やけどが治るのに、大分時間がかかった。考えていたよりも深いところまで焼かれてしまったようだ。まっすぐ座るのが困難だ。いちいち会う相手に理由を説明するのも面倒で、僕は転んで怪我したようにつくろって病院を休んだ。大きい手術の予定も無く、有休も溜まりに溜まっていたので、抗生剤を飲みながら高原の別邸で腹ばって過ごした。自分のマンションに帰れば食事の支度をしなくてはならないし、掃除や洗濯や買い物やと自由のきかない体では何かと面倒だ。それに、淳一の話し相手をする事もできる。
体のつながりが出来たとしても、淳一の態度は変わらないだろうと思ってはいたが、あまりの変化のなさにあきれた。相変わらずぶつぶつと何にでも文句をいい、何かと反抗して見せるが結局は従順に耐えている。猫のようにそばに来てはじゃれついてさっと離れていく。
夕食の後の拡張訓練にしても同じだった。これを機に自分でマッサージさせる形に切り替えた。そう言い渡された淳一はちょっとショックを受けた様子だったが、僕がまったく動けない状態だったのであきらめたのだろう。黙って言われたとおりに従った。そして、椅子の上に、よつんばいになって、僕の前で自分でアナルにローションを塗りこめて指を入れる作業を黙々とこなした。ただ、体中がピンク色になっていたけれど。
時々、感じて反応してしまうと指の動きがぴたっと止まる。眼をつぶり必死で反応すまいと体を硬くして、喘ぎを押し殺し、じっとうねりが通り過ぎるのを待っている。そういう様がこっちの気持ちを煽っているのにまったく気がついていない事に僕は呆れる。それも、淳一の望んでいない方向へ。
「自分でしても感じるようになってくれて、嬉しいよ」
肘をついて、体を捻って彼の様子を見ていた僕が声を掛けると、彼の体は一層赤くなった。
「……るせえっよ!……あ……つッ……」
「大丈夫。もう、少しゆっくり……」
激しく首を振ってみせながらも、手は従順に言われたとおりに動いている。ぬちゃぬちゃと音を立てながら、細い指を飲み込み、そしてめくりかえりながら吐き出すその場所が生き物のように蠢いている。
「指、増やして」
ぎゅっと、閉じた瞼に力が入るのが分かった。だが、彼は黙って、指を抜くと二本揃えて差し入れようとする。わずかな抵抗を見せながらも、彼のそこはゆっくりとそれを飲み込んで行く。
「力が入っているぞ」
「はあっ……」
「お腹の力を抜いて」
体を支える腕が震え始めた。片手で体重を支えているうえに、だんだんと力が抜けていくような心もとなさが彼を襲っているのだろう。肩が椅子の座面に乗っていなければ、とうに崩れ落ちていたかもしれない。
「もう、ダメ……」
「せめて三本まで行かないと、拡張訓練にならないじゃないか。あんまり手抜きすると、後でもっと酷い目にあうんだからな」
「だって……」
淳一はちらっとこっちへ視線を流すと、また床へ戻す。
「あっち、向いててよ」
「なんで」
聞かずもがなの事を聞いてみせる。
深く入っていた指をさっと抜くと、起き上がって叫んだ。
「恥ずかしいからに決まっているだろう!」
僕は、真っ赤な顔を振りたてている淳一に、殊更ににっこりと笑って見せてやる。
「だめだ」
「……」
淳一は、横面を張り飛ばされたように目をぱちくりさせて、次の瞬間には、更に体中を赤くした。くやしそうに口を尖らせながらぷいっと顔を背け、それでも諦らめて、また椅子の上へ体を伏せる。
彼は、こうやって遊ばれる事にいつまでも慣れない。あっという間にすれた僕とはえらい違いだった。ためらい、逡巡し、ためいきをつき、そして三本の指を揃えてゆっくりと入れる。一気に入り口は抵抗し、きしみ、体は苦痛を訴える。
「口を開けて。力を抜くんだ。」
そんな事は彼も分かっている。半年もの間、僕の手の下にいたのだから。それでも、自分で行う行為を見られているというだけで、体は思い通りにならないものなのだった。
「あ……うん……。」
目を閉じて、自分の体の中に耳を澄ます。そして、少しずつ少しづつ深く潜っていく。水の中へ。自分だけの閉じた感覚の中へ。
「は……あ、あ……」
「ゆっくり……。急ぐな」
声を低めて囁く。現実へ引き戻したくなくて、出来るだけそっとやさしく。彼が深く潜っていくのを手伝うために。汗の玉が光る白い背中がうねった。静かに。 ゆっくりと。深く。座面に押し付けた顔がゆがむ。どうしたって、良かろうが悪かろうが、じっと動かないでやり過ごす事などできないのだった。
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体のつながりが出来たとしても、淳一の態度は変わらないだろうと思ってはいたが、あまりの変化のなさにあきれた。相変わらずぶつぶつと何にでも文句をいい、何かと反抗して見せるが結局は従順に耐えている。猫のようにそばに来てはじゃれついてさっと離れていく。
夕食の後の拡張訓練にしても同じだった。これを機に自分でマッサージさせる形に切り替えた。そう言い渡された淳一はちょっとショックを受けた様子だったが、僕がまったく動けない状態だったのであきらめたのだろう。黙って言われたとおりに従った。そして、椅子の上に、よつんばいになって、僕の前で自分でアナルにローションを塗りこめて指を入れる作業を黙々とこなした。ただ、体中がピンク色になっていたけれど。
