「くすぐり倶楽部」という風俗店の話をお耳にされたことがありますか?多分、ご存じない方の方が多いと思います。日本では「くすぐり」を愛好される方は、あまりいらっしゃいませんから。でも、このちょっと変わった遊びを好まれる方は、確実に存在します。
実は、私は、その店のスタッフを務めております。60分20000円、90分26000円、120分で32000円。これが、思う存分、女の子をくすぐったり、くすぐられたりするのにかかる費用です。私は、くすぐるのが専門のスタッフです。自分がくすぐられると考えると、なぜかとても嫌な心地になってしまうので、そこは、ご遠慮させて頂いております。くすぐるのは本当に楽しいのですけれど。
そして、不思議に思われるかもしれませんが、愛撫はとても、くすぐりに似ているのです。そのため、私はこの歳になるまで、男性と親しくお付き合いをしたことがございませんでした。そんな私が、その風俗店に行く事を考えたのは、お慕いする男性が出来たからなのでございます。今のままでは、その人に、想いを打ち明けることはおろか、側に寄ることも出来ないと考えたからです。
その風俗店のお話は、私をご贔屓にしてくださるお客様から教えて戴きました。とても不思議なお店で、大きな団地街の一角にあり、風俗店なのに、まるで図書館のようにたくさんの蔵書が並んでいるのです。それも、天井まで届くような書架が、壁沿いにぐるりと回りを取り囲んでいます。入り口をくぐった途端に、別の世界へ迷い込んだような気がする場所でした。教えてくださったお客様は、私に、そこで自分の運命を見つけるように・・・と、おっしゃったのです。
実際にプレイするのは2回目から。それがその風俗店の約束事でございました。予約した日に、駅からもう一度その団地に向かうバスに乗り、同じバス停で降りるのです。おかしく思われるでしょうが、くすぐりスタッフとして男性を手玉に取るような生業をしておりながら、受け身では、ほとんど何の経験もない生娘同然の身です。これからの事を考えると、緊張で冷や汗が出る思いでおりました。自分で押したのに、降車を告げるボタンのポーンという音に、びくっと、身を竦めてしまうほどでした。
バスを降りると、先日訪ねた時とは、違う風景がそこに広がっておりました。思いつめておりましたので、もしかして違う停留所で降りてしまったのでしょうか。どこか懐かしく、夕日の似合う、昔からの木の家が並んでいる通りです。周囲を見回していると、目の前を小学生の女の子が何人か連れ立って横切りました。
賑やかにおしゃべりをする笑顔の子どもたちの中に、一人だけ、何を考えてるのか黙ったまま、ランドセルのベルトに手をかけて俯いて歩いている女の子がおりました。その子は、私の小さな頃にそっくりです。と、言うよりも、そのものでした。彼女が着ている、紺のワンピースは、確かに私が子供の頃着ていたワンピースでした。
やがて、その女の子は、黙ったまま同級生へ手を振って、別れを告げ、彼女らとは逆の方向へと、歩き出しました。私は、思わずふらふらとその女の子の後を付いて行ってしまいました。3つ目の角を曲がると、道の両側は、高い塀がずっと続く、お屋敷町でした。車もめったに入ってこない、人通りも殆ど無い細い道を、彼女は、俯いたままてくてくと歩いて行きます。
その子の背中をみつめながら後を付いて行くうちに、今まで降りていた、帳がめくられたかのように、昔の記憶が呼び覚まされていきます。自分の中に、封印していたものが、次々と、現れ出てこようとしておりました。
足が弾まないのは、家に帰っても、誰も居ないからなのでした。長い事、我が家の家政を預かっていた家政婦の政さんが、お嫁に行ってしまい、代わりの人がまだ決まってい無かった時期です。一月ほどだったと思います。父も、母も、仕事に忙しく、帰ってくるのはとても遅いのです。それでも、小学校一年だった私が一人で家に放おって置かれたのは、離れに、足を悪くしてからずっと家で物を書いて口を凌いでいる叔父がいたからでございました。
叔父は無口な人でしたが、私には優しくしてくれました。母屋の薄暗い長い廊下や、政がいなくなってからは、閉めっぱなしで日のささない座敷が並ぶ母屋にいるよりは、こぢんまりとした離れに居る方が寂しくありませんでした。
そう、思い出しました。学校から帰ってきた私が、ランドセルを置いて、離れにやってくると叔父は決まって、私におまんじゅうを食べさせてから、「床屋さん」という遊びに私を誘うのでございます。
