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20、蝋燭

ここでは、「20、蝋燭」 に関する記事を紹介しています。







 平気な振りなんか出来なかった。足を閉じようとして腰が持ち上がる。お尻の割れ目まで掌が探りながら降りてきて、また、這い上がっていく。足の付け根にそってもう一度。反対の付け根に沿ってもう一度。もう、ローションはまんべんなくついているはずなのに、聡史はそれを何度か繰り返した。
 詩織は縄を握りしめて顔を必死に背けそれに耐えた。その間に晃は彼女の顔を覗き込むようにして、掌にローションを絞り出しては、彼女の首筋やうなじ肩に手を這わせていく。くるりと脇の下を晃の手が滑る。びくんと詩織の身体が跳ねる。さっき、キスで逝ってしまった事が彼女の身体を一層敏感にしているかのようだった。
 聡史の手が太腿へかかる。はあっと、詩織は甘い溜息を漏らした。ローションを使われる事がこんな感覚をもたらすなんて、詩織は知らなかった。ぬるぬるぬるぬると手首、足首に向かって二人の男の手が移動する。日頃はほとんど意識しない。手首やくるぶしがこんなに感じるなんて……詩織は身体を固くして作業が終りになるのを待っている。
「もう一度やって」
 聡史のセリフに驚いて、詩織は彼の方を振り返った。聡史は手を拭いながら、彼女の身体から離れていく。バケツに用意されていた水で丁寧に手を洗ってから、カメラを持って戻ってくる。晃は、もう一度同じ行程を辿って彼女の身体を刺激した。必要のない作業の繰り返しによる残酷な愛撫。
「あ……いやっ……」
 意地悪く足の間を行き来する掌を執拗にレンズが狙う。身体を支えきれずに詩織は仰け反った。頭が後ろにがくんと倒れる。いやいやと左右に揺れる頭を見ながら晃は彼女の身体がすでに晃の手になじんでいるのを感じた。
 最初の時の嫌悪と拒否はすでにない。やわらかく渦を巻いている飾り毛の彩る丘を掻き混ぜるようにしながら晃はそっと彼女の身体に覆いかぶさった。さかしまに揺れる瞳を覗き込む。何も映していないガラス玉のような瞳。
「詩織ちゃん。逝って」
 息を吸い込むと、詩織は大きくのけぞった。
 蝋燭に火が灯された。脅えた詩織の瞳がその炎を追う。
「熱いよ」
 わざと脅すように囁く晃の様子を聡史はいぶかしんでみやった。あれほど、詩織の体や気持ちを気遣っていた晃なのに、どういう風の吹き回しなのか。じじじじ……蝋の燃える臭いが辺りに拡がった。
 詩織の力を込めて縄を握りしめる手が震える。詩織は、蝋燭が身体の上を移動する様から視線を逸らす事が出来なかった。無意識に逃げようとして身体が捻れてしまう事も、縄に引かれて大きく開いている足を閉じようと必死に力を込める事も無駄なのにやめる事も出来ない。
 溶けた蝋が溜まってくるのを待って、晃は彼女の胸の上に蝋燭を傾けた。最初の量の多い滴がポタポタポタっと続けざまに彼女の胸に流れ落ちた。
「う。ううっ」
 熱いというよりは、突き刺さるような痛みに詩織は縄を握りしめる。蝋燭は一度まっすぐになって、一呼吸揺すられてから、再び傾けられた。嫌。詩織は、心の中で叫んだが、容赦なく蝋は乳首を狙って落ちてくる。あ、あっつい。詩織の身体がびくびくと引きつる。晃の傾ける蝋燭は少しずつ位置を変え、常に新しい彼女の身体の上に落ち続けた。
「あ、あつ。熱い。あつうう……」
 詩織の我慢がついに切れた。蝋が落ちるたびに身体を揺すって悶える。胸はすでにもう真っ赤だった。蝋はすでにゆっくりと下腹に向けて移動を始めている。見開かれた詩織の瞳にぷっくりと涙が盛り上がる。
「あああ……。嫌。嫌。あつう」
 下腹を赤く埋め尽くした晃は、足の間に移動した。そして、詩織の膝から内腿に向けて、蝋を傾けていく。足の付け根が一番熱い。それは晃も分かっているから、そこを念入りに焼くつもりなのだった。
 もう、詩織の頭からは羞恥の感情は消え去っていた。ただただ、彼の手から足の間を守りたい。それだけが彼女の頭を占めているすべてだった。だが、足を閉じ、蝋を避けようとする彼女の動きは足の間の晃の身体で遮られる
「ああ!熱い!熱い!いやぁ!やめて………。あつううい!」
 伸び上がるようにのけぞる彼女の身体。すでに頭を上げて蝋燭の動きを追う余裕は彼女の中から失われていた。全身を縄にまかせて四肢を必死にツッパリ、足をばたつかせる。蝋燭は身体から離れ、また近づいてくる。確実にそれは彼女の一番怖れている場所に近づいてくるのだ。
「あああああ……。嫌。そこは、嫌。いやああ!」
 晃は左手を伸ばすと花びらを押し拡げた。詩織は恐怖に囚われ突き動かされていて、蝋燭の位置が少しずつ高くなっていることに気が付く余裕も無い。最初の熱い滴が彼女の中に落ちたとき。詩織は悲鳴を上げて気が狂ったようにもがき始めた。だが、どれほどもがいても、手足が左右に揺れるばかりで吊り下げられた身体は、蝋燭のしずくから逃れる事が出来なかった。
「許して!嫌。お許し……お許しくださいぃ」
 はっと、傾いていた蝋燭がばねのように跳ね上がった。晃は蝋燭の火を急いで吹き消すと彼女の背中側に廻って身体を持ち上げるようにして支えた。びくびくと痙攣する彼女の身体を抱きしめる。
「大丈夫。終わったよ。もう、終りだ。怖かったね。心配しないで。大丈夫だから」
 ひっく、ひっくとしゃくりあげながら泣きじゃくる詩織を、晃はやさしく揺すり続けた。




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コメント
この記事へのコメント
もちろんそのお話は知ってますよぉ
凄いなぁって感心しましたo(^-^)o
確かに蝋燭は家にあるな・・・
う~んo(´^`)o
2006/07/11(火) 00:15 | URL | あかね #-[ 編集]
 蝋燭は家の中のどこかしらにあるから
試してみたらいいんじゃないかしら。
さやかは、子供の頃に仏壇の蝋燭で試しました。
低温蝋燭じゃないからちょっと赤くなりますが
やけどするほどじゃありませんでしたね。
 なんにしろ、いつかは経験しないといけない
ペシペシ(;¬_¬)☆ヾ(@゚▽゚@)ノ" アハハ 
から、思い切ってエイって!(他人事)
 さやかも、蝋燭を買って彼の帰りを待っています。
2006/07/10(月) 09:08 | URL | さやか #DS51.JUo[ 編集]
勝手ながら、記事中にリンクさせていただきました
よろしくお願いいたしますm(__)m
2006/07/10(月) 06:37 | URL | あかね #-[ 編集]
やっぱり蝋燭は怖いかも。。。
しないという選択肢はあかねの中にないんですけどねっ
熱くて痛い・・・そんな感じなのかなぁ
2006/07/10(月) 05:50 | URL | あかね #-[ 編集]
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