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7、君は愛に咲く

ここでは、「7、君は愛に咲く」 に関する記事を紹介しています。
 聡史の合図で、晃は立ち上がって行くと、足の縄から手早く解いた。ぐったりとしている詩織の裾を直してやってから、身体を抱き起こし、足で支えながら上半身の縄をほどく。
「詩織ちゃん掌を握ったり開いたりして?」
 詩織は、何も考えていないかのようにぼんやりとしていたが、不思議そうに晃の顔を見てから、素直に何度も拳を作って見せた。
「痺れてない?」
 こっくりとうなずく詩織を確かめると、晃は聡史を呼んで、詩織を引き渡した。
「ちょっと、席外す。三十分位したら戻ってくるから、続けるかどうかよく彼女の話を聴いてくれ」
 晃は、手早く縄をまとめると、障子を閉めて出て行った。
「大丈夫?」
 二人きりになって、感情を抑えきれなくなった詩織は半泣きで聡史の胸にもぐりこんだ。
「恥ずかしい……」
「分かっている。すまない」
 聡史は、詩織の背中を静かに撫でてやりながら、なんと言えばいいのか必死に考えをめぐらしていた。晃の気配りはありがたかったが、もうやめる気は無い。縄をかけられて、詩織が床にひっくり返った瞬間、わしづかみにされるような加虐への欲求に突き動かされていた。
 以前の撮影の時にはここまで強くなかった欲望が聡史を捉えていた。やりたいことが次々と頭を横切り、捉えたい映像が泉のように湧き出てくる。とことんまで彼女を追い詰めて、頭の中で思い描いている彼女の表情を引き出して行きたい。
 背中を撫でていた手を、腕へと滑らせて行きながら、どうやって彼女に承知させるかそのことばかりを考えている自分の浅ましさをどうしようもなかった。俺は、優しいばかりの男じゃない……。
 ぐいっと彼女を抱きしめると、その気持ちをぶつけるかのように激しく唇を奪った。逆らわせはしない。詩織。お前を絶対に手放しはしない……。詩織は、自分に羞恥と混乱を与えたその相手以外にすがりつくものが無いかのようにしがみついてきた。
「聡史、続けられそう?」
「ああ……」
「詩織ちゃん?」
 一言も言葉を交わさなかったのに、続ける気の聡史を前にして、詩織はただ黙ってうなずくしかなかった。激しいキスのためにぷっくりと腫れた唇を見つめて、晃は溜息を付く……。
「俺、次は止められそうにないぞ」
 ビクッと、詩織の肩が揺れた。聡史は、喉につかえる塊を無理矢理に飲み込むと、俺はもうとっくにさ……と自嘲の笑いを浮かべて見せた。
 晃は、詩織を縁側の中央の柱に背中を向けて座らせた。聡史は、もうカメラをスタンバイさせている。前縛りに手首を縛るとぐいっとその手を頭上に引き上げて柱にくくりつけ始めた。着物の袖が滑り落ちて二の腕が露になる。
 なぜなの?詩織は自分に向かって問いかけていた。腕を見せるなんてなんでもないことなのに……。ノースリーブの服で外を歩いたって、なんとも無いのに……。着物を着ていると、腕を真上に引き伸ばされただけで、鋭い羞恥が身体を駆け抜けていくのだ。しっかりと留めつけられた腕は、もういくら引いても自分の自由にはならなかった。
 晃は、柱の後ろへ移動するとむき出しになった腕に沿って指先でそっとなで擦り始めた。ぞくぞくするようなくすぐったさが詩織の身体中を駆け巡った。晃は、まったく急がない。念入りに彼女の手首から肘の内側そして柔らかな二の腕の内側へ向けて、その掌を何度も何度も彷徨わせる。詩織の体はどんどん敏感になっていき、さっきは平気だったはずの愛撫が、もうたまらないほどくすぐったくなってしまい、身を捩じらせた。
「くすぐったがりやなんだね」
 そうやって、口に出して言われる事で一層耐え難くなる刺激に詩織は身悶える。
「もっと、くすぐってあげるからね」
 何をされるのか気が付いた詩織は、必死に腕を縮めようとしたがどうにもならなかった。晃の手は、身八つ口の辺りを焦らすように彷徨っている。
「いや。お願い。しないで。……お願い。お願い……」
