高原が他の男を引き込んだ夜。俺はあれこれあれこれ想像し……ひとり、ベッドの中で転々としていた。夜は長く眠れず、途切れ途切れの悪夢のつながりでしかなかった。
それなのに、あの二人は俺がどんな状態になっているかまったく気にしなかった。まるで、そんな夜は無かったように。各務も一日休んだ「拡張」を平気で再開し、一言もその話をしなかった。俺も訊かなかった。訊けば、何を言い出してしまうかわからない。俺は口をつぐんだ。胸の中ではいくつもの問いともやもやとした嫉妬が渦巻いていたのに……。そうして、またいつもの毎日。いつもの平和。いつもの悪夢。
今年は梅雨明けが遅いのか、七月に入っても雨の日がずっと続いている。夜は蒸し暑くって、屋敷にはエアコンが入っていた。金曜日だって言うのに高原は来ない。いや、連絡がないんだから遅くなっているだけなんだろう。俺は、すっかり準備の整った体を高原のプレイルームの黒いベッドシーツの上に横たえていた。 足元のスポットだけを残して明かりを消す。
こうして一人。火照った体を抱いていると、なんだかためいきばかりが出てしまう。拡張の後は、シャワーを浴びながらコックリングを外して、自分でやってしまうのが常だから、長い時間高原を待っているのは、じれったいものがあった。多分、うとうとしてしまったんだろう。誰かがのしかかってきて、シーツを引き剥がす。
髪の毛から雨の匂いがした。高原?…旦那様。濡れちゃってるよ。どうして、こんなに遅かったの。俺、待ちくたびれちゃったよ。俺は、口に出していってしまっていたんだろうか。いつものように心の中で反芻していたつもりだったのに、高原が、囁きながら口付けしてくる。
「悪かったな」
かすかなウィスキーの匂い。飲んできたの?俺は物憂げに奴の首に腕を廻した。ぼんやりとしていて、眠かった。肩に、胸に、唇が口付けを落としていく。気持ちいい。うっとりとして俺は身を任せる。指がアナルの中に分け入ってくる。一本、二本、抜き差しされて、ああ…いい。優しい手に身を任せて…優しいまどろみに身を任せる。三本まで増えた指がくるりと廻されて、中を掻き混ぜる。感じる場所を見つけて擦りあげる。それから、また最初に戻って…一 本、二本…か…がみ…。
…すきだ。
指が止まった瞬間、俺はそそけだって凍り付いていた。ぼんやりした頭があっという間に冴え渡り、俺は自分が誰の腕の中にいるのか思い出した。
反射的に俺はまだ、体の中にあった指を激しく振り払い、腕を突いて体を起こすとベッドから飛び降りようとした。
高原のためらわない力強い腕が伸びてきて俺の足首を掴むと、腕の中に引きずり戻した。
あっという間に組み敷かれる。俺は、恐怖にのど元まで締め上げられて悲鳴を上げた。体を捻って逃れようと暴れる。
「しーっ」
「いや!いやだ。離して」
「しーっ。大丈夫。大丈夫だから。泣くな」
俺はもがきながら、激しくしゃくりあげ、高原の胸にこぶしをぶつけていた。高原の厚い手が背中を擦ってくれる。
「しーっ。しーっ。大丈夫。大丈夫」
髪に押し付けられた唇から、低い声が伝わってくる。暖かい吐息と熱い体。俺は、思わずその体にしがみついて泣いた。その夜、高原は、コックリングを外して俺をやさしく抱いた。俺は、譫言のように高原の名を呼びながらその体にしがみついていた。
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それなのに、あの二人は俺がどんな状態になっているかまったく気にしなかった。まるで、そんな夜は無かったように。各務も一日休んだ「拡張」を平気で再開し、一言もその話をしなかった。俺も訊かなかった。訊けば、何を言い出してしまうかわからない。俺は口をつぐんだ。胸の中ではいくつもの問いともやもやとした嫉妬が渦巻いていたのに……。そうして、またいつもの毎日。いつもの平和。いつもの悪夢。
今年は梅雨明けが遅いのか、七月に入っても雨の日がずっと続いている。夜は蒸し暑くって、屋敷にはエアコンが入っていた。金曜日だって言うのに高原は来ない。いや、連絡がないんだから遅くなっているだけなんだろう。俺は、すっかり準備の整った体を高原のプレイルームの黒いベッドシーツの上に横たえていた。 足元のスポットだけを残して明かりを消す。
こうして一人。火照った体を抱いていると、なんだかためいきばかりが出てしまう。拡張の後は、シャワーを浴びながらコックリングを外して、自分でやってしまうのが常だから、長い時間高原を待っているのは、じれったいものがあった。多分、うとうとしてしまったんだろう。誰かがのしかかってきて、シーツを引き剥がす。
髪の毛から雨の匂いがした。高原?…旦那様。濡れちゃってるよ。どうして、こんなに遅かったの。俺、待ちくたびれちゃったよ。俺は、口に出していってしまっていたんだろうか。いつものように心の中で反芻していたつもりだったのに、高原が、囁きながら口付けしてくる。
「悪かったな」
