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5、バックウォッシュ

ここでは、「5、バックウォッシュ」 に関する記事を紹介しています。

  降り注ぐお湯の中で、お互に主導権を奪おうと揉みあった。押さえつける志方と、その腕を跳ね除けようとする晃。狭い浴室の中では、思ったように動けはしない。すぐに、どちらがしかけ、どちらが抵抗しているのか、分らなくなっていく。つるつると肌が滑り、その感触とお互いの筋肉が絡み合う事だけに、夢中になっていく。熱い湯気の中の激しい呼吸音が浴室の中にこだまし、お互いの耳に、心に変化をもたらしていく。ひとつの行為を奪い合っているか、分け合っているのか、訳が分らなくなっていく。
 噛み付くようなキス。どちらが仕掛けたのかも分らないキス。お互いの気持ちを、欲望を、愛情をぶつけ合ったキス。吐息を奪い合う、舌を絡め合う、深く、深く、心の奥底まで確かめ合うように。志方の首に腕を廻した晃が、必死にしがみついてきた。熱くたぎるものを擦りつけあう。何度も何度も息をついで、お互いの唇をむさぼり合っているうちに頭はぼうっとして、なにをしていたのかも定かでなくなっていた。

「入れて・・・。」
 晃が、ようやく、唇をもぎ離したかと思うと、性急に、志方の身体の上にずり上がるようにのしかかってきた。
「だいじょうぶ。もう、洗ってある。」
 そんなふうに、何の準備もなく無理だ・・・こら、やめろよ・・・頭の中では、志方は必死に抵抗していたのに、自分の体に、相手の谷間が押し付けられ、なぞり上げながら位置を探ってくる馴れた動作に、冷静になろうとする努力は吹っ飛び、惑乱した心はすでに動いていて止めようがなかった。志方は、スキンもつけずに、慣らしもせずに無理矢理に相手に押し入った。晃の身体が硬直し、志方の腕を掴んでいた掌が皮膚に喰い込んできた。

 悲鳴が・・・・

 ・・・・聞こえた。どちらのものか分からない悲鳴。音になった訳でもなかったのに、まるで、触れられるかの様に感じられた悲鳴が。一番大きい場所が通過しないうちに皮膚が裂けた。志方は、まるで自分のもののようにその感覚を味わった。そして、その瞬間、自分があっけなくはじけた事を知って呆然とする。そして、引き裂かれた晃の硬直がほどけた時に、相手が一緒に達したことに気がついた。
 荒く息をつきながら、お互いの身体に腕を廻したまま、ふたりは頭から降り注ぐ湯の中に座り込んでいた。風呂場の床に赤い鮮血が模様を描いて流れていくのをぼんやりとみつめながら・・・・。



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