 さんざん詩織に懇願させておいて、晃は無情にも脇の下へ手をもぐりこませてくる。
「くすぐるよ」
「いや……」
「嫌がってもダメだよ。逃げられない」
「いや。いや。お願い」
「くすぐられるところ、聡史に見せるんだ」
「ああ……。だめ」
 そっと当てられた掌がたくみに脇の下を撫で上げる。ぐんっと背中をそらして詩織は、身体を突っ張らせる。自由にならない身体をくすぐられる事がこんなに辛いものだなんて、詩織は想像もしていなかった。歯を喰いしばり。何とか気持ちをそらそうとするが、どうしようもなかった。くすぐりは強く、弱く、やさしく、はげしく、波を伴って続く。いつまでもいつまでも。
「ああああ……いや。ゆるして。我慢できない。やめて」
 ばたばたともがきのけぞり、悶えてみても、何の役にも立たなかった。続けさまにシャッター音が響く。詩織にとっては、恐ろしく長い時間、そのいたぶりが続いたような気がした。
 激しく息を喘がせて、裾もすっかりと乱してしまった詩織が、何とかその息を整えるのを待って、次に晃は、帯の上に手をかけて力を込めて帯を前に向かって押し下げるようにした。それから、襟の合わせにかけて無造作に胸元を広げ始める。強い力で襟を引き、続いて襦袢の襟もくつろげる。シャッターの音が鳴り響き、着物を乱されていく様を聡史に正面から見つめられている事に気が付いた。
「ああ……」
 顎を突き上げていやいやと首をふる…。次々と続くいたぶりに、詩織は神経を根こそぎ揺さぶられそぎ落とされていくような気がしていた。晃の手が、ゆるんだ合わせ目からもぐりこんできて、乳房をつかみ出す。
「ひいっ……」
 強い力で無理矢理に胸を露わにされて行く。覗いた乳房のふくらみを晃の手が優しく撫で回し始める。詩織はその巧みな手の動きに総毛だった。さんざんくすぐられた詩織は、どこもかしこも敏感になっていて、ちょっと触られただけでむき出しの神経を撫で上げられるようだった。
 悪魔の手から逃れようと腰をもち上げて、上に向かってずり上がる。だが、縄に止められた手首が、それをさせなかった。乳首が立ってくるのが自分でも分かる。レンズのズームが動く音がして、詩織は足を突っ張って後ろへ下がろうとした。だが、柱に身体を押し付けただけで何の役にも立たない。しかも彼女の乳房をつかみ撫で回している男は、その柱の後ろにいるのだった。
「い、いやっ……」
 聡史がフィルムを代えるために立ち上がる気配がしたが、晃はその乳房への玩弄の手を休めなかった。ことさらゆっくりとやわやわと撫で回し、乳房を絞り上げ、乳首を抓み捻りあげる。ぞくぞくするような快感と痛みが交互に詩織を襲った。
「どう?詩織ちゃん?恋人の目の前で他の男に胸をいたぶられる気分は?」
「いや、言わないで……」
「感じているでしょ。乳房が張り詰めて来ている。乳首もこんなになってるし……」
 詩織は再びじっとりと沸いてくる冷や汗にまみれながらも、首を激しく振るしかなかった。聡史が正面に位置取りをするのを見計らって、晃は彼女の裾から除く足首を握った。
 稲妻のようにさっきの記憶が蘇った詩織は、必死になって抵抗した。だが、がっちりと押さえられた足首は、彼の手を振りほどく事もできない。晃はくすくす笑いながら位置を変え、前に移動してくる。そしてつかんだ足首を彼女の胸に強く押し付けるようにしてのしかかってきた。膝が身体に押し付けられる。詩織の油断だった。身体を開かれる事にばかり気をとられて今の姿勢が、次に何を招くのか想像もしていなかった。
 足首を握っていた晃の左手とは反対の手が、裾を割って潜り込んでくると彼女の膝頭の内側からぐいっと外側へ向けて圧力をかけてきた。あっと思ったときはすでに遅く、彼女は膝をしっかりと割り拡げられていた。いつのまにか晃の手にあった縄が膝の上にくるくると巻きつけられると、縄は手首を止めつけた場所に向かって引き上げられていた。
「いやああああっ!」




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