする神崎。俺は頭がどうかなっていたのか。思わずあいつの腕を掴んでいた。だが、振り向いたあいつの瞳の中に嫌悪を見つけたら俺はもう立ち直れない。急いで手を離すと、必死で顔をうつむける。神崎は、下を向いている俺を見て、溜息をついた
「なんで分からないんだろうな。それとも分かりたくないのか」
俺の横にもう一度座った神崎は、手を伸ばしてきて、俺の顔を持ち上げると、しげしげとのぞきこんだ。
「いいか、俺はサディストなんだ。お前にそういう男の相手が出来るか?男が好きだからって、そんなことが好きなはず無いだろう?別種の人間なんだから。支配されること。痛めつけられること。そういうことが好きだっていうのと、男しか好きになれないっていうことは別物だろう?」
「わからない。そうなのかも。だからって諦らめることも出来ないんだ」
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この記事へのコメント
次の瞬間には浮気してるような気がする。
樹って、めちゃくちゃ行き当たりばったりだから。
★名前、キープしとくね。
樹って、めちゃくちゃ行き当たりばったりだから。
★名前、キープしとくね。
おお!
樹くんの熱いパッションを感じるー!
>男しか好きになれない
樹くんはもう神崎さんしか好きになれないんだー!!
熱くなってるのはせつなでしたか…(はずかし。)
★せつなの考えていた名前は
洸くん/豪くん などなどvv
せつなは登場人物の名前を考えるの大好きですー。
樹くんの熱いパッションを感じるー!
>男しか好きになれない
樹くんはもう神崎さんしか好きになれないんだー!!
熱くなってるのはせつなでしたか…(はずかし。)
★せつなの考えていた名前は
洸くん/豪くん などなどvv
せつなは登場人物の名前を考えるの大好きですー。
2006/06/13(火) 14:59 | URL | せつな #-[ 編集]