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4、思い出

ここでは、「4、思い出」 に関する記事を紹介しています。
 天蓋付のベッドに膝を付くようにして、両手両脚を拡げて僕は拘束されていた。手首は鎖に繋がれた枷で、足は麻縄が膝の上に三重に巻かれている。縄の先はベッドの下へ消えていた。寝室に普通に 置かれていて、高原が普段使っているベッドなのに、天蓋は固く太いオーク材の柱と梁を持ち上部の枠には縦横に三本の桟が渡してある。一本一本が梁と変わらない太さで、人一人吊り上げてもびくともしないつくりになっていた。あちこちに特注の金具が埋め込まれていて、縄や鎖を張り巡らすのに便利なように工夫されている。その金具につながれて僕はベッドの中央にほとんど手足の自由の無い貼り付けの状態にされていた。
 ここ何日か、射精を禁止されているせいでぽったりと重く感じられる性器は、さっきから思い出したように触れてくる高原の指に反応し、しっかりと固くなっている。乾いた指先がじんわりと袋の上を滑る。ぴくっと精嚢が反応して上にあがる。だが、高原はくすくす笑いながら枕によりかかって、うっすらと汗が滲む体があまりのもどかしさにうごめくのをじっと見ていた。
 さっきからもう大分長い間こうして視姦されている。たが、責めは一向に進まなかった。この時間がたまらなく辛い。だんだんと息があがってきて、肩で息をするようになる。どこも触られていないのにじっとしていられなくなってくる。視線を意識するたびにコックが、ひくっと、痙攣する。甘い疼きが背中を這い上がり、思わず愛撫をねだるように腰をもたげてしまうあさましいその動きを高原は楽しんでいるのだ。僕が屈辱に歯をくいしばりながら、何とかして反応せずに石になろうとしている様をじろじろと眺めては手を伸ばして撫で上げる。僕のそんな必死の努力は何のたしにもならない。高原の愛撫に慣れ親しんできた体は、こうして吊られているだけでじりじりと炙られるようだ。
「欲しいか」
 低く甘いバリトンの声に尋ねられて、思わず必死でうなずき返してしまった。彼の暖かくさらりとした手がくるりと巻きついてくる。待ち望んでいた刺激。それなのに体は意識して自制ないと逃れようと勝手に捻れる。彼の手技は、恐ろしく上手い。何をしたって訳でもないのに掌を巻きつけられただけで達してしまいそうだった。
「勝手にいくな」
  分かってる。射精の禁止が解かれたわけではない事は。分かっていたからといって耐えられるかどうかは別問題だったが、それでも歯を喰いしばり、持ち堪えようと力を込める。やわやわと、続けられる愛撫に脳が焼ききれそうだ目が霞み、胸が苦しい。下半身が溶けて流れ出ていく。熱い体はもう形を成していないような気がする。
「はっ……ああっ……っつ……だ……め」
 ぎゅうっと、コックを握りしめられる。鈍い痛みと指の締め付けに助けられて、ぴくぴくと痙攣しながらもなんとか踏みとどまれた。だが、あまりの辛さにその手に腰を押し付けてしまう。
「はっ、はっ、はっ……あうっ」
  胸が苦しい。息が吸えない。その瞬間、はじけるような痛みに、反射的に腰を引いた。コックは彼の手の中に握りこまれたままだったので、自分で自分に痛みを与えたようなものだった。一瞬何が起きたか分からず、ただただその痛みに体を固くして、背を丸めようとした。枷を思いっきり引っ張って、ガチャガチャと金属の音を響かせてしまう。生理的な涙が溢れ、周囲がぼやけた。
 ぱちっ!
「ああう!」
 もう、一度容赦なく弾かれて、何をされたのか腑に落ちた。コックをしっかりと握りしめたまま、反対側の左手で陰嚢を弾かれているのだ。そんなささやかな、指先だけのいたぶりとは信じられないほどの痛みだった。思わず首を左右に激しく振る。だが、どうしようもない。四肢は、枷と縄で拘束され、できる事と言ったらわずかに腰を捻るか、前後に揺するか…。それも、コックを握られていてはたいして動けるわけではなかった。彼の左手がかすかに動いて、もう一度同じ場所に押し当てられる。中指をパチッと弾くだけで、もう一度僕を飛び上がらせる事が出来る。
 一気に吹き出す冷や汗。本能的な恐怖が襲ってくる。彼がやろうと思えば、どんな事でも どんな痛みでもそこに加える事が出来るのだ。そう、何度でも、何度でも、繰り返す事が出来る。たいした労力でもなく。痕も残らないだろう。しっかりと拘束されている事も忘れ、僕は自分の体を何とかして取り戻そうともがいた。
「動くな」
「あ…」


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