叔父は、まず私は素裸にし、大きな革張りの安楽椅子を床屋さんの椅子に見立てて、そこに座らせるのです。そして椅子の背もたれの端に結びつけてある絹の紐の輪に、私の手首をくぐらせて、それを自分で握るように促します。これをするのは、私が急に動くと危ないからだと言われておりました。それから、叔父は、私の身体の体毛を、よく研いだ床屋さんのカミソリで、たいそう時間をかけてまんべんなく剃るのでございます。
シェービングカップの中でたっぷりと泡立てた泡を、私の身体に、大きな筆のようなブラシで塗り広げて、それから、よく研いだカミソリを肌に立ててそぎ落としていくのでした。幼女の私の肌を毎日剃れば、産毛の一つも生えていないつるつるでございましたけれど、それでも、その遊びは、月曜日から土曜日までお休みなく続けられるのです。
まず、身体の前、それから、背中。刷毛が身体を撫でまわす時は、酷くくすぐったく、研いだ刃物が肌を舐め回すように滑る時は、身体の芯からぽおっと火が灯っていくようなむずがゆさで、熱さがこみ上げていくのでした。
「動いてはいけないよ。」
時々、叔父は、低い声で囁きます。動いてはいけないというのがこの遊びの一番大切な決まり事なのです。私は、動くまいと、身体に力を入れてじっと息を詰めてこらえています。しょりしょりと、刃は滑り、私の背筋をぞくぞくとした痺れが駆け上がります。伸びをして、暴れて、鬱屈していく身体の感覚を外へ出してしまいのですが、それは許されません。人形のように動かないこと。それが、この遊びの一番大切なことなのでした。
前から、後ろへ、それから首筋を念入りに、私を一度向きを変えさせて上半身を剃り終わると、今度は私を椅子の上で逆さにします。それから、片方の足を先ほどの輪っかに通して、反対の足を叔父は自分の脇の下に抱えて、私の身体にのし掛かり、私が動かないように、椅子に押さえ付けます。いくら幼女とは言っても、ここまですれば、自分がなにか、親には言えない、いけない遊びをしているという後ろめたい気持ちが強くありました。
「声を出してはいけないよ。」
そう言いながら、叔父は私の足をつま先から段々と上に剃り上げていくのです。そのこそばゆさに、内腿のやわらかいところをカミソリで剃り上げる時には、必死で拳を口に押し付けないと、がまんできません。
「動いてはいけないよ。怪我をするからね。」
カミソリが段々と私の足の間に近づき、ふっくらと丸い丘や、割れ目や、桃色の襞の間を、ゆっくりと何度も何度も這いまわる時、動くまいと必死の私は、目をきつく瞑って、息をするのも恐れていました。
右足をつま先から順番に、それから今度は左足を。二度目に足の間に到達する時は、耐え切れずもがいてしまいそうで、私は必死で身体を椅子にめり込ませようとします。拳の隙間から少しずつ息を吸い、そして、ゆっくりと吐き出すときに、助けを求めるように、舌がふるふると震えて居るのが自分でも分かりました。
はっと我に帰ると、くらくらと目眩がしました。ぐるりを囲んでいる書架が回っているように感じて、私は荷物を置いたカウンターにしがみつきました。いつの間にか、私は、予約していた風俗店に辿り着いておりました。
「いらっしゃいませ。どうなさいました?ご気分でも悪いのですか。」
私は、頭をふり、目の前に立っている男性に、視界のピントを合わせようといたしました。それは、この風俗店の受付の男性でした。私は、一瞬、自分がここに何をしに来たのか見失い、ぼんやりと彼の穏やかな表情を見つめました。私が、小学校1年生の時に、自ら命を絶って亡くなった叔父の顔に似ていました。そして、また、この店を教えてくれたあのお客様の、私を見つめた眼差しとも似ているような気がいたしました。
入り口まで戻って、ドアを開けて外を眺めてみましたが、そこにあるのは普通の団地の風景です。まだ、はっきりと身体をこそばゆくこすっていった、カミソリの感触が残っているというのに。記憶は段々曖昧になり、なぜ、あんな遊びをするようになったのか、どうして叔父は毎日そうしたのか、それに叔父の死の原因も・・・思い出せそうな気もするのに、捕まえようとするとするりと記憶が逃げていくようでした。
「マーゴ・フラゴソの「少女の私を愛したあなた」という本は、ここにありますでしょうか?」
すると、受付にいた男は頷いて、迷うこと無く、その本をカウンターの下から取り出して、私に手渡したのでした。
「その本は差し上げます」
と、図書館の男がニコリと笑いながらもうされました。
「今、ここで、どうしても書き記しておきたいことがあるのですが、出来るでしょうか」
「はい、皆さん、そう、おっしゃいます」
