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8、その檻は荊の檻

ここでは、「8、その檻は荊の檻」 に関する記事を紹介しています。

「最初はどうすればいいの?」
「どうって?」
「正座して三つ指突いて…ご主人様どうか調教してください…とか、言うんでしょう?」
 彼のシャツ一枚を巻き付けただけで寝室へ移動して、心地よいベッドの中へ引き込まれた。くすくすと笑う彼が、肩に廻した手にぎゅっと力を込めて抱き締めてくる。
「そんな事、必要ないさ」
「だって、私は博人さんの奴隷になるんでしょう?」
 いきなりくるりとひっくり返されて、体は彼の下敷きになっていた。
「奴隷にするつもりは無いよ。主従関係にするつもりは無いんだ」
 耳の後ろにキスしてくる。私は思わず首をすくめた。
「え?どうして…?」
「僕は君を愛している。だから、優しくして、抱きしめる」
 肘を付いて半身を起こした彼に顔を覗き込まれる。
「それから、君を抱く」
 あまりにも甘やかに囁かれて満たされた体中がぞくぞくとした。
「それから、痛くする」
 乳首をきゅっとつままれた。恥ずかしさに胸まで赤くなるような気がする。痛みにちょっと眉をしかめた。
「もっと、痛くする」
 耳たぶをくちびるでくわえられ熱い息を吹きかけられる。囁きは続いている乳首をつまんでいた指がきゅっと捻られる。
「あう」
 思わず声が漏れていたふうっと息が耳の中に吹き付けられる。体中のぞくぞくが強くなって彼のくちびるから逃れようと、もっと首をすくめ顔を背ける。けれど、しっかりと囲い込まれている体は、逃れようが無かった
「もっと、もっと、痛くする」
 徐々に加えられる圧迫がドンドンと強くなっていき、ぎゅっと瞑った目から思わず涙が滲んでくる。
「痛い?」
「い…痛い」
「可哀想に……」
 首筋をくちびるで愛撫しながら、もっと乳首を強く捻ってくる。
「あ…。イタッ」
 がまんできなくて声が漏れた。首だけでなく体も捻れる。抵抗はまったく役に立たず、肩へ降りてくるくちびるからくすぐったいような快感が体の芯へ突き抜けてくる。さっき十分満足したはずの足の間が甘く熱くなってくるのが分かった。え?どうして?触ってもいないのに…なんで。
 ぱっと指が離れたと思うと、さっきよりももっと容赦の無い動きでもう一度強くつままれた乳首をぎゅっと捻りつぶされる。鋭く強い痛み。
「痛い!」
 考える暇も無く叫んでいた。開いた口を彼のくちびるが覆う。乳首の痛みはじんじんとひどくなってくる。爪を立てるようにして抉られているのだ。体を突っ張らせて、痛みに耐えようとした。我慢出来ず涙が盛り上がる。
「いい子だ」
 くちびるをあわせたままあやすように囁かれる。あっ。あっ。と、声を上げながら無意識に彼の腕を押し返そうとする。でも、しっかりと捕まえられた乳首は痛みから逃れられない。
 いや。いや。痛い。許して。決して口に出すまいと思っていた言葉を心の中で何度も繰り返していた。
 その瞬間、彼は息を深く吸い込み、その勢いのまま、思いっきり深くくちびるを合わせてきた。同時に乳首をぴんとはじかれた。鋭い痛みに私のあげた叫びは、全部彼の口の中に吸い込まれる。
 ……「君は壊れる」
 彼の言った言葉の意味が、じわじわと脳裏を侵食し始めていた。



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