かすかなウィスキーの匂い。飲んできたの?俺は物憂げに奴の首に腕を廻した。ぼんやりとしていて、眠かった。肩に、胸に、唇が口付けを落としていく。気持ちいい。うっとりとして俺は身を任せる。指がアナルの中に分け入ってくる。一本、二本、抜き差しされて、ああ…いい。優しい手に身を任せて…優しいまどろみに身を任せる。三本まで増えた指がくるりと廻されて、中を掻き混ぜる。感じる場所を見つけて擦りあげる。それから、また最初に戻って…一 本、二本…か…がみ…。
…すきだ。
指が止まった瞬間、俺はそそけだって凍り付いていた。ぼんやりした頭があっという間に冴え渡り、俺は自分が誰の腕の中にいるのか思い出した。
反射的に俺はまだ、体の中にあった指を激しく振り払い、腕を突いて体を起こすとベッドから飛び降りようとした。
高原のためらわない力強い腕が伸びてきて俺の足首を掴むと、腕の中に引きずり戻した。
あっという間に組み敷かれる。俺は、恐怖にのど元まで締め上げられて悲鳴を上げた。体を捻って逃れようと暴れる。
「しーっ」
「いや!いやだ。離して」
「しーっ。大丈夫。大丈夫だから。泣くな」
俺はもがきながら、激しくしゃくりあげ、高原の胸にこぶしをぶつけていた。高原の厚い手が背中を擦ってくれる。
「しーっ。しーっ。大丈夫。大丈夫」
髪に押し付けられた唇から、低い声が伝わってくる。暖かい吐息と熱い体。俺は、思わずその体にしがみついて泣いた。その夜、高原は、コックリングを外して俺をやさしく抱いた。俺は、譫言のように高原の名を呼びながらその体にしがみついていた。
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この記事へのコメント
一度と言わず、あちこち何度も書いてください。
やっぱり、なにもかもが頭の中でのでっち上げの世界なので
いつも自分の書いてるものに不安があって
感想をいただけるとすごく安心するんです。
高原氏ねらいのお客様、初めてでございます。
さやかにとっての高原氏は、
夢で見た話しをつなぎ合わせる時の
常識ではあり得ない設定をみーんな可能にしてくれるお人です。
これを、さやかは、「苦しい時の高原頼み」と呼んでおります。
どんなときでも頼りになるお人です。(#・・#) ポッ
さやかは、子供の頃の方がよく覚えていました。
好きな物語だと、続きが気になって・・・
自分で考えて作り出す訳じゃないので
途中で切れちゃったりすると七転八倒。
でも、一度だけ毎日その続きを見て
三夜連続でラストまで行ったことがあります。
今は、そんな器用なことは出来ず断片だけなので
勝手にふくらましたり付け加えたり・・・
あああ・・あの頃にもどりたーい。
やっぱり、なにもかもが頭の中でのでっち上げの世界なので
いつも自分の書いてるものに不安があって
感想をいただけるとすごく安心するんです。
高原氏ねらいのお客様、初めてでございます。
さやかにとっての高原氏は、
夢で見た話しをつなぎ合わせる時の
常識ではあり得ない設定をみーんな可能にしてくれるお人です。
これを、さやかは、「苦しい時の高原頼み」と呼んでおります。
どんなときでも頼りになるお人です。(#・・#) ポッ
さやかは、子供の頃の方がよく覚えていました。
好きな物語だと、続きが気になって・・・
自分で考えて作り出す訳じゃないので
途中で切れちゃったりすると七転八倒。
でも、一度だけ毎日その続きを見て
三夜連続でラストまで行ったことがあります。
今は、そんな器用なことは出来ず断片だけなので
勝手にふくらましたり付け加えたり・・・
あああ・・あの頃にもどりたーい。
はじめまして m(_"_)m
すっかり嵌ってしまい、毎夜『就寝儀式』のように徘徊、楽しませていただいています。
ついでにお邪魔している、ご本宅でコメントを~♪と書かれていたので、「いつかは、ご挨拶したほうがいいのかな?」と思いつつ今日まで参りました。
『貢物になりたい願望』が強くてファザコンな琴乃としては、やっぱり高原氏最高でございます テレテレ… キャァ~~
一番好きなストーリーのページにコメントをつけさせていただきました。ごめんなさい ww
これからも色々なお話楽しみにしています。
いつでも素敵な夢を…
琴乃は、ほとんど夢を覚えていない…お子ちゃますぎるのかなぁ?
すっかり嵌ってしまい、毎夜『就寝儀式』のように徘徊、楽しませていただいています。
ついでにお邪魔している、ご本宅でコメントを~♪と書かれていたので、「いつかは、ご挨拶したほうがいいのかな?」と思いつつ今日まで参りました。
『貢物になりたい願望』が強くてファザコンな琴乃としては、やっぱり高原氏最高でございます テレテレ… キャァ~~
一番好きなストーリーのページにコメントをつけさせていただきました。ごめんなさい ww
これからも色々なお話楽しみにしています。
いつでも素敵な夢を…
琴乃は、ほとんど夢を覚えていない…お子ちゃますぎるのかなぁ?
2006/06/23(金) 18:06 | URL | 琴乃 #woqvqgqU[ 編集]