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実は、私は、その店のスタッフを務めております。60分20000円、90分26000円、120分で32000円。これが、思う存分、女の子をくすぐったり、くすぐられたりするのにかかる費用です。私は、くすぐるのが専門のスタッフです。自分がくすぐられると考えると、なぜかとても嫌な心地になってしまうので、そこは、ご遠慮させて頂いております。くすぐるのは本当に楽しいのですけれど。
そして、不思議に思われるかもしれませんが、愛撫はとても、くすぐりに似ているのです。そのため、私はこの歳になるまで、男性と親しくお付き合いをしたことがございませんでした。そんな私が、その風俗店に行く事を考えたのは、お慕いする男性が出来たからなのでございます。今のままでは、その人に、想いを打ち明けることはおろか、側に寄ることも出来ないと考えたからです。
その風俗店のお話は、私をご贔屓にしてくださるお客様から教えて戴きました。とても不思議なお店で、大きな団地街の一角にあり、風俗店なのに、まるで図書館のようにたくさんの蔵書が並んでいるのです。それも、天井まで届くような書架が、壁沿いにぐるりと回りを取り囲んでいます。入り口をくぐった途端に、別の世界へ迷い込んだような気がする場所でした。教えてくださったお客様は、私に、そこで自分の運命を見つけるように・・・と、おっしゃったのです。
実際にプレイするのは2回目から。それがその風俗店の約束事でございました。予約した日に、駅からもう一度その団地に向かうバスに乗り、同じバス停で降りるのです。おかしく思われるでしょうが、くすぐりスタッフとして男性を手玉に取るような生業をしておりながら、受け身では、ほとんど何の経験もない生娘同然の身です。これからの事を考えると、緊張で冷や汗が出る思いでおりました。自分で押したのに、降車を告げるボタンのポーンという音に、びくっと、身を竦めてしまうほどでした。
バスを降りると、先日訪ねた時とは、違う風景がそこに広がっておりました。思いつめておりましたので、もしかして違う停留所で降りてしまったのでしょうか。どこか懐かしく、夕日の似合う、昔からの木の家が並んでいる通りです。周囲を見回していると、目の前を小学生の女の子が何人か連れ立って横切りました。
賑やかにおしゃべりをする笑顔の子どもたちの中に、一人だけ、何を考えてるのか黙ったまま、ランドセルのベルトに手をかけて俯いて歩いている女の子がおりました。その子は、私の小さな頃にそっくりです。と、言うよりも、そのものでした。彼女が着ている、紺のワンピースは、確かに私が子供の頃着ていたワンピースでした。
やがて、その女の子は、黙ったまま同級生へ手を振って、別れを告げ、彼女らとは逆の方向へと、歩き出しました。私は、思わずふらふらとその女の子の後を付いて行ってしまいました。3つ目の角を曲がると、道の両側は、高い塀がずっと続く、お屋敷町でした。車もめったに入ってこない、人通りも殆ど無い細い道を、彼女は、俯いたままてくてくと歩いて行きます。
その子の背中をみつめながら後を付いて行くうちに、今まで降りていた、帳がめくられたかのように、昔の記憶が呼び覚まされていきます。自分の中に、封印していたものが、次々と、現れ出てこようとしておりました。
足が弾まないのは、家に帰っても、誰も居ないからなのでした。長い事、我が家の家政を預かっていた家政婦の政さんが、お嫁に行ってしまい、代わりの人がまだ決まってい無かった時期です。一月ほどだったと思います。父も、母も、仕事に忙しく、帰ってくるのはとても遅いのです。それでも、小学校一年だった私が一人で家に放おって置かれたのは、離れに、足を悪くしてからずっと家で物を書いて口を凌いでいる叔父がいたからでございました。
叔父は無口な人でしたが、私には優しくしてくれました。母屋の薄暗い長い廊下や、政がいなくなってからは、閉めっぱなしで日のささない座敷が並ぶ母屋にいるよりは、こぢんまりとした離れに居る方が寂しくありませんでした。
そう、思い出しました。学校から帰ってきた私が、ランドセルを置いて、離れにやってくると叔父は決まって、私におまんじゅうを食べさせてから、「床屋さん」という遊びに私を誘うのでございます。
