ずっと男と恋愛してきたから、女の子を好きになるなんて思わなかった。ただの所有欲だったのかもしれない。寂しかっただけかもしれない。抱きしめると柔らかくて暖かかった。笑顔が嬉しかった。走ってきて、抱きついて、くるくる回ってキスするなんて、映画の中の話だと思ってたのに。自分だけの大好きな女の子。小さくて、可愛くて、マシュマロのようだった。
だから、ずっとずっとその先もずっと、一緒に歩いて行こうね・・・って、勝手に思ってた。手を繋いで、寄り添って、ベッドの中で内緒話をする。好きな男の悪口を言って、恋人の優しさをのろけあって、幸せと、喜びと、ありったけの愛を分けあって、思い出をたくさん作って。踊りながら坂道を駆け下りようと思ってたの。
彼女と別れた後に、そんな思い出を消そうと努力を積み重ねていたある日、勇気を出して、思い出の喫茶店のまほろばを訪ねた。そうしたら、見慣れないマスターに、いい人になるための練習をしていた公園がなかったって聞かされてびっくりした。「まほろば」って、思い込んでいた店が「木陰」だったことにも驚いた。だって、私は、確かにあの公園で、好きな子に幸せをあげたくて、一生懸命に理想の女性のイメージを描いては、そう振る舞えるように練習してた。いい人になれるよう、開けてはいけない欲望の蓋を締め直してた。それなのに、その、公園が、最初から無かったなんて・・・。
じゃあ、何を間違ったんだろう?違う駅で降りた?曲がる道を間違えた?真っ直ぐの道でも迷子になる名人だから、マンションの前にあるはずなのに、公園がみつけられない?それとも、あの理想が間違ってたの?私の描いていた未来が?
そうじゃない。今でも、あの子の笑顔は、そこにあるのに、私の気持ちが変わってしまった。彼女が繋いでいる手が、他の人の手になっただけで、世界が、全部違ってしまった。傍に来ても、抱きしめられても、ただ辛いだけ。胸の奥がふさがって、涙になって溢れる。愛は、どこにいったんだろう。確かに私の腕の中にあって、彼女にあげようとしていたものは。あったはずの公園と一緒に、消えてしまったよう。
まっすぐの道路の向こうに建つマンション。道路の手前の喫茶店「木陰」。無くなってしまった公園。このまま、この道を辿って行っても、きっと、愛は見つからない。目を閉じて、もう一度。最初から。そう、できるだけ気取った足取りで、スカートを揺らして、一歩、一歩、ステップを確かめながら歩き出す。
私は、自分で、それを選ぶ事が、できるだろうか。
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だから、ずっとずっとその先もずっと、一緒に歩いて行こうね・・・って、勝手に思ってた。手を繋いで、寄り添って、ベッドの中で内緒話をする。好きな男の悪口を言って、恋人の優しさをのろけあって、幸せと、喜びと、ありったけの愛を分けあって、思い出をたくさん作って。踊りながら坂道を駆け下りようと思ってたの。
彼女と別れた後に、そんな思い出を消そうと努力を積み重ねていたある日、勇気を出して、思い出の喫茶店のまほろばを訪ねた。そうしたら、見慣れないマスターに、いい人になるための練習をしていた公園がなかったって聞かされてびっくりした。「まほろば」って、思い込んでいた店が「木陰」だったことにも驚いた。だって、私は、確かにあの公園で、好きな子に幸せをあげたくて、一生懸命に理想の女性のイメージを描いては、そう振る舞えるように練習してた。いい人になれるよう、開けてはいけない欲望の蓋を締め直してた。それなのに、その、公園が、最初から無かったなんて・・・。
じゃあ、何を間違ったんだろう?違う駅で降りた?曲がる道を間違えた?真っ直ぐの道でも迷子になる名人だから、マンションの前にあるはずなのに、公園がみつけられない?それとも、あの理想が間違ってたの?私の描いていた未来が?
そうじゃない。今でも、あの子の笑顔は、そこにあるのに、私の気持ちが変わってしまった。彼女が繋いでいる手が、他の人の手になっただけで、世界が、全部違ってしまった。傍に来ても、抱きしめられても、ただ辛いだけ。胸の奥がふさがって、涙になって溢れる。愛は、どこにいったんだろう。確かに私の腕の中にあって、彼女にあげようとしていたものは。あったはずの公園と一緒に、消えてしまったよう。
まっすぐの道路の向こうに建つマンション。道路の手前の喫茶店「木陰」。無くなってしまった公園。このまま、この道を辿って行っても、きっと、愛は見つからない。目を閉じて、もう一度。最初から。そう、できるだけ気取った足取りで、スカートを揺らして、一歩、一歩、ステップを確かめながら歩き出す。
私は、自分で、それを選ぶ事が、できるだろうか。

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