しっかりと目をつぶって、身体を固くして、息を詰めたまま、硬直していた。博人さんの前で、全裸で大の字に拘束されてしまった。たとえうつぶせだからといって、恥ずかしさが減るはずも無い。覚悟していたはずなのに、あまりの恥ずかしさに身動きもならなかった。
目をつぶって何も見ないように何も感じないようにひたすら祈る。その顔の上に何の説明も無くアイマスク被せられて、私はびっくりして顔を上げる。目を開けてもわずかな隙間から光が差し込むだけだ。
「動かないで・・・。」
その上に博人さんは、さらに目隠しをした。柔らかな絹の肌触り。頭の後ろでしっかりと結ばれてしまうと見えるのは漆黒の闇だけだった。頬を撫で上げた手が離れていく。何が起きるのか。何をされるのか。ただじっと待つしかなかった。ベッドのスプリングが弾んで、博人さんがベッドから降りたのが分かった。ひたひたと足音が遠ざかる。
シャッ!
カーテンが引かれる音に私は飛び上がった。しかも、もう一回。
シャッ!
え?どういうこと?廻らない頭で忙しく考える。二回カーテンを引く音がした。さっき博人さん自身が、ビロードのカーテンをしっかりと閉めて部屋を暗くしたのだ。それを開けたということは、あの大きな窓から部屋中に昼の光が差し込んでいるということを意味していた。ベッドの頭のオレンジ色の小さな明かりでも恥ずかしかったのに、明るい光の中で隅々まで照らされた身体を見られているのだと思うと、愕然とせずにはいられなかった。
「いや。博人さんカーテンを開けないで。」
「ひ、博人さん?」
ひたひたと足音が戻ってくる。私は混乱して起き上がろうとした。鎖がガチャっと鳴ってベッドに縫い留められた身体を引き戻す。あ。どうしよう。見られちゃう。いやっ。足を閉じようと太腿に力を込める。ガチャガチャと鎖が音を立てるだけで、どんなに力を込めても大きく開かれた足を閉じることはかなわない。
どうしようもない。何の抵抗も出来ない。その事実に胸が締め付けられる。
足元のベッドが沈む感覚があった。私は全身の皮膚の感覚をそばだてるようにして、博人さんの動きを追わずにはいられなかった。ギシッとベッドが沈み、足の間に手が入り込んでくる。そして、一番恥ずかしい、隠しておきたい所に触れていく。適わないと知っていても、太腿に力を込めてしまう。ひんやりとした濡れた感触。ツン・・・と、部屋にミントの匂いが広がる。何か・・・塗られた?敏感なところが急に熱くなりジンジンと火照り始める。動くまいとしても、もぞもぞと動かずにはいられないようなじれったい感覚。
「あ・・・。」
なに?なんだろう?熱くなる。あ、いや。私、どうして?感じてきてる。ブーンという低い電気音が聞こえた。はっと頭を振り向けるが何も見えない。でも、誰だって知っている。使ったことはないけれど、それが女性の身体に快感をもたらすおもちゃの立てる音だということ・・・。
いや。いや。しないで。博人さん。いや。その音がゆっくりと足の間に近づいてくるのを、私は、震えながら待つしかなかった。
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