「うう……く……苦しい」
捻りあげられた後手の手首に二人分の体重がかかる。きっちりと縄が巻き付き息を吸い込むたびにきゅうきゅうと音を立てるほど、身体中を縄に抱きしめられた詩織が、驚愕の瞳を見開いた。少し緩めて、一度詩織に息を吸い込ませてから、また、じんわりと押していく。身体中の自由にならない関節が、無理に折りたたまれる痛みに悲鳴を上げた。
「あ……ふっ……い、いた……痛い……」
痛いのは知っている。昔の牢では、竹を差し込んで捻り上げた。関節がきりきりとなるような、耐えがたい激痛。続ければ骨が外れるか折れるか、息が吸えなくなって痙攣するか……。
顔の表情を見るために仰向けでやってくれと聡史に言われた時、晃は、激しく反対した。腕に体重がかかる仰向けの姿勢の方が危険だし痛みも激しい。だが、物狂いの男は承知しなかった。今、晃は、聡史を説得できなかったつけを払っているのだ。彼女の顔色を確かめながら、少し緩めては先ほどより強く体重をかけていく。
身体の下にある彼女の肉が激痛と苦しみのために痙攣する。足の指が捻れる。ぽっかりと開いた瞳に涙が盛り上がり溢れて流れる。晃は自分の身体の狂おしいほどの昂りに、気持ちが引きずられ始めているのを必死で押し留めた。みぞおちの辺りが欲求にきゅううと捻れる。今すぐに彼女が、欲しい。思いっきり引き裂きたい。馬鹿な。一緒に暴走してどうするんだ。
「い、嫌……くっ、あ、痛い……」
身体が震え始めている。後ろに廻された腕が色を変え始める。詩織ちゃん……ごめん。そう、心に呟きながらも、噛み締められる唇や泣き濡れて苦痛に曇る瞳が愛おしくてならない。もっと、もっと、泣かせてみたい。晃は、これで、最後と、思いっきり体重を乗せた。
「きゃあああああ……」
詩織の顔色は急激に青ざめ、紫色になった唇が震える。
「詩織ちゃん。『お許しください。』は?」
晃は彼女の顔を覗き込む。だが、あまりの痛みに彼女の身体はぴくぴくと引きつるばかりで、はかばかしい反応がない。苦痛のあまりにパニックになってセーフワードの事を忘れてしまったのではないかと思うと気が気ではなかった。
「詩織ちゃん。『お許しください。』って言わないと、許してあげないよ。詩織ちゃん?」
詩織はいやいやと首を振るばかりで、彼女の顔色はどんどん青ざめ、いまや真っ白になっていた。晃は、詩織の瞳を覗き込む。詩織の視線を捉えようとするが、焦点はすでに合っていない。晃は、ぱっと立ち上がるといつも、道具の中に忍ばせているはさみで縄の要所々々をパチパチと切った。たたみこまれていた身体はだらんと拡がる。
ひゅううっと息を吸い込んだ彼女が、大きく喘ぎ始めて晃はほっとした。意地っ張りが……。だが、それくらいの気力が無ければ、これから先の責めに耐えられはしない。「Bondage」の後半は苦痛責めが続く事になるのだから……。
後ろ手の縄をすばやく解くと、次に脚を胡坐に縛り付けてある縄にかかった。
「詩織ちゃん。大丈夫。僕が分かるかい?」
うなずく詩織に意識はあるようだった。すべての縄を解いてしまうと、晃は改めて詩織の腕を持ち上げると掌で強くこすった。
「痺れは?」
「正座した時みたい……」
詩織がようやく意味のある言葉を言った事で、晃はちょっと安心した。そのまま腕をこすり続ける。
「なんだかまるで世界が大きくなったり小さくなったりするよう。ふわふわって身体が揺れて、気が遠くなって気持ちよくなって……」
晃は、もう少しで壊してしまうところだった彼女の手を黙ってこすり続けた。ふと、手元に影が差す。顔を上げると、すぐ側に聡史がカメラを握って立っていた。
「彼女は一日目でのりを越えた」
ぞっとするような、恐ろしいしゃがれ声に晃は、総毛だった。予想もつかない事態に脚を踏み入れ始めているのではないかと考えて、晃はぶるっと身ぶるしいた。