叔父は、まず私は素裸にし、大きな革張りの安楽椅子を床屋さんの椅子に見立てて、そこに座らせるのです。そして椅子の背もたれの端に結びつけてある絹の紐の輪に、私の手首をくぐらせて、それを自分で握るように促します。これをするのは、私が急に動くと危ないからだと言われておりました。それから、叔父は、私の身体の体毛を、よく研いだ床屋さんのカミソリで、たいそう時間をかけてまんべんなく剃るのでございます。
シェービングカップの中でたっぷりと泡立てた泡を、私の身体に、大きな筆のようなブラシで塗り広げて、それから、よく研いだカミソリを肌に立ててそぎ落としていくのでした。幼女の私の肌を毎日剃れば、産毛の一つも生えていないつるつるでございましたけれど、それでも、その遊びは、月曜日から土曜日までお休みなく続けられるのです。
まず、身体の前、それから、背中。刷毛が身体を撫でまわす時は、酷くくすぐったく、研いだ刃物が肌を舐め回すように滑る時は、身体の芯からぽおっと火が灯っていくようなむずがゆさで、熱さがこみ上げていくのでした。
「動いてはいけないよ。」
時々、叔父は、低い声で囁きます。動いてはいけないというのがこの遊びの一番大切な決まり事なのです。私は、動くまいと、身体に力を入れてじっと息を詰めてこらえています。しょりしょりと、刃は滑り、私の背筋をぞくぞくとした痺れが駆け上がります。伸びをして、暴れて、鬱屈していく身体の感覚を外へ出してしまいのですが、それは許されません。人形のように動かないこと。それが、この遊びの一番大切なことなのでした。
前から、後ろへ、それから首筋を念入りに、私を一度向きを変えさせて上半身を剃り終わると、今度は私を椅子の上で逆さにします。それから、片方の足を先ほどの輪っかに通して、反対の足を叔父は自分の脇の下に抱えて、私の身体にのし掛かり、私が動かないように、椅子に押さえ付けます。いくら幼女とは言っても、ここまですれば、自分がなにか、親には言えない、いけない遊びをしているという後ろめたい気持ちが強くありました。
「声を出してはいけないよ。」
そう言いながら、叔父は私の足をつま先から段々と上に剃り上げていくのです。そのこそばゆさに、内腿のやわらかいところをカミソリで剃り上げる時には、必死で拳を口に押し付けないと、がまんできません。
「動いてはいけないよ。怪我をするからね。」
カミソリが段々と私の足の間に近づき、ふっくらと丸い丘や、割れ目や、桃色の襞の間を、ゆっくりと何度も何度も這いまわる時、動くまいと必死の私は、目をきつく瞑って、息をするのも恐れていました。
右足をつま先から順番に、それから今度は左足を。二度目に足の間に到達する時は、耐え切れずもがいてしまいそうで、私は必死で身体を椅子にめり込ませようとします。拳の隙間から少しずつ息を吸い、そして、ゆっくりと吐き出すときに、助けを求めるように、舌がふるふると震えて居るのが自分でも分かりました。
はっと我に帰ると、くらくらと目眩がしました。ぐるりを囲んでいる書架が回っているように感じて、私は荷物を置いたカウンターにしがみつきました。いつの間にか、私は、予約していた風俗店に辿り着いておりました。
「いらっしゃいませ。どうなさいました?ご気分でも悪いのですか。」
私は、頭をふり、目の前に立っている男性に、視界のピントを合わせようといたしました。それは、この風俗店の受付の男性でした。私は、一瞬、自分がここに何をしに来たのか見失い、ぼんやりと彼の穏やかな表情を見つめました。私が、小学校1年生の時に、自ら命を絶って亡くなった叔父の顔に似ていました。そして、また、この店を教えてくれたあのお客様の、私を見つめた眼差しとも似ているような気がいたしました。
入り口まで戻って、ドアを開けて外を眺めてみましたが、そこにあるのは普通の団地の風景です。まだ、はっきりと身体をこそばゆくこすっていった、カミソリの感触が残っているというのに。記憶は段々曖昧になり、なぜ、あんな遊びをするようになったのか、どうして叔父は毎日そうしたのか、それに叔父の死の原因も・・・思い出せそうな気もするのに、捕まえようとするとするりと記憶が逃げていくようでした。
「マーゴ・フラゴソの「少女の私を愛したあなた」という本は、ここにありますでしょうか?」
すると、受付にいた男は頷いて、迷うこと無く、その本をカウンターの下から取り出して、私に手渡したのでした。
「その本は差し上げます」
と、図書館の男がニコリと笑いながらもうされました。
「今、ここで、どうしても書き記しておきたいことがあるのですが、出来るでしょうか」
「はい、皆さん、そう、おっしゃいます」

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