時々、感じて反応してしまうと指の動きがぴたっと止まる。眼をつぶり必死で反応すまいと体を硬くして、喘ぎを押し殺し、じっとうねりが通り過ぎるのを待っている。そういう様がこっちの気持ちを煽っているのにまったく気がついていない事に僕は呆れる。それも、淳一の望んでいない方向へ。
「自分でしても感じるようになってくれて、嬉しいよ」
肘をついて、体を捻って彼の様子を見ていた僕が声を掛けると、彼の体は一層赤くなった。
「……るせえっよ!……あ……つッ……」
「大丈夫。もう、少しゆっくり……」
激しく首を振ってみせながらも、手は従順に言われたとおりに動いている。ぬちゃぬちゃと音を立てながら、細い指を飲み込み、そしてめくりかえりながら吐き出すその場所が生き物のように蠢いている。
「指、増やして」
ぎゅっと、閉じた瞼に力が入るのが分かった。だが、彼は黙って、指を抜くと二本揃えて差し入れようとする。わずかな抵抗を見せながらも、彼のそこはゆっくりとそれを飲み込んで行く。
「力が入っているぞ」
「はあっ……」
「お腹の力を抜いて」
体を支える腕が震え始めた。片手で体重を支えているうえに、だんだんと力が抜けていくような心もとなさが彼を襲っているのだろう。肩が椅子の座面に乗っていなければ、とうに崩れ落ちていたかもしれない。
「もう、ダメ……」
「せめて三本まで行かないと、拡張訓練にならないじゃないか。あんまり手抜きすると、後でもっと酷い目にあうんだからな」
「だって……」
淳一はちらっとこっちへ視線を流すと、また床へ戻す。
「あっち、向いててよ」
「なんで」
聞かずもがなの事を聞いてみせる。
深く入っていた指をさっと抜くと、起き上がって叫んだ。
「恥ずかしいからに決まっているだろう!」
僕は、真っ赤な顔を振りたてている淳一に、殊更ににっこりと笑って見せてやる。
「だめだ」
「……」
淳一は、横面を張り飛ばされたように目をぱちくりさせて、次の瞬間には、更に体中を赤くした。くやしそうに口を尖らせながらぷいっと顔を背け、それでも諦らめて、また椅子の上へ体を伏せる。
彼は、こうやって遊ばれる事にいつまでも慣れない。あっという間にすれた僕とはえらい違いだった。ためらい、逡巡し、ためいきをつき、そして三本の指を揃えてゆっくりと入れる。一気に入り口は抵抗し、きしみ、体は苦痛を訴える。
「口を開けて。力を抜くんだ。」
そんな事は彼も分かっている。半年もの間、僕の手の下にいたのだから。それでも、自分で行う行為を見られているというだけで、体は思い通りにならないものなのだった。
「あ……うん……。」
目を閉じて、自分の体の中に耳を澄ます。そして、少しずつ少しづつ深く潜っていく。水の中へ。自分だけの閉じた感覚の中へ。
「は……あ、あ……」
「ゆっくり……。急ぐな」
声を低めて囁く。現実へ引き戻したくなくて、出来るだけそっとやさしく。彼が深く潜っていくのを手伝うために。汗の玉が光る白い背中がうねった。静かに。 ゆっくりと。深く。座面に押し付けた顔がゆがむ。どうしたって、良かろうが悪かろうが、じっと動かないでやり過ごす事などできないのだった。
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この記事へのコメント
週休二日?祭日は休み?って思ったら更新されててうれしい~。
なんだか複雑な関係に・・・。
でも高原氏のSっぷりは変わらない、さすがです!
各務は高原の考えてる事がわかってるみたいだけど、まるにはわかりませ~ん。これからにドキドキです。
淳一くんが、文句を言いながら虐められてるのが良い!!
「あっち向いててよ」のセリフにやられました。(個人的好みです、ハイ)
なんだか複雑な関係に・・・。
でも高原氏のSっぷりは変わらない、さすがです!
各務は高原の考えてる事がわかってるみたいだけど、まるにはわかりませ~ん。これからにドキドキです。
淳一くんが、文句を言いながら虐められてるのが良い!!
「あっち向いててよ」のセリフにやられました。(個人的好みです、ハイ)
2006/09/18(月) 12:33 | URL | まる #wkQhjsEQ[ 編集]
高原氏の考えてる事はよくわからん。
ヾ(▽⌒*)キャハハハo(__)ノ彡_☆バンバン!!
各務と高原の関係は最初から確定していたので
その設定どおりに進んで行ってるんだけど
淳一くんがどういうふうに絡んでくるのか
さっぱり検討がつかないんだよねぇ。
揺さぶってやって起き上がった時には
もう少し自分で動いてくれるかと思ったんだけど
どうも、語りが各務に移ってしまったせいで
めっちゃ、受身の淳一君です。
そろそろ、ラストスパートをかけてくれないと
終わらないんですけど・・・・。
最後に仕掛けてくるのは誰なんだろう?
ヾ(▽⌒*)キャハハハo(__)ノ彡_☆バンバン!!
各務と高原の関係は最初から確定していたので
その設定どおりに進んで行ってるんだけど
淳一くんがどういうふうに絡んでくるのか
さっぱり検討がつかないんだよねぇ。
揺さぶってやって起き上がった時には
もう少し自分で動いてくれるかと思ったんだけど
どうも、語りが各務に移ってしまったせいで
めっちゃ、受身の淳一君です。
そろそろ、ラストスパートをかけてくれないと
終わらないんですけど・・・・。
最後に仕掛けてくるのは誰なんだろう?