眠れない夜に、机に座っていると、男の手首が訪ねてくる。
手首は車のキーを、机の上に置くと、ただそれだけで、いなくなる。
私は、その男を大好きだった。
その男は10年前にビルから飛び降りて死んだ。
眠れない夜に、無理に寝ようと布団の中で輾転反側していると、男の手首が訪ねてくる。
手首は片方だけしかないのに、私の首を締めようとするが、うまくいかない。
私は、昔、その男に殺されかけた事がある。
その男は、私が泣きながら抵抗したので、翌日一人で死んでしまった。
眠れない夜に、窓を開けて静かな闇が、部屋の中に入り込むのを眺めていると、山の麓から坂を登ってくる、バイクの排気音が近づいてくる。
カーブを曲がるたびに、ふかすアクセルの音が遠くまで響く。
私は、そのバイクの主が、右折の四トントラックに轢かれて死んだことを思い出す。
追突を避けられないと分かって、自分から転んだので、彼のバイクだけは、無事にトラックの下をすり抜けたと聞いた。
眠れない夜に、部屋を徘徊した後、隣でぐっすりと眠ってる男の布団をめくって、懐に潜り込もうとする。
冷えた身体のせいで、男は必ず目を覚ます、そして、迷惑そうに、私を抱き寄せる。
この男は、私の愛した人の中でただ一人、まだ死んでいない。
私が眠れないのは、いつか、この男が死んだ後の事を、思い悩んでるせいに違いない。
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手首は車のキーを、机の上に置くと、ただそれだけで、いなくなる。
私は、その男を大好きだった。
その男は10年前にビルから飛び降りて死んだ。
眠れない夜に、無理に寝ようと布団の中で輾転反側していると、男の手首が訪ねてくる。
手首は片方だけしかないのに、私の首を締めようとするが、うまくいかない。
私は、昔、その男に殺されかけた事がある。
その男は、私が泣きながら抵抗したので、翌日一人で死んでしまった。
眠れない夜に、窓を開けて静かな闇が、部屋の中に入り込むのを眺めていると、山の麓から坂を登ってくる、バイクの排気音が近づいてくる。
カーブを曲がるたびに、ふかすアクセルの音が遠くまで響く。
私は、そのバイクの主が、右折の四トントラックに轢かれて死んだことを思い出す。
追突を避けられないと分かって、自分から転んだので、彼のバイクだけは、無事にトラックの下をすり抜けたと聞いた。
眠れない夜に、部屋を徘徊した後、隣でぐっすりと眠ってる男の布団をめくって、懐に潜り込もうとする。
冷えた身体のせいで、男は必ず目を覚ます、そして、迷惑そうに、私を抱き寄せる。
この男は、私の愛した人の中でただ一人、まだ死んでいない。
私が眠れないのは、いつか、この男が死んだ後の事を、思い悩んでるせいに違いない。

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