
その日から私はマリエーヌを膝の上に抱え上げ、百回のお仕置きを与える事を夜毎に繰り返した。最初の日にさんざん打ち据えられた彼女の尻は赤黒く腫れ上がり、ちょっと触っただけでも飛び上がるほどに痛がった。
だが、私は容赦せず、毎夜夕食の時に、しかも召使い達の前で四阿に来るようにマリエーヌに申し渡した。椅子に座るのも難儀している彼女は、その度に実に悲しそうな目で恨めしそうに私を見上げる。同席している家庭教師は憤慨して赤くなったり蒼くなったりする。だが、伯爵の命を受けてきている私に逆らう事はできず、憤懣やるかたない様子で足音高く彼女を置き去りにするのだ。
マリエーヌは、テーブルクロスの上の手をぎゅっと握りしめて、私の表情のない顔を涙で潤んだ瞳で見つめた。
「ニコラス。今日も叩くの?」
「ああ」
「酷いわ。お尻が痛くて夜も眠れなかったのに。これ以上我慢できない」
「だめだ」
「そんな…、どうしてそんなに意地悪なの?酷いわ。キスする時はあんなにも情熱的なのに」
ナプキンを腕に掛けて立っている執事は、さすがに顔色こそ変えないが、いたたまれなさを滲ませて目を泳がせる。
「マリエーヌ。君のお尻がひどく腫れている事は知っているよ。多分、今日打たれるとその痛みは昨日の比じゃないだろうね」
「ね。お願い。今日は許して。お願いだから」
「だめだ」
マリエーヌは唇を噛みしめて、ぽろぽろ涙をこぼす。最初の日の、あの人を喰ったような微笑みはもうどこにもない。だが、私には分かっていた。マリエーヌがこの一幕を十分楽しんでいる事を。「酷いお仕置きをする男に情け容赦なく扱われ泣きくれる美少女」という役どころは、いたく彼女の気に入った様だった。
四阿にやってきてからも、少女は思い入れたっぷりに怯え、許しを請い、私の腕を抗ってみせる。だが、さんざん引き延ばして膝の上に抱え上げられた彼女の息は興奮に弾み、身体は十分に熱くとろけていた。
足の間に私が手を滑り込ませるとそこは、すっかりと濡れそぼり、私に乱暴に掻き混ぜられるのを待ちかまえている。私は念入りにその場所を撫でさすり刺激して、彼女の甘い悲鳴を搾り取った。少女が痙攣してすっかり満足するまで愛撫してやり、それから、身体の欲望にとらわれた罪によって彼女のお尻を叩くのだった。
痣だらけになっている彼女の尻は、痛々しく熱く膨れあがっている。一打ちごとに少女は、殺されるような悲鳴を上げ、泣きもだえ私にしがみついてきた。私は、そうまでして彼女が求めているものは、私が与える「痛み」だという事の甘さを噛みしめた。
強く打つのも、手加減するのも、回数を増やすのも、自由自在だ。彼女がどれほど切々と必死に訴えても、それを聞き入れてやるもやらぬも私の気持ち次第。彼女がどれほどその辛さに涙を振り絞っても、私がもっと打つと決めれば、膝から降りる事は出来なかった。
「ニコラス、お願い」
彼女は、私が満足するまでその言葉を繰り返す。ニコラス、お願い。ニコラス、お願い。ニコラス、お願い。甘い、切なるお願いを私はうっとりと味わい。そして、手厳しく拒絶した。その度に彼女は悲しそうに涙をほろほろとこぼす。愛らしい手を組み合わせ捻り絞る。そう、この背徳の遊びは、それほどに、私の脳をとろかした。
それでも、昼の明るい光の下では、私も我に返り、自分のしている事に空恐ろしくなる事も度々だった。そして、まだいたいけない少女でしかないマリエーヌの足下に跪き、その裾に口づけながら、今日も続けるのかと尋ねた事も一度や二度ではなかったのだ。そんな時のマリエーヌは、あの、恐ろしく魅力的な微笑みを浮かべて
「怖くなったの?ニコラス?」
と、尋ね返してくる。その、悪魔の微笑みに出会う度に、私はその微笑みに毒され、彼女に対する仕置きも回数を重ねるほどにひどくなって行かざるを得なかった。
百回、きっちりと打っていても、彼女の桃のような尻はだんだんとはじめの日の美しさを取り戻しつつあり、回数を重ねるごとにもっと、と要求してくる。もっと。もっと、ひどく打って。もっとひどく。私を泣かせて。私は、彼女の尻を摘む。痛みに彼女が悲鳴を上げるように。召使い達が、私の彼女をむごく扱う様に怯えるようになってさえ、その行為を促しているのは彼女の瞳であり、私は彼女の僕でしかなかったのだ。
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