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捻りあげられた後手の手首に二人分の体重がかかる。きっちりと縄が巻き付き息を吸い込むたびにきゅうきゅうと音を立てるほど、身体中を縄に抱きしめられた詩織が、驚愕の瞳を見開いた。少し緩めて、一度詩織に息を吸い込ませてから、また、じんわりと押していく。身体中の自由にならない関節が、無理に折りたたまれる痛みに悲鳴を上げた。
「あ……ふっ……い、いた……痛い……」
痛いのは知っている。昔の牢では、竹を差し込んで捻り上げた。関節がきりきりとなるような、耐えがたい激痛。続ければ骨が外れるか折れるか、息が吸えなくなって痙攣するか……。
顔の表情を見るために仰向けでやってくれと聡史に言われた時、晃は、激しく反対した。腕に体重がかかる仰向けの姿勢の方が危険だし痛みも激しい。だが、物狂いの男は承知しなかった。今、晃は、聡史を説得できなかったつけを払っているのだ。彼女の顔色を確かめながら、少し緩めては先ほどより強く体重をかけていく。
身体の下にある彼女の肉が激痛と苦しみのために痙攣する。足の指が捻れる。ぽっかりと開いた瞳に涙が盛り上がり溢れて流れる。晃は自分の身体の狂おしいほどの昂りに、気持ちが引きずられ始めているのを必死で押し留めた。みぞおちの辺りが欲求にきゅううと捻れる。今すぐに彼女が、欲しい。思いっきり引き裂きたい。馬鹿な。一緒に暴走してどうするんだ。
「い、嫌……くっ、あ、痛い……」
身体が震え始めている。後ろに廻された腕が色を変え始める。詩織ちゃん……ごめん。そう、心に呟きながらも、噛み締められる唇や泣き濡れて苦痛に曇る瞳が愛おしくてならない。もっと、もっと、泣かせてみたい。晃は、これで、最後と、思いっきり体重を乗せた。
「きゃあああああ……」
詩織の顔色は急激に青ざめ、紫色になった唇が震える。
「詩織ちゃん。『お許しください。』は?」
晃は彼女の顔を覗き込む。だが、あまりの痛みに彼女の身体はぴくぴくと引きつるばかりで、はかばかしい反応がない。苦痛のあまりにパニックになってセーフワードの事を忘れてしまったのではないかと思うと気が気ではなかった。
「詩織ちゃん。『お許しください。』って言わないと、許してあげないよ。詩織ちゃん?」
詩織はいやいやと首を振るばかりで、彼女の顔色はどんどん青ざめ、いまや真っ白になっていた。晃は、詩織の瞳を覗き込む。詩織の視線を捉えようとするが、焦点はすでに合っていない。晃は、ぱっと立ち上がるといつも、道具の中に忍ばせているはさみで縄の要所々々をパチパチと切った。たたみこまれていた身体はだらんと拡がる。
ひゅううっと息を吸い込んだ彼女が、大きく喘ぎ始めて晃はほっとした。意地っ張りが……。だが、それくらいの気力が無ければ、これから先の責めに耐えられはしない。「Bondage」の後半は苦痛責めが続く事になるのだから……。
後ろ手の縄をすばやく解くと、次に脚を胡坐に縛り付けてある縄にかかった。
「詩織ちゃん。大丈夫。僕が分かるかい?」
うなずく詩織に意識はあるようだった。すべての縄を解いてしまうと、晃は改めて詩織の腕を持ち上げると掌で強くこすった。
「痺れは?」
「正座した時みたい……」
詩織がようやく意味のある言葉を言った事で、晃はちょっと安心した。そのまま腕をこすり続ける。
「なんだかまるで世界が大きくなったり小さくなったりするよう。ふわふわって身体が揺れて、気が遠くなって気持ちよくなって……」
晃は、もう少しで壊してしまうところだった彼女の手を黙ってこすり続けた。ふと、手元に影が差す。顔を上げると、すぐ側に聡史がカメラを握って立っていた。
「彼女は一日目でのりを越えた」
ぞっとするような、恐ろしいしゃがれ声に晃は、総毛だった。予想もつかない事態に脚を踏み入れ始めているのではないかと考えて、晃はぶるっと身ぶるしいた。
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